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2026/07/25


シンプル1500シリーズVol.36 ザ・恋愛シミュレーション
~夏色セレブレーション~



 




【発売】D3パブリッシャー
【開発】ヒューネックス、ガイナックス、知遇プロ
【発売日】2000年8月24日
【定価】1,500円
【媒体】プレイステーション用CD-ROM
【ジャンル】シミュレーション




面倒な「フラグ立て」と面倒な「恋愛」


【ストーリー】
 8月の初旬、有名私立高校に通い、寮生活を送る高校3年生のキミの元に、故郷の父親から電話がかかってくる。

 「21日には、必ず実家に帰って来い!」

 キミは、父親の有無を言わさぬ物言いを不信に思いながら、3週間後には実家に帰る事にした。しかし、今は夏休みの真っ最中。バイトや勉強もしなくちゃいけないけど、遊びにも行きたい!クラスメイトの女の子とデートしたり、素敵な出会いがあったり…。3週間後、旅行気分でキミは、心を寄せている女性を誘って実家へと帰った。キミを待っていた父親は、1人の女性をキミに紹介する。

 「お前の許嫁だ」

 18歳の夏に起こった突然の出来事。好きな彼女と許嫁…キミの気持ちは?



【概要】
 オリジナル版は99年にヒューネックスがWindows98で発売した恋愛シミュレーションゲーム『夏色Celebration』。D3パブリッシャーの『シンプル』シリーズは、プレイステーション用ソフトの平均価格が5,000円以上だった折、98年に『シンプル1500シリーズVol.1 ザ・麻雀』を1,500円で発売、99年には売上50万本を突破し、01年には100万本に達した。同シリーズは、その後も作品テーマをひとつに絞り、装飾は削り落とし、ゲーム性を徹底的に追及、「1,500円」という廉価で数多くの作品を輩出した。そんなシリーズの中で、初の他社開発ソフトを移植したのが本作である。ボリュームはそれまでのシリーズとは比べ物にならず、後にドリームキャストなどにも移植されている。オリジナル版の一部はグラフィック描写が年齢制限(R指定)に引っかかるバージョンもイベントで発売されたが、本作はR指定のない「通常版」の移植である。キャラクターデザインは、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』制作のガイナックスが担当している。



【ゲームシステム】
 プレイヤーは夏休み中の高校3年生。1日の流れは、学生寮から始まり、午前中は学校で夏期講習。午後は自由に行動でき、複数の移動先から1ヶ所を選択して行動できる。この際、電話番号を知っている女の子なら、電話が繋がれば居場所が聞ける。また、ふらっとただ散策するだけでも後のフラグが立つ場合もある。夕方は決まった曜日にバーガーショップでアルバイト。夜は寮の部屋でパソコンを使ってセーブをする他、途中からは寮を抜け出す事もできる。大まかな平日1日の流れはこんな感じだ。

 登場する女性キャラクターは、「2つの潜在的な性格」が設定されており、例えば、最初のプレイと2周目以降のプレイ時では同じ選択肢を選んでも反応が変わる。また、キャラクターの性格だけではなく、2周目以降は街の構成も変化する。

 恋愛対象となるキャラクターは、明朗快活サバサバした性格で恋愛対象としては1番まともな「朝香久美子」、偶然会うしかないカメラマン志望の「須藤彩」、やべえ二重人格のメンヘラっ娘「京野夕凪」、バイト先の先輩で女子大生なセクシーおねーさんだが付き合ってる男がやべえ「高瀬絵里菜」、小学生っつー時点でいろいろやべえ「桜咲真歩」、人気アイドルとは仮の姿でその正体は真歩という結局小学生でやっぱやべえ「桜野恵瑠」、意中の女の子も決まりなんとなく仲良くなりかけた頃に登場するお邪魔キャラクターでやべえくらいの鬼ストーカー許嫁「小早川雫香」の7人。男友達も2人いるヨ。


