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2026/08/10

ナイツ ~into Dreams…~

 

 



【発売】セガ・エンタープライゼス
【開発】セガ・エンタープライゼス(ソニックチーム)
【発売日】1996年7月5日(サタコレ版:1997年6月20日)
【定価】5,800円(セガマルチコントローラー同梱版:7,800円)(サタコレ版:2,800円)
【媒体】セガサターン用CD-ROM
【ジャンル】アクション
【周辺機器】セガマルチコントローラー対応
【受賞】1996年:CESA大賞'96プログラミング賞受賞
【受賞】1996年:CESA大賞'96グラフィック賞受賞
【レーティング】全年齢




セガサターンを代表する傑作


【ストーリー】
 人は眠りにつくと、「ナイトディメンション」という異次元空間へ旅立ちます。そこには、私達の「楽しい」という意識が投影されて創り出された夢の世界「ナイトピア」と、「暗くて恐ろしい」夢の世界「ナイトメア」という2つの世界が存在していました。ナイトピアは、「ビジター」という夢の訪問者が、「イデア」と呼ばれる光に自分の意識を投影する事で創り出されていました。

 「純粋」を表す「ホワイトイデア」、「成長」を表す「グリーンイデア」、「知性」を表す「ブルーイデア」、「希望」を表す「イエローイデア」、そして、勇気ある者だけに宿る「レッドイデア」。イデアは全部で5つありましたが、今では全てを持つビジターは珍しく、特に勇気のイデアを持つビジターは、ほぼいなくなったと言われていました。この物語の主人公「エリオット」や「クラリス」もイデアによってナイトピアを楽しむビジターでした。しかし、彼らは、まだ気付いていなかったのです。2人は勇気のイデアを持っているという事を。そして、それぞれ大きな事件に関わる事も…。

 その頃、夢の世界では危機的な異変が生じていました。ナイトメアの支配者「ワイズマン」がビジターから全てのイデアを奪い取り、ナイトピアを片っ端から消滅させ始めたのです!数々の「ナイトメアン」を創り出し、続々とナイトピアに送り込みました。その中には、「ファーストレベル」と呼ばれる「魔人」2体も含まれていたのです。あっと言う間に4つのイデアを奪われ、次々に消滅していきました。

 エリオットもクラリスも、それぞれのナイトピアでこの大事件に巻き込まれ、ナイトメアン達は彼らのイデアを4つ全て奪い取りました。しかし、ナイトピアは消滅しなかったのです。2人は襲い来るナイトメアン達を払い除け、恐怖と戦いながらも何とか自分達のナイトピアを救おうと勇気を振り絞っていました。その時です、彼らの頭上に勇気のレッドイデアが出現したのは…。

 昨夜出会った勇気のイデアを持つクラリスの事を思い出しながら、外を眺めていた「ナイツ」は、再び勇気のイデアを持つエリオットを見つけ、叫びました。「やい、オマエ、すぐにオレをココから出せ!」。ナイツはワイズマンが送り出した魔人の1人でしたが、自由を好み、誰の指示にも従おうとしなかったため、夢の狭間に閉じ込められていたのでした。

 自由の身となったナイツは、エリオットの手を取り、地面を蹴って天高く舞い上がりました。すると、エリオットは一瞬でナイツと同化し、自らの意思で空を自由に飛べる様になったのです。「ようし、それじゃ、手始めに奪われた4つのイデアを取り戻そうぜ!5つのイデアが集結すれば、ワイズマンのいるナイトメアまでひとっ飛びだ!」。ワイズマンを倒し、何事にも恐れない真の勇気を掴むため、ナイツ、エリオット、クラリスの3人が挑む「夢」と「勇気」の冒険が始まったのです。


【概要】
 96年にセガ・エンタープライゼス(現セガ)が発売した「夢の世界」を舞台に3D空間を飛び回る新感覚のアクションゲーム。メガドライブでは『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』という看板キャラクターが生み出されたが、セガサターンの看板キャラクターは本作の「ナイツ」となる。結果的にナイツはソニックの知名度には及ばなかったが、ゲームとしてはセガサターンを代表する傑作となった。ナイツのキャラクターデザインは、ソニックのデザインをした大島直人氏(現アーゼスト代表取締役社長)。エンディングテーマ「DREAMS DREAMS」も話題となり、キャメロン・アール・ストローザーくんとジャスミン・アレンちゃんの子供2人が歌うバージョンと、カーティス・キング・ジュニア氏&ダナ・カリトリ氏の大人の男女のデュエットが、このゲームを非常に「素敵」なものとしている。ビデオゲーム史上に残る名曲である。96年のCASA大賞(現日本ゲーム大賞)では、プログラミング賞とグラフィック賞をダブル受賞した。


