2026/08/30

マザー2~ギーグの逆襲~


 





【発売】任天堂
【開発】任天堂、エイプ、HAL研究所、パックスソフトニカ
【発売日】1994年8月27日
【定価】9,800円
【媒体】スーパーファミコン用バックアップカートリッジ
【容量】24M
【ジャンル】ロールプレイング




前作の「名作」を超えられなかった「良作」


【ストーリー】
 『MOTHER 2』の舞台は、199X年の地球です。主人公の少年「ネス」が住んでいるのは、イーグルランドの緑豊かな町「オネット」。ありふれた田舎町だったオネットの新聞にも、近頃は大都市の新聞で見かけるものと同じ様な事件や事故の記事が載る様になりました。

 …そんなある日の夜、ネスは今まで聞いた事もない様な轟音とパトカーのサイレンに起こされました。ネスの家の裏庭に、巨大な隕石が落下したのです。好奇心の強いネスは、いても立ってもいられなくなり、隕石の落下現場を見に行く事にしました。

 バリケードを張り巡らせた警察官に追い返されたネスは、しぶしぶ家に戻り、まだ自分の温もりが残るベッドに潜り込みました。「明日は必ずあの場所に行くんだ...」。ウトウトとしていたネスの目を再び覚ましたのは、大きなノックの音。行方不明になった弟の「ピッキー」を探し出してくれと、隣に住む「ポーキー」が頼みに来たのです。警察官の姿も見えなくなった深夜、ネスとポーキーはピッキーを見つける事ができました。しかし、彼らが見つけたのはピッキーだけでなく…それは、地球上の生物ではありませんでした。ネスは彼から大変な事を知らされます。

 「えっ、ぼくが人類の運命を担っている子供なんだって!?」


【概要】
 89年に発売されたコピーライターの糸井重里氏による任天堂初のオリジナルロールプレイングゲーム『マザー』の続編。現代のアメリカが舞台、全ての建物が等身大で地続きになっている、ユーモアあるセリフ回し、ムーンライダースの鈴木慶一氏と任天堂主力ゲームの音楽を手がけた田中宏和氏による美しいサウンド、各所に気遣いが見られる丁寧に作られている点などは前作と同じだが、ストーリー的には前作と直接的な関りはない。キャッチコピー「おとなも、こどもも、おねーさんも。」は糸井氏によるもの。


 当初はスーパーファミコン発表時のラインナップに本作も名を連ねていたが、開発は難航を極め、幾多の発売延期を行った後、テコ入れとしてHAL研究所が加わり、発表から実に5年後に発売された。これほどの延期期間を経ての発売は稀な事である。TVCMは木村拓哉氏を起用し、前作以上の知名度と売り上げ(約52万本)になり、併せて前作も再評価される形となった。尚、続編の『マザー3』は本作より長く、発表から発売までに6年以上かかっている。


【ゲームシステム】
 トップビュー形式のロールプレイングゲーム。8つある「ぼくだけのパワースポット」で「音のかけら」を集め、最終的には「ギーグ」を倒すのが目的。基本的には前作を踏襲した形で全体的に底上げがされているが、大きく変わったのは戦闘システムだ。敵とのエンカウント方式は、前作の「ランダムエンカウント方式」(RPGでよくある突然画面が切り替わるやつですな)から「シンボルエンカウント方式」に変更された。これは、町の住人などと同じく、フィールド上に予め敵の姿が見えていて、プレイヤーが接触する事により戦闘開始となる。通常は敵シンボルが主人公達に向かって来るが、こちらのレベルが大きく上回っている場合、今度は敵が逃げ回るに様になり、力差の大きい場合は、戦闘画面に入る事なく一瞬で勝利が決まる。ザコ敵をいちいちエンカウント方式で倒す煩わしさがないナイスアイデア。また、敵と接触する際、正面から接触すると敵味方関係なく素早い者から攻撃を開始、敵の後ろを取ると先制攻撃、逆に後ろを取られると敵側から先制攻撃される。


 更に、戦闘画面ではは体力(HP)と超能力(PP)の数値が「ドラムカウンター形式」で表示され、敵から攻撃を受けた場合、すぐに数値が変化するのではなく、時間をかけて数字が増減する様になっている。敵の攻撃を受けてHPが減少中であっても、回復させるか戦闘を終えると減少は止まる。他にも、残りHPを上回るダメージを受けても、「ガッツ」の数値が高いと残りHP「1」で踏み止まる事も。パーティー全員が「全滅」するか「固まる」と、ゲームオーバー。再開後は所持金が半分に減るが、ATMに預けている分はそのままなので、なるだけキャッシュは少な目に持って置くと吉。

