2021/10/25

ウルトラマン図鑑

  




【発売】講談社
【開発】講談社、円谷プロダクション、電子メディアサービス
【発売日】1996年9月13日
【定価】6,800円
【媒体】セガサターン用CD-ROM
【ジャンル】データベース
【周辺機器】ムービーカード、ツインオペレーター対応
【レーティング】全年齢




時代が必要としたデータベースソフト


【ストーリー】
 『ウルトラマン』シリーズは、誕生以来30年が経ちましたが、今なお根強い人気のヒーローです。現在も新シリーズが放送されていますが、真の正義感を私達に教えてくれた人気者。ここにはシリーズのうち、『ウルトラマン』と『ウルトラセブン』の2シリーズが収録されています。『ウルトラマン』、『ウルトラセブン』に登場したヒーロー自身はもちろん、登場怪獣、科学特捜隊やウルトラ警備隊についての詳細情報、全88話のストーリー紹介(一部未放送のものを除く)、そして、ウルトラワールドに登場する全てのヒーローの紹介もあります。十分にお楽しみ下さい。


【概要】
 円谷プロダクションによって制作され、66~67年に全39話放送された『ウルトラマン』及び67~68年に全49話(第12話は欠番)放送された『ウルトラセブン』を動画と静止画、ナレーション、膨大なテキストを駆使して、当時としてはあますとこなく収録したデータベース。

 「ムービーカード」と「ツインオペレーター」に対応しており、セガサターン本体に装着した状態で起動すると、タイトル画面で普段は薄文字になっている「名場面集スタート」を高品質映像で見る事ができる。ムービーカードは、セガサターンでビデオCD規格のコンパクトディスクを再生するための拡張カード。ツインオペレーターは、フォトCDや電子ブックを読み込ませる「フォトCDオペレーター」とムービーカードの機能を合わせた周辺機器で、日本ビクター(現JVCケンウッド)から発売されたが、どれも高価格なのと対応ソフトの少なさから普及はしなかった。僕も持ってないよーん。だって、お高いんですもの。でも、本作ではこれらがなくても問題ないほどに映像資料が収録されているので、ノーマルサターンでも問題なっしんぐー。今回はデータベースソフトなので画像が多いゾ!


【ゲームシステム】
 まずは「宇宙ステーションV3」を模したメニュー画面が心憎い。内容は大まかに「ウルトラマン」、「ウルトラセブン」、「モンスターファイル」、「ストーリーダイジェスト」、『ウルトラマン』ワールドを紹介っつーか96年時までに登場したウルトラ戦士の1枚画像にテキストでの説明が添付された「ウルトラワールド」の5項目。

 「ウルトラマン」及び「ウルトラセブン」では、「番組概要ナレーション」、「ウルトラマンの歌」、テレビ放送と同じオープニングが丸々収録された「番組オープニング」&「番組オープニング2」、「変身シーン」を見る事ができる。更に、「パーソナルデータ」を選ぶと、「戦闘能力」、「光線能力」、「特殊能力」が映像を中心に表示され、静止画像からも細かな各種データが閲覧できる。

 

 防衛チームである「科学特捜隊」、「ウルトラ警備隊」を選択すると、「隊員」、「基地」、「協力者」、「隊員装備」、「メカニック」とこれまた細かい設定が見られるぜ。

 

 「モンスターファイル」では、怪獣&宇宙人の詳細なスペック、「ストーリーダイジェスト」では動画と共に脚本、監督、技術監督、登場怪獣、放送日などが確認できる。そして、「EXET」を選択すると、『ウルトラQ』のテーマを伴ってスタッフロールが表示される。

 


【総評】
 現在ではネットでぴゃぴゃっと調べれば動画も静止画もすぐに出て来るが、インターネット普及前でDVDによるソフト化などまだ先の事。HDリマスターなんてなんの事やら。こういったデジタルデータベースの存在は案外と侮れない存在であった。テレビでの再放送でもなければなかなか見る事ができない映像を劣化しない媒体にパッケージングされた今でこそ手軽に当たり前にあるものが「なかった」時代である。

 

 データベースとしてわざわざ発売するからには、その購買対象は熱心なファンやマニアに限定されてくるため、制作側も決して手を抜けない。本作では、前述のポリゴンで描かれた宇宙ステーションV3を模したメニュー画面、画面枠は昭和40年代を彷彿とさせるブラウン管テレビに気付くとニヤリとさせられる。BGMは両作品で使われた劇伴である。やっぱ「ウルトラ警備隊のうた」聴くと燃えるよねー。

 データ類も非常に豊富で、例えば僕の大好きな役者である平田昭彦氏演じる「科学特捜隊の頭脳」こと「岩本博士」も協力者の一員として、製造した装備と共に細かく収録されているのだ。平田氏は『セブン』でも「ヤナガワ参報」としてゲスト出演しているが、その写真もバッチリ収録されている。ナレーションは声優の沢木郁也氏だが、劇中でナレーションを務めた石坂浩二&浦野光両氏と声質が近く、オリジナル版を踏襲して淡々と読み上げるところがまた「分かっている」。大きなお友達に向けて、制作側が可能な限り応えた一作である。

