2022/11/18

ワールドカップ’98フランス~Road to Win~




【発売】セガ・エンタープライゼス
【開発】セガ・エンタープライゼス(チームアクイラ)
【発売日】1998年6月11日
【定価】5,800円
【媒体】セガサターン用CD-ROM
【ジャンル】スポーツ
【周辺機器】セガマルチコントローラー、マルチターミナル6対応
【レーティング】全年齢




スポーツゲームの宿命には逆らえずの終幕


【概要】
 『Jリーグ ビクトリーゴール'96』の続編。日本が初めてワールドカップに出場した98年フランス大会を戦う代表戦版で、シリーズ最終作。実況はサッカージャーナリストの小谷泰介氏、解説は元日本代表の金田喜稔氏、本シリーズではレギュラーの「ミスター・マリノス」こと木村和司氏、ナビゲーターにこれまで実況を務めていた金子勝彦氏の4人が名を連ねる。本作での日本代表は、97年のアジア最終予選から98年4月1日に行われた対韓国戦に出場またはベンチ入りした全35名の選手で構成されている。


【ゲームシステム】
 これまでのシリーズ同様、トップビュー、サイドビュー、クォータービューへの切り替え式サッカーゲーム。ゲームモードは全32チームが世界の頂点を目指す「ワールドカップ98」、1試合のみの「フレンドリーマッチ」、選手の名前を変更できる「プレイヤーエディット」、難易度やハーフタイムの時間、実況の有無などを選択できる「オプション」。
 また、本作独自のモード「Road to FRANCE」では、後にいわゆる「ジョホールバルの歓喜」と呼ばれるマレーシアのジョホールバルで行われたアジア第3代表決定戦対イラン戦を行う。このモードでは、通常の試合開始「はじめから」の他、前半39分にMF中田英寿が先制点を挙げた「日本先取点後」、後半開始僅か25秒で同点とされ、続く後半14分には逆転を許し、2トップのFW三浦知良とFW中山雅史をFW城彰二とFW呂比須ワグナーに同時交代させる背水の陣で挑んだ「後半18分」、このシステム変更が功を奏し後半31分に城が同点とし、延長戦に突入した「延長前半開始」という、実際にあった状況からプレイができる。

 尚、この試合でイランに敗れると、アジア・オセアニア・プレーオフに回り、オーストラリアとのホーム&アウェイという「幻の試合」を行う事になる。


【総評】
 本作の大きな特徴は、前述した様に、やはりアジア第3代表決定戦だろう。日本は途中で監督更迭など、アジア最終予選では最後まで苦戦を強いられ、毎試合ピリピリとした緊張感が漂っていた。なんとか上位2位に滑り込み、中立国のマレーシアで強豪イランと戦うも、試合はシーソーゲームとなり、延長戦へ突入。日本は最終予選で1度も出場機会が与えられなかったFW岡野雅行を投入するが、ミスを連発。逆にイランも反撃を見せる。両チームとも決定的なチャンスをものにできなかったが、PK戦突入も間近に迫った延長後半13分、呂比須が中盤で奪取したボールを中田がドリブルで持ち上がり、ミドルシュート。相手GKが弾いたボールを岡野が走り込み、右足でスライディングしながらゴールに押し込み、ゴールデンゴール(決勝点)を決めた。いやー、今思い返しても痺れる試合だったなー。54年のスイス大会予選に参加して以来43年。10回目の挑戦でワールドカップへの出場を果たした日本。ちなみに、ワールドカップ予選及び本大会でゴールデンゴール方式が採用されたのはフランス大会と02年の日韓大会のみのため、同方式でワールドカップ出場を決めたのは、この試合に勝った日本だけである。また、イランもオーストラリアとのプレーオフに勝利して本大会出場と相成った。

 

 フランス大会は、98年6月10日から7月12日までの期間行われ、決勝では開催国のフランスが前回大会優勝のブラジルを3-0で下して優勝した。日本は、アルゼンチン、クロアチア、ジャマイカと同じグループに入るも、ワールドカップの壁は厚く、1勝もできなかったが、対ジャマイカ戦では中山が骨折しながらも日本の初ゴールを挙げた。このフランス大会を皮切りに、02年日韓大会、06年ドイツ大会、10年南アフリカ大会、14年ブラジル大会、18年ロシア大会、そして22年カタール大会と、途切れる事なくワールドカップ7大会連続出場を果たしているっていうか、サッカーの話ばっかしてますな。すまんす。

