2021/12/26

ときめきメモリアル~forever with you~

 

【発売】コナミ
【開発】コナミコンピュータエンタテインメント東京(バーチャルキッス)、タツノコプロ
【発売日】1995年10月13日(PlayStation The Best版:1997年12月25日)(PS one Books版:2000年9月18日)
【定価】6,800円(限定版:9,800円)(PlayStation The Best版:2,800円)(PS one Books版:1,800円)
【媒体】プレイステーション用CD-ROM
【ジャンル】シミュレーション
【周辺機器】マウス対応
【受賞】2000年:PlayStation Awards ゴールドプライズ賞




コナミ渾身の作り込みにより新たなジャンルを確立


【ストーリー】
 女の子なら誰もが信じる伝説。それは、きらめき高校にもあります。「卒業の日、校庭のはずれにある古い大きな樹の下で、女の子から告白して生まれたカップルは永遠に幸せになれる」。いつか私もきっと…。


【概要】
 オリジナル版は94年にコナミ(現コナミデジタルエンタテインメント)がPCエンジン用CD-ROMで発売した『ときめきメモリアル』。既存の同社のゲームとは全く異なるジャンルであり、当初は拒否反応を示すユーザーも少なくなかったが、口コミで徐々に評判が広がった。関連グッズもプライズ景品やCDを中心に大量に発売され、総売り上げは100億円以上となり、グッズの売り上げがゲームの売り上げを抜く逆転現象を最初に起こした作品でもある。限定版も発売され、大型ボックスの中には、通常版とは異なるジャケットレーベルのCD-ROM、マウス、マウスパッド2枚が同梱。蓋を開けるとオルゴールが鳴る仕様だが、電池が切れ切れで何言ってっか分かんない。もういい、十分だ、休め>電池。


【ゲームシステム】
 高校生活3年間の中で自分を磨き、卒業式の日に伝説の樹の下で意中の女の子から告白される事が目的の恋愛シミュレーションゲーム。95年4月4日の入学式から、98年3月1日の卒業式までに、運動、座学、ルックスなどを磨きつつ、部活動、各期末テスト、体育祭や文化祭、修学旅行、春夏冬休みなどの学校行事もこなしていく。平日はパラメーター上げ、休日は友達の「早乙女好雄」から女の子の情報を聞いたり、女の子と約束を取り付け、デートをしたりする。基本的には、平日はパラメーター上げ(失敗する日もある)、休日は女の子との仲を深めるのだ。

 対象となるキャラクターは、幼馴染のラスボス「藤崎詩織」、超高校級スイマーで俺の嫁1「清川望」、面倒見のいい明朗快活な俺の嫁2「虹野沙希」、世界征服を企む俺の嫁3「紐緒結奈」、文学少女で眼鏡っ娘の「如月美緒」、喋りがスローモー過ぎてせっかくのフルボイスを台無しにする「古式ゆかり」、ミーハーでかしましい「朝日奈夕子」、ルー語を操る「片桐彩子」、前髪がヘルメットみたいな「美樹原愛」、名前が酷い「鏡魅羅」、好雄の妹「早乙女優美」、男かと思ったら女子だった「伊集院レイ」、隠しキャラ「館林見晴」の13人。

 一応、ゲームの目的は「主人公の詩織に告白される事」になってはいるが、詩織は便宜上の主人公であり、各人意中の女子に告白されれば、それでいいのです。僕の場合、清川さんか虹野さんか紐緒さんに告白されればオールオッケークリアーみたいな。

 登場する女の子達には「好感度」が設定されており、パラメーターを上げたり、デートを重ねたり、また、デート中の質問に答える事で上昇する。が、意中の女子にばかりかまけていると、なぜかそーんなに親しくない女子の好感度まで下がり、嫉妬が極限になると好感度マークの横に爆弾マークが付く。これが爆発すると意中の女子を含め全女子の好感度が大幅に下がるため、爆弾マークが付いた女子とは早めにデートをして対策を取る必要がある。要は1度以上は二股三股をかけなければいけないちょっといやーんな防衛策を取るしかないのです。八方美人は大変なので、いかに登場女子を少なくするか(詩織と優美は固定キャラ)がポイント。

 


【総評】
 平日はパラメーター上げに勤しめばいいが、ある程度どれも平均値にしておかないと、期末試験で赤点を取って補習を行わなければならない。運動部に入部している場合、毎月第3日曜日は強制的に部活動をする事になっており、この日をサボると強制退部となって二度と同じクラブには入れない。この第3日曜日が、前述した補習日とカブるのだ。女の子との繋がりが部活動(運動部)の場合、つい座学をおろそかにしてしまいがちだが、ここもしっかり上げておきたい…ところだが、上げ過ぎると別の女の子が登場するので、ギリギリの線を狙っていきたい。こういうバランスの塩梅が実に巧く交差している。

 ゲームを通して見ると、随所にコナミのこだわりが見える作り込みに唸る。多くのデートスポットは季節や年数でアップデートされ、そのデートスポット、キャラクター、季節を彩るサウンドは実に160曲近く。まさに「サウンドのコナミ」である。

 