 現在は『ウルトラマン』も生誕55年目。変わらず新シリーズは作られ続けている。本作の続編も発売されており、97年発売『ウルトラマン図鑑2』には『帰ってきたウルトラマン』&『ウルトラマンA』&『ウルトラマンタロウ』が、98年発売の『ウルトラマン図鑑3』には『ウルトラマンレオ』&『ウルトラマン80』&『ウルトラマングレート』&『ウルトラマンパワード』が、それぞれ収録されている。現在の中古市場では本作が1,500円程度、『2』が2,500円程度、『3』は発売数が少ないためか定価かそれ以上と、若干お高めである。まあ、こういう類の作品は権利やらなんやらの問題で後にダウンロード販売されるケースもないので、『ウルトラ』好きのサターンユーザーは見かけたら即買いしておこう!


(C)1996 円谷プロ (C)1996 講談社 JASRAC V-962810号

2021/10/19

グラディウス




【発売】コナミ
【開発】コナミ
【発売日】1986年4月25日
【定価】4,500円
【媒体】ファミコン用カートリッジ
【容量】384Kbit
【ジャンル】シューティング
【受賞】2012年:ギネス・ワールド・レコード認定(Konami Code)




横スクロールシューティングの傑作


【ストーリー】
 母なる美しき惑星グラディウスは、亜時空星団バクテリアンの激しい宇宙侵略攻撃により、絶滅の危機に瀕していた。我々の惑星グラディウスを守るために、超時空戦闘機・ビックバイパーが今、暗黒の宇宙に飛び立った。壮大なる異次元空間とバクテリアンの総攻撃がビックバイパーを待ち受ける。目指すは敵要塞ゼロス。エネルギーカプセルを集め、パワーアップだ!グラディウスを救えるのはキミしかいない。勇気と集中力で、さあ、発進せよ!


【概要】
 オリジナル版は85年5月にコナミ(現コナミデジタルエンタテインメント)がアーケードで発売した横スクロールシューティングゲーム。無駄のないシステム、美麗なグラフィックと多彩なサウンドなどをファミコン版でも非常に高い移植度で再現。その完成度の高さから、100万本以上を売り上げた。縦スクロールシューティングの雄が『ゼビウス』(ナムコ)ならば、本作は横スクロールシューティングのそれであり、画期的な作品である。


【ゲームシステム】
 パワーアップ型横スクロールシューティングゲーム。4機以上の編隊を組む敵機を全て倒すか、赤い機体色の敵機を撃破する事で出現するパワーアップカプセルを集め、画面最下部に表示されているパワーアップの装備にセレクトサインが点けばBボタンでパワーアップできる。装備は必要カプセルが少ない順に「スピードアップ」、「ミサイル」、「ダブル」、「レーザー」、「オプション」、「バリア」の6種類。全7ステージ。




【総評】
 アーケード版の出来を知らないユーザーでも、1度プレイすれば本作がいかに異常な完成度かが分かろーというもの。シンプルで感覚的に分かるパワーアップシステムに、美しいグラフィック。宇宙の深淵やステージごとに勇壮的であったり不気味であったりするバラエティに富んだサウンドの数々。ゲームバランスも歯応えはあるも頑張ればなんとかなる絶妙な難易度だ。

 ステージは全部で7あり、それぞれが個性的だ。ステージ1は、相手の侵略によって敵の前衛基地と化しながら、以前は緑に覆われた平和な衛星の面影を残す「火山ステージ」。続いて岩石群で造られた宇宙基地「ストーンヘンジステージ」。画面いっぱいにモアイ像が現れる古代からの聖地を基地化した「モアイステージ」。ステージ4はステージ1の天地が逆になった「逆火山ステージ」。宇宙に浮遊する触手生物を相手に戦う「触手ステージ」。巨大な組織細胞内でアメーバの攻撃を避けながら進む「細胞ステージ」。そして、「ゼロス要塞ステージ」と、どのステージもそれぞれの特徴がしっかり作り込まれており、火山や触手、モアイなど、以降の続編でも登場するファクターが凝縮されている。

 

 パワーアップ時に撃破され、ノーマル状態からの立て直しも、ポーズボタンを押し、上、上、下、下、左、右、左、右、B、Aと入力すれば、回数制限こそあるものの、その場からパワーアップした状態で再開できる救済措置がある。このコマンドはその後「コナミコマンド」と呼ばれ、前述のコマンドを基本形に、同社の作品に多く使用されているが、元々はアーケード版をファミコンに移植する際、難易度の高さに苦戦するスタッフを見かねて、プログラマーの橋本和久氏が組み込んだデバッグ用コマンドだそうであるが、移植完了後に削除する予定だったのを失念して、製品版にそのまま残された。結果的には、当時の裏技ブームの影響で一気に知名度が広がり、12年にイギリスのギネス・ワールド・レコーズ社より「最もよく知られている隠しコマンド」としてギネス世界記録に認定されいる。