 戦闘システムと同じく、もうひとつ大きく変更されたのが「電話」だ。前作はセーブをする際の「パパ」にしかかけられなかったが、本作では「ママ」(かけると「ホームシック」が治るうえ、フツーの会話も楽しい)、「エスカルゴ運送」(手持ちアイテムを預け入れできる)、「マッハピザ」(HP回復アイテム「ピザ」のデリバリー)と増え、冒険をサポートしてくれる。


【総評】
 まず、大前提として、「良作」である事は間違いない。前作同様『ピーナッツ』(チャールズ・シュルツ著)の雰囲気が苦手でなければ、「スーパーファミコンでオススメのRPGは?」と問われれば、僕はとにもかくにも本作を挙げるだろう。糸井氏のユーモア溢れるメッセージや「母性(MOTHER)」を感じる温かく優しい作り。隅々まで気が利いた全てが一級品だ。


 んがっ!ここからは超個人的な感想だがっていうかこのブログ自体がそうなんですけど、言いたい事もまた山ほどあるんだわ、本作では。まずはファミコンからスーパーファミコンに変わり、できる事が増えた。ところが、前作では「それとなく」だったのが本作ではあからさまに「お使いゲーム」になってしまっている。パッケージ裏面には「イベントは大小合わせて100以上」とあるが、半分は理不尽とまでは言わないけど、必要性を感じさせないお使いイベントだ。前作でそれとくなくできていた事がなぜ続編ではできんのかー!ここを感じてしまうと、途端にやる気がマイナス30パーくらい減る。

 ゲームのパーティはデフォルト名で「ネス」、「ポーラ」、「ジェフ」、「プー」の4人の少年少女だ(もちろん名前は好きな様に変えられる)。主人公ネスの主観でプレイしてると、突然にジェフやプーを仲間にするために彼らの主観に切り替わる。また、ゲームの都度都度に天から降って来る「写真屋」。イベント時だけでなく、何もないとこでも(見えないポイントを踏むと)登場し、記念写真を撮って行く。画面もシャッターの切り替わりになる。これが、ゲームに没頭している集中力や緊張感をブツッ!っと切って、現実世界に引き戻させる。写真はなんの事はない、エンディングに「思い出の写真」として使われるだけであり、プラスとマイナスで考えたら、この写真屋の存在はマイナスと言える。他にも「これは今あなたが遊んでいるゲームの事ですよ」的な余計なメッセージが多い。興覚めである。

 そして、問題はポーキーの存在である。どこかで悪事が行われた、次は別の場所で…というイベントの動機も繋ぎも「ポーキーのせい」で済まし、狂言回しの都合のいいキャラクターになっており、開発側からすれば「使い勝手のいい便利な奴」として作られたのではないかと勘繰ってしまう。

 また、糸井氏自らが特性フォントまで作成した「どせいさん」や、魔境に追いやられた「グミ族」など、糸井氏の「個性」がよくも悪くも前作のさりげなくではく、全面に出ており、しまいには糸井氏の掌の上で遊ばされている様な気持ちになった。


 サウンド面でも「捨て曲」がなかった前作に比べ、新曲はほとんど印象に残らない。よかった曲は前作のアレンジまたは前作のアレンジCDからのアレンジと、各町のテーマ曲くらいだ。バンドマン「トンズラブラザーズ」が度々登場して曲を披露するが、個人的にはどうにも好みじゃなかった。敵キャラクターについては本作では複数人で描いてるらしく、個性的な様でそうでもなかったりする。とにかく「やりたい事を全部やって糸井重里色でベッタリ塗りました」という感じになってしまっている。『がんばれゴエモン!からくり道中』(コナミ)の項でも述べた「満開全席メガ盛り定食」になってしまっているのだ。

 こどもとおにーさんの中間くらいの発売当時も少し気になっていたが、おじさんになって今回改めてプレイしてみて、この「糸井色の濃さ」が嫌味にも感じてしまったのが正直なところ。前作が「名作」だったが、本作は「良作」の域を超えなかったなー。


 …などと不満な点ばかり書き連ねたが、そ・れ・で・も!良作です。『マザー』マニアの戯言とでも思ってくれい。ギーグを倒したらそれでおしまいではなく、これまで辿って来た場所が平和に戻った様子をじっくり尋ね歩いたり(これだけでもゆっくり楽しめば2時間は経つ)、良い点はこの何倍もあるからね。家族、特にママとの絆の深さとエンディングでは必ずやグッと来るよー。ぐんまけん!