 キャラクター造形に関しては、それまで背景しか担当していなかったスタッフがキャラクターデザインを担当しているため、あんましかわいくない場合も多い(※物を投げないで下さい)。特に好感度最高状態「大好き」時のデレ顔がフツーの時の顔よりかわいくない(※危険ですので物を投げないで下さい)。髪の色も赤や緑や紫だもんなー。んがっ!人間には「脳内補正」という非常に都合のいい機能を有しているので、ゲームが進むに連れ、それらが気にならなくなってしまうからフシギだ。ゲームとして非常によく練られており、随所に見えるコナミこだわりの作り込み。食わず嫌いのゲーマーにもぜひ試してみてほしいキモチ。



Music
『ときめきメモリアルSOUNDコレクション』







【作曲】コナミ矩形波倶楽部
【編曲】山崎淳、秋山浩一、石井為人
【演奏】コナミ矩形波倶楽部
【発売】キングレコード
【発売日】1994年9月21日
【定価】2,800円
【収録時間】約49分


 キャラクターテーマ曲のアレンジ盤。コナミでは、ゲーム内の作曲を「コナミ矩形波倶楽部」が、バンド活動やCDのアレンジなどを「矩形波倶楽部」が演奏しているが、このアルバムは演奏もコナミ矩形波倶楽部が行っている模様。だが、その内容は各キャラクターのテーマを2フレーズ流した後にヒョロくて短いギターソロが入るパターンに終始。音数も少なく、音質は籠っている。アレンジ盤としては最低限のもので、はっきり言って素人同然のアルバムだ。発売がPCエンジン版時分の物であったとしても、これはないなー。ない。

【収録曲】
01.JUMPING SMILE(朝日奈夕子テーマ曲)
02.思い出の数だけ…(藤崎詩織テーマ曲)
03.世界中の誰よりも(紐緒結奈テーマ曲)
04.瞳の誘惑(鏡魅羅テーマ曲)
05.BOY FRIEND(片桐彩子テーマ曲)
06.あなたに贈るソナタ(如月美緒テーマ曲)
07.みつめていたい(清川望テーマ曲)
08.かごの中の小鳥(古式ゆかりテーマ曲)
09.通学途中のあのお店(美樹原愛テーマ曲) 
10.TEENAGE(虹野沙希テーマ曲)
11.恋、おやすみなさい(館林見晴テーマ曲)
12.めざせ!恋のゴール!(早乙女優美テーマ曲)
13.告白
14.女々しい野郎どものテーマ



Music
『ときめきメモリアルSOUNDコレクション2』









【作曲】コナミ矩形波倶楽部

【編曲】三原善隆、塚山エリコ、山下正
【演奏】三原善隆、塚山エリコ、山下正、矩形波倶楽部
【発売】キングレコード
【発売日】1996年5月2日
【定価】3,000円
【収録時間】約47分


 前作がさすがにヘボいと反省したのか、編曲&演奏に三原善隆、塚山エリコ、山下正の3氏を迎えたアレンジ盤第2弾。1曲目「恋の直滑降」から原曲のノリの良さを5億パーセント活かしたギターとサックスが奏でる正統派フュージョンアルバムに。「思い出の並木道」ではアコースティックギターが爽やかな初夏を思わせる。アレンジャーが違うとこうも違うものかと。音源もウインドシンセとギター、サックスを中心に生演奏主体となり、ゲームミュージックの枠を出た「サウンドのコナミ」の面目躍如。

【収録曲】
01.恋の直滑降(スキーBGM)
02.あなたを待つ交差点(ショッピングBGM)
03.コアラの行進(動物園BGM)
04.思い出の並木道(中央公園BGM)
05.可愛いって言って!(ファンシーショップBGM)
06.ミステリアス・プレイス(ジャンク屋BGM)
07.人魚に出逢う夏休み(海BGM)
08.一緒に歌おっ(カラオケBGM)
09.あなたとスタジアム(スタジアムBGM) 
10.ふたりの星空(プラネタリウムBGM)



Music
『ときめきメモリアルSOUNDコレクション3』




【作曲】コナミ矩形波倶楽部
【編曲】三原善隆、塚山エリコ、山下正
【演奏】三原善隆、塚山エリコ、山下正、矩形波倶楽部
【発売】キングレコード
【発売日】1996年6月21日
【定価】3,000円
【収録時間】約46分

 僕と『ときめきメモリアル』のファーストコンタクトは、ゲームではなく、このアルバムに収録されている「半袖の君」なのであった。当時、文化放送の『ツインビーPARADISE』を聴いていて、よくCMに使われていたため、「いい音楽だな」と思っていたのでした。その通り、3枚目の今盤はギターとウインドシンセがカッチョいい「半袖の君」、そのままサッカーゲームの曲にすればいいトランペットにウインドシンセ、ギターソロに被せる圧倒的なピアノソロの「めざせ!プロサッカー」、曲調がガラリと変わるRPGの最終ボス戦の様なサックスでの「番長はオレだ!」などなど、良曲揃い。これはコナミファンなら持っておこう!