 本作を彩る美しいサウンドの数々は、全て東野美紀氏(現フリーランス)がコナミのアルバイト時代に作曲したもの。コナミにはゲームのサウンドチーム「コナミ矩形波倶楽部」と、アレンジやバンド活動を行う「矩形波倶楽部」が存在し、東野氏も正社員登用後はコナミ矩形波倶楽部で『グラディウスIII-伝説から神話へー』、『魂斗羅スピリット』、『幻想水滸伝』シリーズなど多くのサウンドを手掛ける傍ら、矩形波倶楽部としても活動した。他のコンポーザーのアレンジでも『グラディウス』関連のアルバムは数多い。本作のBGMは以降の僕の中で「とにかくコナミの作品の音楽は間違いなくいい」と刷り込まれ、それを裏切られた事は今日までないのだった。

 シューティングゲームとしての出来はもちろん、グラフィック、サウンド、どれを取っても全く隙がない傑作である。発売当時は大塚食品のカップ麺「アルキメンデス」とタイアップし、パワーアップカプセルがアルキメンデスの容器に置き換えられた『グラディウス・アルキメンデス編』がプレゼントされたが、これは数が少なく、現在ではおよそ200,000円前後のプレミア価格が付いている。まあ、コレクター用アイテムですな。通常版は150~250円程度だ。また、移植作や続編も数多く発売されいるので、ぜひやるのだ。ぜひ。ぜひぜひ。



(C)Konami 1986

2021/10/01

ナムコミュージアムVOL.5


  





【発売】ナムコ
【開発】トーセ
【発売日】1997年2月28日(PlayStation the Best版:1999年10月28日)
【定価】5,800円(PlayStation the Best版:オープン価格)
【媒体】プレイステーション用CD-ROM
【ジャンル】オムニバス
【受賞】1996年:CESA大賞'96ゲームジャンル別賞バラエティ賞




昔のナムコが好きだ!その5


【ストーリー】
 お客様にご案内申し上げます。当ミュージアムはこの度、全4フロアの最新ビルとして新装されました。地下1階から2階までは各種ゲームルームを、3階では屋上を連絡してギャラリーやオペラハウスを楽しむ事ができます。尚、ご不明な点がございましたら、1階インフォメーションまでお立ち寄り下さい。本日もナムコミュージアムへお越し頂きまして、誠にありがとうございます。




【収録作品】
01.メトロクロス(85年5月)
02.バラデューク(85年7月)
03.ドラゴンスピリット(87年6月)
04.パックマニア(87年11月)
05.ワルキューレの伝説(89年4月)







【概要】
 ナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)が日本一輝いていた頃に発売されたアーケードゲームの数々を完全移植で複数収録したオムニバスソフト。ゲームのみならず、多くの関連資料や同社の会社資料までも収録したプレイステーション用ソフトとして、全6本が順次発売された。本作はその第5弾。『バラデューク』、『パックマニア』は家庭用ゲーム機では初の移植である。


【ゲームシステム】
 ミュージアム内の基本構成はこれまでの前4作と比べ、大幅にリニューアルされており、「ゲームルーム」には地下1階から螺旋階段を上って2階までに配置。壁面に多くのナムコキャラクターが描かれているのがファンとしては嬉しい。各作品の資料も充実しており、『ワルキューレの伝説』の絵コンテまで収録されている。「データノート」は1階にあるエレベーターに乗り、『迷廊館のチャナ』の「扉」を再現したルームから閲覧する事ができる。

 各作品の移植度と資料性の高さは相変わらずの大満足度で、広報誌「namco COMMUNITY MAGAZINE NG」に冨士宏氏が連載していた『迷廊館のチャナ』も前作『ナムコミュージアムVOL.4』からの続き、第14話から最終話まで+「チャナ」の学園生活を描いたNG未発表の外伝「校庭に描いた絵」が収録されていたりと、今作もナムコファンなら買うしかないっていうか買わない理由がないぜー!

 


【総評】
 『ワルキューレ』だ!まずはこれだけでも大満足で釣りはいらねえ取っときなと言いたい!90年にPCエンジンに移植されてはいたが、アーケード版の完全移植は待ちに待ったって感じ。そして、『ドラゴンスピリット』!続編の『ドラゴンセイバー』や『アサルト』、『メタルホーク』、『リッジレーサー』シリーズなど、数々の名曲を生み出した細江慎治氏によるナイスなサウンドだけで本誌記者も昇天!この王道2本を柱に、86年にファミコンに移植された『メトロクロス』、前述した様に家庭用ゲーム機初移植の『バラデューク』と『パックマニア』という通好みの3作と、今回も非常にバランスの取れた収録作品が連なる。細かい点だが、ロード時間も前作より更に短縮されている。



Produced by NAMCO LTD. (C)1997 NAMCO LTD.,ALL RIGHTS RESERVED