Music
MOTHER オリジナル・サウンド・トラック デジタル・リマスタリング』






【作曲】鈴木慶一、田中宏和
【編曲】鈴木慶一、田中宏和、David Bedford、
    斉藤毅、Michael Nyman
【歌】Catherina Warwick、Jeremy Holland-Swmith、
   Jeb Million、Louis Philippe、Jermy Budd、
   St.Paul's Catthedinal Choir
【発売】ソニー・ミュージックダイレクト
【発売日】2004年2月18日
【定価】2,500円
【収録時間】約76分

 『マザー』の項でも述べたが、オリジナル版は89年にCBSソニー(現ソニー・ミュージックレコーズ)から発売。この『デジタル・リマスタリング』版では、本作のテーマ曲「SMILE AND TEARS」のアレンジ版が最後に加えられている。また、アルバムオリジナル曲の「FLYING MAN」も本作で「フライングマン」が登場する際に使われている。名盤である。ただし、本作のアルバムはアレンジ版ではなく、オリジナル音源版収録の物しか発売されておらず、曲数も全曲ではない。これは、本作のサウンドが様々な有名ジャンルのオマージュ&パロディ曲になっている都合で未収録になったと思われる。残念。

【収録曲】
01.POLLYANNA (I BELIEVE IN YOU)
02.BEIN' FRIENDS
03.THE PARADISE LINE
04.MAGICANT (INST.)
05.WISDOM OF THE WORLD
06.FLYING MAN
07.SNOW MAN (INST.)
08.ALL THAT I NEEDED (WAS YOU)
09.FALLIN' LOVE,AND (INST.) 
10.EIGHT MELODIES
11.THE WORLD OF MOTHER (EXTENDED VERSION)
12.SMILE AND TEARS (DEMO TRACK)



Books
『任天堂公式ガイドブック マザー2~ギーグの逆襲~』
 





【著】エイプ
【監修】糸井重里
【発売】小学館
【発売日】1994年11月1日
【定価】980円

 公式ガイドブック。立体化されている登場キャラクターは立体で、されていない敵キャラクターはドット絵で掲載。マップや買い物リスト、スチャダラパーの対談、しりあがり寿氏の四コマ漫画、鈴木氏と田中氏のサウンド対談や開発陣の一言コメントなど、そつのない、しかし、読み応えありで美しく作られている。難点はマップが少し小さいってところか。いや、こどもやおねーさんにはいいけど、おじさんにはちょっと見難くて。ちょっとだけね。



Books
『マザー2 ひみつのたからばこ~Young Little boy's winding Journey!~』







【著】ファミコン通信責任編集
【監修】糸井重里
【発売】アスペクト
【発売日】1994年11月1日
【定価】1,280円

 ファミコン通信責任編集でこちらも監修は糸井氏が行っている。まずはマップが「手描き」であるという大胆さ。これは恐らく「ネスが書いた」設定だろう。また、各キャラクターの公式イラストが全て掲載されているのも嬉しい。アイテム類は編集部独自の3DCGで描かれ、ゲームの一場面を実写的にCG作成したイメージ写真も多い。また、14ページに渡る「ほんとうのひみつのふくろとじ」として、クリア後に読むと愉快な読み物も掲載。データ類に関しては安心のファミコン通信責任編集だけの事はある。公式ブック共々、クリア後にも「読み物」として楽しめる。



Goods
『どせいさんシール』

 どっかのゲーセンにいたら、突如どせいさんの等身大(?)着ぐるみが現れ、シールをくれた。いや、ホント。非売品だぞ。しかし、今世紀に入ってどせいさんに会えるとは!結構でかかった!嬉しいです!ぷー。