【ゲームシステム】
 3Dビュー形式のアクションゲーム。プレイヤーはエリオットとクラリスのどちらかを選び、夢の世界でナイツと同化して、それぞれ4つのドリームを縦横無尽に飛び回ってクリアしていく。ただし、4つ目のドリームは、他のドリームで「C」以上の評価を得ていないと出現しない。また、ナイツと同化できるのは120秒で、タイムアップになると同化が解けてしまい、エリオットorクラリスは歩いてナイツのいる場所へ行き、再び同化しなければならない。各コースで20個以上集めた「カラーチップ」を「イデアキャプチャー」のドームに入れると、イデアが1つ解放される。奪われたイデアを全て取り戻すとボス戦となる。

 エリオットとクラリスそれぞれ3ドリーム(ステージ)+共通1ドリームの全7ドリーム。ナイツの基本動作はAボタン(A、B、C各ボタンは共通)と十字キーのみで、実質的には2Dビューのゲームと同じであるため、操作方法は簡単だ。本作のために開発された周辺機器「セガマルチコントローラー」でプレイすれば、更に自然な動きでプレイできる…かもしれない(持ってないから分かんないの)。5パターンのマルチエンディング。


【総評】
 言いたい事はだいたい『クリスマスナイツ-冬季限定版-』の項で書いたので、そちらもよかったらご参照あれ。ナイツのアクションはAボタン1つで「ドリルダッシュ」や「タッチダッシュ」、「パラループ」など、様々な空中ジャンプアクションができる。何も考えずにいろんなアクションをしながら飛ぶのは気持ちがいい。この簡単な操作で空中を縦横無尽に飛び回る爽快感は、他のゲームでは味わえないと言ってもいい。



 ゲーム内には「A-LIFE」という人工生命が導入されており、ナイトピアン達はこの「A-LIFE」によって生物の様に生活や繁殖、学習などを行い、独自の生態系を作っている(ホントかなぁ)。プレイヤーもこいつらに間接的に関与でき、行動によってナイトピアン達に変化が起こり、新しい種族が生まれたりするんだって。このナイトピアンのプレイヤーへの好感度によってゲーム内のBGMが変わるのだった。



 プログラムは『ソニック』シリーズのメインプログラマーの中裕司氏(22年に金融商品取引法違反の疑いで逮捕←おーい)、ゲームデザインは『ソニック・ザ・ヘッジホッグ3』を手掛けた飯塚隆氏(現セガ執行役員兼クリエイティブオフィサー)、音楽は『リスター・ザ・シューティングスター』を手掛けた佐々木朋子氏(現フリーランス)や『ソニック・ザ・ヘッジホッグCD』の幡谷尚史氏、本作が入社後初参加作品となった熊谷文恵氏ら、当時のソニックチームのみならずセガが総力を挙げて「キラーソフト」として売り出した。ある意味では実験作だが、セガサターン用ソフトの中でも随一の良作だ。

 できる事なら、タイム制限やランク制度のない、ステージ内を自由に飛び回れるフリースタイルのモードも欲しかったところだ。「C」以上の評価を出すのが案外難しいので、実際にプレイするとどうしても評価を気にしながらの動きになってしまい、爽快感が半減してしまう。それでも、とにかくセガサターン本体を持っているなら手元に置いて損はない1作だ。



Books
『ナイツ・ナイス・ナイト・ツアーズ』




 




【著】スタジオベントスタッフ、
ファミ通編集部責任編集
【発売】アスペクト
【発売日】1996年8月15日
【定価】980円

 スタジオベントスタッフによる「徹底攻略」と銘打った1冊。内容は全ドリームの俯瞰図と横から見たマップによる攻略法解説が主体で、小ネタも多く掲載されている。終盤は逮捕された人の開発インタビューもあり、そつのない作りだが、表紙のイカスデザインに対し、本文内のデザインや色使い、レイアウトなど、全体的に低学年層向けの様に取っ散らかってしまってるのが残念。古本屋で見かけて安かったら買ってもいいくらいな感じ。