【収録曲】
01.半袖の君(夏BGM)
02.Fun! Fun! Summer Vacation(夏休みBGM)
03.白い息(冬BGM)
04.似合うかな?(ブティックBGM)
05.息を合わせて(二人三脚BGM)
06.青春のはじまり(入学式BGM)
07.めざせ!プロサッカー(サッカー部国立競技場BGM)
08.番長はオレだ!(番長との戦闘BGM)
09.約束の場所(近所の公園BGM) 
10.つかの間の休日(春休みBGM)



Music
『ときめきメモリアルSOUNDコレクション4』



【作曲】コナミ矩形波倶楽部
【編曲】三原善隆、塚山エリコ、山下正、
    菊池雅臣、立山健彦
【演奏】三原善隆、塚山エリコ、山下正、
   菊池雅臣、立山健彦、矩形波倶楽部
【発売】キングレコード
【発売日】1997年1月22日
【定価】3,000円
【収録時間】約48分

 『SOUNDコレクション』シリーズ最後は全体的に終わりを告げる優しいアレンジが多い中、トランペットが奏でる春の息吹「確かな命」やサックスによるバラード「今だけラブストーリー」、ウインドシンセとギターのソロバトルが大変カッチョいい「あなたはパーフェクト」など、最後まで聴き応えあり。1枚目に入っていなかった好雄と伊集院のテーマ曲もしっかり「曲」として成立している。こうなると最初の1枚はなんだったんだって感じ。『ときめきメモリアル』のCDはヴォーカル集やラジオドラマなど100枚近く発売されているが、純粋なゲーム音楽のアレンジ盤はこの4枚だけなので、コナミファンなら揃えておいてもいいと思いますよ。マジで。

【収録曲】
01.芽生え(春BGM)
02.こたつでみかん(冬休みBGM)
03.確かな命(植物園BGM)
04.おまかせNetwork(早乙女好雄テーマ曲)
05.今だけラブストーリー(図書館BGM)
06.高貴なる家系(伊集院レイテーマ曲)
07.太陽に夢中(プールBGM)
08.青くゆれる心(水族館BGM)
09.あなたはパーフェクト(ボーリングBGM) 
10.枯れ葉の足音(秋BGM)



Books
『ときめきメモリアル~forever with you~ 思い出の卒業アルバム』









【著】森岡憲一、ファミ通編集部責任編集
【発売】アスペクト
【発売日】1996年2月14日
【定価】1,400円 


 学校生活でのイベント、クラブ活動、デートなどの校外活動、進路や告白条件、各キャラクターからミニゲーム攻略などの資料、女の子の全イベントバストアップグラフィックなど、おおよそ必要なデータを網羅した1冊。つっても、あんまし攻略本見ながらやっても味気ないんで、エンディングを見た後や2周目をプレイする際に役立てたい。


(C)1995 KONAMI ALL RIGHTS RESERVED.

2021/12/09

アルバートオデッセイ

 

【発売】サンソフト
【開発】サンソフト、東海エンジニアリング
【発売日】1993年3月5日
【定価】9,600円
【媒体】スーパーファミコン用バックアップカートリッジ
【容量】8M
【ジャンル】シミュレーションRPG




悲しみに始まり悲しみに終わる隠れた名作


【ストーリー】
 かつて栄華を極めた古代文明グローバス。その文明を復活させ、世界征服に利用しようと目論む悪の大魔導士・オズワルドがいた。彼は魔術で魔物を生み出すと、世界を征服し始めた。そして、ついに無敵を誇るゴート騎士団をも打ち破り、もはや世界はオズワルドのものかと思われた時だった。

 1人の少女が不思議な光を発した!彼女の名前はソフィア。ゴート騎士団の総督だった彼女の父は壮絶な死を遂げた。また、母もオズワルドによってソフィアの目の前で殺され、怒りと悲しみから、彼女の中に潜んでいた不思議な力が一気に爆発したのだ。この強烈な光は、魔物共々オズワルドを世界の果てへと吹き飛ばした。世界は魔道の血を引く少女によって救われたかに見えたが…。



 ーーーそれから10年の時が流れた。なんと、オズワルドは、驚くべきエネルギーを以て世界の果てから復活していた。そして、更なる魔力を秘めた彼は、グローバス復活の鍵である水晶を求めて、再び進軍を開始したのである。

 ソフィアはゴート騎士団の団長であるスレイの元に引き取られ、王都ゴートで宮廷魔術師として成長していた。だが、もはや彼女1人では更なる魔力を秘めたオズワルドに立ち向かう事は到底不可能だった。人並み以上の勇気と力を備えた者の協力が必要なのだ。そんな時、勇者の血を引く少年がチベリスにいると聞いたソフィアは、モンスターに命を狙われながらもチベリスに辿り着き、司祭様から1人の少年を紹介された。彼こそ、王族の血を引く、すなわち勇者の血を引く少年・アルバートだったのだ。

 そして今、アルバートとソフィア、僧侶としての修行を積むために同行する事になったノイマンの3人が、オズワルドの野望を阻止するため、冒険の旅に出る。グローバス復活の鍵となる水晶はどこにあるのか、封印を解く鍵とは何か、そして、果たしてオズワルドを倒す事ができるのか。アルバート達の使命は限りなく果てしない…。


