2026/04/15

ドラゴンセイバー

 




【発売】ナムコ
【開発】ナムコ
【発売日】1990年12月13日
【媒体】アーケード
【容量】(システム基板:Namco System 2)
【ジャンル】シューティング




前作同様の秀逸なサウンドのロマンシング・シューティング


【ストーリー】
 遥か彼方の世界。人々は利己主義により戦争や環境破壊などの愚かな歴史を繰り返してきた。それにより世界の何処かで超進化した異次元の生命体が数多く産み出され、世界は瞬く間にその生命体に支配されていった。一方、その頃、かつて「聖龍ブルードラゴン」と共に魔王ザウエルを封じ込めた「太陽神アーリア」は、「ヒューイ」と「シリア」という勇敢なる2人の若者に「龍の力」を得られる聖剣を与え、諸悪の根源の討伐を託した。2人は巨龍に変身し戦いの旅に出たのであった。


【概要】
 87年にナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)から発売されたシューティングゲーム『ドラゴンスピリット』の続編。約3年後に発売されたが、ストーリー的には「太陽神アーリア」以外、関連性は薄い。タイトルは「竜(Dragon)の力を与える剣(Saber)+ 救世主 (Savior)」に由来する。前作は1人プレイ専用だったが、今作は2人同時プレイが可能となった。
 本項では『ナムコミュージアムアンコール』収録作品として、収録されたオリジナル版(アーケード版)について記述する。


【ゲームシステム】
 トップビュー形式のパワーアップ型縦スクロールシューティングゲーム。自機のブルードラゴン&レッドドラゴンは8方向に操作でき、対空対地で敵を撃ち分けながらステージを進んで行く。ライフ制で、地上にある卵を割るとパワーアップ。青い卵は最初は1本だったブルードラゴンの首を最大3本まで増やす事ができる。赤い卵はパワーアップアイテムが出る。全9エリア。尚、『ナムコミュージアムアンコール』収録版では、タイトル画面で〇ボタンと×ボタンを押しながらスタートすると、前作のサウンドのアレンジ版でプレイできる。


【総評】
 まずは前作より更にパワーアップした細江慎治氏(現スーパースィープ代表取締役)の音楽だ。高揚感と爽やかさ溢れる魅力的な名曲揃いのサウンドは今回も健在であり、更に前作のNamco System 1」基板からNamco System 2」基板に容量が増えたため、前述通り、前作のサウンドのアレンジ版を聴く事ができる豪華仕様だ。これまたもはやサウンドを聴くためにプレイしていると言ってもいい。僕が。



 難易度は前作に比べ、エリア1から比較的高い。序盤は対地攻撃を無視して対空攻撃と放たれる敵の弾に集中すればある程度はなんとかなるが、対地攻撃もエリア1の終盤からは激しくなり、ある程度ではなんともならん展開となる。僕には。もちろん、首が3本になったフルパワーアップ状態だと、敵の弾への「当たり判定」も大きくなる。痛し痒しな感じ。

   

 それでも、下手の横好きなもんで、好きなんだよなー。『ドラゴンスピリット』の正統派続編として秀逸なサウンドと独特の世界観。「無理やろー!」と思わせながら何度も挑戦させる魅力が詰まったロマンシング・シューティングゲーム。名作だけあって、最初に移植されたPCエンジン版から現在まで各種移植&ダウンロードで気軽に遊べる、現在でも通用する作品だ。やれ。そして、聴け。




Music
『ナムコゲームサウンドエクスプレスVOL.4 ドラゴンセイバー』










【作曲】細江慎治
【編曲】細江慎治、米光亮
【演奏】ナムコグランドオーケストラ
【発売】ビクター音楽産業
【発売日】1991年3月21日
【定価】3,000円
【収録時間】約102分

 ビクター音楽産業(現ビクターエンタテインメント)からリリースされた『ナムコゲームサウンドエクスプレス』は、アーケード稼働から比較的早い時期にリリースされたオリジナル・サウンドトラックシリーズで、価格は基本的に1,500円。この『ドラゴンセイバー』はシリーズ唯一の2枚組で(なので定価も倍)、1枚目は『ドラゴンセイバー』、2枚目は前述したNamco System 2」版『ドラゴンスピリット』が収録されている。単なる基板からの録音ではなく、音源自体の出力に最も近い部分からFM、サンプリングとバラバラに録音して調整してあるため、音質は非常によい。生音に限りなく近いので、ぜひ聴いていこう!