(C)SEGA ENTERPRISES,LTD.1996

2026/06/03

ビクトリーゴール ワールドワイドエディション





【発売】セガ・エンタープライゼス
【開発】セガ・エンタープライゼス(チームアクイラ)
【発売日】1996年11月29日
【定価】5,800円
【媒体】セガサターン用CD-ROM
【ジャンル】スポーツ
【周辺機器】セガマルチコントローラー、マルチターミナル6対応
【レーティング】全年齢




次作までの「繋ぎ」ゲーの活用方法


【概要】
 『Jリーグ ビクトリーゴール'96』の続編。世界各国から選ばれた48チーム、8つに分けられた各ブロックを代表する6チームずつが世界の頂点を目指す。そのため、プレイする度に各ブロックの出場国が変わる。操作方法や操作感覚はソフト『'96』から引き継がれている。現在ではJリーグや日本代表のサッカーゲームを作る際は担当協会とライセンス契約を交わし、その代わりにゲーム内でクラブや選手を実名で使えるが、本作は全て架空の選手名である。


【ゲームシステム】
 これまでのシリーズ同様、トップビュー、サイドビュー、クォータービューへの切り替え式サッカーゲーム。ゲームモードは任意の国同士で戦える「エキシビジョン」、これまた任意の国をブロックごとから選べる「参加チームセレクト」、全48チームの頂点を目指す勝ち抜き戦「ワールドワイドカップ」、4~16チーム参加の「カップトーナメント」、選手名を自由に変更できる「選手名エディット」など。使用できる48チームは以下の通り。
・イングランド、スペイン、イタリア、スイス、ポーランド、ノルウェーの「ヨーロッパ1」。
・フランス、ルーマニア、デンマーク、アイルランド、クロアチア、ギリシャの「ヨーロッパ        
 2」。
・オランダ、ブルガリア、ベルギー、ウェールズ、トルコ、ロシアの「ヨーロッパ3」。
・ドイツ、ポルトガル、スウェーデン、スコットランド、北アイルランド、オーストリアの 
 「ヨーロッパ4」。
・ナイジェリア、南アフリカ共和国、カメルーン、エジプト、リベリア、モロッコの「アフリカ」。
・日本、中国、韓国、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、オーストラリアの「アジア/オセアニア」。
・アメリカ、カナダ、メキシコ、コスタリカ、エルサルバドル、ホンジュラスの「北アメリカ」。
・ブラジル、コロンビア、アルゼンチン、ウルグアイ、ボリビア、パラグアイの「南アメリカ」。


【総評】
 オープニングムービー及びオープニング「TRY!!!」、そして試合中のBGMはその「TRY!!!」のインストゥルメンタルが流れ、もう1曲新曲が追加されているが、こちらはなんかポコペコポコペコ鳴ってるだけのヘボい感じだった。他のBGMは全て『'96』からの流用で、それはそれで別にいいんだけど、さすがに前作の歌のインストだったエンディングBGMまで同じなのは手抜き感を否めない。また、BGMを定番の「実況」にも変更できるが、知らない外国人のおじさんが1人英語で話してるだけだった。

 全体的にはシリーズ共通の高いクオリティを維持しているが、どーしてもサウンドの流用、目新しさのなさがが、ユニフォームのテクスチャーマッピング他をちょちょっと変えれば出来ちゃう『Jリーグ ビクトリーゴール'97』までの「繋ぎ」と言われても仕方のない出来だ。これは初代『Jリーグ ビクトリーゴール』から前作までの間に発売された
『セガ インターナショナルビクトリーゴール』も同じだった。まあ、要するにワールドカップのライセンス契約をしていない『ビクトリーゴール』の世界版ですな。


 さて、では、このソフトをどう活用しようと考えた。考えたったら考えた。フツーに本作をプレイする機会はそうそうないだろー。ならば、そうだ!選手エディットだ!と私のゴーストが囁き、僕の応援するジェフユナイテッド市原・千葉に所属した歴代外国籍選手に名前を変えて「ゲーム用データベース」にしてしまおうと3日3晩夜なべして本作に登場する国のかつての名選手達を登録していった。この際、架空の名前は邪魔なので、他の架空選手は数字に変えた。ジェフ千葉は「多国籍軍」と呼ばれ、いろんな国から外国籍選手達がやって来たが、旧ユーゴスラビア圏では91年から01年まで続いたユーゴスラビア紛争のため、特に多くの選手がやって来た。ただし、本作発売時はまだ戦時中であり、国連の制裁によってスポーツの国際大会への出場が出来ず、本作での地図ではセルビア・モンテネグロ(新ユーゴスラビア)は割愛されている。また、ジェフ千葉で最初の外国籍選手であるパベル・ジェハーク氏(現SKスラヴィア・プラハアシスタントコーチ)やフランタ氏(FCヴィクトリア・プラゼニスポーツディレクター)の故郷であるチェコの力もまだ世界的には注目されておらず、これも割愛されている。逆にブラジル人選手や韓国人選手は多いため(特にブラジルは全選手入らず)、ポジション無視でエディットした。こうすれば、ジェフ千葉に新外国人選手が入団する度に本作を起動する必要ができるのだ。あったまいー!


