2015/05/21

スペースインベーダー~The Original Game~



【発売】タイトー
【開発】タイトー
【発売日】1994年3月25日
【定価】4,980円
【媒体】スーパーファミコン用カートリッジ
【容量】2M
【ジャンル】シューティング




全てはここから始まった


【ストーリー】 
 1978年、日本中をとりこにした『スペースインベーダー』が遂に復活!再び襲い来るインベーダー群団から地球を守れ!人類の未来は君の双肩にかかっている!








【概要】
 タイトー(現スクウェア・エニックス)創立40周年記念&『スペースインベーダー』誕生15周年記念作。78年にアーケードで発売され、爆発的な人気で社会現象となった『スペースインベーダー』を完全移植。併せて、家庭用ゲーム機としては初の新作「対戦モード」も収録。本作は94年にスーパーファミコンで発売後、同年夏に『スペースインベーダーDX』としてアーケードへ逆移植された。


【ゲームシステム】
 自機の「ビーム砲」を左右に動かし、Aボタン(B、X、Yも共通)でビーム砲を発射。画面上方から迫って来る縦5列×横11列の計55機の「インベーダー」を撃ち落せばステージクリアとなる。ビーム砲を全て失うか、インベーダーに最下段まで迫られ「占領」されるとゲームオーバー。全9ステージ。78年当時のバリエーションであるテーブル筐体版のモノクロ、セロハン、カラーの3種とアップライト筐体の計4種から選べる。オススメは当時の雰囲気が味わえるモノクロとカラー。もちろん、「ナゴヤ撃ち」や「レインボー」といったバグによる裏技もきっちり再現している。

 新作の「対戦モード」は、『ぷよぷよ』(コンパイル)などのいわゆる落ち物パズルゲーム風で、自分の画面のインベーダー群を1列撃ち落すと、相手の画面にそのインベーダー群を投下する事ができる。多聞に『コズモギャング・ザ・パズル』(ナムコ)を意識したと思われるが、カラーのインベーダーを撃つとその色によって様々な効果があったり、「UFO」を撃つと1プレイヤーと2プレイヤーのインベーダー群が入れ替わるなど、なかなか熱い。ただし、対コンピュータ戦ができないため、ぼっちの僕には遊べないのが難点。がーん!


【総評】
 それまで主にエレメカが中心だったゲームセンターに突如現れた『スペースインベーダー』は、迫り来るエイリアンの集団に対して、その侵入を阻止しようと孤軍奮戦するプレイヤーの緊張感ある攻防戦を見事に表現し、一躍「次世代の娯楽」として国民に受け入れられた。ゲームセンターは軒並み「インベーダーハウス」と名を変え、飲食店のテーブルはことごとく筐体に置き換えられ、日本中の100円玉が不足した(日本銀行は1ヶ月で66億円分の100円玉を急遽投入したという)。72年に太東貿易(現タイトー)とセガ・エンタープライゼス(現セガ・インタラクティブ)の2社から始まった日本のビデオゲーム業界は瞬く間に膨れ上がり、80社に上るメーカーが模倣品やコピー品を乱造した。

 ブームが過ぎ去ると、多くのメーカーが倒産し、ゲームセンターは不良の温床とされた。84年の風適法改正でゲームセンターが規制の対象となり、以降ビデオゲームは長きに渡って偏見の目で見られる事になる。やがて生き残ったメーカーは「脱インベーダー」を図って模造品で溢れる市場の健全化を目指し、各々が独自色を打ち出したゲームを輩出。ブームをきっかけに家庭でもビデオゲームを楽しみたいという需要が増え、パソコン(当時はマイコンですな)やLSIゲーム、ひいては家庭用ゲーム機の登場へと繋がる。今日のビデオゲームを取り巻く環境によくも悪くも多大な影響を与えた歴史的なゲーム、それが『スペースインベーダー』なのだ。

