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2026/07/10

バーチャレーシング



  




【発売】セガ・エンタープライゼス
【開発】セガ・エンタープライゼス(第2AM研究開発本部)
【発売日】1994年3月18日
【定価】9,800円
【媒体】メガドライブ用カートリッジ
【容量】16M+セガ・バーチャプロセッサチップ
【ジャンル】レースゲーム
【周辺機器】ファイティングパッド6B対応




メガドライブの底力で未来へと希望を繋いだ一作


【ストーリー】
 私達は、業務用で人気を博した『バーチャレーシング』をメガドライブに移植するにあたり、2つの事を最も考慮しました。それは、「ポリゴンの高速コントロールによるスピード感」と「リアルな操作感覚」です。業務用の技術をベースに、メガドライブ用に新たに作成した高速プログラムによって、車のスピード感を保ち、尚且つ道路のバンクやヘアピンなど、リアルな表現も可能になりました。また、車体重量や摩擦係数、ダウンフォースなど、高度な物理計算を行う事で、限りなく実車に近いドライビング感覚を表現できました。それでは、私達の自信作、メガドライブ版『バーチャレーシング』をお楽しみ下さい。


【概要】
 オリジナル版は92年にセガ・エンタープライゼス(現セガ・フェイブ)がアーケードで発売したレースゲームで、F1をモチーフに、グラフィックはポリゴンでの描画機能を搭載した新世代アーケード基板である「MODEL 1」基板で開発された。「MODEL 1」基板は、『バーチャファイター リミックス』の様なポリゴンにテクスチャーを貼る事ができず、見た目はポリゴン剥き出しの「板状」パーツだけで構成されたグラフィックだが、「映像的なリアリティ」よりも「F1カーをドライブする感覚」を優先し、「ゲームが上手い人間ではなく、実際の運転の上手い人間が速く走れるレースゲーム」という観点で開発された。


【ゲームシステム】
 3Dビューのレースゲーム。レース中はドライバー視点から車体後方からの視点まで細かく6視点に切り替えが可能。アーケード版同様のコンピュータが操作する15台のマシンと競い合う「Virtua Racing」モード、プレイヤー1台でのフリー走行、2人対戦モードと主に3つのモードがある。コースは3種。「Virtua Racing」モードでは、制限時間が0になる前にコース内の各ポイントを通過して、5周する。

【総評】
 本作はオリジナル版同様、第2AM研究開発部が開発を行い、ディレクターは後に『バーチャファイター』を手掛けた鈴木裕氏、短いが印象的なアイキャッチは『Jリーグ ビクトリーゴール'96』の主題歌などでお馴染み「世界一歌の上手いサラリーマン」こと光吉猛修氏が担当している。元々は「MODEL 1」基板の性能確認のために作られたゲームだったが、出来がよかったために商品化されたという特異な経緯を持つ。F1カーの座席を模した筐体にギュッと収まり、現在の目で見れば「板人間」だが、当時は珍しかった全ポリゴンのそのリアルな動きに300円(←フツーのゲームより1プレイの値段が高かった)をガシガシ投入したのだった。僕が。



 本作メガドライブ版は、オリジナル版とほぼ遜色がない。これは、本作用に開発された「セガ・バーチャプロセッサ」チップによって、1秒間に9,000ポリゴンを表示させ、メガドライブ本体の12倍の高速演算処理を可能にした。そのため、カートリッジの形状が通常とは大きく異なり、パッケージも見た目は成形色が黒からグレーになっただけだが、内部のカートリッジ固定爪などが作り直された専用の物だ。移植度としては、ポリゴン欠けなどはあるものの、「メガドラすげえ!」と当時は思ったくらいの出来だ。


 『バーチャファイター』などと同じく、静止画ではなかなかゲームの楽しさが伝わらないが(これは当時の専門誌などでも言われていた)、テクスチャーを貼っていないポリゴン剥き出しのこのグラフィックが、今見るとかえって「無駄のないポリゴンゲームの美しさ」にも映る。「様式美」ってやつですな。アーケードでは93年10月に『リッジレーサー』(ナムコ)が登場し、セガも94年4月に『デイトナUSA』を発売。共にポリゴンにテクスチャーを貼ったグラフィックも進化したレースゲームで、徐々に『バーチャレーシング』の筐体は減っていった。そんな新技術の競争時期に発売された本作は、ハードの性能をソフト側で限界以上に引き出す「セガ・バーチャプロセッサチップ」でメガドライブの底力を見せた。次世代競争の中で現行機の意地を見せた『スターフォックス』(任天堂)と正に同じだ。