 余談だが、Jリーグのゲームで初の実名を使用したのは、93年にスーパーファミコンで発売された『Jリーグ プライムゴール』(ナムコ)、世界版は93年発売のスーパー・ニンテンドー・エンターテイメント・システム用『FIFA インターナショナルサッカー』(エレクトロニック・アーツ社)で、現在ではサッカーゲームを作る際には必ずJリーグなどの契約が必要であり、国内での窓口はコナミデジタルエンタテインメントが請け負っている。




(C)SEGA ENTERPRISES,LTD.,1996

2026/04/06

サクラ大戦

 


   


【発売】セガ・エンタープライゼス
【開発】セガ・エンタープライゼス(第7AM研究開発部)、レッドカンパニー、ザックス・エンターテイメント、
    ネクステック、キョクイチ東京ムービー
【発売日】1996年9月27日(サタコレ版:1998年2月11日)
【定価】6,800円(初回限定版:8,800円)(サタコレ版:2,800円)
【媒体】セガサターン用CD-ROM
【容量】CD-ROM2枚組
【ジャンル】アドベンチャー
【周辺機器】シャトルマウス対応
【受賞】1996年:CESA大賞'96大賞
【受賞】1996年:CESA大賞'96監督賞
【受賞】1996年:CESA大賞'96メインキャラクター賞
【受賞】1996年:CESA大賞'96サブキャラクター賞
【受賞】2006年:文化庁メディア芸術祭10周年エンターテインメント部門賞
【レーティング】全年齢




『サクラ大戦』の功罪


【ストーリー】
 文明開化より50余年...。帝都「東京」は、西洋文化と日本文化が入り混じったモダンな街並みが軒を連ね、そこを走り抜ける蒸気鉄道、馬車、人力車、そして、蒸気自動車。空には飛行機が飛び交い、街の地下には地下蒸気地下鉄の路線が張り巡らされているなど、高度な文明都市が築き上げられていた。しかし、その反面、怪物や呪術が実在する幻想都市でもあった。

 陸軍ではとても手に負えない特殊任務や人命救助、そして、異形の化け物から帝都を守るべく結成されたのが、陸軍所属から独立した政府直属の対魔組織、帝国華撃団「花組」、通称「帝撃」である。集められたメンバーは、昼は大帝国劇場のスターの顔を持つ若き少女達。独自の装備と特権を持つ「帝撃」は、銀座に「花組」の本部があり、大帝国劇場の地下に司令部が設置されている。その他にも、浅草の花やしきにも支部があるという。

 そんな「帝撃」に、1人の青年将校が転属してきたところから、この物語が始まる。


【概要】
 プロデューサーに広井王子氏、脚本にあかほりさとる氏、キャラクター原案に藤島康介氏、キャラクターデザインに松原秀典氏、音楽に田中公平氏と、セガ・エンタープライゼス(現セガ)が満を持してセガサターンで発売したキラーコンテンツ的ソフト。主にアドベンチャーパートと、シミュレーション風の戦闘で構成されており、1ステージ(1話)はテレビアニメ風にアイキャッチや次回予告が入る。有名声優を多数起用し、ムービーも多用。「ドラマチックアドベンチャーゲーム」と銘打たれ、テレビアニメや舞台ショウにまで発展。派生作品や関連書籍は膨大に発売されていて、シリーズ累計では400万本以上を売り上げた。本作は後にWindows、ドリームキャスト、プレイステーション2、iモードにまで移植されている。CASA大賞’96大賞作品。


【ゲームシステム】
 簡易的なアドベンチャーモード+ヘックス型風シミュレーションゲーム。主人公「大神一郎」は、昼は「歌劇団」のスタッフとして仕事をし、戦闘時には「帝国華撃団」の隊長。メンバーは、ヒロインの「真宮寺さくら」、口八丁手八丁の高飛車お嬢様「神崎すみれ」、副隊長的存在のロシア女「マリア・タチバナ」、恋愛対象外の10歳ながら戦闘時には重宝するフランスっ娘「アイリス」、関西弁で中国出身のメカの天才「李紅蘭(り・こうらん)」、声優の田中真弓が隠しきれていない大食いで力持ちの「桐島カンナ」の6人を従え、霊力みたいなので動くスチームパンクなロボット「光武」を操る。