 だが、こと家庭用ゲーム機への移植となると振るわなかった。タイトーは85年にファミコン参入第1弾ソフトとして『スペースインベーダー』を移植するも、絶賛大ヒット真っ最中の『ゼビウス』をはじめアーケードの移植を次々とリリースして第一次黄金期を築いていたナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)、グラフィックの大幅リメイクでミリオンセラーとなった『ロードランナー』の勢いが止まらないハドソン(現コナミデジタルエンタテインメント)の双璧を崩せぬばかりか、新参のジャレコにサードパーティの3番手を奪われた。かつての『インベーダー』がそうであった様に、ファミコンユーザーは新しく刺激的なゲームに目を輝かせていた時期だ。実際、ブームを体験していない当時の僕にとって『インベーダー』は「見劣りする昔のゲーム」でしかなかった。いかに社会現象にまでなったと言っても7年も前のゲームをそのまま移植したタイトーの判断は完全に誤りだったと言えるだろう。

 ファミコン市場でのスタートに失敗したタイトーは、今でこそネタにされている『たけしの挑戦状』でユーザーの信頼を完全に失う結果を招き、とうとう最後までファミコンでその実力を発揮する事はできなかった。誤解してほしくないのは、「タイトーはダメ」というわけではない。アーケードでは86年に『ダライアス』、87年に『究極タイガー』(開発は東亜プラン)、89年に『ナイトストライカー』、少し空いて94年には『レイフォース』とシューティングゲームだけ見ても『スペースインベーダー』以降も続々と傑作を世に送り出している。ことファミコン用ソフトに関しては最初の『インベーダー』による躓きを払拭できぬまま、質も量も当時のナムコやハドソンと肩を並べられなかったという事だ(※個人の感想です)。

 そして、スーパーファミコンで発売された本作もまた、ファミコン版と同じミスディレクションを犯してしまう。94年と言えば、ファミコン用ソフトが発売された最後の年であり、アーケードの対戦格闘ゲームや落ち物パズルゲームの移植作が続々と発売。更には前年に始まったJリーグのブームによってサッカーゲームも急増。対戦ゲームの需要が増す中で、各メーカーがスーパーファミコン用ソフトの開発にようやく手慣れた頃でもあり、新機軸が盛り込まれた意欲作と駄作が山の様に発売されていた。事実、94年発売のスーパーファミコン用ソフトは最多の370タイトルに上る。年末には次世代機のセガサターンとプレイステーションも発売された。今でこそ当ブログみたいにレトロゲームを愛する懐古趣味ファンも多くなったけど、当時は過去を振り返るほどビデオゲームの歴史はまだそう長くなかったし、イケイケ状態だったのだ。そんな中で「『スペースインベーダー』15周年記念」と言われても、琴線に触れるユーザーはそう多くなかったんじゃないだろうか(※個人の感想ですよ?)。追い討ちをかけたのが、雑誌のレビューだ。最新ソフトと同じ土俵に上げられて評価されたため、相対的に低評価となったのは不運と言えよう。同年に『リブルラブル』(ナムコ)、翌95年には『ムーンクレスタ』や『クレイジー・クライマー』などを収録した『ニチブツアーケードクラシックス』(日本物産)が本作と同じコンセプトで発売されたが、これらが再評価されたのは数年先の事である。

 13年に35周年を迎えてやっと再評価される時代になったわけだけど、内容的にはやっぱりちょっと寂しいよねというのが素直なところ。メディアがカートリッジなので『ナムコミュージアム』(ナムコ)の様に資料まで収録できない事を差し引いても、タイトル画面やメニュー画面などの見せ方には気を遣ってほしかった。『インベーダー』はことある度にいろんなプラットフォームで発売されまくっているので、今の時代だからこそ手許に1本は置いておいてもいいんじゃないかという気にやっとなったが(※個人の感想ですってば)、その中でも開発者の西角友宏氏(現ドリームス会長)が「一番気に入っている」と言う本作ならば間違いはない。


【2015.8.27.追記】
 コンピュータエンターテインメント協会(CESA)が主催する日本最大の開発者向けカンファレンス「コンピュータエンターテインメントデベロッパーズカンファレンス2015(CEDEC 2015)」にて、同分野の開発全般に貢献したとして、西角友宏氏が「CEDEC AWARDS 特別賞」を受賞されました。



(C)TAITO CORP.1994

2015/05/20

ロードランナー

【発売】ハドソン
【開発】ハドソン
【発売日】1984年7月31日(再販版:1991年10月4日)
【定価】4,500円
【媒体】ファミコン用カートリッジ
【ジャンル】パズル
【周辺機器】ファミリーベーシック専用データレコーダ対応




昔も今も買わなきゃハドソン!