【総評】
 野郎どもっ!夏だぜーっ!…あ、やっぱ、野郎は帰って。ごめん。ジークナオン!←うるせえ。つーわけで、夏と言えば甘じょっぺえチャラチャラした恋の季節である。本作は8月20までと、21日の実家帰省後に恋愛対象キャラクターが固定された2部構成になっている。久美子、夕凪、絵里菜はデフォルトで登場するが、他のキャラクターはどうやったら会えるのかなかなか分からんとばい。おそらくはデフォルトの3人は無視して、放課後にいろんな場所に足を運んでみるしかないと思う。たまーに選択肢が出るが、これも後のフラグ立てに大事なので、よく考えて答え…ても、正解は「相手の性格次第」だ。前半パートはイベントを含めわりとタンパクな感じだが、後半パートは「恋人」だからこその「面倒臭さ」が全面に押し出され、おじさんは時々白目になるのだった。


 前述した様に、本作は各キャラクターに2通りの性格が用意されており、これはゲームスタートから2日後の8月2日の時点でランダムに決まる。また、タンパクな前半パートでも実際にはシビアで複雑な「フラグ立て」が発生しており、1周目でよかった選択肢の答えが2周目でもそうとは限らない。また、最悪の場合は後半パートは選択肢が少なく、どれを選択してもバッドエンドで詰まってしまう。簡単と思っていた久美子で後半パートの選択を変えても2回バッドエンドだったぜコノヤロー。



 オリジナル版が発売されたのはWindows98が発売されてから1年後と考えると、キャラクターの輪郭線が荒かったり、ユーザーインタフェイス周りが貧弱など、多少のアラは見えるが、よくまとまっている。また、携帯電話が普及し始めた頃なので、ゲーム内にアップで映し出される携帯電話を見て刻の涙を見るが、ゲームとしては特段古臭さは感じさせない。ただ、難しい。ベタな展開を狙おうとしても、前半パートのどこかでフラグが立っていなければ、容赦なくバッドエンドだ。恋とはそーゆーものであるとかの有名な魯山人も言っておった(うそ)。

 多賀谷洋子氏のサウンドはかなりいい。特に爽やかで明るい「久美子のテーマ」や「Dancing in the street」、緊迫感ある「Tention」、エンディングテーマなど、「サウンドモード」でじっくり聴いてほしい。あ、青少年には気になるR指定箇所だが、僕が調べた限りではエンディングでバストアップのCGがある程度で、これも恋人と結ばれて各キャラクターの幸せそうな笑顔を目立たせるものであり、脱衣麻雀レベルを期待してはいけないのであった。ただ、このR指定版、情報がほとんどないんだよねぇ。ホントにイベント用にものすごーく少数作られたんだなぁ。

 とにかくフラグ立て=プレイヤーの何気ない行動がシビアに、しかも表には出ずに判断されるので、バッドエンドになった場合、どこでどう自分の行動が間違ったのかが分かり辛いっつーか分からぬ!また、許嫁騒動(久美子が許嫁の場合もある)後の後半パートでは、男の馬鹿で鈍い部分と女の面倒臭い部分ばかりが目立つ。もうちょっと『ときめきメモリアル~forever with you~』(コナミ)の様に、ゲームとしての「ファンタジー」部分を足してもよかったのではなかろーか。シビアで面倒臭いのは現実だけでいいのにーのにーのにー。あ、あと、細かい事だけど、セーブorロードする時の「セーブ(orロード)しますか?」とキャラクターが声をかけてくるが、この「セーブ」&「ロード」のイントネーションがなーんか全員違和感あんだよなー。ホント、細かい事だけど、僕は細かい男なのだ!

 『シンプル』シリーズは本作以降、他社ソフトの移植、また、『地球防衛軍』シリーズや『大美人』シリーズなどの自社開発ソフトも精力的に発売し、口コミで人気が広がるパターンも多い。ドリームキャストやプレイステーション2に供給していた時こそ価格が2,000円に上がったが、現在は数百円でのダウンロード販売で遊べるうえ、ゲーム内容も濃くなっている息の長いシリーズだ。ただ、本作に限って言えば現在ダウンロード販売はされておらず、中古市場では定価1,500円からそう下がってはいない。夏に時間があればやってみれ。


(C)2000 HuneX (C)2000 D3 PUBLISHER

2026/06/20

機動警察パトレイバー~ゲームエディション~

 


 


【発売】バンダイビジュアル
【開発】プロダクションI.G
【発売日】2000年11月30日
【定価】6,800円
【媒体】プレイステーション用CD-ROM
【ジャンル】アクション
【周辺機器】アナログコントローラ(振動のみ)対応