 アドベンチャーパートでは、昼間は「歌撃団」の演者としてあれやこれやしているメンバーと話し、軽い3択を選んで「信頼度」と「恋愛度」を上げたりする。戦闘では、この2つのパラメーターが高いほどそのキャラクターの光武がパワーアップするが、戦闘が終わると信頼度は元に戻る。ここが「簡易的な」という部分。また、「経験値」の概念がないため、いくら戦っても個々がその戦闘で強くなる事はない。ここが「風」である。


【総評】
 まず、ゲームとしては好き嫌いは置くとして、全体的に現在でも通用する高水準のクオリティが保たれている事を述べておきたい。


 セガは当時、長年に渡り「目の上のたんこぶ」だった任天堂がニンテンドウ64で出荷台数的に3番手に落ち、ソニー・コンピュータエンタテインメントのプレイステーションと激しいシェア争いを繰り広げていた。それと前後して、スクウェア(現スクウェア・エニックス)が自社の看板タイトル『ファイナルファンタジーIIV』をプレイステーション陣営で発売する事を発表し、それまで五分五分の展開だったシェア争いに異変が起こる。特にスーパーファミコン時代からの『ファイナルファンタジー』の熱烈なファンやゲームライト層がプレイステーションへ流れ、セガサターンへの買い控えが起こった。そこで、セガは本作へのキャンペーンを大々的に行い、結果的に60万本を売り上げた。



 2D描画機能は当時のアーケードゲームと比較しても高水準である。一方で、3D表現能力では専用ハードウェアを搭載するプレイステーションやニンテンドウ64に比べて劣るが、本作でのムービーシーンに登場する光武などの描写はそれを感じさせない。

 ゲームシステムとしては、「ドラマチックアドベンチャー」と銘打たれているが、空いた時間に各キャラクターと他愛のない話をし、時折、他愛のない時間制限付きの選択肢を選ぶ事で、その後の戦闘に影響する信頼度と恋愛度が上がる。また、1キャラクターにつき1つ、他愛のないミニゲームが発生し、ゲームをクリアすると他愛なくいつでも遊べる様になる。

 戦闘については、前述した様に経験値の要素がなく、また、ヘックス型を採用している様に見せつつ、「地形効果」などは全くなく、力押しで進める。「ため」コマンドを選択するor敵からダメージを受けると「気合値」が上昇し、最大になれば「必殺攻撃」が使える。信頼度はステージクリアと共に元に戻るが、塵が積もれば恋愛度も少しずつ上がり、最も恋愛度が高いキャラクターとプレイヤーの気合値が最大の状態でユニットを並べると、「合体技」が発動できる。これは中ボスクラスでも瀕死にできるほど強力である。



 アドベンチャーゲーム、恋愛シミュレーションゲーム、ウォーシミュレーションゲームのよいところの上澄みを混ぜ合わせ、テレビアニメ風に仕立てたわけだが、戦闘前後に入るアイキャッチ、1話終わるごとの次回予告が、広井氏とあかほり氏の掌の上で「遊ばされている」感が個人的には強い。このテのゲームはいかにストーリーが面白いかにかかってくる。本作は当初「『はいからさんが通る』(大和和紀著)と『機動警察パトレイバー』(ヘッドギア原案)を足して2で割った」というコンセプトだったが、いやいやいやいや、ベッタベタもベッタベタ、呆れるほど先の展開が分かる超ベタベタ話で苦笑いさえしてしまう。「恋愛」という要素にしても「ちょっと憧れの人」くらいの程度で、選択肢もほとんどの場合、どれを選んでも半強制的に都合よく解釈されて本筋に取り込まれてしまう。



 それでも、本作がセガサターンに与えた影響は大きかった。それまで『バーチャファイター』など、アーケードの対戦型格闘アクションゲームがほぼそのまま家庭でできる事がウリだったが、本作発売後はムービー中心のいわゆる「美少女ゲーム」が幅を利かせ、ライトなプレイステーションに対し、マニアックな機体というレッテルを貼られてしまう。元々、セガサターンは発売当初に性描写などを理由に「X指定」の年齢制限を設け、性表現を前提としたアダルトゲームの販売を許可していた(尚、96年から「X指定」区分ソフトの発売は禁止となった)。その過去もまたレッテルを貼られた一因であろう。