【ストーリー】 
 地下の金鉱には金塊がいっぱい。でも、恐いロボットが見張っているし、落とし穴もあります。ランナーは金塊を持って無事に脱出できるかな…。


【概要】
 オリジナル版はアメリカのブローダーバンド社が83年にApple IIで発売したアクションパズルゲーム。84年にファミコン初のサードパーティとして参入したハドソン(現コナミデジタルエンタテインメント)がアレンジして移植した。固定画面のオリジナル版よりもキャラクターが大きいため、スクロールさせないと全体マップを見る事ができず、結果的に本作はファミコン初の横スクロールゲームとなった。また、プレイヤーがオリジナルステージを作成できるエディットモードも話題になるなど、約110万本を売り上げた。作ったステージは別売りのファミリーベーシック専用データレコーダ(任天堂)に記録できる。


【ゲームシステム】
 サイドビュー形式のアクションゲーム。左右に穴を掘る「ランナー」を操り、ステージ内にある金塊を全て集めるのが目的。ランナーの移動は上下左右で、ジャンプはできない。また、穴は真下には掘れず、掘った穴もしばらくすると元通りに埋まってしまう。例えば、地面を掘って3段下に降りたい場合は、1段目に3ブロック分以上の穴を開けてスペースを確保しつつ、穴が埋まらないうちに2段目に降りて今度は2ブロック分以上の穴を開けるっつー具合だ。ステージ数が多く、トライアンドエラーを繰り返すゲームなだけに、ステージセレクト機能が付いているのが嬉しいポイント。全50ステージ。


【総評】
 本作の魅力は、そのとっつきやすさと奥深さだ。ゲームを構成するオブジェクトとプレイヤーのアクションはシンプルで、説明書を見なくても気軽に遊ぶ事ができる。一方で、瞬時のヒラメキとアクションが必要とされるため、気が付くといつの間にか熱中しているのだ。僕は「面白さ」ってのは時代背景なんかの外的要因に左右されやすく、特にハードウェアのスペックに寄るところが大きいビデオゲームはそれが顕著だと思ってるんだけど、こういう『ロードランナー』みたいなゲームはそれに当てはまらないですな。昔も面白いけど今も面白い万人にオススメできる買わなきゃハドソンなゲームと言えましょー。


 本作はハドソンの代表作『ボンバーマン』とも関連性があり、敵の「ロボット」が自分達の製造している爆弾を武器に地下迷宮を脱出し、人間のランナーとして再び地下へ入って行くという設定なので、ロボットと「ボンバーマン」のグラフィックは同じなのだ。

 91年にはハドソン創立20周年記念として、ファミコン用ソフトとしては珍しく再販もされた。この時のイメージキャラクターにはダウンタウンが起用され、しばらくハドソンのCMや広告(主にPCエンジン関連)に出ていたが、せっかくダウンタウン使ってるのにちっともお笑い要素がなくてもったいなかったなぁ。近年では例によってWiiとWii Uでダウンロード販売もされている。また、85年には箱に「警告!ロードランナー未経験者お断り!」と書かれた上級者向けの『チャンピオンシップロードランナー』が発売され、本作と共に05年発売のゲームボーイアドバンス用ソフト『ハドソンベストコレクションVol.2 ロードランナーコレクション』に収録されている。



HUDSON SOFT (C)1984 PUBLISHED BY HUDSON SOFT CO.,LTD. UNDER LICENCE FROM BRODERBUND SOFTWARE,INC.