開発中止から高品質に蘇った作品


【ストーリー】
 このゲームは、レイバー犯罪に対抗すべく本庁警備部内に設立された特科車両二課第2小隊に配備されてしまった不幸なプレイヤー(あなた)が、イングラム3号機を操り、数々の難事件を解決していくゲームである。


【概要】
 ゆうきまさみ、出渕裕、高田明美、伊藤和典、押井守の5人からなる「ヘッドギア」原作による『機動警察パトレイバー』は、88年に発売されたオリジナルビデオアニメからスタートし、コミックス、劇場用アニメ、テレビアニメ、小説、実写映画、短編アニメとあらゆるメディアで展開された近未来ポリスアクションストーリーで、メディアミックス作品の先駆けとなった。26年には新作アニメ『機動警察パトレイバーEZY』が劇場公開された。

 『パトレイバー』は主に3つのパラレルワールドがあり、メディアによってコメディやサスペンス、企業犯罪など様々なテーマを扱っているが、90年代末、「レイバー」と呼ばれる産業用ロボットによる犯罪に対抗するため、警視庁警備部内に新設された「特車二課・パトロールレイバー中隊」の隊員達による群像劇が根幹を成す。本作はテレビ版→新ビデオ版の続きに該当する。

 初回限定版として、雑誌や広告に掲載されたイラスト集「Illustration Works of Patlabor Game Edition」が付属している。また、ゲームをクリアすると、押井守監督が実験用として作った映像特典「PATLABOR THE LIVE ACTION MOVIE」3パターンを見る事もできる。




【ゲームシステム】
 ゲームはフルボイスの「シナリオAパート」→敵レイバーと交戦する「アクションパート」→後日談の「シナリオBパート」の1ラウンドが主に3つのパートで構成されている。全11ラウンド。アクションパートでは、敵レイバーの「耐久度」を0にするとクリア。逆にプレイヤーの乗る「イングラム3号機」の耐久度かバッテリーが0になるとゲームオーバー。イングラムでの直接攻撃は全て「掴み」状態から始まり、「突撃ゲージ」をMAXまで貯めると攻撃が可能となる。攻撃は4つのボタンに振り分けられた技のタイミングが表示された際にすぐさまそのボタンを押し、成功すると次々とコンボ技が出せる。

 一方、攻撃時のコマンド入力に失敗し、敵の反撃を喰らったり、移動中に先手を取られると、「!」が現れ、ここもタイミングよくボタンを押せばダメージを軽減できる。イングラム3号機の指揮は本作オリジナルの女性キャラクター「空谷みどり」巡査が行う。武装の1種であるスタンスティック(電磁警棒)はこのタイミングが非常に早くなかなか難しい。更に6連装37mmリボルバーカノンによる「射撃モード」もあるが、写真を撮るヒマがありませんでしたっていうか、アクションパートはなかなか写真が撮れんので、今回はシナリオパートの写真を若干多めに。


【総評】
 アクションパートは、『ダンスダンスレボリューション』(コナミ)など、当時アーケードで頭角を表してきたリズムゲームの応用であり、プレイステーションの全てのボタンを使いながらも、操作性はできるだけシンプルさを目指し、タイミング勝負で連続技を出せるところが緊張感を伴い、また、レイバーの「重さ」や「速さ」も感じて、面白い。ボタンを押すタイミングはコンボが繋がるごとに早くなるため、レイバー戦のアクションをじっくり見るヒマはないけど、みどりが実況してくれる。



 ストーリーの大枠は、戦乱の絶えない国の同胞達と、主犯である天才プログラマーでゲームオリジナルキャラクターの「クリシュナ・アマルナート」の犯罪が背景に大河ドラマ的に流れつつ、1話1話は日常の業務をこなしていく。みどりも第2小隊に非常に馴染むナイスキャラクターだ。





 一方で、本作の1番の欠点は、第2小隊1号機キャリア担当の「山崎ひろみ」、同2号機キャリア担当&時々指揮の「進士幹泰」、第1小隊隊長の「南雲しのぶ」、整備班長「榊清太郎」のレギュラーメンバーを欠番にしたところにある。『パトレイバー』という作品は一見ロボットアニメだが、前述した様にその根幹は「隊員達の群像劇」である。「本庁出向中」などとそれらしい理由付けがなされているが、単にプレイヤーとみどりの2人が加わった事で、既存の人数+増えた2人を開発陣が「大所帯となった特車二課」の人数を扱いきれなかった事にあるだろう。他のロボットゲームではいざ知らず、『パトレイバー』に関して言えば、この選択は「ノー」だったと言わざるを得ない。上手く扱ってキャラクター達を回していくのが、現在は映画『真・女立喰師列伝』やアニメ『攻殻機動隊 SAC_2045』で活躍している檜垣亮氏の脚本と開発陣の腕の見せ所ではないか。それを最初から放り投げた時点で「負け」である←何の?