 ハードメーカーが「美少女ゲーム」を大々的に推した事により、サードパーティからは続々と「ムービーシーンがゲーム本編より力の入った」ソフトが粗製乱造され、セガはプレイステーションとの競争に敗れる。セガ・マスターシステムやメガドライブと比較すると、全世界累計販売台数1,000万台を下回ったハードではあるが、それでも、日本市場では長年の競合相手だった任天堂を初めて国内販売台数で上回り、セガとして日本市場で最も売れた家庭用ハードでもある。それだけに、舵取りを誤り、新参のプレイステーションに敗れ、またしてもトップシェアを勝ち取る事は出来ず、セガサターン本来の機能を最大限に活かす前にドリームキャストへとハードを移行させた焦りが悔やまれる。


(C)SEGA ENTERPRISES,LTD.1996 (C)RED 1996

2022/05/31

ときめきメモリアル プライベートコレクション

  

【発売】コナミ
【開発】コナミコンピュータエンタテインメント東京(バーチャルキッス)
【発売日】1996年4月26日
【定価】3,800円
【媒体】プレイステーション用CD-ROM
【ジャンル】データベース
【周辺機器】マウス対応




ファンディスクの意義


【概要】
 95年に発売された『ときめきメモリアル~forever with you~』のファンディスク。プレイヤーは12人の女の子の中からペアを選び、伊集院家が所有する豪華海の家で行われるクイズ大会に参加する。『ときめきメモリアル』に関連する問題は約400問にも上る。他に、計18種類のCGを選ぶとキャラクターがポエムを読み上げる「CGポエム」や、本編で使用された計165枚に及ぶキャラクター達の表情などが収録されている。




【ゲームシステム】
 『ときめきメモリアル』に関するクイズゲーム。メインは約400問の問題が用意されている「ときめきカルトクイズ」。他に、雑誌媒体などに掲載されたイラスト約100点が収録された「ライブラリー」、前述した165枚のキャラクター表情が収録された「キャラクターアルバム」、「CGポエム」の3コーナーで構成された「CGギャラリー」。キャラクターが任意の日の運勢を占ってくれる「ラッキーチェック」。PCエンジン版のオープニングムービーと、「藤崎詩織」が歌う「夏に、まだ少し…」のイメージビジュアルが収録された「ミュージッククリップ」の4メニューで構成されている。マウス対応。


【総評】
 メインとなるのは「ときめきカルトクイズ」。3択で10問正解すれば(お手付きは3回まで)、ペアを組んだ女の子の水着シーンを拝めるというわりと定番なご褒美ですな。問題は全て新録音声で読み上げられる。そのセリフ数は、もしかしたら『ときめきメモリアル』本編よりも多いかもしれない。このあたりの作り込みとこだわりはさすがコナミ(現コナミデジタルエンタテインメント)と言えよう。



 同じく、「キャラクターアルバム」も単なるバストアップ画像の羅列ではなく、5段階の好感度によって変わる表情を選択でき、一言だがセリフも収録されている。一方、「ミュージッククリップ」や「CGポエム」は1回見ればいいやっつー程度で、「ラッキーチェック」に至ってはゲーム性も何もない。また、コストの関係だろうが、各モードの背景がほぼ実写素材で作られており、安っぽいのが残念。



 媒体がカートリッジからCD-ROMに変わって以降、家庭用ゲーム機でもファンディスクがちらほらと発売されたが、その出来にはバラつきがあった。ゲーム本編の専門用語や世界観などを補完するプレイステーション用ソフト『ポリスノーツ プライベートコレクション』や、完全データを収録して書籍媒体として発売した『季節を抱きしめて』(ソニー・コンピュータエンタテインメント)の様に、いずれもゲーム本編をより一層楽しむためのファンディスクもあれば、イメージソングに数枚のグラフィックが収録されただけでキャラクターごとに11種も発売されたセガサターン用ソフト『バーチャファイターCGポートレートシリーズ』(セガ・エンタープライゼス)などの箸にも棒にもかからない物も存在した。

 「ファンディスク」とは元々「Fan/Fun Disc」という和製英語であり、その名の通り、ファン (Fan) に向けたお楽しみ (Fun) 要素に重点を置く商品だ。そのため、言う間でもなく、ファンディスクの購買層は、本編のゲームをプレイし、更に情報を欲するコアユーザーが対象となる。その点、本作は本編のクイズゲームとしてよくできており、新録されたセリフで問題や答えを読み上げるキャラクター達の新たな一面を見る事もできる。わざと全問不正解にしてボロカスに言われるのもまた一興であろー(←ホントかなぁ)。定番だが「CGギャラリー」もファンには外せないメニューだし、『ときめきメモリアル』のファンディスクとしては及第点以上だと思う。ラッキーチェックはマジでいらないけど。