2015/05/16

ドンキーコング

【発売】任天堂
【開発】任天堂、インテリジェントシステムズ
【発売日】1983年7月15日
【定価】3,800円(後期版:4,500円)
【媒体】ファミコン用カートリッジ
【容量】192Kbit
【ジャンル】アクション



ふたつの事情から生まれたマリオのデビュー作


【ストーリー】 
 ドンキーコングがレディをさらって建築中のビルに逃げ込みました。レディを助けるためにマリオもビルの中に入りましたが、ドンキーコングの妨害にあって、なかなかレディに近付けません。さあ、マリオはレディを助ける事ができるでしょうか…。


【概要】
 ファミコン本体との同時発売ソフト。オリジナル版は81年に任天堂と池上通信機が共同で開発したアーケード版で、任天堂レジャーシステムより発売された。82年には初の十字ボタン対応ゲームとしてゲーム&ウォッチへ移植。そして、83年7月15日にファミコンの記念すべき対応ソフト第1弾として移植されたのが本作である。また、今や世界的キャラクターとなった「マリオ」のデビュー作でもある。アーケード版ではまだ名無しだったが(企画書段階では「Mr.Videogame」)、ファミコン版の本作ではしっかりと名前が明記されている。


【ゲームシステム】
 サイドビュー固定画面のアクションゲーム。マリオを操り、「ドンキーコング」にさらわれた「レディ」を助けるのが目的。アーケード版より1面少ない全3面。1面は転がってくるタルをかわしながら、2面ではリフトによる上下移動しつつ「おじゃま虫」やぴょんぴょん跳ねる「ジャッキ」をかわして、共に最上階のレディに辿り着けばクリア。3面はおじゃま虫を避けつつ8ヶ所にある黄色いボルトを全て抜けばクリアとなる。2面のジャッキをいかにかわすかが一番の難所かも。3面以降はループとなり、徐々に難易度が上がる。



【総評】
 僕はこのファミコン版よりも先に発売されたゲーム&ウォッチ版の方がピンと来るのだった。当時同じマンションに住んでいた同級生が持ってて、僕の持ってたLCDゲーム『クロスハイウェイ』(バンダイ)とよく交換して遊んでいたのだ。ていうか、ずっと『ハイウェイ』かと思ってたけど、正式タイトルは『クロスハイウェイ』って事を今知りました。81年発売だから、おそらく僕が初めて買ってもらった「ゲーム」がそれだ。電卓サイズの薄さに黒とシルバーのカラーリングがオトナっぽくってカッチョよかったなーっていうか、『ドンキー』の話をせれ>自分。

 今改めて遊んでみると、1面のグラフィックなんて結構オシャレですな。ピンクの鉄骨がキャッチーでイカす。あと、マリオが走る度に「キュコキュコキュコキュコ」って効果音が鳴るのもかわいい。

 オリジナル版は当初『ポパイ』のキャラクターを使用予定だったが、版権の都合で急遽プロデューサーの宮本茂氏が描いたキャラクターに置き換えられた。もうひとつ言えば、元々は80年にアーケードで発売した『レーダースコープ』(任天堂レジャーシステム)という『スペースインベーダー』(タイトー)風のゲームが大失敗に終わり、大量の在庫となった基盤の再活用のために本作が生み出されたのだ。もしも『レーダースコープ』がフツーに売れていたら、もしも『ポパイ』の使用許諾が下りていたら、ドンキーコングはおろかマリオも生まれなかったのかもしれない。「マリオ」という名前の初出は82年発売のアーケード版『ドンキーコングJR.』で、命名はニンテンドー・オブ・アメリカ社(NOA)の社員。これはNOAの倉庫の守衛だかなんだかのイタリア系アメリカ人マリオ・セガール氏(冗談みたいな名前だ)の外観から取ったというのは有名な話。

 本作はアメリカやヨーロッパでも発売され、全世界で88万本を売り上げたが、任天堂の初期を代表するゲームとしてそのネームバリューを考えると、意外と少ない様にも思う。とは言え、ファミコン黎明期を牽引したソフトの1つである事は間違いない。88年にはファミコン用ディスクカード、04年にはゲームボーイアドバンスに移植された他、Wii、Wii U、ニンテンドー3DSでもダウンロード販売されている。シンプルだけど単純に面白いので、サクっとダウンロードして手持ちのハードに入れておき、サクっと遊んで和むと吉。


