2021/12/09

アルバートオデッセイ

 

【発売】サンソフト
【開発】サンソフト、東海エンジニアリング
【発売日】1993年3月5日
【定価】9,600円
【媒体】スーパーファミコン用バックアップカートリッジ
【容量】8M
【ジャンル】シミュレーションRPG




悲しみに始まり悲しみに終わる隠れた名作


【ストーリー】
 かつて栄華を極めた古代文明グローバス。その文明を復活させ、世界征服に利用しようと目論む悪の大魔導士・オズワルドがいた。彼は魔術で魔物を生み出すと、世界を征服し始めた。そして、ついに無敵を誇るゴート騎士団をも打ち破り、もはや世界はオズワルドのものかと思われた時だった。

 1人の少女が不思議な光を発した!彼女の名前はソフィア。ゴート騎士団の総督だった彼女の父は壮絶な死を遂げた。また、母もオズワルドによってソフィアの目の前で殺され、怒りと悲しみから、彼女の中に潜んでいた不思議な力が一気に爆発したのだ。この強烈な光は、魔物共々オズワルドを世界の果てへと吹き飛ばした。世界は魔道の血を引く少女によって救われたかに見えたが…。



 ーーーそれから10年の時が流れた。なんと、オズワルドは、驚くべきエネルギーを以て世界の果てから復活していた。そして、更なる魔力を秘めた彼は、グローバス復活の鍵である水晶を求めて、再び進軍を開始したのである。

 ソフィアはゴート騎士団の団長であるスレイの元に引き取られ、王都ゴートで宮廷魔術師として成長していた。だが、もはや彼女1人では更なる魔力を秘めたオズワルドに立ち向かう事は到底不可能だった。人並み以上の勇気と力を備えた者の協力が必要なのだ。そんな時、勇者の血を引く少年がチベリスにいると聞いたソフィアは、モンスターに命を狙われながらもチベリスに辿り着き、司祭様から1人の少年を紹介された。彼こそ、王族の血を引く、すなわち勇者の血を引く少年・アルバートだったのだ。

 そして今、アルバートとソフィア、僧侶としての修行を積むために同行する事になったノイマンの3人が、オズワルドの野望を阻止するため、冒険の旅に出る。グローバス復活の鍵となる水晶はどこにあるのか、封印を解く鍵とは何か、そして、果たしてオズワルドを倒す事ができるのか。アルバート達の使命は限りなく果てしない…。


【概要】
 93年にサンソフトと東海エンジニアリングによって開発されたシミュレーションRPG。勇者である主人公「アルバート」、魔導の血を引く「ソフィア」、見習い僧侶の「ノイマン」、騎士団長「スレイ」の4人を中心に、悪の化身「オズワルド」を倒すという、一見するとオーソドックスな剣と魔法が舞台のストーリーだが…。ベース部分は『ドラゴンクエスト』(エニックス)や『ファイナルファンタジー』(スクウェア)を、システム部分は『G-LOC』(セガ・エンタープライゼス)を参考に製作された。


【ゲームシステム】
 RPGの戦闘にフィールド上での戦略的な要素を加えたシミュレーションRPG。フィールドマップ上では、最大4人パーティの「移動」、「攻撃」、「特殊」を操作し、「ヘックス」と呼ばれるマス目に区切られたフィールドで移動や敵との戦闘を繰り返しながら冒険を進めていく。全員が「行動終了」すると、敵側のターンになる。「地形効果」や「方向補正」があり、平地より森や山にいた方が戦闘時に有利だったり、
正面からよりも相手の背後から攻撃した方がより高いダメージを与える事ができる。もちろん、これは敵にも言える事だ。

 町や村ではRPGの様に、会話をして情報を集めたり、買い物をする事ができる。村人の中には同社のマスコットキャラクター『へべれけ』のメインキャラクター達もこっそり出演している。また、時間の概念があり、日中と夜間では会話の内容や姿を現す人物達が変わる事がある。フィールドマップ上では、夜間の方が敵の強さが上がるので注意だ。シミュレーションRPGとしては初心者向けとも言え、あまり難しく考えずに普通のRPG感覚でプレイできるので、万人に勧められる作品に仕上がっている。



【総評】
 美麗なグラフィック(町中での流れて行く雲の影が実にいい)、重厚なサウンド。シミュレーションRPGでは冗長になりがちな戦闘シーンも、キャラクターの素早いアニメーションと効果音でテンポよく進み、非常に丁寧に作られているのが分かる。プレイ中にストレスがほとんどないのは、細部に渡って繰り返し調整が成された証拠だ。