 

 販売本数もファンディスクとしては比較的多いと予想。プレイステーション版『ときめきメモリアル』は、販売本数50万本以上の作品に贈られる「PlayStation Awards ゴールドプライズ賞」を受賞しているため(推定販売本数は約55万本)、それを考えるとファンディスクとしては多めの販売本数ではなかろーか。今でもわりとワゴンセールなんかで見るし、入手するのは簡単だと今年の年越しは如月さんと過ごしていた僕は思うのでした。



Model
『ときめきメモリアルフィギュアコレクション 紐緒結奈<HAKUI>』

【発売】海洋堂
【発売日】1996年11月14日
【定価】4,800円
【原型】香川雅彦

 1/8スケールのレジンキャストキット。全9パーツ。凛々しい白衣とスラリと伸びるおみ足がナイスな紐緒さんのガレージキットだ。ロボットは作った事あるけど、フィギュアはまだないため、完成するのは数年先かもしんない…。ピンズ付き。

【2023.3.20.追記】
 紐緒さん、完成しました!初めてのフィギュアだったため、5ヶ月もかかってしまった…。製作手順の詳細はご興味ありましたらこちらからどうぞ。


  



Figure
『ときめきキーホルダー 紐緒結奈』










【発売】海洋堂
【発売日】1996年
【備考】プライズマシン専用景品
【原型】ボーメ



 紐緒さんのキーチェンフィギュア。『ときめきメモリアル』は、上記のフィギュアだけでなく、8cmCDや文具、テレフォンカードやうちわなどなど、関連グッズもプライズ景品を中心に大量に発売され、総売り上げは100億円以上となり、グッズの売り上げがゲームの売り上げを抜く逆転現象を最初に起こした作品となった。一部ではこれを「ときめき商法」と呼んでいる。ただし、あまりに当時大量に発売されたため、今現在これらのグッズをオークションなどで集めようとすると、比較的安価で大量に買える模様。いやー、清川さんと虹野さんくらいは揃えたいんだけどなー。何気に海洋堂製である。


(C)1996 KONAMI ALL RIGHTS RESERVED.

2022/02/09

Jリーグ ビクトリーゴール'96

【発売】セガ・エンタープライゼス
【開発】セガ・エンタープライゼス(チームアクイラ)
【発売日】1996年3月29日
【定価】5,800円
【媒体】セガサターン用CD-ROM
【ジャンル】スポーツ
【周辺機器】マルチターミナル6対応
【レーティング】全年齢




個人的サッカーゲームの最高峰


【概要】
 前作『Jリーグ ビクトリーゴール』の続編。ブラッシュアップされたゲーム性、メニュー画面に至るまで美しくなったグラフィック、音質の高まったサウンドなど、前作から大幅にバージョンアップされた。また、試合中のサウンドは3曲のBGMの他、往年のサッカーファンなら誰しもがその名実況を耳にした事がある『三菱ダイヤモンド・サッカー』でお馴染みの金子勝彦氏の実況と、「ミスター・マリノス」こと木村和司氏の解説により、テレビでのサッカー中継さながらの「実況モード」も搭載している。本作では、95年度のJリーグのデータを基にした全16クラブで戦う。


【ゲームシステム】
 前作同様、トップビュー、サイドビュー、クォータービューへの切り替え式サッカーゲーム。大きな変更点としては、フォーメーションや戦術が細かくなり、フィールドプレーヤーはそれに合わせてセミオートで動く様になった。また、選手個々に「絶好調」から「絶不調」まで5段階のバイオリズムが設定され、これにより控え選手の出場が意味あるものとなった。絶不調のスターティングメンバーを取るか、絶好調の控えメンバーを出場させるか、もしくはどのタイミングで途中交代させるか。

 ゲームモードは「エキシビジョン」、ホーム&アウェイによる2回戦総当たりの「リーグ戦」、1回戦総当たりの「Sリーグ」、3種類の「カップ戦」、全16クラブの中から自由に選手を選択できる「スーパースターゲーム」、「PK戦」、難易度やハーフタイムの時間、BGMなどを選択できる「オプション」。また、本作ではスタジアムも3種類から選択可能になった。でも、前作にあった「選手プロフィール」がなくなったのは残念ポイント。使用できる全16クラブは以下の通り。