【収録曲】
■DISC 1  DRAGON SABER SIDE
01.ストーリー・オブ・ドラゴンセイバー
02.COIN
03.オープニング ヴィジュアル
04.水没都市
05.親玉A
06.火山
07.親玉B
08.化石
09.エイリアンキング
10.地じん
11.渓谷
12.コンティニュー
13.ネームランキングA
14.氷穴
15.魔界
16.ドラゴンゾンビ
17.暗黒
18.ウルティマ
19.カオス
20.エンディング
21.ネームランキングB

■DISC 2  DRAGON SPIRIT II SIDE
01.COIN
02.海上(未使用)
03.ROUND 1
04.ROUND 2
05.ROUND 3
06.ROUND 4
07.ROUND 5
08.ROUND 6
09.ENDING
10.裏ネームランキング
11.水没都市(アレンジ・バージョン)
12.火山(アレンジ・バージョン)
13.氷穴(アレンジ・バージョン)


Produced by NAMCO LTD. (C)1990 1997 NAMCO LTD.,ALL RIGHTS RESERVED

2026/04/11

星のカービィ 夢の泉の物語

 


【発売】任天堂
【開発】任天堂(開発第2部)、HAL研究所
【発売日】1993年3月23日
【定価】6,500円
【媒体】ファミコン用バックアップカートリッジ
【容量】6M
【ジャンル】アクション
【受賞】2015年:日本ゲーム大賞2015経済産業大臣賞




ファミコン晩年にミリオンセラーを記録した丁寧な作り


【ストーリー】
 「アレッ? きょうはゆめを見なかったなあ…?」

 地球から遠く離れた小さな星の小さな国、呆れかえるほど平和な「プププランド」でのお話です。

 お昼ご飯の後のお昼寝から目覚めたカービィでしたが、ちょっと気分がよくありません。いつもなら楽しい夢を見て幸せな気持ちになれるのに、今日は夢を見る事ができなかったのです。カービィもプププランドの人々も、みんな食いしん坊。そして誰もがお昼寝が大好きで、夢を見ることを楽しみにしていました。お昼寝から目覚めた後、人々はお互いに見た夢の事を語り合い、そして、その夢が叶う様にと励まし合うのです。プププランドの果てには「ゆめのいずみ」という、宝石の様に輝く「夢」が湧き出る所があります。それはプププランドの全ての生き物の夢の集まりであり、希望の源でもあるのです。夢の泉に湧いた夢は水の様に流れ落ち、輝きながらプププランドを包みます。そして、眠りについた生き物達に、楽しい夢と安らぎを与えます。泉の不思議な力は、この国に伝わる秘宝のひとつ「スターロッド」によって生み出されていました。ロッドの先にあるキラキラ輝く星は、遠い昔にプププランドに流れ落ちた星屑の欠片だと言われています。泉の中央に備えられたスターロッドは、平和なプププランドの象徴でもあるのです。けれども…。夢のないお昼寝は次の日も、また次の日も、そのまた次の日も続きました。夢を見ていないのはカービィだけではなく、全てのプププランドの生き物も一緒でした。夢を見る事のできなくなった人々は、みんな元気がありません。プププランドから楽しそうな笑い声が聞かれなくなってしまいました。

 「これはきっと、夢の泉に何か起こったに違いない」

原因を突き止めるために、カービィは勇敢にもひとりで泉へと向かいました。すると、そこにはなんと、あの「デデデ大王」が水浴びをしているではありませんか!以前、プププランドの食べ物を泥棒をした、あの大王です。そして、いつもそこにあるはずのスターロッドは消えてしまっていたのでした。

 「またおまえの仕業か、デデデ大王!」
 「ボウズ、何を言ってるんだい。ワシはみんなのためにと思ってだな…」
 「うるさい!スターロッドをどこへやった!」
 「あぁ、あれなら7本に分けて、子分達に預けておいたゾ」

 いったい、デデデ大王は何を考えているのでしょうか。とにかくカービィは、みんなの楽しいお昼寝タイムを取り戻すため、スターロッドを集め、夢の泉の輝きを取り戻す旅に出かけるのでした。


