2022/01/18

山村美紗サスペンス 京都花の密室殺人事件

 



【発売】タイトー
【開発】ディスコ
【発売日】1989年2月11日
【定価】5,900円
【媒体】ファミコン用カートリッジ
【容量】1M+64KRAM
【ジャンル】アドベンチャー




前作の汚名を返上したオーソドックスなアドベンチャーゲーム


【ストーリー】
 主人公のあなたは友人のキャサリンと共に、生け花の個展を見に京都へやって来た。主催者は華道の京本派でも高弟の実力をもつ「松野愛子」。彼女は挨拶を交わすと、席を外した。しばらくして戻ったかと思うと、突然、彼女は苦しみだし、そのまま死んでしまった。不意の出来事に驚きながら、警察へ連絡するあなた。キャサリンとあなたは、友人を殺害した犯人を見つけるため、狩矢警部の協力を得て、独自の調査を開始する。



 しかし、この事件には巧妙なトリックが仕掛けられており、姿の見えない犯人との知恵比べへと変わっていった。捜査が進むうちに、第二の殺人が密室の茶室で発生。そして、第三の殺人までも…。家元制度批判への報復か、弟子の地位を狙う女の争いが原因か。事件の核心は、複雑に絡まるトリックに隠されたままだ…。


【概要】
 原作にミステリー作家の山村美紗氏を起用したタイトーの『キャサリンシリーズ』第2弾。前作『山村美紗サスペンス 京都龍の寺殺人事件』同様に京都を舞台にし、「キャサリン」や京都府警刑事部捜査一課「狩矢荘助」警部も前作に続いての出演。顔グラフィックが前作の流用だけど。


【ゲームシステム】
 オーソドックスなコマンド選択式アドベンチャーゲーム。前作同様、メインコマンドはアイコン化されているが、色が着いた事で視覚的により分かりやすくなり、また、その場面で不必要なアイコンは表示されなくなったため、スムーズなプレイが可能だ。ゲームに詰まった時は、自分の部屋に戻って考えをまとめたり、キャサリンに助言を求める事ができるのも前作から引き継がれている。捜査期間は3月1~12日まで。新たに自分の部屋の時計(9~19時まで)を見る事で、その日の捜査の進展状況が分かる様になった点が地味に便利だ。


【総評】
 前作は酷評したが、本作はしっかり作られている。まあ、それが当たり前なんだけどさ。反面、完全に1本道のストーリーになってしまったが、まあ、ここらへんは当時のアドベンチャーゲームとしては珍しくないので、大きなマイナス要素ではないだろう←偉そうに。キャサリンとの役割分担もはっきりしており、プレイヤーはコツコツと証拠や証言集めに奔走し、キャサリンはカフェで優雅に密室殺人のトリックを解くという立場になった。
また、京都の街並みや独特のしきたり、舞子さんの登場など、より京都らしい舞台描写がなされている。ゲーム進行がスムーズ過ぎて2時間半程度でクリアできてしまうが、それこそ2時間ドラマを楽しむ感覚でプレイしよー。


PROGRAMMED BY DISCO (C)TAITO CORP. 1989

2022/01/17

山村美紗サスペンス 京都龍の寺殺人事件

 



【発売】タイトー
【開発】トーセ
【発売日】1987年12月11日
【定価】5,500円
【媒体】ファミコン用カートリッジ
【容量】2M
【ジャンル】アドベンチャー




薄いストーリーと致命的なバグを抱えたお粗末な「商品」


【ストーリー】
 その事件は、桜の花の舞う京都・龍の寺で起こった。

 主人公は、新作ゲームのイベントのため、京都の龍安寺にやって来たゲームデザイナー。ところが、龍安寺で偶然にも女性の死体を発見。その手のひらには、文字の書かれた6枚の桜の花びらが握り締められていた。殺された女性の名は、尾沢百合子。京都でも有数の資産家の娘だ。しかし、事件はこれだけに留まらず、第二、第三の殺人事件に発展していく。京都の龍の寺々を舞台にして…。