【概要】
 93年にサンソフトと東海エンジニアリングによって開発されたシミュレーションRPG。勇者である主人公「アルバート」、魔導の血を引く「ソフィア」、見習い僧侶の「ノイマン」、騎士団長「スレイ」の4人を中心に、悪の化身「オズワルド」を倒すという、一見するとオーソドックスな剣と魔法が舞台のストーリーだが…。ベース部分は『ドラゴンクエスト』(エニックス)や『ファイナルファンタジー』(スクウェア)を、システム部分は『G-LOC』(セガ・エンタープライゼス)を参考に製作された。


【ゲームシステム】
 RPGの戦闘にフィールド上での戦略的な要素を加えたシミュレーションRPG。フィールドマップ上では、最大4人パーティの「移動」、「攻撃」、「特殊」を操作し、「ヘックス」と呼ばれるマス目に区切られたフィールドで移動や敵との戦闘を繰り返しながら冒険を進めていく。全員が「行動終了」すると、敵側のターンになる。「地形効果」や「方向補正」があり、平地より森や山にいた方が戦闘時に有利だったり、
正面からよりも相手の背後から攻撃した方がより高いダメージを与える事ができる。もちろん、これは敵にも言える事だ。

 町や村ではRPGの様に、会話をして情報を集めたり、買い物をする事ができる。村人の中には同社のマスコットキャラクター『へべれけ』のメインキャラクター達もこっそり出演している。また、時間の概念があり、日中と夜間では会話の内容や姿を現す人物達が変わる事がある。フィールドマップ上では、夜間の方が敵の強さが上がるので注意だ。シミュレーションRPGとしては初心者向けとも言え、あまり難しく考えずに普通のRPG感覚でプレイできるので、万人に勧められる作品に仕上がっている。



【総評】
 美麗なグラフィック(町中での流れて行く雲の影が実にいい)、重厚なサウンド。シミュレーションRPGでは冗長になりがちな戦闘シーンも、キャラクターの素早いアニメーションと効果音でテンポよく進み、非常に丁寧に作られているのが分かる。プレイ中にストレスがほとんどないのは、細部に渡って繰り返し調整が成された証拠だ。

 プレイヤーはアルバート、ソフィア、ノイマン、スレイの4人を基本パーティとするが、各キャラクターには「移動」と「攻撃」の他に特殊スキルを各々1つづつ持っている。アルバートは青いライオンか不死鳥に姿を変えて敵に大ダメージを与える「変身」。ソフィアは一撃必殺の雷撃or複数の敵を同時に攻撃できる火炎弾or1度行った場所へ瞬間移動できる「魔法」。ノイマンはヒットポイントの回復orマヒの治癒or蘇生の「回復(魔法)」。スレイは行動終了キャラクターを同ターンでもう1度行動可能にする「はげます」だ。序盤ではアルバートの変身とソフィアの魔法が強力過ぎてノイマンの経験値がなかなか伸びない場合があるが、その際にスレイの「はげます」を使い、ノイマンに1ターンで2度の敵への攻撃&仲間への回復魔法を使って進めて行くのがオススメだ。ていうか、ノイマン、僧侶のわりに通常攻撃はアルバート並みに強いんですけどね。わりと一瞬なのでじっくりと見る事はできないが、戦闘シーンも非常に描き込まれたグラフィックで、キャラクターの動きとリアクションも細かい。敵とのパワーバランスはプレイヤーの方が若干上なのも、サクサクと気持ちよく進められる要因だ。

 

 難点と言えば、ひとつのミッション(街や村をモンスターの群れから解放する)をクリアした後、次にどこへ行けばいいのかよく分からなくなる点。村人の「東だよー」とかそんなざっくりした説明だけで広大なマップを右往左往しない様に、ざっくり説明された場所を拡大マップでよく見ればいいだけの話なんですけどね。もうひとつは、武器防具を買うまで誰に装備できるか分からない点。これは説明書にもある様に、買い物前にセーブをして無駄遣いを減らそう。『女神異聞録ペルソナ』(アトラス)もそうだったなー。地味に不便。あ、あと、大した脈略もなく途中でパーティをぽっと出の別の3人のキャラクターと入れ替えられるが、特に愛着もないので入れ替えないっす。必然性がないっつーか。

 

 さて、『アルバートオデッセイ』と言えば、衝撃的なエンディングについて書かないわけにはいかないであろー。っつってもネタバレはしないけど。今じゃ簡単にググれば分かるけど(これがいい事なのかどうかは考えモノですな)、インターネットなぞない時代、専門誌にも攻略本にだってエンディングの事は書かれてないので、それはもうビックリしたですよ!ビックリした後はしばらく放心状態で。でも、誤解してほしくないのは、決して嫌なわけではなく、ホントにただただビックリ&放心で、なるほどこういう終わり方のゲームもあるんだなと。30年経った今回、改めてプレイしてみて、ストーリーはさっぱり忘れてたけど、エンディングだけはハッキリと覚えてたっす。

 本作の中古市場での価格は完品で1,500円前後。他にWiiとWii Uでダウンロード販売もされている。気になる続編だが、94年に本作から10年後を描いた『アルバートオデッセイ2 邪心の胎動』が発売。また、96年にはプラットフォームをセガサターンに移し、数百年後の世界を描いた『アルバートオデッセイ外伝〜LEGEND OF ELDEAN〜』が発売されている。良作である事は間違いないので、機会があれば安易にググらず、自らの手でエンディングを見て欲しい。