【概要】
 92年に任天堂がゲームボーイ用ソフトとして発売した『星のカービィ』の続編で、シリーズ2作目。敵の能力を「コピー」できる要素は本作からで、以降のカービィの基本能力となっている。ファミコン晩年に発売されたが、前作からの人気とやり込み要素で好評を博し、国内だけで100万本、全世界では約175万本を売り上げた。15年にはシリーズ1作目からWii U用ソフト『タッチ!カービィ スーパーレインボー』までの開発チームが日本ゲーム大賞経済産業大臣賞を受賞した。


【ゲームシステム】
 サイドビュー形式のアクションゲーム。全7レベルで、ひとつのレベルはいくつかのステージに分かれており、ステージ最後にはボスがいる。カービィは下ボタンで敵を吸い込み、Bボタンで吐き出せば行く手を阻む敵やブロックを崩す事ができる。また、特殊な敵を吸い込むと、相手の能力を「コピー」して使える。ダメージを受けるとコピー能力は消えてしまうが、この際に吐き出した「星」を再度吸い込む事でコピー能力は復活する。ステージ中には残機を増やすミニゲーム3種もある。


【総評】
 本作の最大の特徴は、「コピー能力」というシステムの導入である。敵を吸い込んだ状態で敵を飲み込むと、敵の能力をコピーし、その能力を使って敵を攻撃する事ができる(コピーできない敵もいる)。また、コピーできる敵を2匹以上同時に吸い込むと「ミックス」となり、能力がスロットを始め、止まるまで放置すると、敵の組み合わせによって決まった能力がコピーされるが、任意のタイミングで止めることもできる。尚、コピーした状態でダメージを受けると、そのコピー能力は星となってカービィから飛び出し、画面内を飛び跳ねた後、一定時間で消える。その星を飲み込むと再びコピー能力を復活できる。

 また、「ダッシュ」と「スライディング」の2つの基本アクションが追加され、カービィが走る様になり、スライディングしながらキックで攻撃して、吸い込む事ができる敵であれば倒せる様になった。この2つの基本アクションは、以後のシリーズにも受け継がれている。ファミコンの少ない容量においてカービィの表情は実に多彩だ。

 ステージやレベルは1度クリアすればいつでも行き来できる。最初は行けなかった場所でも、ステージを進み、戻る事で行ける様になる。そのまま「おりゃー」っと進んでもクリアできるが、「100%クリア」(タイトル画面に現在までの「%」が表示される)を目指すためには、いろいろな場所にある「スイッチ」を押すやり込み要素がある。また、レベルをクリアすると、闘技場やクレーンゲーム、ワープスター発着場といった隠し面が出現する。

 難易度的にはそこまで難しくない、序盤は緩いくらいだが、ステージが進むに連れてゆっくりと難易度も上がる。前述のカービィのアクションなど、非常に丁寧に作り込んであり、ゲームボーイアドバンスからニンテンドーSwitchまで歴代任天堂ハードの多くに移植またはダウンロード販売されており、現在でも容易に遊ぶ事ができる。


 余談だが、『星のカービィ』は元々HAL研究所が『ティンクル☆ポポ』というタイトルでほぼ完成しており、既に3万本の受注と広告も打っていた。だが、任天堂のチェックで「もう少し手を加えればもっと面白くなる」と言われ、また、今やプレミアソフトの代表格とも言える『メタルスレイダーグローリー』(HAL研究所)の宣伝費などで倒産寸前(その後、1度倒産)だったため、任天堂の傘下に入り、1作目は任天堂から発売。国内で約172万本、全世界では約513万本の売り上げを記録した。そして、本作では再建したHAL研究所と任天堂が共同開発し、ミリオンセラーを目指して作られた。

 近年では低学年層向けの「任天堂の顔」として扱われる事が多いカービィだが、「100%」を目指すなら、ひとかどのゲーム野郎にも充分に満足するだろう。


(C)1993 HAL LABORATORY INC. (C)1993 Nintendo

2026/04/06

サクラ大戦

 


   