 驚くべき事に、一連の殺人事件は、ゲームデザイナーが構想中の次のゲームの内容とそっくりに進んでいくのだった。そのために京都府警本部の狩矢警部に、容疑者としてマークされてしまう。このゲームデザイナーとは、あなたの事。推理力バツグンのパートナー、キャサリンの協力を得て、独自で事件の捜査を開始するが、尾沢家の財産を巡る争いなど、複雑な人間関係が入り乱れ、謎はますます深まっていくのだった…。


【概要】
 ミステリー作家の山村美紗氏が『キャサリンシリーズ』より脚本を書き下ろしたアドベンチャーゲーム。ドラマも多く放送されており、特に96~06年までTBS系列で放送されたかたせ梨乃氏主演『名探偵キャサリン』の印象が個人的には強いが、本来の「キャサリン・ターナー」は「アメリカ副大統領の娘」という設定。龍安寺、天龍寺、善峯寺、三玄院など、京都を舞台にしているのが特徴。


【ゲームシステム】
 オーソドックスなコマンド選択式アドベンチャーゲーム。メインコマンドはアイコン化され、視覚的に分かりやすい。このテのゲームでは刑事や探偵が主人公の場合が多いが、主観が容疑者の1人(のわりには自由に動けるけど)という点もユニークだ。ゲームに詰まった時は、自分の部屋に戻って考えをまとめたり、キャサリンに助言を求める事もできる。捜査期間は4月15~23日までで、その日に行うべき事を全て完了させると、日付が変わる仕組み。


【総評】
 タイトー初の本格アドベンチャーゲームとしては及第点と言いたいが、本作にはゲーム進行を妨ぐバグがいくつか存在する。各攻略サイトでも言及されているが、ここでは致命的な3点を挙げておく。

・17日に尾沢家へ行き、「およね」に「みなこ」の写真を見せると画面がバグり、フリーズする。
・20日にヴィラ都で「きく」→「あたりのひと」→「さわお」を行わずに移動すると、尾沢家の「みなお」の部屋と「みなこ」の部屋へ行けなくなり、進行不能となる。
・コンティニューはパスワード制だが、正しいパスワードを入力しても「パスワードがまちがっています」と表示される。何度かパスワードを最初から入力し直せば認識するが、これにはまいった。

 

 『影の伝説』『スペースインベーダー』の項でも述べたが、タイトー製ファミコン作品は「大味で詰めが甘い」という印象を僕は抱いていて、今回も残念ながら払拭できず。バグに関しては国内最大手のデベロッパーであるトーセ側の問題もあるが、デバックの甘いタイトー側の責任でもある。特にパスワード制コンティニューで正しいパスワードを認識しないのでは、これでゲームを止めてしまっても仕方がない。人物の顔グラフィックなど、頑張っている部分もあるが(特に松方弘樹氏が演じた京都府警刑事部捜査一課警部の「狩矢荘助」がすげー似ている)、「商品」としてはお粗末と言えよう。

 ストーリーは、旧家の遺産相続を巡る男女の愛憎を描いた、わりかし2時間ドラマなどでお馴染みのお話だが、山村美紗氏が書き下ろした脚本のわりには薄っぺらい。最初の被害者である「百合子」が握っていた6枚の桜の花びらに書かれた文字も、似た様な名前の平仮名表記なので覚え難く、誰にでも該当してしまう。進行上のフラグ立ても不必要なものが多く、これでストーリーに深みを加えようとしたつもりなら、舐められたものだ。肝心のキャサリンもあまり役に立たず、事件の辻褄合わせというか狂言回しに終始と、全体的に浅く薄く大雑把なのだった。



(C)TAITO CORP. 1987

2022/01/13

ナムコミュージアムアンコール

  


【発売】ナムコ
【開発】ナムコ
【発売日】1997年10月30日(PlayStation the Best版:1999年10月28日)
【定価】5,800円(PlayStation the Best版:オープン価格)
【媒体】プレイステーション用CD-ROM
【ジャンル】オムニバス
【受賞】1996年:CESA大賞'96ゲームジャンル別賞バラエティ賞