 ゲームの方に話を戻すと、オープニングムービーで金子氏のナレーションと共にこれまでの日本のワールドカップへの挑戦が語られ、アジア第3代表決定戦でも途中途中にムービーを挟みながら金子氏が試合状況を伝える。正直、本作を所持しておく理由はこのためだけかもしんない。ムービーは『’96』のユニフォーム柄を変えただけの流用。また、これまで力を入れていたサウンド面だが、今回は実況のみ。金子氏と木村氏はさすがに安定しているが、ややクセのある小谷氏の実況と棒読みの金田氏の解説は若干辛いものがある。登録されているボキャブラリーも前作までに比べて少ない。そして、ワールドカップで優勝してもスタッフロールもなくいきなりタイトル画面に戻る淡泊さ。更に、画面に選手が密集すると処理落ちで動きが遅くなってしまう「劣化」も見られる。見た限り、フォントもフォントワークスの書体を使用してないと思われ、隙のない作りだった『’96』と比較すると、ワールドカップ初出場が決まった勢いだけで作った感が見え隠れする。まあ、嬉しいのは分かるんだけどさ、もうちょっとシリーズを大切にしてほしかったなー。

 Jリーグやプロ野球のゲームでは、ゲームの基本が完成すれば、後は毎年選手及びチームデータを更新しただけの「新作」が発売され、前年のソフトは途端にワゴンセールへ放り込まれるのは当時も今も変わらない。これはスポーツゲームの悲しい宿命とも言えるが、本作を見る限りではこれ以上のアップデートも無理そうであり、記念すべきワールドカップ初出場を機にシリーズを終わらせたのは、セガの英断だと思おう。僕は中西永輔をFWに登録変更してワールドカップ得点王になるまで遊びましたけどね。


【2023.8.20.追記】
 本作のナビゲーターを担当された金子勝彦氏が8月20日、肺炎のため死去されました。謹んで哀悼の意を表します。


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2022/11/16

ナムコアンソロジー1

 


 

【発売】ナムコ
【開発】トーセ
【発売日】1998年6月4日
【定価】5,800円
【媒体】プレイステーション用CD-ROM
【ジャンル】オムニバス




昔のナムコが好きだ! その7


【ストーリー】
 私達ナムコは、アーケードゲームと共に、早くからコンシューマ(家庭用)ゲームの制作に取り組んできました。コンシューマゲームも登場より十数年の歳月を重ね、最近ではゲーム機の世代交代が進んだため、初期の作品はあまり遊ばれなくなりつつある様です。しかし、その中には、忘れてしまうには惜しいゲームがたくさんあるのではないでしょうか。『ナムコアンソロジー』は、この様な想いから生み出された企画です。今回収録した4本のゲーム、『バベルの塔』、『スターラスター』、『レッスルボール』、『覇王の大陸』が、プレイヤーに懐かしさと、時を経ても変わらぬ面白さを感じさせるものであれば幸いです。


【収録作品】
01.『スターラスター』(ファミコン版:85年12月6日)
02.『スターラスター』(アレンジ版)
03.『バベルの塔』(ファミコン版:86年7月18日)
04.『バベルの塔』(アレンジ版)
05.『レッスルボール』(メガドライブ版:91年2月8日)
06.『レッスルボール』(アレンジ版)
07.『覇王の大陸』(ファミコン版:92年6月10日)
08.『覇王の大陸』(アレンジ版)


【概要】
 ナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)が、過去に家庭用ゲーム機で発売した作品のオリジナル版とアレンジ版を収録したナイスソフトとして、全2本が発売された。本作はその第1弾。アーケードゲームを完全移植した『ナムコミュージアム』シリーズとは異なるコンセプトだが、ナムコファンとしてはこれまた嬉しいソフトである。
 尚、『覇王の大陸』は、元々『三国志II~覇王の大陸~』というタイトル名だったが、本作への移植に際してサブタイトルが本タイトルへと変更されている。ファミコン版発売時には『三国志II~覇王の大陸~』名義で商標登録されていたが、「三国志」の商標はナムコと合併前のバンダイも持っていた事、また、光栄(現コーエーテクモゲームス)も「三国志」の商標を登録していた事が関係していると思われる。それに伴い、本作収録のファミコン版のタイトルロゴも『覇王の大陸』へと作り直されている。


【ゲームシステム】
 98年と言えば、インターネットが一気に家庭に普及した時期でもあり、本作のメニュー画面もそれを意識した作りになっている。ホーム画面では各タイトルと、「ナムコスター」というセーブ&ロードや、各タイトルの説明が表示される。画面右のスクロールバーを移動させる事でゲームの詳細を見る事ができるなど、今見ると逆にこのホーム画面がレトロな感じだ。アレンジ版にはオープニングムービーが加えられており、これもホーム画面で見る事ができる。


【総評】
 本作収録作品の中でも、『スターラスター』と『バベルの塔』は比較的古い作品であり、アレンジ版ではその見た目はかなり変わっている。名作と名高い『バベルの塔』は、アクションパズルの要素はそのままに、グラフィックが大幅に変更されたが、プレイ感覚はオリジナルのファミコン版と同じ良好な操作性だ。また、ムービーがなかなかカッチョいいんだわ。『スターラスター』は、オリジナル版が地味過ぎた事もあって「よく分かんないうちにワープしてしまったにゃー」っつー事が(僕は)度々あったが、アレンジ版ではワープ箇所はもちろん、目の前に現れる敵キャラクター表示も加わり、3Dシューティングとして非常に遊びやすく生まれ変わっている。