【2017.5.5.追記】
 アメリカのストロング国立演劇博物館が選定する「世界ビデオゲーム栄誉の殿堂入り」に、本作のオリジナル版が選出されました。

【2018.11.3.追記】
 本作のマリオのモデルとなったマリオ・セガール氏が10月27日、死去されました。謹んで哀悼の意を表します。



(C)1981 Nintendo

2015/05/09

ナムコミュージアムVOL.2



【発売】ナムコ
【開発】トーセ
【発売日】1996年2月9日(PlayStation the Best版:1999年10月28日)
【定価】5,800円(限定ボックス版:6,800円)(PlayStation the Best版:オープン価格)
【媒体】プレイステーション用CD-ROM
【ジャンル】オムニバス
【周辺機器】ボリュームコントローラ対応
【受賞】1996年:CESA大賞'96ゲームジャンル別賞バラエティ賞



昔のナムコが好きだ!その2


【ストーリー】
 本日はナムコミュージアムへお越しいただきまして、誠にありがとうございます。当ミュージムは、歴史に残る数々の名作を当時そのままの形で体験する事ができるエンターテインメントミュージアムです。もちろん展示資料なども充実させ、ゲームだけでなく、当社の歩みについてもより深くご理解いただけるよう配慮致しております。さて、第2弾ではあの大ヒット作『ゼビウス』をはじめ、『マッピー』、『ドラゴンバスター』など、幅広い人気の作品を集めました。また、70年代の隠れた名作『キューティQ』も合わせて初公開。オールドファンにもご満足いただけるものと自負しております。

 尚、館内は全て禁煙。フラッシュによる撮影はご遠慮いただいております。また、指定された展示物以外には、決してお手を触れませんようご協力をお願い致します。それでは、ナムコミュージアムをごゆっくりお楽しみ下さい。


【収録作品】
01.ボムビー(79年8月)
02.キューティQ(79年11月)
03.ゼビウス(83年2月)
04.マッピー(83年5月)
05.ギャプラス(84年4月)
06.グロブダー(84年12月)
07.ドラゴンバスター(85年1月)





【概要】
 ナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)が宇宙一輝いていた頃に発売されたアーケードゲームの数々を完全移植で複数収録したオムニバスソフト。ゲームのみならず、多くの関連資料や同社の会社資料までも収録したプレイステーション用ソフトとして、全6本が順次発売された。本作はその第2弾。『ボムビー』、『キューティQ』、『ギャプラス』、『グロブダー』は家庭用ゲーム機では初の移植である。『ボムビー』と『キューティQ』は別売りの専用パドルコントローラ「ボリュームコントローラ」に対応しており、同梱された限定ボックス版も発売された。今回も買え。


【ゲームシステム】
 ミュージアム内の構成は前作『ナムコミュージアムVOL.1』と全く同じなので、そちらの記事を参照あれ。異なる部分はタイトル画面のミュージアム外観と、外の景色が青空の日中から夕暮れ時になった事、ローディング画面に表示されるキャラクターが前作の「パックマン」から「マッピー」に変わったくらいだ。『ボムビー』は『キューティQ』の隠しゲームとして収録されており、出し方は「ゲームルーム」に続く展示通路内の資料に記載してある様に、『キューティQ』を起動し、テスト画面になったら、○ボタン7回、□ボタン6回、×ボタン5回を押す。


【総評】
 前作は比較的初期のラインナップだったが、今回はファミコンでもヒットした『ゼビウス』、『マッピー』、『ドラゴンバスター』を収録してあるので、これだけでもお値段以上のコストパフォーマンスだ。さすがにヒット作だけあってこの3作は展示資料も豊富で、デザイン画やイメージボードなども収録。また、グッズ類も缶バッジや文房具、キーホルダーなど、前作以上にバラエティに富んでいる。加えてナムコ製ビデオゲーム第2弾の『ボムビー』と第3弾『キューティQ』の収録は、ナムコファンのみならずビデオゲームの歴史的資料としても意義があり、これで買わぬのなら貴様は一体何を買うのくわっ!つーわけで、20回記念にこの『ナムコミュージアムVOL.2』収録ソフトも個別解禁します。