昔のナムコが好きだ!その6


【ストーリー】
 本日はナムコミュージアム別館「ミライヤ」へお越し頂きまして、誠にありがとうございます。そもそも「ミライヤ」は1982年にオープンしたナムコ直営ロケーションのひとつです。店内を宇宙船内に見立てるなど、未来の遊技空間をイメージし、当時のゲームセンターとしては珍しく、アンテナショップとしての役割も持っていました。現在ご好評頂いている「ワンダーエッグ」や「ナンジャタウン」などのテーマパークも、「ミライヤ」がその礎を築いたと言っても過言ではないでしょう。それではナムコミュージアム、どうぞごゆっくりお楽しみ下さい。


【収録作品】
01.キング&バルーン(80年10月)
02.モトス(85年9月)
03.スカイキッド(85年12月)
04.ローリングサンダー(86年12月)
05.ワンダーモモ(87年2月)
06.ロンパーズ(89年12月)
07.ドラゴンセイバー(90年12月)




【概要】
 ナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)が蒲田一輝いていた頃に発売されたアーケードゲームの数々を完全移植で複数収録したオムニバスソフト。ゲームのみならず、多くの関連資料や同社の会社資料までも収録したプレイステーション用ソフトとして、全6本が順次発売された。本作はその最終作。『キング&バルーン』、『モトス』、『ロンパーズ』は家庭用ゲーム機では初の移植である。メモリーカード用シールが付属。また、初回特典スペシャルボックスとして、シリーズ6本+メモリーカードが収納できる化粧箱も付属していた。潰れたんで捨てちゃったけど。尚、「ナムコ・ワンダーエッグ」は92~00年まで存在したテーマパーク。「ナムコ・ナンジャタウン」は96年に開園し、現在も東京は池袋で運営されている。


【ゲームシステム】
 これまでのミュージアムではなく、「別館」として、かつて存在したナムコ直営のゲームセンター「ミライヤ」を模した空間に、各ゲームと「データノート」が同列に設置されている。前作まであった各種演出やサウンドのアレンジ化などはなくなり、かなり簡素化された。


【総評】
 前述した様に、これまでのシリーズで好評だったミュージアム内の探索やゲームごとにあった愉快な演出、メインサウンドのアレンジ化、豊富な展示資料などは全て廃され、せいぜいがインストラクションカードと一部のゲームのポップ類などが見られるだけで、突貫工事で作られた感は否めない。『ワンダーモモ』や『ドラゴンセイバー』などは相応のノベルティが作られているはずだが、それらの収録もなし。非常に寂しい作りになってしまっている。

 

 収録されているゲームは、ファミコン版が好評だった『スカイキッド』、PCエンジン版では独自の演出が加えられていた『ワンダーモモ』、相変わらず細江慎治氏のサウンドが光りまくる『ドラゴンセイバー』を軸に、コアユーザーも少なくない『モトス』と『ロンパーズ』。『キング&バルーン』はナムコの歴史を垣間見るうえでも貴重な作品である。であるが、やっぱ全体的に地味だよなー。絶対突貫工事で作ってるよなー。他のオムニバスソフトを寄せ付けない充実した内容が売りのシリーズだっただけに、最終作ではそのコンセプトが消え、なんとも寂しい終わり方になってしまったのがマンモス残念。


Produced by NAMCO LTD. (C)1997 NAMCO LTD.,ALL RIGHTS RESERVED

2022/01/04

パネルクイズ アタック25

 

 

【発売】富士通パソコンシステムズ
【開発】富士通パソコンシステムズ(M.J.PARTY )
【発売日】1997年12月18日
【定価】5,800円
【媒体】プレイステーション用CD-ROM
【ジャンル】クイズ
【周辺機器】マルチタップ対応




児玉節炸裂!大事な大事なアタックチャンス!