 今回唯一のメガドライブから移植の『レッスルボール』は、メガドライブ特有の「音割れ」が解消されており、『覇王の大陸』と共に正当アレンジの仕上がりで、安心して遊ぶ事できる。ここらへんの塩梅はさすがナムコですな。



 本作の制作コンセプトは、当ブログのコンセプトと偶然にも一致している。そうなんだよー、見た目は古くたって、ゲーム性じゃそんじょそこらの今出ているゲームにも負けないぜーって作品がまだまだ山の様にあるのだ。だからこそダウンロード販売なんつーのが商売になってたりするんですな。良き。


Produced by NAMCO LTD. (C)1998 NAMCO LTD.,ALL RIGHTS RESERVED

2022/10/31

らんま1/2 爆烈乱闘篇

 


【発売】メサイヤ
【開発】メサイヤ、アトリエドゥーブル
【発売日】1992年12月25日
【定価】9,600円
【媒体】スーパーファミコン用カートリッジ
【容量】12M
【ジャンル】アクション




原作への愛情がこもった良作なキャラゲー


【概要】
 高橋留美子氏原作の『らんま1/2』は、87~96年に週刊少年サンデーに連載され、累計発行部数は5500万部を突破。89~92年にはテレビ、劇場アニメ、オリジナルビデオアニメ化された。ゲーム化も各メーカーから多数発売されており、本作は92年3月にメサイヤ(現エクストリーム)から発売された『らんま1/2 町内激闘篇』の続編にあたる。前作の評判がよかったため、本作は年末の発売にも関わらず、初回出荷本数約32万本がほぼ年内に売り切れたため、翌年4月に再出荷されたほどの人気で、多くの『らんま』ゲームの中でも完成度が高く、現在でも格闘ゲームイベントで使用されている。


【ゲームシステム】
 サイドビュー形式の対戦型格闘アクションゲーム。プレイヤーは使用するキャラクターを選択し、各種の技を駆使して順に登場する対戦相手を倒せば、勝利。2本先取制。各キャラクターのストーリーを追った「シナリオモード」、対戦用の「対戦モード」、好みのキャラクター5人を選んで戦う2プレイ専用の対戦用団体戦「団体戦モード」、難易度設定やタイム制限の有無が決められる「オプションモード」がある。
 登場キャラクターは「早乙女乱馬(男)」、「早乙女らんま(女)」、「響良刃」、「シャンプー」、「天童あかね」、「早乙女玄馬(パンダ)」、「五寸釘光」、「久遠寺右京」、「ムース」、「博奕王キング」。これに隠しキャラの「パンスト太郎」、「パンスト太郎(変身後)」、「八宝斎」の以上13人を使用できる。各キャラクターごとに「風林館高校校長」の妙な陰謀に巻き込まれるストーリーが設定されている。




【総評】
 ゲームバランスとはしては、比較的初心者向けではあるが、対戦型格闘ゲームとしての基本はしっかりしており、また、原作では不明だった技名も本作のために名称が付けられた。各キャラクターはアニメ版同様の声優が声をあてており、グラフィックも原作の雰囲気に沿って凝っている(右京のステージだとお好み焼きの上で戦うなど)。コンピュータ側も各キャラクターごとに性格付けがなされており、例えば、五寸釘だと画面の端に逃げまくる様になっているのも、原作ファンとしては愉快だ。



 技1発のダメージが大きく、ボタンの長押しや連打で必殺技が繰り出せる、複雑なコマンド入力を必要としない事が特徴だ。これにより、対戦型格闘ゲーム初心者でも容易に必殺技が出せ、上級者と互角の戦いが楽しめる。一方の上級者からすれば、初心者相手にも緊張感を持って対戦に臨む事になる。通常技でも1発のダメージが大きいため、ガードをしても体力が削られてしまう。また、対空戦では隙も大きいので、基本的な戦い方は地上戦での牽制になるパターンが多い。加えて対戦キャラクターによる相性もある。基本的にはスピードのあるらんまやシャンプーが頭ひとつ分抜けていて強い。

 当初予定では、原作の「道場破り」を登場させる予定だったが、前作の時点であかねの登場を望む声が多かった事から、道場破り案を没にし、本作であかねが起用された。それに伴ってキャラクターデータが小さくなったため、八宝斎が隠しキャラとして埋め込まれた。本格的な対戦型格闘ゲームには及ばないものの、スタッフによる原作への愛情が見え隠れする良作なキャラクターゲームであり、幅広いプレイヤーに満足のいく完成度となっている。