・鹿島アントラーズ
・ジェフユナイテッド市原(現ジェフユナイテッド市原・千葉)
・柏レイソル
・浦和レッドダイヤモンズ
・ヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)
・横浜マリノス(現横浜F・マリノス)
・横浜フリューゲルス
・ベルマーレ平塚(現湘南ベルマーレ)
・清水エスパルス
・ジュビロ磐田
・名古屋グランパスエイト(現名古屋グランパス)
・京都パープルサンガ(現京都サンガF.C.)
・ガンバ大阪
・セレッソ大阪
・サンフレッチェ広島
・アビスパ福岡


【総評】
 前作からの正当な、そして、大幅なバージョンアップを遂げた今作。賢いセミオートによるストレスのない操作性は、対人戦ではなかなか点が入り難く、実際のサッカーと同じく「1点の重み」が感じられ、キックオフからタイムアップまでほどよい緊張感を与えてくれる。

 大幅に強化されたグラフィックは、例えば、芝の目が細かくなり、ズームアップされても粗が出ない。外国人選手や一部の日本人は描き分けされており、雨天時やナイトゲームでも試合中に一目で判断できる。また、細かい部分だが、ゲーム内のフォントはフォントワークスの文字を使用しており、非常に見やすくカッチョいい。余談だが、次世代機になって以降、こだわりを持って作られたゲームにはフォントワークスの書体が使われている事が多い気がする。



 サウンド面も光る。前作から音質が格段に向上し、瀬上純氏のギターを中心としたBGMの3曲は全てハード系フュージョンとして聴き応えのあるものになっている。また、金子&木村コンビの実況解説は、金子氏のサッカー愛溢れる言葉選びに、時折広島弁が出る木村氏というメリハリのある放送席だ。

 オープニングムービーにも触れておきたい。セガが誇る「日本一歌のうまいサラリーマン」こと光吉猛修氏のヴォーカルによる高揚感あるオープニングは、今見ても熱い。選手のグラフィックこそ今の目からすればまるで人形だが、それを感じさせないカメラワークと演出、サウンドのマッチングが大切だという事が、実写並みのムービーシーンが溢れる今こそ感じる。

 

 このゲームも学生時代、友人達と6,000試合は対戦しているが、今プレイしてもひっじょーに面白く、現在までに発売されている数多のサッカーゲームの中でも、ゲーム性、グラフィック、サウンドと、個人的には今でも最高峰のサッカーゲームなのだった。このゲームが欲しくてセガサターン買ったもんなー。続編の『Jリーグ ビクトリーゴール'97』以降は、本作とは逆にバカスカ点が入りまくるゲームになってしまったため(これは個人の好みにもよると思うが)、『'97』発売以降もずっとこの『'96』で遊んでいるのだった。


【2023.8.20.追記】
 本作の実況アナウンサーを担当された金子勝彦氏が8月20日、肺炎のため死去されました。謹んで哀悼の意を表します。




Music
『VICTORY GOAL'96 サウンドトラック Get the goal to win !』





【作曲】瀬上純、前田龍之
【編曲】瀬上純
【歌】光吉猛修
【演奏】S.S.T.BAND
【発売】日本クラウン
【発売日】1996年4月3日
【定価】2,300円
【収録時間】約66分


 本作のオリジナルサウンドトラック。ゲームでは1番しか聴く事ができない光吉猛修氏が歌うオープニングテーマ「未来へと続く空」&エンディングテーマ「幾千の夜を越えて」のフルバージョン(もちろんシャウト入り)をはじめ、前作『Jリーグ ビクトリーゴール』と『セガインターナショナルビクトリーゴール』のBGMも収録されている。
 

【収録曲】
01.VICTORY GOAL'96:opening theme:未来へと続く空
02.VICTORY GOAL Medley
03.Chase The Wind
04.Victory Goal
05.Your Own Destiny
06.Caribbean Breeze
07.SEGA INTERNATIONAL VICTORY GOAL Medley
08.Through The Fild
09.Get A Chance !
10.Dancin' Dancin'
11.Matches Are Over…
12.Breezy Skies '96
13.Burn It Down !
14.Theme of S-League '96
15.VICTORY GOAL'96:ending theme:幾千の夜を越えて
16.Way Back Home
17.未来へと続く空:Karaoke
18.幾千の夜を越えて:Karaoke


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