【発売】任天堂
【開発】任天堂(情報開発本部)、SRD、アルゴノーツ・ソフトウェア社、エー・エヌ・ソフトウェア社
【発売日】1993年2月21日
【定価】9,800円
【媒体】スーパーファミコン用カートリッジ
【容量】8M+スーパーFXチップ
【容量】8M+スーパーFXチップ
【ジャンル】シューティング
【受賞】2012年:アメリカ国立スミソニアン博物館アート・オブ・ビデオゲーム展選出
スーパーファミコンの意地を見せた「スーパーFXチップ」
【ストーリー】
ライラット系…広大な銀河のほぼ中央に位置する惑星集団である。ここに住む全ての生き物は、周りの星々が羨むほど恵まれた環境の中で、ゆったりとした時の流れを楽しんでいた。あの男が現れるまでは…。「アンドルフ皇帝」、かつての天才科学者Dr.アンドルフの事である。ライラット系第IV惑星「コーネリア」で生まれ育った彼は、子供の頃から異彩を放ち、若くして超次元空間における動力機関開発の第一人者となった。しかし、その優れた頭脳を私欲のためだけに使う様になってからは危険な実験を繰り返し、遂にコーネリア星から追放されたのだった。
【総評】
時が経ち、人々がDr.アンドルフの名を忘れ始めていたある日、コーネリア防衛隊は第I惑星「ベノム」の異常に気付いた。ベノムより発進される様々な未確認物体。思えばこれがコーネリアに怨みを抱くアンドルフからの宣戦布告だったのである。完全にアンドルフ皇帝の軍事基地と化したベノム。そして、瞬く間にライアット系の他の惑星にもアンドルフ軍の魔の手は伸びていた。コーネリア防衛隊長のジェネラル・ペパーは、開発中だった超高性能戦闘機「アーウィン」を乗りこなすパイロットを養成するには、事態はあまりに緊急を要していたのだ。
「そうだ!スターフォックスだ!」
ペパーはそう叫んだ。宇宙狭しと名を馳せる雇われ遊撃隊「スターフォックス」。彼ら4人に下された任務は、惑星ベノムの奪回とアンドルフ軍制圧である。上手くアーウィンを操り、ライアット系の平和を回復できるかどうか。チームリーダーであるあなたの腕にかかる期待は計り知れない。
【概要】
93年、業務用ゲームも家庭用ゲーム機もポリゴン描写が主流になり始めた頃、ポリゴン描写の機能がないスーパーファミコンに「三次元描画方面強化回路」を搭載し、ポリゴン描写を可能にした「スーパーFXチップ」搭載第1弾ソフト。任天堂とイギリスのアルゴノーツ・ソフトウェア社(現アルゴノートゲームス)が共同開発した3D視点のシューティングゲーム。また、スーパーファミコン用ソフトとしては初の3Dゲームである。
【ゲームシステム】
後方視点の3Dシューティングゲーム。プレイヤーは狐の「フォックス」となってアーウィンに乗り込む。他に鳥と兎と蛙が仲間で、編隊を組んで攻め込むが、仲間が敵の攻撃を受けるとダメージを受けてしまうので、3匹のケモノをフォローしながら進んで行く。アーウィンはLRボタンで左右クイックターン&ローリング、Xボタンは一時的な加速のブースト、Aボタンはスマートボムの発射&起爆、Bボタンは逆噴射(ブレーキ)、Yボタンは通常攻撃とボタンはフルに使用する。コーネリアからベノムまでのルートは難易度によって3ルートあり、2つが全6ステージ、最も難易度が高いルートは全7ステージで、ダメージ制。
【総評】
シューティングゲームとして見れば特段目新しい部分はない。自機のアーウィンは滑らかに動くが、極論を言えば、『エクセリオン』(ジャレコ)の様な疑似3Dをスーパーファミコン用にブラッシュアップすればよかったのではないかと個人的には思える。静止画像では面白さが全く伝わらないであろーシンプル過ぎるライラット系の星々。サウンドは任天堂が誇る近藤浩治氏によるものだが、これもほぼ似た様な控え目で単調な曲であり、新技術の「実験ソフト」以上でも以下でもない印象を受ける。
スーパーファミコンにはポリゴンにテクスチャーマッピングを貼る術がなかった事もあり、セガサターンやプレイステーションのソフトと比べるのは酷とも言えるだろうし、ゲーム中に味方のケモノから通信が入る演出もあるにはあるが、それでも、あまりにシンプル過ぎる。シューティングゲーム特有の高揚感も薄く、全体的に淡々としている。
ネームバリューに比べてゲームの内容はそうでもないが(←ファンの人すまんす)、ここで培った続編のニンテンドウ64用ソフト『スターフォックス64』は、全世界で約400万本を売り上げ、11年にイギリスのギネス・ワールド・レコーズ社より「最も世界で売れたシューティングゲーム」としてギネス世界記録に認定。また、これとは別にスーパーファミコンで続編『スターフォックス2』が開発中だったが、ニンテンドウ64本体の発売が迫っていたため、発売はいったん中止されたものの、17年に任天堂から発売された「ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン」に収録される事になった。また、ニンテンドーSwitchでも遊べる様になった。
業務用ゲームでは『バーチャファイター』(セガ・エンタープライゼス)や『リッジレーサー』(ナムコ)など、3D表現のゲームが主流になっており、家庭用ゲーム機では94年に発売されたセガサターンとプレイステーションが凌ぎを削っていた。一方、3D表現にこだわった任天堂はニンテンドウ64(当初の発表名は「ウルトラ64)」)の開発に紆余曲折していた。その間2年、スーパーファミコンは両社の「次世代機」と戦わなくてはならなかった。その短い期間にポリゴン能力を備え戦力として投入されたのが「スーパーFXチップ」である。開発はニンテンドー・オブ・アメリカ社とアルゴノーツ・ソフトウェア社が共同出資してアメリカに作られたエー・エヌソフトウェア社が行った。しかし、国内では本作以外では『ワイルドトラックス』や『スーパーマリオ ヨッシーアイランド』など僅か6本に止まり、出遅れたニンテンドウ64は国内でのコンシューマ市場では初めてトップを取れないまま終わった。また、需要がなくなったスーパーFXチップは、04年にアルゴノーツ・ソフトウェア社とエー・エヌソフトウェア社を連鎖倒産に追い込むバッドエンドとなったが、もしかしたら関係者はあくまでスーパーFXチップは「2年持てばいい」という考えの元、2社の倒産も予期していたのかもしれない。尚、アルゴノーツ・ソフトウェア社はアルゴノートゲームス社として24年に再建している。
『スターフォックス』の意義、それは、コンシューマ業界での各社熾烈な争いと、各メーカーの技術開発競争が激しかった中、世界中で約5,000万台の売り上げを誇ったスーパーファミコンの限界値を超えて最後まで戦い抜いた意地のソフトである。
(C)1993 Nintendo

























