2026/03/16

機動警察パトレイバー~98式起動せよ~

 




【発売】マーバ
【開発】アドバンス・コミュニケーション
【発売日】1992年10月23日
【定価】7,800円
【媒体】メガドライブ用バックアップカートリッジ
【容量】4M
【ジャンル】アドベンチャー




「商品」以前、独りよがりの決定的駄作


【ストーリー】
 今日も今日とて、忙しいのか暇なのか?とりあえず善良な市民のために日夜活躍し続ける警視庁自慢のレイバー部隊である特殊車両二課、「特車二課」こそは、キミが憧れ続けていた部隊。数々の厳しい訓練を乗り越え、今まさにキミが夢にまで見たあの「98式AV イングラム」に出会えるのだ!もちろん、すぐにイングラムを動かせるという訳ではないのだが…。ところが、突然クーデターが発生!あっと言う間に特車二課のメンバー達は囚われの身に…。だが、今日配属されたばかりのキミはまだ顔が知られていない。なんとか敵の監視の目をかいくぐり、情報を集め、最後はレイバーをキミ自身が稼働し、このクーデターを失敗に終わらせてほしい。成功を祈る。


【概要】
 ゆうきまさみ、出渕裕、高田明美、伊藤和典、押井守の5人からなる「ヘッドギア」原作による『機動警察パトレイバー』は、88年に発売されたオリジナルビデオアニメからスタートし、コミックス、劇場用アニメ、テレビアニメ、小説、実写映画、短編アニメとあらゆるメディアで展開された近未来ポリスアクションストーリーで、メディアミックス作品の先駆けとなった。26年には新作アニメ『機動警察パトレイバーEZY』の公開が予定されている。

 『パトレイバー』は主に3つのパラレルワールドがあり、メディアによってコメディやサスペンス、企業犯罪など様々なテーマを扱っているが、90年代末、「レイバー」と呼ばれる産業用ロボットによる犯罪に対抗するため、警視庁警備部内に新設された「特車二課・パトロールレイバー中隊」の隊員達による群像劇が根幹を成す。本作は押井氏が監督を行った。


【ゲームシステム】
 コマンド選択式のアドベンチャーゲームだが、移動手段や戦闘シーンはロールプレイングゲーム形式。特車二課に配属された日に起こったクーデーターを止めるため、二課棟に軟禁されている第2小隊のメンバーから情報を収拾しつつ、最終的にはイングラムでクーデータ-を鎮圧するのが目的。同じく新配属された「島いづみ」巡査がゲームオリジナルキャラクターとして登場するが、「香貫花クランシー」は未登場。セーブは隊長室で第2小隊隊長「後藤喜一」と話して行う。


【総評】
 度々書いていますが、当ブログは定番のクソゲーとして笑い者にするレビューサイトとは目的を異にしているため、できる限り当時の世相や状況を思い出しながら評価しているつもりです。作られた時代を考慮せず、ネット上での評判を元にして安易に「クソゲー」とは評さないスタンスですが、本作はそれ以前に「商品」として成り立っていない。


 まず、ネームレジスト画面ではカタカナが使えない。劇中で1度しか使われていないヘリポートを含め膨大な広さの特車二課の敷地を、鉄下駄を履いた様な遅さで歩き回らなければならない。グラフィックもパースが狂って抽象画の様になっていたり、そもそものキャラクターが似ていない。また、「泉野明(いずみのあ)」の名前が「いづみ」と誤表記。ギャグや敵キャラクターのグラフィックも石器時代のセンスだ。そんな不具合が多々見られる中、2つの大きな問題として、まず、フラグとフラグ立ちのタイミングがズレており、話の前後の辻褄が合わない。一度倒した中ボスも同じ部屋に行くとまた復活している。これによってストーリーが破綻している。

 もうひとつは、ロールプレイングゲーム形式で戦闘が行われるが、3,4歩歩くと現れるデバックも何もしていない鬼の様なエンカウント率。敵を倒しても「経験値」という概念がないため、単なる足止め、かさまし、時間稼ぎにしかなっていない。本作のクリア時間は5時間程度だが、そのうち4時間はこの不毛な戦闘に費やされていると言っても過言ではない。


 上記に比べれば、ゲームオリジナルキャラクターの島いづみの行動も最後まで動機が描かれておらず、単なる「客引き」のために生まれたキャラクターなんて些細な事と思えてしまう。

 本作はメガドライブ発売初期にバンダイ(現バンダイナムコエンターテインメント)が『パトレイバー(仮)』としてメガドライブ参入第1弾ソフトとして発表していたが、約3年発売が延期された。その後、バンダイはメガドライブのサードパーティーを取り止め、代わりに
子会社のマーバが参入…などなど、本作発売には紆余曲折あったのかもしれないが、そのためにグラフィックも恐らく開発当時のままで発売されたため、他の同時期に発売されたソフトに比べると総合的に劣り、グラフィックもファミコン並みのままである。

 そして、監督は押井氏だが、氏の独りよがりと、アドバンス・コミュニケーションの開発の雑さ...と言うか、デバックさえしていないと思われるクオリティの低さ。『パトレイバー』のファンなら怒りに震えるであろー。5時間ずっとストレスを与え続けるゲームだ。押井氏とアドバンス・コミュニケーションの組み合わせは90年にファミコンで発売された『サンサーラ・ナーガ』(ビクター音楽産業)などもあるが、これもゲームバランスが酷かった。

 最後に。押井守よ、「ゲーム」を舐めるな!