(C)1994 Nintendo Co.,Ltd. (C)1994 SHIGESATO ITOI / APE inc

2026/08/25

キャッスルヴァニア アドバンスコレクション

【発売】コナミデジタルエンタテインメント(パッケージ版:スーパーデラックスゲームス)
【開発】コナミデジタルエンタテインメント、M2、
    コナミデジタルエンタテインメントB.V社、コナミデジタルエンタテインメントリミテッド社
【発売日】2021年9月4日(パッケージ版:2025年7月31日)
【定価】2,200円(パッケージ版:4,980円)(デラックスエディション版:8,980円)
【媒体】ニンテンドーSwitch用ダウンロードデータ
【容量】673M
【ジャンル】オムニバス/アクション
【レーティング】CERO:B(12歳以上対象)




ドラキュラだらけで嗚呼、幸せ❤ その2


【ストーリー】
 『悪魔城ドラキュラ』シリーズの探索型アクションゲーム3作品に加え、『悪魔城ドラキュラXX』、初公開となる未公開アートなどを収録した本作。「巻き戻し機能」他、便利な機能も搭載したこの作品で、懐かしの「悪魔城探索」をお楽しみ下さい。


【収録作品】
01.悪魔城ドラキュラXX(ダブルエックス)
  (95年7月21日)
02.悪魔城ドラキュラ~サークル・オブ・ザ・ムーン~
  (01年3月21日)
03.キャッスルヴァニア~白夜の協奏曲(コンチェルト)~
  (02年6月6日)
04.キャッスルヴァニア~暁付きの円舞曲(メヌエット)~
  (03年5月8日)



【概要】
 コナミ(現コナミデジタルエンタテインメント)の人気定番ソフト『悪魔城ドラキュラ』シリーズから、スーパーファミコン、ゲームボーイアドバンスで発売された計4作を収録したオムニバスソフト。当初は21年にニンテンドーSwitch及びプレイステーション4用にダウンロード専売ソフトとして発売されたが、後にスーパーデラックスゲームスからパッケージ版も発売された。ゲーム内ではビジュアル資料や説明書、パッケージ写真などを見る事ができる。また、サウンドモードでは、実機内蔵音源の他にサンプリングレートを上げたストリーム版も聴く事ができる。ゲームボーイアドバンス用3作は「図鑑モード」が加わり、敵キャラクターや装備品、各作品独自のシステム概要を閲覧できる。




【ゲームシステム】
 サイドビュー形式のアクションゲーム。スーパーファミコンで発売された『XX』はこれまで同様のステージクリア型のスタイルだが、ゲームボーイアドバンス用ソフト3作は城内を巡る「探索型」である。全作品、日本語版、北米版、ヨーロッパ版が収録されている。




【総評】
 『ドラキュラ』シリーズにすぐプレミアが付くのは『悪魔城ドラキュラ アニバーサリーコレクション』の項でも嘆いたが、本作に収録された4作は特に顕著で、どれも現在は1万円を超えているため、安価でこれらの作品をプレイできるのは、ファンとしてはありがたい。いやね、『XX』と『サークル・オブ・ザ・ムーン』は以前持っていて、買い戻したいなーとずっと思ってたけど、あまりに高くてですね…(血の涙)。特に『XX』は「バク宙」が新たに加わり、「魅せるプレイ」にはもってこいなんですよ。ベースソロで始まるメインBGM「乾坤の血族」の音もスーパーファミコンの音源でよくぞ再現したっつーカッコよさでねぇって聞いてます?

 本作では待望のサウンドモードが加わった他、図鑑モードの実装は特に探索型の『サークル・オブ・ザ・ムーン』にとっては大きい。新要素「デュアルセットアップシステム(DSS)」は、特定の敵を倒すと入手できる「動作カード」と「属性カード」を組み合わせて使用する事により、様々な能力を得る。鞭に「属性」を付ける、能力値を上昇させる、属性攻撃を吸収する、召喚魔法を使うなど、効果は合計100種類もあるが、オリジナル版では試してみなけりゃ分からない一か八かだった。それがこの図鑑モードのおかけでDSSの発動条件や発動後の効果などがバッチリ確認できるのだった。こりは便利。また、全作品いつでもどこでも「巻き戻し」でやり直しができる機能と、これまたいつでもどこでもセーブ&ロードできる便利機能付き。

 前述した様に、本作では北米版とヨーロッパ版も収録されている。

01.『Castlevania: Dracula X』(北米版)、
  『Castlevania: Vampire's Kiss』(欧州版)
02.『Castlevania: Circle of the Moon』(北米版)、
  『Castlevania』(欧州版)
03.『Castlevania: Harmony of Dissionance』(北米版欧州版共通)
04.『Castlevania: Aria of Sorrow』(北米版欧州版共通)




 パッケージ版も物理的に手元残せるんでいいけど、ダウンロード版は度々セールを行うので、僕は1,100円で買いました。いやー、前もどっかで書いたけど、プレミアってなんだろうねぇ。『ドラキュラ』ファンは買わない理由がないぜ!



