2015/09/17

ゼビウス


【発売】ナムコ
【開発】ナムコ
【発売日】1983年1月29日(ロケテスト日:1982年)
【媒体】アーケード
【容量】730Kbit(システム基板:Namco Galaga)
【ジャンル】シューティング




人生を狂わせたゲーム



【ストーリー】
 西暦2000年。地球は超知性体ガンプに率いられたゼビウス軍の攻撃を受ける。地球より遥かに進んだテクノロジーを有するゼビウス軍の前に、南アメリカは制圧されてしまう。打つ手を持たない人類に、惑星ゼビウスより数千年ぶりに地球に帰還したムー・クラトーとアンドロイドのイヴが救いの手を差し伸べた。彼らによれば、現在地球に侵攻しつつあるガンプは、かつて紀元前12,000年の地球上に存在した文明によって人類に奉仕するために創造されたバイオコンピューターであるガンプ、その6つのレプリカの1つに過ぎないという。

 ガンプは自身の超能力で逆に人類を支配しようと、6つのレプリカと自身に従う人類を6つの惑星に送り出していた。残された人類は、抜け殻同然のオリジナルガンプを破壊するが、レプリカの攻撃により殲滅寸前に陥る。ガンプを構成する脳細胞の提供者ラスコ・クラトーの超能力によって滅亡こそ免れたものの、14,000年後に6つの惑星が地球を中心に交錯(ファードラウト)する時、地球上には真のガンプが再生され、全人類はガンプの奴隷となる事が判明する。ムー達の助力により戦闘機ソル・バルウを建造した人類は、ファードラウトを阻止すべく、南アメリカのゼビウス軍拠点へと出撃する。


【概要】
 ナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)第一次黄金期の83年にアーケードで発売された縦スクロールシューティングゲーム。それまでの黒一色の背景とは異なり、森林や海などの自然とメカニカルな敵キャラクターとの対比が美しいグラフィック、意思を感じる敵キャラクターの動き、対地対空の撃ち分け、隠しキャラクターの存在、壮大な裏ストーリーなど、全てにおいて斬新であり、『スペースインベーダー』(タイトー)に次ぐ大ヒットを記録。以降、不朽の名作として多くの機種に移植されており、中でも約127万本の大ヒットを記録したファミコン版は、ハードの売り上げにも大きく貢献。ファミコンブームの火付け役ともなった。

 システムプログラムは『ディグダグ』などの深谷正一氏が手がけ、遠藤雅伸氏(現ゲームスタジオ代表取締役)が完成させた。メカニックデザインはナムコの誇る職人「Mr.ドットマン」こと小野浩氏によるドット絵を元に、『マッピー』の生みの親である遠山茂樹氏が描き起こした。音楽は慶野由利子氏が担当。この楽曲を気に入ったYMOの細野晴臣氏は84年に『ビデオ・ゲーム・ミュージック』(アルファレコード)をプロデュース。これは日本で初めてのゲームミュージックのサウンドトラック作品となる。

 本項では『ナムコミュージアムVOL.2』収録作品として、収録されたオリジナル版(アーケード版)について記述するが、ハードとの互換性の問題により、プレイステーション2でプレイした場合はゲーム中のスピードが遅くなる処理落ちの不具合が生じるため、プレイステーションでのプレイを推奨する。プレイステーション2で『ゼビウス』を遊びたい方には、97年に発売されたプレイステーション用ソフト『ゼビウス3D/G+』に収録されたオリジナル版をオススメしたい。


【ゲームシステム】
 自機「ソルバルウ」で敵組織「ガンプ」の「ゼビウス軍」を掃討するトップビュー形式の縦スクロールシューティングゲーム。全16エリアで、以降はエリア7から16のループ。空中と地上の概念があり、空中の敵には対空戦用の「ザッパー」、地上の敵には対地戦用の「ブラスター」を2つのボタンで撃ち分ける。ブラスターを撃つ際はソルバルウの前方に照準が表示されるので、その照準内に入った敵機を攻撃する。地上の敵は出現位置が固定されているが、空中の敵はプレイヤーの操作次第でパターンが変わる不規則性。単に敵を倒すだけではなく、プレイヤーの様々な行動によって隠れキャラが出現するのも特徴のひとつだ。


【総評】
 『ゼビウス』の優れた点はいくつもあるが、そのひとつはストーリー性だ。シューティングゲームにおけるストーリーなぞ安いサラダに付いてくるパセリみたいなもんだが(この例え好きだなぁ)、本作ではそれが必然性としてゲームに直接結び付いている。「いくら敵だからといってただ突っ込んで来るのはおかしい。敵はどんな奴で、何の目的があって戦うのか。あらゆる設定に何らかの説明ができる様に根拠を作っておく必要がある」という遠藤氏のインタビュー記事を読んだ時、小学生ながらに膝をポンと打ったものだ←ジジイみたい。一部には特攻を仕掛けて来る敵もいるが、これは「無人機」という設定なのだ。

 また、本作は多くの隠れキャラや裏ストーリーなど、プレイヤーの想像力を刺激する要素も多かった。僕は隠れキャラにこそあまり執着しなかったけど、「破壊不可能な空中浮遊物「バキュラ」にザッパーを256発当てると壊せる」という噂はかなり長い間信じていたクチだ。なにせ遠藤氏が公の場ではっきり否定したのは発売から25年以上も経ってで、なんつーか、まあ冷静に考えればどうやったって不可能なんだけど、なーんか夢があったよね、こういうの。他にも「カウンターストップ」という単語を知ったのも本作だった。これは、スコアが9,999,990点に達するとそれ以上は表示されない事で、ファミコン版でソルバルウを無敵モードにして長時間放置したりしたものだ。

 なにより、今もゲームが好きでこんな箸にも棒にもかからないレトロゲームブログなんつーもんを作ってるのは間違いなく本作の影響だと断言できる。小学生の頃、部屋に『ゼビウス』の筐体がある同級生の兄貴がいて、そこで初めて画面を見た時に感じたグラフィックの美しさと、初めて「アンドアジェネシス」に出合った興奮は未だに色褪せない。そして、「僕もいつか部屋に『ゼビウス』の筐体が置けるくらいの人間になりたい」などとよく分からない事を思い、早くも人生の基準点を誤ったポイントに定めたままこうして生きているのだった。


【2021.10.17.追記】
 本作のメカニックデザインを担当された小野浩氏が10月16日、自己免疫性肝炎のため死去されました。謹んで哀悼の意を表します。




Goods
『MEMORIAL GAME COLLECTION SERIES ソルバルウ』











【発売】ウェーブ
【発売日】2013年4月
【定価】3,520円


 ウェーブから発売された、ソルバルウのプラスチックキット。接着剤不要のスナップフィットキットで、色分けもされている。アンドアジェネシスをイメージした台座も付属。サイズはノンスケール。買って結構経つんだけど、未だに積んだままなので、いつか完成したらまた写真追加します。


Produced by NAMCO LTD. (C)1982 1995 NAMCO LTD.,ALL RIGHTS RESERVED

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