 前作ではちょこちょことオリジナル版との差異があったけど、今回はどれも「完全移植」と言っていい移植度の高さだ。ただし、『ゼビウス』のみプレイステーション2でプレイするとゲーム中のスピードがやや遅くなるという不具合がある。これはソフトの互換性によるもので、本作以外にも約40本ほどのソフトに何らかの症状が見られるようなので、詳しくはソニー・コンピュータエンタテインメントのサイトを参照。あと、パッケージでの表記が『キューティーQ』となっているが、正しくは『キューティQ』で長音符は付かないヨ!



Produced by NAMCO LTD. (C)1995 NAMCO LTD.,ALL RIGHTS RESERVED

2015/05/05

レミングス



【発売】サンソフト
【開発】サンソフト
【発売日】1991年12月18日
【定価】8,500円
【媒体】スーパーファミコン用カートリッジ
【容量】8M
【ジャンル】パズル




英国産傑作アクションパズル


【ストーリー】 
 「レミング」とは、北半球の北欧あたりに住んでいる体長15cmほどの小さなネズミの種類です。数年ごとに異常発生し、海に飛び込んで集団自殺するという、なんとも不思議な動物です。

 伝説の小動物レミングは、自分で危険を判断する事ができません。トラップ(罠)があろうと、崖や海があろうと、ただひたすら前進する事しか知りません。そんな彼らに道具や能力を与え、できるだけ多くのレミングを出口まで導いてあげて下さい。



【概要】
 オリジナル版は91年にイギリスのDMAデザイン社(現ロックスター・ノース社)が開発し、同じくイギリスのシグノシス社がAmiga用に発売したアクションパズルゲーム。北極近辺に生息するレミング(タビネズミ)は、3~4年周期で個体数が急激に増減するなど、現在でもその生態は分かっていない部分が多く、「集団で海に飛び込む」という伝説が長い間信じられていた動物だ。近年になって、この「集団自殺」は移住する際に一部の集団が誤って海や崖に落ちてしまう「事故」である事が判明した。本作はこの「伝説としての習性」をモチーフにしている。日本版の移植はサンソフトが行った。


【ゲームシステム】
 天蓋から「イヤッフッー!」と威勢よくわらわら現れてわらわら前進するだけのレミング達に指示を出し、規定数を出口へ誘導する事が目的。レミングの出現数(最多で100匹)や規定数、指示できるコマンドとその回数、残り時間などの条件はステージごとに異なる。わらわら降って来たレミング達は右方向へ進み、障害物に当たると向きを変えるだけで、基本的に歩くのみ。ホケーっとしていると、やけにリアルな悲鳴や効果音と共に、海や火、ネズミ捕りのトラップ、高所からの落下でわらわら死んでしまう。そこで、垂直に壁を登る「クライマー」や階段を作る「ビルダー」など8種類のコマンドを駆使して出口へ導いてやるのだ。

 
 前述した様に、このゲームはステージごとに登場するレミングの数と規定数が表示される。例えば、出現するレミングが100匹で、規定数が20%のステージだと、少なくとも20匹以上のレミング達を出口に導く必要がある。言い換えれば、残り80匹のレミング達は犠牲になっても構わないわけだ。右の写真では、右方向にしか進まないレミング達の転落死を防ぐために、5匹のレミングに行き止まりの「ブロッカー」を指示し、下の出口へと誘導している最中。ブロッカーは一度指示すると解除できないので、ブロッカー以外のレミング達が全て出口に辿り着いた後、5匹のレミングは自爆コマンド「ボンバー」で殺すしかクリア方法はないのだ。