Books
『アルバートオデッセイ ワールドアトラス』


 








【著】飯田真佐史、福田純子
【発売】小学館
【発売日】1993年4月20日
【定価】1,000円

 プレイ中、最も長時間見る事になるフィールド画面「ゴート大陸」と「オズワルド大陸」の詳細なマップを中心に、敵の配置とその対策などを優しい文体で書かれた1冊。前述した様に、武器や防具は買うまで誰が装備できるか分からないが、本書の武器防具リストでは装備できるキャラクターが書かれており、これが地味に重宝するのだ。また、マニュアルでは背景として4ページ&見難かった4人+中ボス「ドラゴン」の立体物もじっくり眺める事ができる。元々、攻略本が必要なほど難易度は高くないが、古本屋などで運よく見かけたらゲットしておこう



(C)1993 SUNSOFT  (C)1993 TOKAI ENGINEERING

2021/12/01

サイドポケット

  


【発売】ナムコ
【開発】データイースト
【発売日】1987年10月30日
【定価】3,900円
【媒体】ファミコン用カートリッジ
【容量】1M+256Kbit
【ジャンル】テーブル




ビリヤードの教本的ソフト


【概要】
 オリジナル版は86年にデータイーストがアーケードで発売したビリヤードゲーム。ファミコン版はデータイーストが開発し、ナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)から発売された。球を撞くポイント、クッションの使い方からマッセまで、ビリヤードの奥深さを再現している。パッケージアートは冨士宏氏によるもの。


【ゲームシステム】
 トップビュー形式のオーソドックスなビリヤードゲーム。主なモードは、街のハスラーとして順番に関係なく的球を落とし、「CITY」、「JAPAN」、「U.S.A.」、「WORLD」の各ステージをクリアしていく本作のオリジナルモード「ポケットゲーム」と、球を撞くポイント(撞点=どうてん)などを基礎から学ぶ「トレーニングモード」の2種類。また、2人プレイによる対戦時のみ「ナインボール」をプレイする事ができる。

 トレーニングモードは「レッスン」と「プラクティス」に分かれており、レッスンでは、中心突き、押し球、引き球、右ひねり、左ひねりという手球の撞点と、クッションの使い方を丁寧に教えてくれる。プラクティスになると、手球と的球を自由に配置して、ショット時のパワー、撞点、クッションの関係をより実践的に練習する事ができる。両モード共、ミスした際に活用できる「再現プレイ」が備わっており、ひとかどのハスラーを目指す煤けたオトナへの階段の上り方がレクチャーされるって感じ。


【総評】
 マーティン・スコセッシ監督、ポール・ニューマン主演の映画『ハスラー2』が公開された86年以降、日本でもビリヤードブームが起こり、本作もその流れによって製作された…かどうかは知らないが、画面は地味でオーソドックスでも、丁寧なビリヤードゲームとして仕上がっている印象だ。球の挙動も当時のゲームとしてはよくできており、挙動不審な点も目立たない。ビリヤード初心者なら、教本を買うよりも本作をプレイした方が実際に役に立つ部分が多いと思う。地味だけど。



 ポケットゲームでは、5つの持ち球があり、誤って手球を落とすorミスショット2回で1つ減るのだが、ステージをクリアしてもこの持ち球の数は前ステージからの持ち越しなのがちょっといやーんな点かも。ステージが進むにつれ難易度が上がっていく要因のひとつになっているからだ。プレイ中はただひたすら地味な画面だが、ステージをクリアするとパツキンのおねーちゃんに惚れられ、ドライブに行ったりする寸劇が披露される←「寸劇」って言うなよ。

 本作は後に他機種にも移植され、95年には続編『サイドポケット2 伝説のハスラー』(データイースト)も作られている。が、やはりここは血迷ったデータイーストが脱衣ビリヤードゲームとしてアーケードで発売した『ポケットギャル』について述べていきたい!「勝てば脱ぐ!相手が!」という脱衣麻雀と同様の万国共通システムであるが、既にタイトル画面でバニーガールが脱がされている。早い!相手のギャル(←死語)は負けると「ビリヤードのテクニックはすごいけど、アッチのテクニックはどうなのかしら?」などと直球ベタセリフで挑発してくるので、その後はおじさんのキューで突いたりするのであろーか←減点。

 ビリヤード、学生時代や社会人初期の頃はたまにやってたなー。オッシャレーなプールバーを横にグラスを傾けたおねーちゃんがいたりはしない質素なビリヤード場で。まあ、完全に下手の横好きだったんですけどね。これやってまたビリヤード場に行きたくなってきたぜー!そしておじさんのキューさばきを披露していきたい!←マイナス5億点。



(C)1987 DATA EAST CORP. / NAMCO LTD.