 同年12月にはメガドライブ・スーパー32Xに移植(あんまし面白くなくてビビった)され、現在はオリジナル版がニンテンドーSwitchでダウンロード販売されているが(思ったより難しくてビビった)、個人的にはこのメガドライブ版が好きなのは、もちろん思い出補正も入ってるだろーが、「新チップを専用に開発してでもメガドラで出そうぜ!」っつーセガの心意気がメガドライバーとしては嬉しかった。「Virtua Racing」モードでは難易度設定もあり、フリー走行ではもう100円玉の数を気にせず、見た目は板なのに動きはリアルなある意味不思議な空間を思う存分走れるのがいい。

 近年、「バーチャルリアリティ」という言葉がまた使われる様になったが(場合によってはまるで新しい言葉の様に)、本作タイトルの略称『V.R.』は「バーチャルリアリティ」の意味もあり、30年以上経った現在、ようやく当時のクリエイター達が思い描いていた未来がやってきた...のカナ?カナ?


(C)1992,1994 SEGA

2021/11/01

スーパーハングオン



【発売】セガ・エンタープライゼス
【開発】セガ・エンタープライゼス(第2AM研究開発部)
【発売日】1989年10月7日
【定価】6,000円
【媒体】メガドライブ用カートリッジ
【容量】4M
【ジャンル】レース




「体感」の要素を廃しても残る「熱さ」


【ストーリー】
 今日もまた、灼熱の太陽が昇ろうとしている。路面がマシンを通して、オレの指先に熱い走りの予感を伝えてくる…。


【概要】
 オリジナル版は87年にセガ・エンタープライゼス(現セガ)がアーケードで発売した同社体感ゲーム第5弾で、初の体感ゲーム『ハングオン』の続編。バイク型の筐体を操ってゲーム中のバイクを操作し、制限時間内にチェックポイントを目指す。本作ではその「アーケードモード」と、メガドライブ用オリジナル要素として、レースで稼いだ賞金でマシンをパワーアップしてライバル達と競い合う「オリジナルモード」が追加されている。


【ゲームシステム】
 3Dビュー形式のレースゲーム。操作はシンプルで、Aボタンがブレーキ、Bボタンが280kmまで加速するアクセル、Cボタンは280kmに達した際にBボタンと同時に押すとターボが使える。コースは入門者用のアフリカ、初級者用のアジア、中級者用のアメリカ、上級者用のヨーロッパの全4コースで、それぞれにチェックポイントの数(ステージ)が異なる。制限時間内にチェックポイントを通らなければゲームオーバー。1ステージの制限時間はおおよそ30秒前後だ。



【総評】
 最高速度に達した時のスピード感、『アウトラン』でも見られた起伏あるコースは今プレイしてもなかなか迫力がある。アフリカは6ステージ、アジアは10ステージ、アメリカは14ステージ、ヨーロッパは18ステージと、
1コースが長いため、レースゲームにおいて必要な集中力をいかに持続させられるかがキーとなる。レースゲームは己との戦いなのだ。コースからはみ出して看板や木などにぶつかると派手に吹っ飛ばされ、コースに戻るまで約4秒のタイムロス、更には立ち直りまで3~4秒かかるため、コースアウトは致命的である。同一ステージで2度コースアウトした場合、クリアはかなり難しい。

 最高時速に達した際のターボの使いどころもポイントかもしれない。直線距離ではもちろん、カーブの際もそのままインベタで走る度胸とテクニックが必要だ。いや、レトロゲームと侮るなかれ、これがなかなか手に汗握ってコントローラーがベタベタになるのですよー。

 

 アーケード版、僕は実際には10回程度しかプレイしていない。なんせあの赤いバイクを模した筐体にまたがって操作するのが恥ずかしかったお年頃だったのです。すまんす←誰に謝っているのか。それよりも、BGMの印象がかなり強い。近所に住む年上のにーちゃんがBeep付録のソノシートをカセットテープにダビングしてくれ、それをずっと聴いていたからだ。躍動感がありながらどこか哀愁が漂う「OUTRIDE A CRISIS」、「SPRINTER」、「WINNING RUN」、「HARD ROAD」の4曲はどれも名曲ですよ!本作でもレース前に曲選択ができる他、タイトル画面でAボタンを押しながらスタートボタン押すと、サウンドテスト(&難易度選択)に入り、これらの名曲をフルで聴く事ができる。アーケード版と比べて音数こそ少ないものの、かなり忠実に再現されている。