 本作は96年に『PATLABOR THE GAME(仮)』として発表されるも、そのクオリティの低さから1度開発中止となっており、最終的にはプロダクションI.Gで制作した映画『機動警察パトレイバー2 the Movie』のスタッフが新加入し、新規に開発をし直した。中止となったバージョンには主人公が「森園」、指揮担当は「空谷みあ」という名前が付いていた(レイバーキャリア担当者も名前だけ設定されてたけど忘れた)。この酷いゲームの体験版は98年発売の『サイレントメビウス 幻影の堕天使』と『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』にそれぞれ別ステージの体験版が付属されている。後述するが、ポリゴンガクガク、何を言ってるのかよく分からない喋りと、まあ、ヒドイ。

 この体験版のまま発売せず、いったん白紙に戻してプロダクションI.Gに製作が移り、高いクオリティが全てで維持され、ゲーム開発に関しても『ダブルキャスト』や『季節を抱きしめて』のソニー・コンピュータエンタテインメントの「やるドラ」シリーズなどで得たノウハウが積み重なった時期にちょうどいいテコ入れで作り直す英断を下したバンダイビジュアルにより、結果的に会話パートは劇場アニメ並み、アクションパートもアイデアのある他のロボットゲームとは一線を画した高品質のゲームができたと言ってもいいだろう。




Selies
『PATLABOR THE GAME 体験版 Ver.1.0』
 










【発売】バンダイビジュアル(非売品)
【発売日】1998年

 98年発売の『サイレントメビウス 幻影の堕天使』に付属していた開発中止前の体験版。プレイヤー「森園」、指揮担当の「空谷みあ」というキャラクターの顔(みあはみどりとでは顔も声優も異なる)が通信時に表示される。オープニングムービーはある程度完成しており、製品版では未登場のレイバーが東京の街中や新宿都庁、特車二課を襲い、イングラム1号機が出動しようとする。


 ゲームはポリゴンガックガクで、武力闘争を全面に打ち出している過激派環境保護団体「海の家」シンパが操る敵レイバーを倒し、更に建物内に入って、コンテナを押したり引いたりする『倉庫番』(シンキングラビット)さながらの内容で行く先を自ら作っていくのだが、ポリゴンの「非表示設定」などがなされていない本当に「開発中」の画面であり、イングラムの操作性も最悪である。



 他に製品版との違いは、テキトーに色を塗った高田氏の描く第2小隊隊長「後藤喜一」が静止画で表示される事。声の感じも後藤を演じる大林隆介氏の飄々としたものではなく、どことなく終始ピリピリした喋り方になっている。また、前述の「海の家」シンパも喋るのだが、明らかに開発スタッフが声を当てており、活舌も悪い。イングラムのデッキアップはムービー、後藤のミニパトは3DCGで描かれている。『サイレントメビウス』のソフトはたぶん誰かにやった。現在では入手困難かもしれない。





Selies
『『マクロスVF-X2』体験版&『PATLABOR THE GAME』体験版 Ver.2.0』
 


【発売】バンダイビジュアル(非売品)
【発売日】1998年

 98年発売の『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』に付属していた開発中止前の体験版第2弾。薄い操作説明書が付いたが、ゲームはいきなりどこかの「制御室」と呼ばれるポリゴンがスッカスカの空間に放り込まれ、何をしていいか分からない。みあの声優もVer.1と違う。とにかくまともに真っすぐ歩けずストレスバリバリで、更に足元には電気をビリビリ発する「ガードロボット」がおり、放っておくと足元がガードロボットだらけになるので、ヘボいキック数発で倒していくだけで、進捗としてはVer.1から全く進んでない。これも現在では入手が難しいかもしれないが、別に入手しなくてもいいと思う。