2021/11/19

女神異聞録ペルソナ


【発売】アトラス
【開発】アトラス
【発売日】1996年9月20日(PlayStation The Best版:1997年6月27日)
【定価】6,800円(PlayStation The Best版:2,800円)
【媒体】プレイステーション用CD-ROM
【ジャンル】ロールプレイング




『女神転生』の残り香濃い新シリーズ


【ストーリー】

 瀬田区御影町…それが、主人公であるあなたが通う聖エルミン学園のある街。遺跡や神社など、歴史の古さを感じさせる建造物と、近代的なビルが群れをなす、歴史が凝縮された街である。

 その中で一際異彩を放つハイテク企業「S・E・B・E・C」~セベク~。エジプト神話で、獰猛かつ悪の化身として語られる神の名を冠した企業は、10ヶ月ほど前に御影町に拠点を設けた最先端企業である。しかし、若くしてセベクの支社長に抜擢された神取鷹久とセベクには、常に黒い噂が付き纏っている。街のあちこちで見かける黒いスーツに身を包んだ怪しい男達。夜中に地下より聞こえてくる不気味な機械音。社内を徘徊する黒い幼女の亡霊など、これらは全て街に渦巻くセベクに関連した噂の数々である。そして、胸に昏い野望を抱きつつ、平和な街を睥睨する神取の目的など、人々はまるで知らない…。

 主人公であるあなたも、そんな人々の1人。ミッション系私立高校、聖エルミン学園の2年生であるあなたは、マーク、ゆきの、南条、そして、幼少の頃から病弱なため、1年前から再入院している影のある少女・麻希など、何人かのクラスメイトに囲まれながらも、ごく平凡な日常を送っている。ありきたりな日常、当たり前のごとく流れて行く青春の僅かな時間…。

 そんな学園生活の中で、「未来の自分の姿が見える」という事から、いつの間にか生徒達の間で流行りだした、ちょっとした占い遊びである「ペルソナ様遊び」。主人公達は、この「ペルソナ様遊び」を始めた事がきっかけとなった一連の神秘的な出来事によって、心の奥底に潜む自分の多面性~別なる人格~の力である「ペルソナ」に目覚め始める。

 折しも、主人公達が麻希の見舞いに訪れているちょうどその頃、神取の野望が街を覆い尽くそうとしていた。街を襲う突然の変異の中で、否応なしに社会に投げ出された主人公達は、やがてセベクや神取と関わる事になり、事件に巻き込まれていく…。


【概要】
 ファミコン及びスーパーファミコンでコアユーザーに根強い人気を博した『女神転生』シリーズから派生した本作は、これまでのマクロな視点から、各々の苦悩や葛藤を抱えながらも前に進もうとする思春期に揺れる高校生達のミクロな視点で物語を紡いでおり、新たなファン層を獲得。『女神転生』シリーズから独立した『ペルソナ』シリーズとして、現在も続編が作られている。


【ゲームシステム】
 ダンジョン移動時は3Dビュー、会話や「ベルベットルーム」、イベントなどはクォータービュー形式のロールプレイングゲーム。遭遇した敵(悪魔)とは戦闘以外にも「会話」を行う事ができ、うまく交渉するとその悪魔の「スペルカード」が手に入る。これを複数枚集め、ベルベットルームへ持っていくと、悪魔を「ペルソナ」として身に着けたり、「合体」でより強力なペルソナを作る事ができる。本作では怪しい企業「セベク」とその親玉「神取鷹久」の野望を食い止める「セベク編」と、主人公の偶発的行為から学園が氷漬けになってしまう「雪の女王編」の2本のシナリオが収録されている。

 『女神転生』シリーズから引き継がれた要素もいくつかあるが、最も大きなポイントは、月齢(=月の満ち欠け)だろう。新月(NEW MOON)から満月(FULL MOON)までの間は9段階で表示されるが、この月齢がゲーム進行上大きなポイントとなる。まず、新月→満月の流れで悪魔の興奮度が上昇し、交渉が成立し難くなるだけでなく、戦闘時には全体攻撃など、威力の高いものを優先する様になる。そのため、FULL MOONに近い月齢でボス戦などに挑むのは得策ではない。また、ベルベットルームでのペルソナ作成時において、潜在能力や合体事故でのランダム魔法継承にも関係してくる。
 
 パーティーは5人編成。プレイヤーである主人公、病弱だけど明るい「園村麻希(マキ)」、お調子者だが人情にあつい「稲葉正男(マーク)」、たぶん元ヤンの「黛ゆきの(ゆきのさん)」、口の悪い金持ちのボンボン「南条圭(なんじょうくん)」、帰国子女で怪奇現象好きな「桐島英理子(エリー)」、今が楽しけりゃそれでいい「綾瀬優香(アヤセ)」、チャラチャラしてるので使った事がない「上杉秀彦(ブラウン)」の8人。「セベク編」ではマキ、マーク、南条くんが固定メンバー。「雪の女王編」ではゆきのさん、アヤセが固定メンバー。残りは任意選択でメンバーを選び、物語を進める。僕のお気に入りは南条くんとゆきのさんだ。


【総評】
 スーパーファミコンからいわゆる次世代機へとプラットフォームが変わった際、アトラスはそれまでの『女神転生』シリーズを受け継いだ『真・女神転生 デビルサマナー』をセガサターンで、新しい派生シリーズとしてプレイステーションで本作を発売した。当初は学園モノで少年少女が主人公、クォータービューの採用、悪魔を「仲魔」にできないといった面で『デビルサマナー』よりも低い前評判だった本作だが、いざ蓋を開けてみると、その新要素とこれまでの『女神転生』シリーズの残り香の強い内容に評価は一変し、狙い通りに新しいファン層の取り込みに成功した。