(C)HEADGEAR・EMOTION・TFC・SHOGAKUKAN (C)MA-BA 1992

2026/03/12

子育てクイズ マイエンジェル



  

【発売】ナムコ
【開発】ナムコ、礼音
【発売日】1997年11月13日
【定価】5,800円
【媒体】プレイステーション用CD-ROM
【ジャンル】クイズ




世のお父さんお母さんに捧ぐ(うそ)


【ストーリー】
 ねえ、このゲーム知ってる?タイトルの通り「子育て」をテーマにした新感覚のクイズゲームなんだ。あたしの性格はイベントや正解した問題で変わっていくから、上手に教育して、立派な大人に育ててよね。あー、あたしの事、お色気娘にしようと考えてるでしょう!…いっけない、もうこんな時間!続きはゲームでね!あー、今日も遅刻するぅ!


【概要】
 オリジナル版は96年にナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)がアーケードで発売。プレイヤーは女の子を持つ「お父さん」or「お母さん」となり、クイズに答えて「娘」を0歳から25歳まで育てていく。問題数はオリジナル版の7,000問から15,000問に大幅に増えた。問題のジャンルの正解率によって徐々に娘の性格が変貌していく。主題歌は斉藤由貴のカバー曲「少女時代」で、歌は声優の鈴木真仁氏が歌っている。


【ゲームシステム】
 育成シミュレーション要素のあるクイズゲーム。「アーケード」、「アットホーム」、「ラブラブ」の3モードがある。クリア後は「アルバム」で娘の成長記録が見られる。アーケードモードではセーブはできないが、コンティニューは無制限。プレイステーション版オリジナルのアットホームモードでは、アーケードモードの倍以上の問題が用意されており、1ステージが半年で構成、3年ごとにセーブできる。ラブラブモードでは、アットホームモードをクリア後、娘の高校3年間が舞台で、プレイヤーは恋人役になる。が、セーブもコンティニューもできないラブラブじゃないシビアさで、これをクリアしなければオールクリアとはならない。

 クイズは基本的に四者択一または三者択一で、問題に応じて正解するごとにパラメータが変化する。また、「養育費」も貯まって行く。この養育費はイベントでの資金源となり、早く回答するほど多く貯まる。お手付きや誤答をした場合は、ライフが減る。ライフが「0」になるとセーブ箇所まで戻ってやり直し。規定の正解数をクリアするとそのステージはクリアとなる。各ステージをクリアするとイベントが発生。これも四者択一で選び、選んだ結果により娘のパラメータが変化し、娘はさまざまな人生を送る事になる。

 パラメーター(性格)は大きく分けて2つあり、ひとつは「性格」。「まじめ」、「おいろけ」、「おたく」、「わんぱく」の4種類。最も高い数値のものがその時点での娘の性格となり、それによって娘の容姿が頻繁に変化する。次に来るのが、「素直な」、「セクシーな」、「カルトな」、「元気な」のこれまた4種類。この4種類×4種類で「セクシーなおたく」や「元気なまじめ」などといった娘になるのだ。めんどくせえな、子供!ちなみに、どれかひとつのジャンルに特化している場合は「ねっから(性格)」となる。

 更に、進学や就職の指標として、「人文科学」、「社会科学」、「自然科学」の3種類に分けられる。マジか!そんなめんどくさいか子育て!あ、基本的には2人協力プレイで娘を育てるが、ラブラブモードは1人プレイ専用だ。


【総評】
 娘のパラメータは、クイズに正解することで上昇する。「アニメ」に関する問題に正解すると「おたく」が上昇するなど、正解した問題によって上昇するパラメータが異なるが、通常のクイズゲームと違うのは、思い描く娘の性格にしたければ、問題によっては意図的に答えないor誤答をしなければいけない。自分の得意問題だと、「おたく」になっちゃったりするんだよなー。性格によってコロコロと変わる娘のグラフィックもかわいい。

 アーケードモードの設問は約7,000問だが、アットホームモードでは約8,000問が新規追加され、計15,000問の問題が用意されている。クイズの作成は学習研究社など3社が携わっており、かなり遊び応えがあるぞ。クイズゲームはその時代の世相や流行、風俗などが盛り込まれており、「Jリーグチームの横浜フリューゲルスの応援歌を歌っているのは?」など、涙なくてはできない問題もあって愉快だ。
 本作の好評を得て、同年にはアーケードで続編『子育てクイズ もっとマイエンジェル』が発売。その後も多くの続編がアーケード、プレイステーション、ワンダースワン、ニンテンドーDSといったプラットフォームで発売されている。クイズゲームは権利関係やその時代に合わせて作られるため、実機のみの発売が多いが、同世代の友達なんかとわいわいやると盛り上がって面白いヨ!