 プレイヤーはアルバート、ソフィア、ノイマン、スレイの4人を基本パーティとするが、各キャラクターには「移動」と「攻撃」の他に特殊スキルを各々1つづつ持っている。アルバートは青いライオンか不死鳥に姿を変えて敵に大ダメージを与える「変身」。ソフィアは一撃必殺の雷撃or複数の敵を同時に攻撃できる火炎弾or1度行った場所へ瞬間移動できる「魔法」。ノイマンはヒットポイントの回復orマヒの治癒or蘇生の「回復(魔法)」。スレイは行動終了キャラクターを同ターンでもう1度行動可能にする「はげます」だ。序盤ではアルバートの変身とソフィアの魔法が強力過ぎてノイマンの経験値がなかなか伸びない場合があるが、その際にスレイの「はげます」を使い、ノイマンに1ターンで2度の敵への攻撃&仲間への回復魔法を使って進めて行くのがオススメだ。ていうか、ノイマン、僧侶のわりに通常攻撃はアルバート並みに強いんですけどね。わりと一瞬なのでじっくりと見る事はできないが、戦闘シーンも非常に描き込まれたグラフィックで、キャラクターの動きとリアクションも細かい。敵とのパワーバランスはプレイヤーの方が若干上なのも、サクサクと気持ちよく進められる要因だ。

 

 難点と言えば、ひとつのミッション(街や村をモンスターの群れから解放する)をクリアした後、次にどこへ行けばいいのかよく分からなくなる点。村人の「東だよー」とかそんなざっくりした説明だけで広大なマップを右往左往しない様に、ざっくり説明された場所を拡大マップでよく見ればいいだけの話なんですけどね。もうひとつは、武器防具を買うまで誰に装備できるか分からない点。これは説明書にもある様に、買い物前にセーブをして無駄遣いを減らそう。『女神異聞録ペルソナ』(アトラス)もそうだったなー。地味に不便。あ、あと、大した脈略もなく途中でパーティをぽっと出の別の3人のキャラクターと入れ替えられるが、特に愛着もないので入れ替えないっす。必然性がないっつーか。

 

 さて、『アルバートオデッセイ』と言えば、衝撃的なエンディングについて書かないわけにはいかないであろー。っつってもネタバレはしないけど。今じゃ簡単にググれば分かるけど(これがいい事なのかどうかは考えモノですな)、インターネットなぞない時代、専門誌にも攻略本にだってエンディングの事は書かれてないので、それはもうビックリしたですよ!ビックリした後はしばらく放心状態で。でも、誤解してほしくないのは、決して嫌なわけではなく、ホントにただただビックリ&放心で、なるほどこういう終わり方のゲームもあるんだなと。30年経った今回、改めてプレイしてみて、ストーリーはさっぱり忘れてたけど、エンディングだけはハッキリと覚えてたっす。

 本作の中古市場での価格は完品で1,500円前後。他にWiiとWii Uでダウンロード販売もされている。気になる続編だが、94年に本作から10年後を描いた『アルバートオデッセイ2 邪心の胎動』が発売。また、96年にはプラットフォームをセガサターンに移し、数百年後の世界を描いた『アルバートオデッセイ外伝〜LEGEND OF ELDEAN〜』が発売されている。良作である事は間違いないので、機会があれば安易にググらず、自らの手でエンディングを見て欲しい。



Books
『アルバートオデッセイ ワールドアトラス』


 








【著】飯田真佐史、福田純子
【発売】小学館
【発売日】1993年4月20日
【定価】1,000円

 プレイ中、最も長時間見る事になるフィールド画面「ゴート大陸」と「オズワルド大陸」の詳細なマップを中心に、敵の配置とその対策などを優しい文体で書かれた1冊。前述した様に、武器や防具は買うまで誰が装備できるか分からないが、本書の武器防具リストでは装備できるキャラクターが書かれており、これが地味に重宝するのだ。また、マニュアルでは背景として4ページ&見難かった4人+中ボス「ドラゴン」の立体物もじっくり眺める事ができる。元々、攻略本が必要なほど難易度は高くないが、古本屋などで運よく見かけたらゲットしておこう



(C)1993 SUNSOFT  (C)1993 TOKAI ENGINEERING

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