(C)高橋留美子 / 小学館・キティ・フジテレビ (C)1992 ネットワークエキスプレス・小学館プロダクション

2022/09/25

探偵神宮寺三郎 時の過ぎゆくままに



【発売】データイースト
【開発】データイースト
【発売日】1990年9月28日
【定価】4,200円
【媒体】ファミコン用カートリッジ
【容量】1M+64KRAM
【ジャンル】アドベンチャー



ハードの限界を逆手に取った心温まる秀作


【ストーリー】 
 ある夏の日、新宿中央公園で1匹の犬を見かけた神宮寺は、昔の記憶を思い出す。付き合いの長い熊野警部が、半ば無理矢理に預けてきた元警察犬の「ズタ」と、頼れるアシスタント・洋子が歌舞伎町で見つけた迷子の少年「健一」。時の流れは記憶をセピア色に変えたものの、少年と犬が残してくれた思い出は未だ変わらない…。
 新宿中央公園で偶然出会った熊野警部に、神宮寺は1年前に解決したある事件について語り始める…。


【概要】
 データイーストのハードボイルドアドベンチャーゲーム『探偵神宮寺三郎』シリーズ第4作。本作では、主人公「神宮寺三郎」と助手の「御苑洋子」がベテラン刑事の「熊野参造」に、1年前に起きた事件を話すという形で、現在の場面ではカラー、回想中の場面ではセピア色の画面で物語が進行する。当初、『神宮寺三郎』シリーズは本作で終了する予定だったため、シリーズ集大成的な高い完成度となっている。
 本項では『探偵神宮寺三郎 アーリーコレクション』収録作品として、収録されたオリジナル版(ファミコン版)について記述する。


【ゲームシステム】
 新宿で探偵を営む神宮寺三郎を主人公にしたオーソドックスなコマンド選択式アドベンチャーゲーム。捜査に行き詰った際はシリーズ恒例「タバコ吸う」コマンドでヒントを得られる。関東明治組の大親分「風林豪造」を介して「細川信子」の絵画捜索依頼を受ける神宮寺。一方、洋子は迷子の「佐田健一」の母親を探す。神宮寺と洋子、それぞれの捜査が交錯する形式は、後のシリーズに搭載されるザッピングシステムの礎になっている。


【総評】
 それは、殺人もなければ密輸もない、どこの家に起こってもさして珍しくない家庭内の微妙なわだかまりや家族間の人間関係。そして、小さな体には重過ぎる病を抱えた少年と老犬の物語。過去のシリーズの様な大きな事件ではないが、家族間の問題だからこそ、自分の保身ではなく、家族を想っての偽証であったりするところが、利害関係による人間同士の繋がりよりも厄介な部分だ。「嘘をつかない人間はいない」。こうした登場人物達の心情を丁寧に描いており、それが物語に奥深さを与えている。



 当ブログで何度も書いている様に、コマンド選択式アドベンチャーゲームは、他の作品と差別化を図るのがなかなか難しく、各メーカー様々な工夫をしていたが、本作では「過去の事件を語る」という設定で、神宮寺と洋子、2人の異なる視点を違和感なく1つの物語にまとめている。また、ファミコンの同時発色数の少なさを逆手に取り、ゲーム進行の9割方がセピア色のみという大胆な手法も、これまた見事に違和感なく受け入れられる。唯一の難点は、「タバコ吸う」コマンドが今回はあまり役に立たない事くらいだ。無関係と思われた2つの事件が1つの真実に収束するクライマックスでは、シリーズ1作目『探偵神宮寺三郎 新宿中央公園殺人事件』のオープニング曲をアレンジしたBGMとの相乗効果で非常に盛り上がる。

 

 これまでのシリーズがあったからこそ、ショッキングな事件の起こらないこういった「小さな物語」が逆に光り、これこそが神宮寺や洋子の根幹を成す「探偵業」なのだと思う。前述した様に、本作を最後にシリーズはしばらく途絶えるが、6年後にシリーズ第5作『探偵神宮寺三郎 未完のルポ』で復活し、現在も多くの続編が作られている。事件としては地味ながら、本作がファミコン時代の集大成であり、1度はこれを以てシリーズが終わっていたかもしれないと考えると、最高のエンディングと併せ、実に「神宮寺らしい」人情味に溢れた秀作であると言えよう。


(C)1990 1999 DATA EAST CORP. 