(C)2021 Konami Digital Entertainment

2026/08/20

ゲゲゲの鬼太郎 妖怪大魔境

 



【発売】バンダイ
【開発】トーセ
【発売日】1986年4月17日
【定価】4,900円
【媒体】ファミコン用カートリッジ
【容量】512Kbit
【ジャンル】アクション





戸田くんゲーム化第1弾


【ストーリー】
 悪い妖怪達が人間界を征服し、妖怪の国を創るために「魔境」を出現させた。日本は、世界は、このまま妖怪達に占領されてしまうのだろうか?そこに聞こえてくるのが、「カランコロン」のゲタの音。「妖怪退治は任せろ」と、正義の味方「ゲゲゲの鬼太郎」が仲間妖怪と共に妖怪大魔境に乗り込んで行った!魔境での凄まじい死闘が始まった。鬼太郎と「一反木綿」の名コンビが繰り広げる激しい空中戦。妖怪に奪われた人間の魂の決死の争奪戦。妖術を解くために、「つるべ火」を引き連れてろうそく合戦。妖怪軍団との死力を尽くした大血戦。行く手を阻む巨大妖怪の罠。妖怪城に潜む強敵妖怪の挑戦。鬼太郎の前途には、様々な困難が待ち受けている。魔境を制圧し、妖怪城を陥落させて平和な世界を取り戻すために、鬼太郎の果てしない冒険が続くのだ!


【概要】
 水木しげる氏原作の『ゲゲゲの鬼太郎』は、コミックス、テレビアニメ、実写化などがされている妖怪マンガの金字塔である。テレビアニメは現在までに6度放送されており、本作品はそのうちの3期(85年10月~88年3月)をゲーム化したもの。87年にファミコンで『ゲゲゲの鬼太郎2 妖怪軍団の挑戦』、93年にはスーパーファミコンで『ゲゲゲの鬼太郎 復活!天魔大王』が発売されたが、両作と本作との繋がりはない。

 3期『鬼太郎』の特徴は、バブル期に放送された事もあり、この世を謳歌する人間側に対し、妖怪側は古く忘れられた存在に成り下がった様に描かれているが、決して弱っているわけではなく、人間の横暴に対しては「ぬらりひょん」を筆頭に組織的もしくは個々の妖力によって人間側へ実力行使に出る構図が多い。「鬼太郎」は歴代の中でも最も強く、好戦的な描写がされているも、基本的には人間と妖怪の共存を常に模索している。対妖怪戦でもまずは話し合いを提案する場面多し。その話し合いが受け入れられなかった場合に鬼太郎も実力行使に出ると。容赦のない実力行使は人間側に非があった場合はそちらに向けられる事もあり。本作では、この「組織的」な妖怪達の実力行使が描かれている。


【ゲームシステム】
 サイドビュー形式のアクションゲーム。1ステージのマップには、「四大魔境」、「砂かけ婆の家」、「妖怪城」が配置されている。マップは4パターンあり、配置されている魔境の数や種類が毎回変わる。魔境は4つに分かれ、それぞれクリア条件が違う。「妖奇魔境」は、空中に漂う「人魂」を10個集める。「妖界魔境」は、妖怪を10匹倒す。「妖空魔境」は、一反木綿に乗って空中戦で敵を10匹倒す。「妖炎魔境」は、鬼太郎の後ろをトレースして着いて来るつるべ火にステージ上のろうそく全てに火を点けさせる。
 以上のクリア条件を満たすと「扉」が2つ現れ、正解の方に入るとクリアになるが(この時、「カラス」か「座敷童」を取っておけば正解の扉を教えてくれる)、不正解の方に入ると「妖怪地獄」に落とされ、大型妖怪やうじゃうじゃと復活する雑魚妖怪を倒さなければ出られない。ステージ中には戸田くんに有利なアイテムもたくさん出現し、「目玉の親父」は1UP、「オカリナ」は3個集めると妖怪城での対ボス戦で「ぬりかべ」、「児泣き爺」、「砂かけ婆」のいずれかを呼べる。全16ステージで、以降はループ。コンティニューはない漢の一発即死系である。