 
 
 全般としては、セーブポイントの少なさ、敵とのエンカウント率の高さ、ダンジョン内のサディスティックでスパルタンなトラップの数々など、若干ゲームバランスが崩れかけているほど非常にシビアなものとなっている。ついでに長い時間かけてクリアと思いきやバッドエンディング(アナザーエンディング)まで用意されてる徹底ぶり。また、スタッフ陣の岡田耕始ディレクター、金子一馬アートディレクターは従来のままだが、これまで尖ったサウンドを輩出していた増子司氏が『デビルサマナー』チームに行った事で、サウンド面がかなり弱くなってしまっている。本作のサウンドチームは、薬局「サトミタダシ」の店内BGMや本職のオペラ歌手を起用したベルベットルームのBGMを手掛けた沖辺美佐紀氏(現スパイク・チュンソフト)の他、後のシリーズで手腕を存分に発揮する目黒将司、土屋憲一の両氏による3名が担当しているが、このサウンド面の弱さは06年にプレイステーション2用ソフト『ペルソナ3』から目黒、土屋両氏が中心となり、ヴォーカル曲を多用したものに一新。09年にプレイステーション・ポータブルに移植された本作(タイトル名は『Persona』に変更)でも、『ペルソナ3』以降のイメージで多くの曲が差し替え、強化されている。

 やり込み要素が多いのも特徴だ。悪魔を倒して得る経験値はパーティー一律同じではなく、その戦闘中に活躍した順に振り分けられる。狙ったキャラクターが上手く育たない場合は、パーティーのフォーメーションを任意で変えてみるのも一考だ。また、キャラクターと同じく、ペルソナにも経験値が振り分けられる。レベルが上がると当然使用できる魔法などが増え、強くなる。ペルソナは1人につき3体まで降魔できるが、状況やゲームの進行具合に合わせて新しいペルソナを作るもよし、1つのペルソナを最大レベルまで育ててみるのもまた楽しい。

 ストーリーとしては、「セベク編」が本筋で、「雪の女王編」がサブシナリオに当たるが、どちらもクリアまでにはかなりの時間と根気が必要だ。僕の場合、「セベク編」だけでもクリアするのに94時間を要した。「セベク編」は、悪い会社が街を孤立させて悪魔を生み出したのでやっつけるゼ!的な内容で、「雪の女王編」は、主人公が見つけた仮面に悪魔が乗り移って学園が氷漬けになった&4本の塔が出現したので攻略するゼ!的な内容だ。相変わらずいい加減な説明でありすまんす。「セベク編」はあまり学園モノという事を感じさせないが、「雪の女王編」では学園内で起こった事件であるため、教師や生徒達とのコミュニケーションも多い。

 

 悪魔を除けば『女神転生』シリーズとの直接的な関係はないが、まだシリーズ1作目という事もあり、その影響は各所に見られる。また、フェンシング部に所属する「内田たまき」は、94年にスーパーファミコンで発売された『真・女神転生if…』の女性主人公だったりする。とにかく盛沢山であり、厳しいゲームバランスの中でも、それだけの時間を費やすに値する作品である。僕もまだやり込みが足りない部分があるので、引き続き楽しみたいと思う。



Books
『女神異聞録ペルソナ公式ガイドブック』








【著】飯田真佐史、新城健一、ファミ通編集部責任編集
【発売】アスペクト
【発売日】1997年1月9日
【定価】1,300円



 全4章で構成されたガイドブックだが、第1章の報告書風にまとめられた攻略チャートは、著者の独りよがりも甚だしく全く以て分かり難く、正直に言ってまるで役に立たない。全編を通してこの文体なので少々辛いが、第2章のマップ攻略は本作をプレイするうえで必須であるっつーか、攻略本なしでクリアとか僕には無理でした。ファミ通の攻略本が得意とするデータ類も充実しており実用的だ。
岡田耕始ディレクター、金子一馬アートディレクター、里見直シナリオライターのインタビューも掲載されており、全体としては無難な出来である。文体はアレだがマップだけでも必要性の感じられる1冊。表紙がイカス。



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2021/11/08

ストリートファイターEX plus α

 




【発売】カプコン
【開発】アリカ
【発売日】1997年7月17日(PlayStation The Best版:1998年9月23日)
【定価】5,800円(PlayStation The Best版:2,800円)
【媒体】プレイステーション用CD-ROM
【ジャンル】アクション




3Dグラフィックスでの2D対戦型格闘アクションへの挑戦


【概要】
 オリジナル版は96年にアリカが開発し、カプコンがアーケードで発売した対戦型格闘アクションゲーム『ストリートファイターEX』。その後、97年に『ストリートファイターEX plus』が発売。本作はそのマイナーチェンジ版である。アリカは、カプコンで『ファイナルファイト』や『ストリートファイターII』などを手掛けた西谷亮氏が独立したデベロッパーで、本作は当初『ストロンガー』という仮称で開発されていたが、西谷氏の頼みでカプコンでの上司であった岡本吉起氏が『ストリートファイター』シリーズとして発売した。