Produced by NAMCO LTD. (C)1997 NAMCO LTD.,ALL RIGHTS RESERVED
JASRAC V-972515号 音楽協力:株式会社アミューズ・株式会社エアーズ

2026/03/09

ジーザス 恐怖のバイオ・モンスター

【発売】キングレコード
【開発】エニックス
【発売日】1989年3月17日
【定価】5,900円
【媒体】ファミコン用カートリッジ
【容量】2M+64KRAM
【ジャンル】アドベンチャー




ファミコン後期の佳作「魅せるアドベンチャーゲーム」


【ストーリー】
 2061年、人類の科学は、再び地球に接近しつつあるハレー彗星に有人探査機を飛ばすところまで進歩していた。世界8ヶ国から選ばれた乗員達は、2機の探査機「コメット」と「ころな」に分乗し、スカイラブ「ジーザス」から飛び立った。探査課題のひとつは、ハレーの尾のガスを採取する事。それは宇宙、天文の分野だけでなく「地球の生命は、彗星からもたらされたのかも知れない」という生物学の謎を解く事でもあった。しかし、ハレーのガスを採取した直後、1号機「コメット」からの通信が途絶えたのだ。「コメット」に何が起こったのか?


【概要】
 オリジナル版は87年にエニックス(現スクウェア・エニックス)がPC-8801などのパソコンで発売したSFアドベンチャーゲーム『J・E・S・U・S』。映画的手法をいち早く取り入れたアドベンチャーゲームでもあり、「グラフィックを見せる事」に注力されている。音楽はすぎやまこういち氏、グラフィックは眞島真太郎氏(現アルテピアッツァ代表取締役社長)。ゲーム内ではすぎやま氏のサウンドがクリアするための鍵となる。また、80年代のアニメブームの中で、ファミコンの能力を最大限に引き出している。ファミコン版移植に際し、一部のアダルトタッチなグラフィックや言動が変更された他、ミニゲームやパズル要素が全て削除された。また、パソコン版であったゲームオーバーも廃止され、本作では「誰もがクリアできるアドベンチャーゲーム」というコンセプトで移植されている。


【ゲームシステム】
 オーソドックスなコマンド選択式アドベンチャーゲーム。プレイヤーは主人公「武麻速雄(むそう はやお)」となり、探査機1号「コメット」で起きた謎を追う。ゲームオーバーはなく、筋通りに進めば誰もがエンディングを見られる。セーブはパスワード形式だが(セレクトボタンを押すとパスワードが表示)、早ければ2時間程度でクリアできるため、プレイ中1度も中断せずエンディングまで辿り着ける。




【総評】
 前述した様に、「グラフィックを見せる」、「誰もがクリアできるアドベンチャーゲーム」をコンセプトに、美麗で大き目のグラフィック、ハードの能力を最大限に引き出したアニメショーンなど、基本的に良作と言えよう。設定コンセプトとしては79年公開のリドリー・スコット監督の映画『エイリアン』の影響を受けていると思われるが、登場キャラクターは多種多様な国の人物で構成されており、各人の関係は平和かつ友好的だ。ただし、プレイ開始からそう時間が経たない間に「バイオ・モンスター」に襲撃されるため、各人の関係性が希薄であり、せっかくどのキャラクターも魅力的なぶん、少々もったいない気もする。

 無意味なフラグ立てもあり、ここで詰まる場合もあるが、それこそ「コマンド総当たり」すればいずれはフラグも立つ。ゲーム性としては目新しい点はない様に思えるが、「音楽」がキーポイントとなっているのは、89年発売の『マザー』(任天堂)よりも先であり、ここですぎやま氏の曲が冴えるわけだ。ただし、せっかく氏を起用しているにも関わらず、ほとんどの場面は「ブブブブブブ...」というSEの様な音が鳴り続けている。これは音楽部分の要領をグラフィック部分に振り分けた結果かもしれない。


 湾岸戦争のキナ臭さが表面化し始めた時代に、前述した様に、日本、フランス、ソ連(現ウクライナ)、ドイツ、中国、イタリア、アメリカ、ブラジル、エジプトと、国や肌の色など関係なしに1つのプロジェクトを遂行しようとする各キャラクターの魅力が描き切れていないのは残念だが、そこはいろいろ深読みするのもよかろーて。エンディングは本作単体で終わっても、続編があってもいい様に2通り捉えられる。実際、PC-8801、PC-9801及びX68000では91年に続編『ジーザス2』(エニックス)が発売されている。ただ、スクウェアと異なり、エニックスのレトロパソコンゲームはなぜか復刻がされておらず、プレイ環境は実機のみ、中古価格はカセットのみで2,000円前後だ。


(C)1989 ENIX (C)1989 キングレコード