 オリジナルモードについてはちょこっとだけ。各レベルごとに現れるライバル達とのレースに勝てばスポンサーから賞金が出て、新しいパーツを買い替えるよろしくチューニングなモードだ。最初のマシンはとにかく遅いし、ハンドリングの反応も鈍い、アーケードモードとはまるで別のマシンになっている。レースをしてお金を貯め、メカニックを雇い、高性能なパーツを買ってパワーアップの繰り返しだが、各パーツには耐久度が設けられており(たぶん)、前のレースで受けたダメージがそのまま残ってしまい、特にフレームに大ダメージを受けると、次のレースではいきなりスタート不能でそのままリタイアになってしまう。パスワード制を取っているが、とにかくフォントが見難い!でも、パーツカスタマイズのBGMが『ファンタジーゾーン』のショップBGMなので許す。っていうか、別にそんなに面白くなかったのですぐやめちゃった☆←おい。

 

 「体感ゲーム」というアーケード独自のゲームを家庭用機にローカライズ移植する際の難しさはあるが、本作は「体感」という大きな要素を取り払っても、1本のゲームとして通用する基本的な面白さに寄るところが大きい。完成度が高く、「体感」の要素がなくてもレースゲームとして非常に優秀なのだ。そういう意味では時代もかなり経つ本作は今プレイしても手に汗握りコントローラーがベタベタになるほどの熱がある。以降も多くの機種に移植されており、現在でも遊べる環境にあるので、コントローラーがベタベタになるまで遊ぼう!



(C)SEGA 1989

2015/11/26

R4-リッジレーサータイプ4-



【発売】ナムコ
【開発】ナムコ
【発売日】1998年12月3日(PS one Books版:2002年2月14日)
【定価】5,800円(ジョグコン同梱版:7,980円)(PS one Books版:2,200円)
【媒体】プレイステーション用CD-ROM
【ジャンル】レース
【周辺機器】アナログコントローラ(振動のみ)、ネジコン、ジョグコン、ポケットステーション対応
【受賞】1999年:第3回CESA大賞優秀賞
【受賞】1999年:第3回CESA大賞グラフィック部門賞
【受賞】1999年:PlayStation Awards ゴールドプライズ賞




プレステ史上最高峰のレースゲーム


【概要】
 ナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)の人気レースゲーム『リッジレーサー』シリーズの第4弾。『リッジレーサー』は93年にアーケードで発売後、94年にプレイステーションの目玉として移植され、本体と同時発売された。シリーズは以降アーケードとプレイステーションでそれぞれに枝分かれし、本作はプレイステーション版の第4弾として登場。独自のプログラムでハードの能力を限界まで引き出した美しいグラフィック、黄色を基調にしたクールなインターフェイスデザイン、高品質なサウンド、4つのストーリーなど、全てにおいて高いクオリティを誇るナムコのプレイステーション用ソフト総決算的な作品だ。

 また、本作のために開発されたジョグダイヤル付きのコントローラ「ジョグコン」も発売された。

 パッケージ内には「DISC2」として「ボーナスDISC RIDGE RACERハイスペックVer.&ナムコカタログ'98」が同梱されている。これは94年に発売された『リッジレーサー』の画像解像度を、オリジナルの秒間30フレームから秒間60フレームに倍増した実験作。他にも『リベログランデ』、『風のクロノア』、『テイルズ オブ デスティニー』、『鉄拳3』の体験版、『エースコンバット3 エレクトロスフィア』の紹介ムービー、本作までにナムコがプレイステーションで発売した36本のソフト、周辺機器、公式ガイドブックを納めたカタログが収録されている。



【ゲームシステム】
 3Dビューのレースゲーム。レース中はドライバー視点の「ドライバーズビュー」と車体後方からの「ビハインドビュー」の切り替えが可能。メインのモードは、雇われドライバーとして99年5月から大晦日の間に開催される全8戦のグランプリ「REAL RACING ROOTS '99」を戦い抜く「グランプリモード」。それぞれに課題を抱えた4チームのうちのひとつと契約し、1次予選2戦、2次予選2戦、決勝GP4戦を勝ち抜いていく。3回まではリトライできるが、それ以上失敗するとゲームオーバーとなる。マシンはそれぞれに特徴のある4つのメーカーのうち1社と契約し、成績次第で新車投入または現行車へのチューンナップが施される。