【総評】
 本作発売時はキャラクターゲームの力が大きかった。まだ各メーカーがファミコンのゲーム開発に試行錯誤している中、シンプルでも理不尽でも、キャラクターのネームバリューが幅を効かせていた僅かな時代。バンダイ(現バンダイナムコエンターテインメント)は85年発売の『キン肉マン マッスルタッグマッチ』でファミコン市場に参入し、いきなり100万本を売り上げ、本作でも約123万本の大ヒットとなった。キャラクターゲームのキモは少ない容量でもどれだけ「似せられるか」にある…と思う。本作では登場するキャラクターは日本妖怪と西洋妖怪合わせて50種にものぼり(なぜか…でもないが、「ねずみ男」は敵キャラクターとして登場)、どれも少ないドット絵でよく特徴を捉えており、僕みたいなマニアが見れば一発で判別できる連中ばかりだ。つるべ火だけ原作と違ってかわいい姿になってるけどね。



 4つの魔境も面構成自体は基本的に同じだが、妖奇魔境は、「墓場」、「神社」、「森」、「川」と4パターン。妖界魔境(←漢字合ってます)は、「屋敷」、「ススキヶ原」の2パターン。妖空魔境は、空の色が「黒」と「紫」、「林上空」、「鍾乳洞」の4パターン。妖炎魔境は、「しゃれこうべ谷」、「土蔵」の2パターンと、やる事は変わりないが、見た目のバリエーションが豊富で、これだけでも「頑張ってるなぁ」とエラそうに思うのだった。妖怪地獄の大型妖怪は、「見上げ入道」、「赤舌」、「たんたん坊」、「バックベアード」の4種に、雑魚妖怪も大型妖怪と関係のあるキャラクター(たんたん坊ステージだったら雑魚は「二口女」だったり)が待ち伏せている。


 戸田くんの武器はお馴染み「髪の毛針」だが、スペシャルアイテムとして、「指鉄砲」や「リモコン下駄」、「ちゃんちゃんこ」、「妖怪火炎」がステージ内を進めると出現する。セレクトボタンで髪の毛針とスイッチできるが、ストックして使用回数を貯める事もできるため、これも対ボス戦に温存したい。「猫娘」や「天童ユメコ」もお助けキャラクターとして登場する。ボス妖怪には体力値が「10」と設定されており、仲間やスペシャルアイテムで戦って倒そう!登場ボスは(←出た、マニアの悪い癖)、「吸血鬼エリート」、「髪さま」、「雪ん子」、「悪魔ベリアル」、「輪入道」、「日照り神」、「ほうこう」。それぞれに「弱点」と「耐性」を持っており、例えば、日照り神なら文字通り火炎攻撃は効かない。逆に雪ん子にとっては弱点となる。当時のキャラクターゲームとしては、前述の「オカリナで仲間が呼べる」のと合わせて、いいアイデアだ。また、「ぬらりひょん」はステージ内でアイテムに紛れて上から下に落ちてくる扱いとなり、触ると即死である。最終ボスをほうこうにしたのも一捻り効いている。

 

 基本的には似た様なグラフィックだったり、髪の毛針を連射しながらステージを右往左往したり、戸田くんが左を向いても目が見えていたりするが、当時のキャラクターゲームの中では、原作アニメに登場するキャラクター達を味方も敵も出せるだけ出し、オープニングやマップ画面ではアニメの主題歌がBGMだったりと、サービス精神に溢れた作品に仕上がった。前述した様に、本作もまた、この時期に発売された作品によく見る漢の一発即死系であり、残機を増やす裏技もあるにはあるが、これにはジョイスティックなどの外部周辺機器が必要となるので、ここでは割愛。

 プレイヤーは豊富な妖怪達見たさにプレイしていた、ファミコン黎明期のキャラクターゲームとしては及第点以上の出来ではなかろーか。今やるとちょっと単調さが目に付くけどね。当時はこれでいいのだ。ねえ、父さん。


(C)1986 水木プロ・東映アニメーション (C)BANDAI 1986