【発売】セガ・エンタープライゼス
【開発】セガ・エンタープライゼス(第7AM研究開発部)、レッドカンパニー、ザックス・エンターテイメント、
    ネクステック、キョクイチ東京ムービー
【発売日】1996年9月27日(サタコレ版:1998年2月11日)
【定価】6,800円(初回限定版:8,800円)(サタコレ版:2,800円)
【媒体】セガサターン用CD-ROM
【容量】CD-ROM2枚組
【ジャンル】アドベンチャー
【周辺機器】シャトルマウス対応
【受賞】1996年:CESA大賞'96大賞
【受賞】1996年:CESA大賞'96監督賞
【受賞】1996年:CESA大賞'96メインキャラクター賞
【受賞】1996年:CESA大賞'96サブキャラクター賞
【受賞】2006年:文化庁メディア芸術祭10周年エンターテインメント部門賞
【レーティング】全年齢




『サクラ大戦』の功罪


【ストーリー】
 文明開化より50余年...。帝都「東京」は、西洋文化と日本文化が入り混じったモダンな街並みが軒を連ね、そこを走り抜ける蒸気鉄道、馬車、人力車、そして、蒸気自動車。空には飛行機が飛び交い、街の地下には地下蒸気地下鉄の路線が張り巡らされているなど、高度な文明都市が築き上げられていた。しかし、その反面、怪物や呪術が実在する幻想都市でもあった。

 陸軍ではとても手に負えない特殊任務や人命救助、そして、異形の化け物から帝都を守るべく結成されたのが、陸軍所属から独立した政府直属の対魔組織、帝国華撃団「花組」、通称「帝撃」である。集められたメンバーは、昼は大帝国劇場のスターの顔を持つ若き少女達。独自の装備と特権を持つ「帝撃」は、銀座に「花組」の本部があり、大帝国劇場の地下に司令部が設置されている。その他にも、浅草の花やしきにも支部があるという。

 そんな「帝撃」に、1人の青年将校が転属してきたところから、この物語が始まる。


【概要】
 プロデューサーに広井王子氏、脚本にあかほりさとる氏、キャラクター原案に藤島康介氏、キャラクターデザインに松原秀典氏、音楽に田中公平氏と、セガ・エンタープライゼス(現セガ)が満を持してセガサターンで発売したキラーコンテンツ的ソフト。主にアドベンチャーパートと、シミュレーション風の戦闘で構成されており、1ステージ(1話)はテレビアニメ風にアイキャッチや次回予告が入る。有名声優を多数起用し、ムービーも多用。「ドラマチックアドベンチャーゲーム」と銘打たれ、テレビアニメや舞台ショウにまで発展。派生作品や関連書籍は膨大に発売されていて、シリーズ累計では400万本以上を売り上げた。本作は後にWindows、ドリームキャスト、プレイステーション2、iモードにまで移植されている。CASA大賞’96大賞作品。


【ゲームシステム】
 簡易的なアドベンチャーモード+ヘックス型風シミュレーションゲーム。主人公「大神一郎」は、昼は「歌劇団」のスタッフとして仕事をし、戦闘時には「帝国華撃団」の隊長。メンバーは、ヒロインの「真宮寺さくら」、口八丁手八丁の高飛車お嬢様「神崎すみれ」、副隊長的存在のロシア女「マリア・タチバナ」、恋愛対象外の10歳ながら戦闘時には重宝するフランスっ娘「アイリス」、関西弁で中国出身のメカの天才「李紅蘭(り・こうらん」、声優の田中真弓が隠しきれていない大食いで力持ちの「桐島カンナ」の6人を従え、霊力みたいなので動くスチームパンクなロボット「光武」を操る。

 アドベンチャーパートでは、昼間は「歌撃団」の演者としてあれやこれやしているメンバーと話し、軽い3択を選んで「信頼度」と「恋愛度」を上げたりする。戦闘では、この2つのパラメーターが高いほどそのキャラクターの光武がパワーアップするが、戦闘が終わると信頼度は元に戻る。ここが「簡易的な」という部分。また、「経験値」の概念がないため、いくら戦っても個々がその戦闘で強くなる事はない。ここが「風」である。