 「タイムアタック」ではプレイヤー単独で最速ラップタイムを目指す。予め用意されたマシンだけでなく、グランプリモードで獲得したマシンも使用できる。車種は全部で320台だが、4チームの色違いも含まれるため、実質的には80台だ。ただし、オマケ要素ではあるが、隠しマシンを入手するためには320台全てを集めなければならない。周辺機器の「ポケットステーション」に対応しており、コピーしたマシンを赤外線通信で他のユーザーと交換できるらしいが、やった事ないので詳細は割愛。つーか、こういうのは発売当時ならではの遊び方なので、レトロゲームとなった今ではそんな遊び方もなかなかできませんなー。

 他にも、2人対戦の「バーサスバトル」やタイムアタックなどの記録を収めた「レコード」、そして獲得したマシンを登録する「ガレージ」などがある。このガレージモードではマシンに貼るオリジナルのステッカーを作ってドレスアップする「ステッカーエディット」という簡易版ペイントソフト的なツールまで用意されているのだ。


【総評】
 技術的なハナシを書くと専門用語だらけになるし何より面倒臭いので割愛するが、まず目に付くのがグラフィックの美しさだ。グランプリのコースは横浜、福岡、ニューヨーク、ロサンゼルスの4都市の湾岸や山間部、空港などが舞台となっていて、時間帯も早朝、昼下がり、夕暮れ、夜間など様々だが、どのコースも光と影が織り成す独特のコントラストが非常に美しく、印象的だ。3DCGはその性質上、写実的な描写を追及する傾向にある。本シリーズと人気を二分する『グランツーリスモ』(ソニー・コンピュータエンタテインメント)などはそれが最も顕著に表れたレースゲームだろう。だが、本作はあえて絵画的な描写をする事で「ゲーム屋」としてのナムコのひとつの答えを見た気がするのだ。

 また、レースゲームの主流が細かいセッティングや操作方法を良しとするシミュレーター寄りになっていた時代、本シリーズはあくまで「ゲーム」という部分に比重を置き、レースゲーム特有の高揚感と爽快感を体現しているが、本作ではその傾向がより強くなっている。レースの難易度は所属するチームで、マシン操作の難易度は契約メーカーでそれぞれ異なるため、その組み合わせで初心者からひとかどのゲーム野郎まで楽しめる。多少ぶつかろうがはみ出ようが大勢には影響しない、それでいて大味にはならない絶妙なバランス。さすがナムコと唸るしかない。レースゲームには珍しいストーリーもドライ過ぎずウェット過ぎないちょうどいい塩梅がプレイヤーを盛り上げる。

 サウンドについても触れておきたい。ソウル、ファンク、テクノなどのジャンルを網羅しつつ全体的には落ち着いた雰囲気の、それでいて色気を醸し出すハウスやドラムンベースで締めている数少ないナイトドライブのデートで流せるゲームミュージックだ。大久保博氏、中西哲一氏、中川浩二氏、高橋弘太氏、境亜寿香氏のナムコサウンドチームの精鋭5名が作曲した本作のイカしたサウンドを納めたサントラは、ゲームミュージックとしてだけではなく、テクノミュージックのアルバムとしても高い評価を受け、その異常なまでの完成度の高さから一時期はプレミアが付いており、06年には異例の再販がかかったほどだ。もちろん、本作もシリーズ恒例の「ミュージックプレーヤー」でこれらのサウンドを聴く事ができる。各コースごとにその雰囲気に合わせたプリセットBGMが設定されているが、これまたシリーズ恒例の選曲も可能なので、僕はどのコースもお気に入りの「MOVE ME」をかけている。

 このナムコ渾身の一作は、99年の第3回CESA大賞(現日本ゲーム大賞)にて優秀賞とグラフィック部門賞を受賞。また、同年には販売本数50万本を突破し、PlayStation Awards ゴールドプライズ賞も受賞。「作品」としても「商品」としても評価された。販売本数の多さから現在では中古市場で100円前後で簡単に入手できるため、ゲーマーはもちろん、レースゲームが苦手な人や女性にも一度プレイしてほしい1本だ。