【ゲームシステム】
 サイドビュー形式の対戦型格闘アクションゲーム。『ストリートファイター』シリーズとしては初のポリゴンを取り入れた3Dゲームだが、『バーチャファイター』(セガ・エンタープライゼス)などの様な任意の軸移動は存在せず、従来のシリーズ同様に2Dのシステムに仕上がっている。基本技は弱中強の各パンチとキック。これにジャンプやしゃがみ込み、相手との距離やタイミングで多彩な技を繰り出す事ができる。って、書くのは簡単なんだけど、実際には指にタコができるくらいまで練習するんだ、これが。対戦型格闘アクションゲームはどれもそうですけどね。

 登場キャラクターは「リュウ」、「ケン」、「春麗」、「ガイル」、「ザンギエフ」、「ほくと」、「スカロマニア」、「ドクトリン・ダーク」、「クラッカー・ジャック」、「プルム・プルナ」、「カイリ」、「アレン・スナイダー」、「ダラン・マイスター」、「ブレア・レイム」、「豪鬼」、「ベガ」、「ガルダ」。これに『plus』で追加された「殺意の波動に目覚めたリュウ」、「血の封印を解かれたほくと」、「サイクロイド・ベータ」、「サイクロイド・ガンマ」。本作『plus α』で追加された「ダルシム」、「春日野さくら」の以上23人を使用できる。

 本作では各キャラクターのストーリーを追った「アーケードモード」、対戦用の「VSモード」、5対5の「チームバトルモード」、用意されたコースのクリアタイムを競う「タイムアタックモード」、次々に出て来るコンピュータキャラクターを倒していく「サバイバルモード」、技の練習などができる「プラクティスモード/トレーニングモード」&「プラクティスモード/エキスパートモード」、コンピュータ同士の対戦を観戦する「ウォッチモード」、難易度設定やサウンドテストができる「オプション」と、プレイステーションへの移植に際し、充実したモードが大幅に追加されている。

 基本動作は前述したパンチとキック、投げ、ガード、ジャンプ、しゃがみ込みで、2本先取の3ラウンド制。相手の体力ゲージを先にゼロにした方が勝ちとなる。各キャラクターには必殺技があり、これが相手にヒットしたり、逆にダメージを喰らう事で体力ゲージ下にある「スーパーコンボゲージ」が3つまで貯まり、発動する事で普段よりすげー技を繰り出すのだ。ルールはシンプルだけど文章にすると長いぜ>対戦型格闘アクション。

 


【総評】
 第一次対戦型格闘アクションゲームのブームを起こした『ストリートファイターII』は、その後も多くのシリーズを輩出しているが、2D格闘アクションの雄たる同シリーズがあえてフルポリゴンの3Dになった本作の意図は、もちろん市場的に『バーチャファイター』などの3D格闘アクションへの流れもあっただろうが、『バーチャファイター』や『鉄拳』(ナムコ)などの3D格闘アクションとは似て非なるものとして別の土俵で戦おうというカプコンの挑戦であったのではなかろーか。いや、ホントはどうだか知らないんだけど。『ストリートファイターII』の完成度の高さの要因は多々あるが、操作感覚の微細な調整に次ぐ調整で、プレイ中に全くストレスを感じさせないというのがある。本作はそういった『ストリートファイターII』の良い部分を全て受け継ぎ、「ガードブレイク」や「スーパーキャンセル」などの新要素も加え、見た目は3Dだが中身は従来の2Dのままという新しいスタイルを生み出し、08年に発売された『ストリートファイターIV』にも継承されている。

 

 また、見過ごせない(聴き逃せない)のが、サウンドだ。対戦中はBGMなど気にしないプレイヤーもいるかもしれないが、ナムコで『ドラゴンセイバー』や『リッジレーサー』シリーズを手掛けた細江慎治氏による数々の良曲が対戦を盛り上げる。特に、格闘ゲームとは思えないサックスとギターによる爽やかフュージョン系の「Precious Heart(Theme of Sakura)」、ギターと三味線のソロが最高にカッチョいい「Rising Dragoon(Theme of Ryu)」、正統派の対戦型格闘アクション的「Guardian of Light(Theme of Ken)」や「Spinning Bird(Theme of Chun-Li)」、静から動へ「Strange Sunset(Theme of Guile & Allen)」などなど、挙げるとキリがない。ゲームもいいが、たまにはオプションのサウンドモードでじっくり聴いてみてほしい。本作のサウンドは98年発売の『ストリートファイターEX 2 オリジナルサウンドトラック』にも収録されている。

 学生時代、友人達と3,000試合は対戦しているので、あれから随分経つが指がしっかりと操作を覚えており、身体に叩き込まれてしまっている本作。今ではなかなか友人との対戦もできず、1人でコンピュータ相手にプレイしているが、その度に徹夜で明け方までワイワイと対戦したあの頃を思い出す青春の1本だったりするのであった。あ、エンディングの文字が見難い&すぐ消えて読めないのだけはどーにかしてほしかったぞ。



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