【概要】
 『パネルクイズ アタック25』は、朝日放送テレビが制作し、テレビ朝日系列で75~21年まで46年間に渡って放送された長寿クイズ番組。富士通パソコンシステムズ(現富士通ソフトウェアテクノロジーズ)がWindows95版、Macintosh版と並んでゲーム化。このプレイステーション版では、司会の児玉清氏の音声と映像でゲームが進行し、およそ1,500問にも上る問題は全て相馬宏美アナウンサーが新規録音で読み上げる。オープニングからエンディングまで、徹底して番組を忠実に再現。マルチタップ対応で最大4人まで対戦可能。


【ゲームシステム】
 25枚のパネルを取り合う早押しクイズゲーム。4人の参加者が、赤、緑 、白、青の4色に分かれて戦う。クイズに正解すると1~25までの数字が書かれたパネルのうちの1枚を獲得できる。最初の正解者は必ず13番のパネルを獲得し、以降の解答者はオセロの要領で自分のパネルで相手のパネルを挟み込み、自分のパネルにしていく。クイズの正解数ではなく、パネルの獲得枚数で勝敗を決めるため、戦略性が求められる。解答を間違えると、ペナルティとして起立させられ、2問の間クイズに参加できない。まずはいかにパネルの角を取るかがカギとなる。

 本作では、実際の番組と同じルールで進行する「番組アタック」、対コンピュータ15連戦の「勝ち抜きアタック」(1人用)、20問のクイズだけを楽しむ「クイズアタック」、パネルの取り合いだけを行う「パネルアタック」の4つのモードがあるが、やはりメインは番組アタックであろー。これには番組の視聴者よろしくコンピュータ同士の対戦を閲覧する「視聴モード」もある。

【総評】
 パネルが25枚埋まる間際に大事な大事な「アタックチャンス」が訪れる。これをモノにすると、通常のパネル獲得とは別に、既に他の解答者が獲得しているパネルを1枚無効にできる。アタックチャンスになると、児玉氏が「アタックチャンスッ!」と震える拳を掲げ、解答を間違えると「立ってしまわれたっ!」といつもより大きなリアクションをされたりと、愉快である。また、変な箇所のパネルを取ると「なぜ角を取らんっ!」と怒られたり、「そこに置いてしまったか~」と呆れられたり、1人だけ飛び抜けてパネル獲得数が多いと「他の方、頑張る!」と叱咤激励され、逆に獲得パネルを一気に増やすと「お~ほっほっほ~これは!」と喜ぶなど、随所に番組同様の「児玉節」が炸裂しており、それを楽しむ事がこのゲームの神髄である(ホントかなぁ)。僕に言わせれば、児玉氏を愛でる(←愛でるなよ)「キャラゲー」でもあるのだった。推しは児玉清、みたいな。



 90年代の第何次か分からんがクイズ番組ブーム時に、他局の番組でクイズ王になった人々も「『アタック25』だけはレベルが違う」と言わしめていた様に、出題の幅は相当広く、博識でないと難しい。いわゆる「ビデオゲームのクイズゲーム」レベルではないのだ。とにかく難易度が高く、相手コンピュータも強い。恐らく社員じゃないかと思われる実写取り込みコンピュータの顔が男も女もジジイも小憎たらしく、他の解答者が間違えるとイヤな笑いをするのがゲスい。

 解答方法は、可視化された4択や、一度見た解答候補は再度戻り見する事ができない選択型、アルファベットの直接入力、イントロ当てなど、どれも勘ピューター(←ヘボい)だけで答えるには厳しいが、バラエティに富んだ出題方法がクイズゲームとしての完成度を高めている。また、出題された問題は自動セーブされ、同じ問題が出題され難いシステムを搭載している。さすがパソコンメーカー。

 02年にはデジキューブからプレイステーション2で同名タイトルの続編が発売。こちらは応募ハガキの記入から始まり、予選からスタートする仕組みだが、肝心の児玉氏がポリゴン化しての登場なのが、児玉ゲー(←そんなジャンルねえよ)としては魅力激減でいやーん。児玉氏を愛でたければ本作を買おう!難しいけど。


(C)朝日放送株式会社・株式会社富士通パソコンシステムズ. 1997.