Books
『ナムコ公式ガイドブック R4』

【発売】ナムコ
【発売日】1998年12月3日
【定価】1,000円


 書店ではなくゲームショップで販売されたナムコ発行の公式ガイドブック。「RRR'99」を実際に開催されるグランプリレースに見立て、東京ゲームショウ'98のナムコブースで行われた本作発表会の模様から各チームの詳細な紹介、メーカーごとのマシンカタログ、全コースの解説、メーカー広告など、攻略本の体裁を取りつつ、中身はレースガイドブックのパロディとなっている。開発者インタビューもムービー、サウンド、企画、車グラフィック、背景グラフィック、プログラマー各チームごとに収録。A4判の充実した内容だ。



Books
『R4-リッジレーサータイプ4- オフィシャルガイドブック』










【著】ファミ通編集部責任編集
【発売】アスペクト
【発売日】1999年1月7日
【定価】1,100円


 こちらは書店で発売されたオフィシャルガイドブック。マシンスペックなどのデータ量としては前述の『公式ガイドブック』(どっちも意味は同じですな)と大差ないが、こちらはA5判と小さいため、誌面に余裕がない印象。レイアウトによる努力の後は見られるが、『公式ガイドブック』を持っていれば必要ないかもしれない。ただし、ジョグコンの開発録に6ページを割いており、開発者インタビューやラフスケッチ、試作品のモックアップなどが掲載されているので、この部分の資料性は高い。



(C)Produced by NAMCO LTD. (C)1998 NAMCO LTD.,ALL RIGHTS RESERVED

2015/03/03

F-ZERO



【発売】任天堂
【開発】任天堂(開発第4部)
【発売日】1990年11月21日
【定価】6,800円
【媒体】スーパーファミコン用バックアップカートリッジ
【容量】4M
【ジャンル】レース




25年間コンマ1秒のタイムアタックに挑み続ける


【ストーリー】
 西暦2560年代。かつて地球上で行われていたF1レースの様に、惑星規模のグランプリレースは人々を熱狂の渦へと巻き込んでいった。サーキットは、コースの両脇にある反重力ガードビームによって地上300フィートに設置され、その上を走るマシンにタイヤは存在しなかった。最先端の超磁力技術を駆使して開発されたマシンは、コースより更に1フィート上の位置でレースを展開する。やがて男達にとっては、このレースで勝ち抜く事が宇宙の中で与えられる最高の名誉となった。そして、いつしか人々はこのグランプリの事を「F-ZERO」と呼ぶ様になった。



【概要】
 スーパーファミコン本体との同時発売ソフト。これまでの家庭用ゲーム機にはなかった「回転」、「拡大」、「縮小」という表示機能を用いたデモンストレーション的な内容に止まらず、繊細なコントロールや逆走可能な自由度の高さ、そして、「タイムアタック」という概念を定着させ、以降のレースゲームに大きな影響を与えた。「秒間60フレーム」というかなり無茶な高速処理をいきなり披露したスーパーファミコンとこの『F-ZERO』。4年後にプレイステーションで発売された『リッジレーサー』(ナムコ)が秒間30フレームだった事を思えば(93年発売のアーケード版は秒間60フレーム)、任天堂の意気込みが分かろうというもの。グラフィックの描写も、コントローラーへの入力も、全てが1/60秒で処理されるため、プレイヤーのテクニックがシビアに反映されるゲームに仕上がった。


【ゲームシステム】
 操作方法はいたってシンプル。Bボタンがアクセル、Aボタンがターボ、ブレーキはXボタンとYボタン共通で、LボタンとRボタンは車体をそれぞれ左右に重心移動させる。初心者でもタイムを気にしなければ十分に楽しめる操作方法だからこそ、プレイヤーのテクニックがダイレクトに反映され、ファミコンでは不可能だった奥深いレースゲームになった。コースごとに完走後の総タイムとベストラップタイムが記録されるため、本筋の「グランプリモード」よりも、走りに集中できる「プラクティスモード」でタイムアタックに狂うプレイヤーが続出した。


