2022/10/31

らんま1/2 爆烈乱闘篇

 


【発売】メサイヤ
【開発】メサイヤ、アトリエドゥーブル
【発売日】1992年12月25日
【定価】9,600円
【媒体】スーパーファミコン用カートリッジ
【容量】12M
【ジャンル】アクション




原作への愛情がこもった良作なキャラゲー


【概要】
 高橋留美子氏原作の『らんま1/2』は、87~96年に週刊少年サンデーに連載され、累計発行部数は5500万部を突破。89~92年にはテレビ、劇場アニメ、オリジナルビデオアニメ化された。ゲーム化も各メーカーから多数発売されており、本作は92年3月にメサイヤ(現エクストリーム)から発売された『らんま1/2 町内激闘篇』の続編にあたる。前作の評判がよかったため、本作は年末の発売にも関わらず、初回出荷本数約32万本がほぼ年内に売り切れたため、翌年4月に再出荷されたほどの人気で、多くの『らんま』ゲームの中でも完成度が高く、現在でも格闘ゲームイベントで使用されている。


【ゲームシステム】
 サイドビュー形式の対戦型格闘アクションゲーム。プレイヤーは使用するキャラクターを選択し、各種の技を駆使して順に登場する対戦相手を倒せば、勝利。2本先取制。各キャラクターのストーリーを追った「シナリオモード」、対戦用の「対戦モード」、好みのキャラクター5人を選んで戦う2プレイ専用の対戦用団体戦「団体戦モード」、難易度設定やタイム制限の有無が決められる「オプションモード」がある。
 登場キャラクターは「早乙女乱馬(男)」、「早乙女らんま(女)」、「響良刃」、「シャンプー」、「天童あかね」、「早乙女玄馬(パンダ)」、「五寸釘光」、「久遠寺右京」、「ムース」、「博奕王キング」。これに隠しキャラの「パンスト太郎」、「パンスト太郎(変身後)」、「八宝斎」の以上13人を使用できる。各キャラクターごとに「風林館高校校長」の妙な陰謀に巻き込まれるストーリーが設定されている。




【総評】
 ゲームバランスとはしては、比較的初心者向けではあるが、対戦型格闘ゲームとしての基本はしっかりしており、また、原作では不明だった技名も本作のために名称が付けられた。各キャラクターはアニメ版同様の声優が声をあてており、グラフィックも原作の雰囲気に沿って凝っている(右京のステージだとお好み焼きの上で戦うなど)。コンピュータ側も各キャラクターごとに性格付けがなされており、例えば、五寸釘だと画面の端に逃げまくる様になっているのも、原作ファンとしては愉快だ。



 技1発のダメージが大きく、ボタンの長押しや連打で必殺技が繰り出せる、複雑なコマンド入力を必要としない事が特徴だ。これにより、対戦型格闘ゲーム初心者でも容易に必殺技が出せ、上級者と互角の戦いが楽しめる。一方の上級者からすれば、初心者相手にも緊張感を持って対戦に臨む事になる。通常技でも1発のダメージが大きいため、ガードをしても体力が削られてしまう。また、対空戦では隙も大きいので、基本的な戦い方は地上戦での牽制になるパターンが多い。加えて対戦キャラクターによる相性もある。基本的にはスピードのあるらんまやシャンプーが頭ひとつ分抜けていて強い。

 当初予定では、原作の「道場破り」を登場させる予定だったが、前作の時点であかねの登場を望む声が多かった事から、道場破り案を没にし、本作であかねが起用された。それに伴ってキャラクターデータが小さくなったため、八宝斎が隠しキャラとして埋め込まれた。本格的な対戦型格闘ゲームには及ばないものの、スタッフによる原作への愛情が見え隠れする良作なキャラクターゲームであり、幅広いプレイヤーに満足のいく完成度となっている。


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