2022/08/11

ダブルキャスト

  

【発売】ソニー・コンピュータエンタテインメント
【開発】シュガーアンドロケッツ、プロダクションI.G
【発売日】1998年6月25日(PlayStation the Best版:2001年8月16日)
【定価】4,800円(PlayStation the Best版:2,800円)
【媒体】プレイステーション用CD-ROM
【容量】CD-ROM2枚組
【ジャンル】アドベンチャー
【周辺機器】アナログコントローラ対応(振動のみ)




「やるドラ」とは何だったのか その2


【ストーリー】
 主人公と彼女は本当に不思議な出逢い方をした。所属している映画研究部の飲み会で、先輩にしこたま飲まされた主人公は、繁華街のゴミ捨て場でぶっ倒れているところを、彼女に助けられたのだ。彼女の名は、赤坂美月。介抱してくれたお礼にとコーヒーを奢っているその席で、美月は名前以外の事を何一つ思い出せないのだと告白する。心配になってきた主人公は、彼女を自分の所へ来ないかと切り出してみた。すると、意外な事に美月はその話に乗ってくる…。こんな風にして、2人の奇妙な共同生活が始まる事になった。

 それからしばらくして、夏休みに入った8月のある日の事。部室に集められた映研部員達の前で、部長の篠原遥は、文化祭展示用に撮影する映画のシナリオを発表する。そのシナリオの名は「かこひめの寝屋」。10年前、主演女優とカメラマンが撮影中に恋に落ち、挙句の果てに校舎の屋上から飛び降りて心中してしまった、学校でも有名ないわくつきのシナリオだった。不吉なシナリオだけに、学内にはヒロインのなり手がいない。遥が主演女優候補を探す様に言った時、主人公の頭に浮かんだのは美月の事だった。遥は美月を一目見て、ヒロインに据える事を決意。お盆も間近な頃、映画の撮影も幕を開けた。カメラマンは主人公。そして、ヒロインは美月…。


【概要】
 「みるドラマから、やるドラマへ。」のキャッチコピーで98年にソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)が発売した「やるドラ」シリーズ4作の第1弾。キャラクターデザインは『爆れつハンター』や『機動戦艦ナデシコ』の後藤圭二氏。アニメーション制作会社のプロダクションI.Gによるフルアニメーション&フルボイスのクオリティは非常に高い。本作はシリーズの中では『季節を抱きしめて』に次いで2番目に開発されたものの、プロモーション的な理由からシリーズ第1弾ソフトとして発売された。やるドラシリーズは当初、『フォーシーズンストーリー』という1本のソフトとして企画されていたため、各作品ごとに季節と花が設定されている。本作は当初『アクトレス』というタイトルで、舞台の季節は「夏」、象徴的な花は「ひまわり」。
 尚、本作には暴力シーンやグロテスクな表現が含まれているため、そのテのモノが苦手な人は注意。当時はまだCERO(コンピュータエンターテインメントレーティング機構)が存在しなかったため、パッケージ裏面に注意喚起がされてる。05年にプレイステーション・ポータブルで発売された『やるドラポータブル ダブルキャスト』では、CEROのレーティングでは「12歳以上対象ソフト」となった。


【ゲームシステム】
 フルアニメーション&フルボイスで進行するアドベンチャーゲーム。プレイヤーは途中で表示される選択肢を選び、その結果によってストーリーが変化する。マルチエンディング方式で、ベストエンディングは4種類、ノーマル及びバッドエンディングは23種類あるが、その中の3種類は他の「やるドラ」シリーズのPVが流れる実質的な水増しである。1周するごとにゲーム中に存在する経路のうち、どれくらいの経路を通過したかが分かる「達成率」が表示され、その数字が高くなるごとに新たな選択肢が登場するため、プレイする度にストーリーのバリエーションが増える。

 何度もクリアする事が前提なので、1回のプレイ時間は1~1時間半と比較的短く、また、1度クリアしただけでは登場しないキャラクターもおり、場合によってはヒロインの「赤坂美月」さえ登場しないエピソードもある。


【総評】
 「やるドラ」シリーズは4作全て「大学生の主人公が記憶喪失のヒロインと出会う」という共通点がある。そのため、そーんな簡単に上手い事いくわけないだろー的な思いは導入部分に感じるが、まあ、これはそーゆーモンだとしよう。全体的に先行開発の『季節を抱きしめて』よりパワーアップしており、特にアニメーション部分は、アドベンチャーゲームに見られるいわゆる「立ち絵」は一切なく、オリジナル・ビデオ・アニメ以上の質の高さを見せる。



 ノーマルエンディングには無難な選択肢を選んでいけば比較的早く到達できるだろう。惜しくもグッドエンドに辿り着けなかった場合は、2回目以降のプレイで選択肢に「こっちを選べ」的マークが付き、グッドエンディングへのヒントとなる…なるんだけど、これをやっちゃうと完全に「見るドラマ」になってしまい、「見るドラマから、やるドラマへ。」の「やるドラ」の根本が揺らいでしまうため、ここはノーヒントで進めたいところだ。この「どこまでプレイヤーの行動に介入するか」という部分は、開発側からすればシリーズ共通の難関だったのではなかろーか。