【総評】
 まず、ゲームとしては好き嫌いは置くとして、全体的に現在でも通用する高水準のクオリティが保たれている事を述べておきたい。


 セガは当時、長年に渡り「目の上のたんこぶ」だった任天堂がニンテンドウ64で出荷台数的に3番手に落ち、ソニー・コンピュータエンタテインメントのプレイステーションと激しいシェア争いを繰り広げていた。それと前後して、スクウェア(現スクウェア・エニックス)が自社の看板タイトル『ファイナルファンタジーIIV』をプレイステーション陣営で発売する事を発表し、それまで五分五分の展開だったシェア争いに異変が起こる。特にスーパーファミコン時代からの『ファイナルファンタジー』の熱烈なファンやゲームライト層がプレイステーションへ流れ、セガサターンへの買い控えが起こった。そこで、セガは本作へのキャンペーンを大々的に行い、結果的に60万本を売り上げた。



 2D描画機能は当時のアーケードゲームと比較しても高水準である。一方で、3D表現能力では専用ハードウェアを搭載するプレイステーションやニンテンドウ64に比べて劣るが、本作でのムービーシーンに登場する光武などの描写はそれを感じさせない。

 ゲームシステムとしては、「ドラマチックアドベンチャー」と銘打たれているが、空いた時間に各キャラクターと他愛のない話をし、時折、他愛のない時間制限付きの選択肢を選ぶ事で、その後の戦闘に影響する信頼度と恋愛度が上がる。また、1キャラクターにつき1つ、他愛のないミニゲームが発生し、ゲームをクリアすると他愛なくいつでも遊べる様になる。

 戦闘については、前述した様に経験値の要素がなく、また、ヘックス型を採用している様に見せつつ、「地形効果」などは全くなく、力押しで進める。「ため」コマンドを選択するor敵からダメージを受けると「気合値」が上昇し、最大になれば「必殺攻撃」が使える。信頼度はステージクリアと共に元に戻るが、塵が積もれば恋愛度も少しずつ上がり、最も恋愛度が高いキャラクターとプレイヤーの気合値が最大の状態でユニットを並べると、「合体技」が発動できる。これは中ボスクラスでも瀕死にできるほど強力である。



 アドベンチャーゲーム、恋愛シミュレーションゲーム、ウォーシミュレーションゲームのよいところの上澄みを混ぜ合わせ、テレビアニメ風に仕立てたわけだが、戦闘前後に入るアイキャッチ、1話終わるごとの次回予告が、広井氏とあかほり氏の掌の上で「遊ばされている」感が個人的には強い。このテのゲームはいかにストーリーが面白いかにかかってくる。本作は当初「『はいからさんが通る』(大和和紀著)と『機動警察パトレイバー』(ヘッドギア原案)を足して2で割った」というコンセプトだったが、いやいやいやいや、ベッタベタもベッタベタ、呆れるほど先の展開が分かる超ベタベタ話で苦笑いさえしてしまう。「恋愛」という要素にしても「ちょっと憧れの人」くらいの程度で、選択肢もほとんどの場合、どれを選んでも半強制的に都合よく解釈されて本筋に取り込まれてしまう。



 それでも、本作がセガサターンに与えた影響は大きかった。それまで『バーチャファイター』など、アーケードの対戦型格闘アクションゲームがほぼそのまま家庭でできる事がウリだったが、本作発売後はムービー中心のいわゆる「美少女ゲーム」が幅を利かせ、ライトなプレイステーションに対し、マニアックな機体というレッテルを貼られてしまう。元々、セガサターンは発売当初に性描写などを理由に「X指定」の年齢制限を設け、性表現を前提としたアダルトゲームの販売を許可していた(尚、96年から「X指定」区分ソフトの発売は禁止となった)。その過去もまたレッテルを貼られた一因であろう。

 ハードメーカーが「美少女ゲーム」を大々的に推した事により、サードパーティからは続々と「ムービーシーンがゲーム本編より力の入った」ソフトが粗製乱造され、セガはプレイステーションとの競争に敗れる。セガ・マスターシステムやメガドライブと比較すると、全世界累計販売台数1,000万台を下回ったハードではあるが、それでも、日本市場では長年の競合相手だった任天堂を初めて国内販売台数で上回り、セガとして日本市場で最も売れた家庭用ハードでもある。それだけに、舵取りを誤り、新参のプレイステーションに敗れ、またしてもトップシェアを勝ち取る事は出来ず、セガサターン本来の機能を最大限に活かす前にドリームキャストへとハードを移行させた焦りが悔やまれる。


(C)SEGA ENTERPRISES,LTD.1996 (C)RED 1996