 ゲームモードは、全宇宙の知的な哺乳類から醜い宇宙人までが金と名誉と命を賭けて争うグランプリモードと、頭からα波をでろでろ垂れ流しながらひたすらタイムアタックに専念するプラクティスモードの2種類。グランプリモードでは、「ナイト」、「クイーン」、「キング」のそれぞれ異なる難易度から出場リーグを選択し、更に「ビギナー」、「スタンダード」、「エキスパート」とクラスの難易度も選べる。プレイヤーは4種類のマシンから1種を選び、残った3種+ザコマシン達と1コース5周で争い、なんぴとたりともオレの前を走らせなければいいのだ。プラクティスモードでは、グランプリモードの中の7コースが選択でき、敵車とのタイマン勝負or敵車なしでこちらも1コース5周のタイムを競う。


【総評】
 本作と共にスーパーファミコン本体と同時発売された『スーパーマリオワールド』が正統進化の定番大作タイトルとしてラインナップされる一方、『F-ZERO』の前評判はそれほどでもなかった。僕も「あーいつか『マリオ』と一緒に本体欲しいなー」程度にしか思ってなかったんだけど、同級生の家で発売されたばかりの『F-ZERO』の画面を見てガーンと衝撃を受けた。なんだこれ!こんなゲーム今まで見た事ねえ!みたいな。一緒にいた友達のヤマダくんも同じだったらしく、その数ヶ月後には本体と『F-ZERO』を先に買いやがったので僕も対抗してすぐに本体を大購入!が、ソフト買うお金がない!ガーン!そしたらヤマダくんがその『F-ZERO』を2,000円で売ってくれたので、それから25年間遊び倒して現在に至るわけです。ありがたや。「25年間」というのはレトリックでもなんでもなく、本当に今でも半年に1度の周期でタイムアタックばかりやっているのだ。もちろん、コースは「MUTE CITY 1」、車種は「ファイア・スティングレー」っつー全世界のプレイヤーほぼ共通の選択で。

 発売直後に任天堂から発表された公式最速総タイム「1分58秒97」を抜こうと、各ゲーム誌ではタイムアタックが盛り上がりまくり、出版社の垣根を越えて「今週はあそこがこれだけのタイムを出したらしいぞ」と他紙の記録を載せていた。その中でもプレイヤーを驚愕させたのが、マイコンBASICマガジンが叩き出した「1分58秒41」という記録。ビデオ編集が容易となってしまった現在ではこういう盛り上がり方はもうないのだろうけれど、今でもこの記録を目標に黙々とタイムアタックにトライし続けているプレイヤーは少なくない気がする。

 1レース約2分という時間は、そろそろ初老に差しかかるアタクシの集中力が持続するギリギリの時間。タイムアタック必須なスタート直後の「ロケットスタート」(車体をライバルマシンの前に出してわざとオカマを掘らせ、その衝撃で一気に加速を増すテクニック)が失敗するとやり直し、少しでも操作ミスをすればまたやり直し、といった具合で四半世紀に渡って気が遠くなる様なトライ&エラーを繰り返してきた。「壁は2分01秒台」と言われているが、下手の横好きなので未だにベスト総タイムは「2分01秒53」。ここ数年は自己トップ10さえ更新できない有様だが、ベストラップ「23秒05」はベーマガの「23秒21」を抜いているので、ココに載せておこうっと。

 世のほとんどの人間にとっては「昔のレースゲームを早く走れたところで何の意味があるのか」と思うだろう。がしかし!昔も今もゲームにおいてそんなもんは全く以って無粋の極みなのだ。タイムだろうがスコアだろうが、とにかく己との戦い。ゲーム内の数字とプレイヤーのテクニックが直結する事こそビデオゲームの最も愉快で楽しい部分だと思うのだ。

 販売本数が77万本と多いため、今でも箱&説明書付きの完品が500円前後と入手しやすい。ファミコンのバッテリーバックアップ電池は5年から10年が寿命と言われているが、スーパーファミコンの場合、ゲームプレイ中は本体側から電力が供給されるため、プレイ時間の長さが電池の寿命に比例する。だから25年経ってもデータが残ってるんだけど、それはあくまでずっと遊び続けているウチのソフトの場合なので、スーパーファミコンに限らず中古市場の全バッテリーバックアップ搭載ソフトはもはやいつ電池が切れてもおかしくない状態なのは間違いない。06年にはWiiで、13年にはWii Uでダウンロード販売されているので、こちらを利用するのもいいかもしれない。



(C)1990 Nintendo