 さて、一人称が「ボク」っつー「ボクっ娘」の元祖的な座った美月が佇む爽やかなパッケージを見て、美月との甘い共同生活や恋愛シミュレーションと勘違いしたプレイヤーも当時は少なくなかったはずだが、前述の様に、本作では暴力&グロテスクなシーンの注意喚起がなされている。本作の中身はサイコサスペンスであり、間接的に不安を煽ったり不穏な予感がするビジュアルや演出が絶妙な塩梅で挿入されている。美月は現在で言うところの「サイコパスな人」なのであった(別にネタバレじゃないからいいよね、これ書いても)。また、バッドエンドを2回以上見ると、分岐として大量殺戮が行われる「ジェノサイド編」までも登場する。

 

 個人的には『季節を抱きしめて』より本作の方がストーリーに最後まで興味を惹かれ、繰り返しプレイした回数も多い。一方で、クリア後のヒントがあまり役に立たない、BGMや主題歌のサウンド面が弱い、『季節を抱きしめて』同様にフローチャートや達成率のグラフ化がなされていないところが不満点だなー。

 本作は、シリーズ累計販売数約70万本のうち、約31万本と「やるドラ」シリーズの中では最も売れた作品である。タイアップとして、テレビ東京系列の深夜枠で『吉本超合金』という番組も放送された。これは、2丁拳銃とFUJIWARAが、一応、毎回「やるドラ」シリーズをお題にした企画で海辺で砂を食べたりしてた(←死ぬほど笑った)。両コンビともまだ東京進出を果たす前で、めちゃくちゃやっててすげー面白かったっす。実は僕が「やるドラ」シリーズを知ったのは、この番組からなのだった←またどうでもいい締めだ。



Books
『オフィシャルやるドラファンブック ダブルキャスト CD-ROMスペシャルデータ集』












【著】murmur's GROUP
【発売】ソニー・コンピュータエンタテインメント
【発売日】1998年6月25日
【定価】2,500円


 SCEIのオフィシャルブック。基本的には『オフィシャルやるドラファンブック 季節を抱きしめて CD-ROMスペシャルデータ集』と同じ構成。キャラクターや舞台背景などの設定画、スタッフインタビューなど、特にビジュアル面での内容が充実している。付属のCD-ROMにはグッドエンディング4種類のセーブデータ、拡大可能なハイレゾリューション画面の本編357カット、名場面109シーン、設定資料51点が収録されている。


(C)1998 Sony Computer Entertainment Inc. All rights reserved. Produced by Sugar & Rockets Inc.
※「やるドラ」はソニー・コンピュータエンタテインメントの商標です。

2022/07/15

ドラゴンスピリット



【発売】ナムコ
【開発】ナムコ
【発売日】1987年6月20日
【媒体】アーケード
【容量】23M(システム基板:Namco System 1)
【ジャンル】シューティング




細江慎治氏渾身のサウンドの数々


【ストーリー】
 神々の時代、太陽神アーリアとブルードラゴンは、悪の限りを尽くしていた闇の魔王ザウエルを、氷河地帯の奥深くに封じ込め、世界は平和を取り戻した。しかし、人々がその恩恵を忘れたため、太陽神アーリアの力は弱まり、ザウエルは復活の生贄として、ミッドカルト王国の王女アリーシャを選んだのである。アリーシャの生誕祭。漆黒の闇と共に突如現れた魔物達に、姫は連れ去られてしまった。混乱の中、国境守備隊長アムルの前に、再びアーリアが姿を現した。


 「全てはザウエルの仕業です。アムルよ!聖剣を天に捧げるがよい。そして、ブルードラゴンに姿を変え、アリーシャを救い出すのです」
 こうして勇士アムルは、ザウエルを目指して飛び立った。果たして闇に閉ざされたこの地に、再び光射す日は訪れるのだろうか!?


【概要】
 87年にナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)から発売されたシューティングゲーム。同社の縦スクロールシューティングゲームは『ゼビウス』以来、約5年ぶりとなる。「ロマンシング・シューティングゲーム」と銘打たれたファンタジーの世界観の中、プレイヤーは「ブルードラゴン」を操る。後に自機のスピードやヒット判定の調整を施した新バージョンと差し替えられた。
 本項では『ナムコミュージアムVOL.5』収録作品として、収録されたオリジナル版(アーケード版)について記述する。


【ゲームシステム】
 トップビュー形式のパワーアップ型縦スクロールシューティングゲーム。自機のブルードラゴンは8方向に操作でき、対空対地で敵を撃ち分けながらステージを進んで行く。ライフ制で、地上にある卵を割るとパワーアップ。青い卵は最初は1本だったブルードラゴンの首を最大3本まで増やす事ができる。赤い卵はパワーアップアイテムが出る。本作には「OLD VER.」と「NEW VER.」の2バージョンがあり、「NEW VER.」ではブルードラゴンの移動速度が速い&敵からのヒット判定が小さく、難易度設定やエリア選択が可能。全9エリア。