 他にも、自爆するとその爆風でステージ内のオブジェクトが壊れる事を利用して(鉄製など一部のオブジェは破壊不可)、穴を掘るコマンドがない場合はこのボンバーでオブジェクトに穴を開けて進路を確保する場面もある。この「自己犠牲」をたっぷりのブラックユーモアで包んだ作風こそが『レミングス』の特徴なのだ。日本のゲームじゃまず無理っつーか発想自体が思いつかない感じ。


【総評】
 僅か10ドット足らずの身長に細かいアニメーションとサンプリングボイスで人間臭さを醸し出しているレミング達。指示を間違ったり、規定数以下しか生き残らなかったりと、決定的なミスをしてステージクリアが不可能になった場合、コマンド欄右端の赤い「核兵器」を押すと、ボンバー同様レミング達の頭に数字が表れてカウントダウン後、画面内の全てのレミングが自爆するといったコマンドも用意されている。この自爆はレミング達が画面一杯粉々に散っていくので、こういうのが倫理的にダメな人は向いていないかもしれない。ここらへんは海外産ゲーム特有のイカれた発想と力の入れ具合ですな。

 そうそう、何気にBGMもイカれててイカす曲が多いのだ。基本的にはクラシック音楽のアレンジが多いが(ゲームオリジナル曲ももちろんある)、著作権が切れてて使用料がかからないからなんつーありがちな使い方じゃなく、そのアレンジがナイス。結婚行進曲と葬送行進曲をひとつにまとめるなんてなかなかイカれてるぜ。それでいて曲としての出来はいいんだからどうかしている。

 本作は「Fun(たわむれ)」、「Tricky(巧妙)」、「Taxing(つらい)」、「Mayhem(大混乱)」という4段階の難易度に分かれており、各30ステージずつの120ステージ+スーパーファミコン版の追加「SUNSOFT」5ステージの全125ステージで構成されている。文字通り初心者から上級者まで楽しめるが、「Fun」以外はかなり柔軟な発想が必要となり、相当やり応えアリ。僕は発売から半年後に同級生から2,000円で譲ってもらって今でもちまちま遊んでるのに、未だオールクリアならず…。全体に漂うブラックユーモアのセンスさえ嫌いでなければ、90年代を代表するイギリス産ゲームの名作だけあって、一生モノですぜ。




Series
Lemmings 2 The Tribes






【発売】シグノシス社
【開発】DMAデザイン社
【発売日】1994年8月16日
【媒体】セガジェネシス用カートリッジ
【容量】16M
【ジャンル】パズル



 続編『レミングス2 ザ・トライブス』はスーパーファミコン版がサンソフトより発売されているが、これは海外版メガドライブであるジェネシスの専用カートリッジだ。難易度はかなり高いらしく、発売と開発はオリジナル版と同じ。尚、シグノシス社は01年にソニー・コンピュータエンタテインメントの子会社であるSCEワールドワイド・スタジオの傘下に入り、スタジオリバプールとして存続していたが、12年に解体された模様。

 なんでこんなもんがあるかってーと、去年だったか中古屋で偶然発見したのだ。ゲームは遊んでナンボと思ってるのであまりコレクション目的でソフトを買う事はないんだけど、こいつはどういう経緯で海の向こうからやって来たのかは分からんが、そのボロボロになった姿を見てかわいそうになり、保護した次第。100円だったしね!メガドライブとジェネシスは外観は同じでもDVDなどと同じくリージョンコードが設定されているため、本体の基盤を改造するか海外製のアダプターを使わないと動かすことができないが、今後100円で偶然ジェネシスのソフトを手に入れる機会なんてないだろうから、唯一完全にコレクション目的で購入。持ち帰った後、端子と外装を無水エタノールと除菌用アルコールティッシュでクリーニングし、今は我が家のメガドラ用ソフト置き場で余生を過ごしている。



Published under license from PSYGNOSIS LIMITED (C)1991 PSYGNOSIS LIMITED.All rights reserved.
"PSYGNOSIS" and "LEMMINGS" are trademarks of PSYGNOSIS LIMITED and are used with permission.
Licensed in conjunction with JPI.
(C)1991 SUNSOFT ALL RIGHTS RESERVED.

