2022/06/22

キングオブキングス

 




【発売】ナムコ
【開発】アトラス
【発売日】1988年12月9日
【定価】5,800円
【媒体】ファミコン用バックアップカートリッジ
【容量】2M+64KRAM+N160音源
【ジャンル】シミュレーション




3すくみ状態を上手く利用したウォーシミュレーション


【ストーリー】
 4つの地方からなるアトランティス大陸を巡り、魔族の総帥・ルシファーとの対決が始まります。ルシファーは既に3つの地方を占領。今や最後のフォーモリア地方へ攻め込まんとしているのです。
 キミはまず、フォーモリアを守り抜き、続いて奪われた3つの地方をひとつずつ取り返していかなければなりません。ひとつの地方がひとつのシナリオとなっていて、シナリオが進むにつれ、新しい種族達が戦いに加わってゆく、雄大なスケールのプレイを楽しんで下さい。


【概要】
 アトラスが開発し、ナムコ(現現バンダイナムコエンターテインメント)が発売したウォーシミュレーションゲーム。キャラクターデザインは『女神転生』シリーズの金子一馬氏が担当した。最大4人での同時プレイが可能。ゲームは、予め用意された全4シナリオ(+隠しシナリオ1)でコンピュータと対戦するキャンペーンモード「ルシファーとの戦い」と、自由にマップを選んでコンピュータやプレイヤーと対戦できるフリーモードの「マルチプレイモード」がある。
 音源にはナムコ独自の「N160音源」を搭載。ファミコン本体内蔵音源や他社の拡張音源の多くが限られた波形しか使えなかったのに対し、N160音源では開発者が好みの波形を設定でき、表現力豊かな音色を出す事ができる。他に同社の『デジタルデビル物語 女神転生II』などに搭載されている。


【ゲームシステム】
 トップビュー形式のターン制ウォーシミュレーションゲーム。マップには2つ以上の城があり、最初は各陣営の大将ユニット「キング」が1人につき1つの城を守っている。敵キングを全員倒す事が勝利条件。「マルチプレイモード」では、「同盟」を設定できる。設定した場合は同盟国同士のユニットは戦闘を行えず、同盟国以外の勢力を全て倒すと勝利となる。
 キングが城にいる場合は、お金を支払う事でユニットを雇える。軍資金は毎ターン一定額の収入がある他、他の城や制圧した都市数だけ増額される。「キャンペーンモード」は、シナリオによって雇えるユニットに制限がある。自軍の城や町にいるユニットは、ターン開始時にお金を払って、減った部隊や「FOOD」を補給できる。FOODは移動するごとに消費し、足りない場合はそれ以上動く事ができなくなるお腹が減って力が出ないようシステム。回復するには、占領した町で補給するか、行動せずにターンを終えよう。

 戦闘は、縦横斜めを含む周囲8マスに隣接したユニット同士で行う。ユニットは小型キャラの8部隊編成と、大型キャラの4部隊編成の2種類に分かれる。攻撃力はユニット同士の相性によって大きく変動する。戦闘を行ったユニットは、倒した相手との相性に応じて経験値が蓄積され、戦闘を繰り返すことでレベルが上がる。また、「人間」に属するユニットは、クラスチェンジして、能力が大幅に強化される。相性が悪く、高ダメージを被弾しやすい敵ほど、戦闘後にレベルが上がりやすい。頑張ったご褒美ですな。
 まだまだ書く事はあるけど(ウォーシミュレーションゲームは設定が細かいからなー)とりあえず、ゲーム開始時にはキング1人しかいないため、まずは城に篭ってユニットを雇いまくるとこから始めるのだ。そんでもって、雇ったユニットにいろいろ命令して、町や城を占領していこうって感じ。


【総評】
 基本的にはオーソドックスなターン制ウォーシミュレーションゲームだ。ユニットごとに地形効果が影響し、ユニットは経験値を積む事でレベルアップする。また、2つ以上の自軍ユニットを1マス開けて配置すると、両者の間にはユニットを倒さないと自陣以外のユニットが1歩ずつしか進めない「縄張り」が発生する。少数のユニットでも、地形と縄張りを有効活用すれば防衛線を張る事ができ、逆にその縄張りを突破するには、防衛線の弱点を的確に突く必要がある。

 

 本作では種族間による相性が設けられており、何かと使い勝手のいい人間に対して強い「ゴブリン」、そのゴブリンを巻き込んだ「ハーピー」、「エルフ」は3すくみの関係にある。ジャンケンで例えるとグー、チョキ、パーの関係ですな。最初のシナリオで雇えるのはこれら4種族のみだが、この相性によって、少ないユニット種類でもゲームバランスのよさを構成している。ユニットごとの相性はマップ画面で確認できるのも親切。

 また、基本的に先手側が有利な戦闘ルールであるため、取り回しの効く小型部隊、それらに対して適度に強い中コストの大型部隊、中コスト部隊なら問題なく勝てる高コストの大型部隊、そんな高コスト部隊を足止めする小型部隊…といった大局的な意味での3すくみも成立しており、絶妙なバランスの上で様々なユニットを取り混ぜて戦う面白さがある。初心者向けとは言えないまでも、取っ付きのよさはある。とは言え、ウォーシミュレーションゲームの常として、1ターンが長いのはせんなき事か。
 N160音源を使ったサウンドにも少しだけ触れておこう。タイトル画面からして普通のファミコンカセットとは違う幻想的で独特な音色が流れる。それこそ『女神転生』を連想させる様な音色だ。長期戦となるフィールド画面でもこの音色がストレスを若干緩和してくれる。とは言え、曲数が少なく、いわゆる「名曲」という程でもないのがちょっと残念なところ。もちっと活かしてほしかったなー。

 98年発売のプレイステーション用ソフト『ナムコアンソロジー2』では、本作とそのアレンジ版が収録されている。また、20年にはニンテンドースイッチにてダウンロード販売もされている。


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