【総評】
 『ドラスピ』と言えば個人的にまずはやはり細江慎治氏(現スーパースィープ代表取締役)珠玉の名曲揃いのサウンドを真っ先に挙げたい。当時まだアルバイトだった細江氏は、本作の素晴らしいサウンドと効果音を作り上げ、ナムコの正社員となったくらいだ。本作のシステム基板は「Namco System 1」だが、90年にアーケードで発売された続編『ドラゴンセイバー』では、隠しモードでNamco System 2」版の本作のサウンドを聴く事ができる。全体的に高揚感と爽やかさ溢れる魅力的なサウンドが満載だ。もはやサウンドを聴くためにプレイしていると言ってもいい。僕が。

 

 シューティングゲームとしては、序盤から敵さん達がわりと本気を出してきたり、自機がドラゴンであるためヒット判定が大きかったりと、難易度は高い。パワーアップアイテムのひとつ「スモール」を取れば自機が小さくなってそのぶんヒット判定も小さくなるんだけど、なかなか思った様には出ないんだよなー。

 地鳴りを上げて噴火する火山や、画面両端の壁が迫って来たり、暗闇の中をブルードラゴンの視野内だけで進んだりと、各エリアの演出も豊富だ。多くのゲームでは敵役のドラゴンが自機という設定も面白い。全体的にナムコらしさを感じさせる良作だ。

 

 移植作はX68000が最初で、家庭用機ではPCエンジン版が88年に発売されている他、89年にはファミコンで続編となる『ドラゴンスピリット 新たなる伝説』が発売。そして、前述した『ドラゴンセイバー』へと続く。現在でも各機ダウンロード版などに多く移植されているので、手軽に遊べるぞ。



Music
『ナムコゲームサウンドエクスプレスVOL.4 ドラゴンセイバー』










【作曲】細江慎治
【編曲】細江慎治、米光亮
【演奏】ナムコグランドオーケストラ
【発売】ビクター音楽産業
【発売日】1991年3月21日
【定価】3,000円
【収録時間】約102分

 ビクター音楽産業(現JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント)からリリースされた『ナムコゲームサウンドエクスプレス』は、アーケード稼働から比較的早い時期にリリースされたオリジナル・サウンドトラックシリーズで、価格は基本的に1,500円。この『ドラゴンセイバー』はシリーズ唯一の2枚組で(なので定価も倍)、1枚目は『ドラゴンセイバー』、2枚目は前述したNamco System 2」版『ドラゴンスピリット』が収録されている。単なる基板からの録音ではなく、音源自体の出力に最も近い部分からFM、サンプリングとバラバラに録音して調整してあるため、音質は非常によい。生音に限りなく近いっす。運がよければ今なら中古で1,000円前後で買えるため、ぜひ聴いていこう!

【収録曲】
■DISC 1  DRAGON SABER SIDE
01.ストーリー・オブ・ドラゴンセイバー
02.COIN
03.オープニング ヴィジュアル
04.水没都市
05.親玉A
06.火山
07.親玉B
08.化石
09.エイリアンキング
10.地じん
11.渓谷
12.コンティニュー
13.ネームランキングA
14.氷穴
15.魔界
16.ドラゴンゾンビ
17.暗黒
18.ウルティマ
19.カオス
20.エンディング
21.ネームランキングB

■DISC 2  DRAGON SPIRIT II SIDE
01.COIN
02.海上(未使用)
03.ROUND 1
04.ROUND 2
05.ROUND 3
06.ROUND 4
07.ROUND 5
08.ROUND 6
09.ENDING
10.裏ネームランキング
11.水没都市(アレンジ・バージョン)
12.火山(アレンジ・バージョン)
13.氷穴(アレンジ・バージョン)


Produced by NAMCO LTD. (C)1987 1997 NAMCO LTD.,ALL RIGHTS RESERVED

2022/06/22

キングオブキングス

 




【発売】ナムコ
【開発】アトラス
【発売日】1988年12月9日
【定価】5,800円
【媒体】ファミコン用バックアップカートリッジ
【容量】2M+64KRAM+N160音源
【ジャンル】シミュレーション




3すくみ状態を上手く利用したウォーシミュレーション


【ストーリー】
 4つの地方からなるアトランティス大陸を巡り、魔族の総帥・ルシファーとの対決が始まります。ルシファーは既に3つの地方を占領。今や最後のフォーモリア地方へ攻め込まんとしているのです。
 キミはまず、フォーモリアを守り抜き、続いて奪われた3つの地方をひとつずつ取り返していかなければなりません。ひとつの地方がひとつのシナリオとなっていて、シナリオが進むにつれ、新しい種族達が戦いに加わってゆく、雄大なスケールのプレイを楽しんで下さい。