2015/05/01

西村京太郎ミステリー スーパーエクスプレス殺人事件

【発売】アイレム
【開発】タムテックス
【発売日】1990年3月2日
【定価】6,500円
【媒体】ファミコン用カートリッジ
【容量】2M
【ジャンル】アドベンチャー




亀井刑事ふたたび


【ストーリー】
 23時49分新大阪駅着の「ひかり323号」ツイン個室内で女性の絞殺死体が発見された。被害者は東京のファッションメーカー「シラノ」の女社長「野上君子」。たまたま大阪府警に居合わせた警視庁捜査一課の亀井刑事は現場へ急行、捜査を進める事になった。
 乗務員、食堂車のウエイトレスなどからの事情聴取の結果、野上君子が殺されたのは、名古屋から新大阪までの間。容疑者を同乗の夫「野上豊」と断定した。ところが翌日、野上豊が大阪府警に出頭、犯行を否定した。アリバイも成立する。そして、野上君子周辺の捜査が進むうち、大手の男性ファッションメーカー「ナイト」が「シラノ」を吸収しようと考えている事が分かってきた。君子を殺す動機のある者は…亀井刑事の脳裡に嫌な予感が走った。
 これより捜査は核心に入る。


【概要】
 原作にミステリー作家の西村京太郎氏を起用したアイレム(現アイレムソフトウェアエンジニアリング)の『十津川警部シリーズ』第2弾。前作の『西村京太郎ミステリー ブルートレイン殺人事件』では「十津川省三」、「亀井定雄」、「西本明」の3刑事をザッピングしながら捜査を進めたが、今作では亀井刑事のみを操作する。


【ゲームシステム】
 前作でのザッピングシステムが廃止され、指紋照合も1度しか登場しないオーソドックスなスタイルになったが、ストーリーは前作以上のボリュームとなり、グラフィックも描き込まれている。「メモをとる」に加えて都度都度で十津川警部に報告する場面もあり、事件を整理してストーリーの把握がよりしやすくなっている。峰竜太みたいな顔した西本刑事は捜査の枝葉の部分でのサポート役として登場。ゲームオーバーもないので、前作同様に安心して遊べるアドベンチャーゲームだ。




【総評】
 コマンド選択式アドベンチャーゲームが廃れた理由のひとつは、ともすればコマンド総当りでただボタンを押してホケーっとしていてもクリアできてしまう受身のシステムが原因だったが(これをよしとして後にひとつのジャンルを築いたのがデジタルコミックですな)、前作の特徴だったザッピングを廃した今作もそのきらいがある。ホケーっとしていても捜査が進むので、この手のゲームは普段からホケーっとしている僕みたいな人間にいかに積極的な姿勢を取らせるかがクリアまで飽きさせないカギとなる。今作では終盤にモンタージュ写真を作る場面があるが、それだけではちと弱い感じ。

 ザッピングを廃した理由はおそらくストーリーだろう。前作では別々の事件が繋がるその経緯をプレイヤーに体験させるために必要だったが、今作の事件は基本的に終始一貫しているため、わざわざザッピングする必要がないからだ。無理に前作のシステムに当て込むより、無難なスタイルになってもストーリーを楽しませる事を優先したのかもしれない。また、前作ではパスワードを表示させるとそのままゲーム終了だったが、今作では表示後も捜査を続行できる。ここ、細かい部分だけど大事。無難にはなったものの、正統進化した今作もやはり2時間ドラマを見る感覚で気楽に遊ぶのがいい。

 どうでもいいけど、パッケージのイラストがテキトー過ぎるぜ。キンキンとはまるでかけ離れた亀さんどうしてこうなった。横向いてる女は最初の被害者「野上君子」だろうけど、奥のおっさんは…誰?あと、前作で怒られたのか、今回は歪んだお色気シーンはありませんっていうか、女性の大きなグラフィックが表示されるのは故人か死体かのどちらかしかないので極端だよアイレム!



(C)1990 IREM CORP.