【概要】
 アトラスが開発し、ナムコ(現現バンダイナムコエンターテインメント)が発売したウォーシミュレーションゲーム。キャラクターデザインは『女神転生』シリーズの金子一馬氏が担当した。最大4人での同時プレイが可能。ゲームは、予め用意された全4シナリオ(+隠しシナリオ1)でコンピュータと対戦するキャンペーンモード「ルシファーとの戦い」と、自由にマップを選んでコンピュータやプレイヤーと対戦できるフリーモードの「マルチプレイモード」がある。
 音源にはナムコ独自の「N160音源」を搭載。ファミコン本体内蔵音源や他社の拡張音源の多くが限られた波形しか使えなかったのに対し、N160音源では開発者が好みの波形を設定でき、表現力豊かな音色を出す事ができる。他に同社の『デジタルデビル物語 女神転生II』などに搭載されている。


【ゲームシステム】
 トップビュー形式のターン制ウォーシミュレーションゲーム。マップには2つ以上の城があり、最初は各陣営の大将ユニット「キング」が1人につき1つの城を守っている。敵キングを全員倒す事が勝利条件。「マルチプレイモード」では、「同盟」を設定できる。設定した場合は同盟国同士のユニットは戦闘を行えず、同盟国以外の勢力を全て倒すと勝利となる。
 キングが城にいる場合は、お金を支払う事でユニットを雇える。軍資金は毎ターン一定額の収入がある他、他の城や制圧した都市数だけ増額される。「キャンペーンモード」は、シナリオによって雇えるユニットに制限がある。自軍の城や町にいるユニットは、ターン開始時にお金を払って、減った部隊や「FOOD」を補給できる。FOODは移動するごとに消費し、足りない場合はそれ以上動く事ができなくなるお腹が減って力が出ないようシステム。回復するには、占領した町で補給するか、行動せずにターンを終えよう。

 戦闘は、縦横斜めを含む周囲8マスに隣接したユニット同士で行う。ユニットは小型キャラの8部隊編成と、大型キャラの4部隊編成の2種類に分かれる。攻撃力はユニット同士の相性によって大きく変動する。戦闘を行ったユニットは、倒した相手との相性に応じて経験値が蓄積され、戦闘を繰り返すことでレベルが上がる。また、「人間」に属するユニットは、クラスチェンジして、能力が大幅に強化される。相性が悪く、高ダメージを被弾しやすい敵ほど、戦闘後にレベルが上がりやすい。頑張ったご褒美ですな。
 まだまだ書く事はあるけど(ウォーシミュレーションゲームは設定が細かいからなー)とりあえず、ゲーム開始時にはキング1人しかいないため、まずは城に篭ってユニットを雇いまくるとこから始めるのだ。そんでもって、雇ったユニットにいろいろ命令して、町や城を占領していこうって感じ。


【総評】
 基本的にはオーソドックスなターン制ウォーシミュレーションゲームだ。ユニットごとに地形効果が影響し、ユニットは経験値を積む事でレベルアップする。また、2つ以上の自軍ユニットを1マス開けて配置すると、両者の間にはユニットを倒さないと自陣以外のユニットが1歩ずつしか進めない「縄張り」が発生する。少数のユニットでも、地形と縄張りを有効活用すれば防衛線を張る事ができ、逆にその縄張りを突破するには、防衛線の弱点を的確に突く必要がある。

 

 本作では種族間による相性が設けられており、何かと使い勝手のいい人間に対して強い「ゴブリン」、そのゴブリンを巻き込んだ「ハーピー」、「エルフ」は3すくみの関係にある。ジャンケンで例えるとグー、チョキ、パーの関係ですな。最初のシナリオで雇えるのはこれら4種族のみだが、この相性によって、少ないユニット種類でもゲームバランスのよさを構成している。ユニットごとの相性はマップ画面で確認できるのも親切。

 また、基本的に先手側が有利な戦闘ルールであるため、取り回しの効く小型部隊、それらに対して適度に強い中コストの大型部隊、中コスト部隊なら問題なく勝てる高コストの大型部隊、そんな高コスト部隊を足止めする小型部隊…といった大局的な意味での3すくみも成立しており、絶妙なバランスの上で様々なユニットを取り混ぜて戦う面白さがある。初心者向けとは言えないまでも、取っ付きのよさはある。とは言え、ウォーシミュレーションゲームの常として、1ターンが長いのはせんなき事か。
 N160音源を使ったサウンドにも少しだけ触れておこう。タイトル画面からして普通のファミコンカセットとは違う幻想的で独特な音色が流れる。それこそ『女神転生』を連想させる様な音色だ。長期戦となるフィールド画面でもこの音色がストレスを若干緩和してくれる。とは言え、曲数が少なく、いわゆる「名曲」という程でもないのがちょっと残念なところ。もちっと活かしてほしかったなー。

 98年発売のプレイステーション用ソフト『ナムコアンソロジー2』では、本作とそのアレンジ版が収録されている。また、20年にはニンテンドースイッチにてダウンロード販売もされている。


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