 特典映像として、02年に公開された映画『WXIII PATLABOR THE MOVIE 3』のパイロット版が収録されている(これは同作のDVD BOXにも収録されている)。『マクロス』のソフトはたぶん誰かにやった。この体験版Ver.2を最後に2年間音沙汰がなくなる。



Flyer
販促用チラシ&雑誌広告

 00年秋、突如、プロダクションI.Gにテコ入れされた本作の雑誌広告が打たれた。後藤隊長口調による「いや~待たせたね~」というコピーが全てを表している。また、約2ヶ月に渡り、ゲームの進行に合わせた形で、毎回プロダクションI.G所属の黄瀬和哉氏による描き下ろしのイラストによる雑誌広告も打たれ、バンダイビジュアルの巻き返そうとする姿勢がよく分かる。大林氏ナレーションのTVCMも夕方から深夜の時間帯に放送され、莫大な広告費がかかってると容易に予想できる。






 また、販促用チラシも配られ、A4二つ折りで内容も濃い。みどりやクリシュナの全身像や、後姿ではあるが、ひろみ、進士、しのぶも描かれている。東京マルイ協力でプレゼント企画も用意された。

 






Goods
販促用リバーシブルポスター

 予約特典のB2リバーシブルポスター。表面は高田氏描き下ろしの素晴らしい野明が、裏面はパッケージと同じ出渕氏がテキトーに描いた手抜きイングラム2機と野明が描かれている。我が家では何度か引っ越しをしても、26年間ずっと飾っている。ちなみに、まだ封を切ってない同じポスターがもう1枚あるんだけど、どうやって手に入れたかは…教えてあげない。








Model
バンダイ1/60改造「イングラム3号機 ゲームエディション版」

 ゲーム中、当初はテレビ版の頭部だった3号機だが、序盤で劇場版2で搭載されたいわゆる「メデューサヘッド」に変わる。ただし、劇場版2ではボディのほとんどがアーマーで覆われていたため、バンダイ製1/60のプラモデルを使って通常のボディにメデューサヘッドを乗せ、ついでに古いキットなので気になるところを改造している。ヘタだけどね、好きなんだもん。製作手順の詳細はご興味ありましたらこちらからどうぞ。



(C)2000 HEADGEAR / EMOTION / TFC / SHOGAKUKAN (C)2000 BANDAI VISUAL / Production I.G
(C)1998 HEADGEAR / EMOTION / TFC / SHOGAKUKAN (C)1999 HEADGEAR / EMOTION / TFC / SHOGAKUKAN

2015/08/16

ぼくのなつやすみ



【発売】ソニー・コンピュータエンタテインメント
【開発】ソニー・コンピュータエンタテインメント、ミレニアムキッチン、アトリエドゥーブル、草薙
【発売日】2000年6月29日(PlayStation the Best版:2001年6月14日)
【定価】5,800円(PlayStation the Best版:2,800円)
【媒体】プレイステーション用CD-ROM
【ジャンル】コミュニケーション
【周辺機器】アナログコントローラ対応(振動のみ)
【受賞】2001年:第5回文化庁メディア芸術祭展示作品
【受賞】2001年:第5回日本ゲーム大賞ニューウェイブ賞
【受賞】2001年:第5回日本ゲーム大賞パッケージデザイン部門賞




大人になってしまった、あなたに


【ストーリー】 
 1975年、夏。小学3年生のボクは、おじさんの家で「なつやすみ」の1ヶ月を過ごす事になりました。おじさんの家のある村は、都会育ちのボクが見た事のないものでいっぱいです。

 さあ、どんな「なつやすみ」になるのでしょうか。



【概要】
 母親が臨月を迎えたため、8月の1ヶ月間だけ田舎の叔父宅に預けられた9歳の「ボク」が体験する、古き良き時代の日本の夏を追体験するコミュニケーションゲーム。8月1日から31日までの間、舞台となる「月夜野(つきよの)」の中を自由に行動できる。キャラクターデザインは、ライオンの「キレイキレイ」やNHK『きょうの料理』でお馴染みのイラストレーター上田三根子氏。背景美術は、『サザエさん』のオープニングをはじめ多くのアニメーション美術を手がける草薙が担当。大藤史氏の歌うテーマソング「この広い野原いっぱい」は、67年に森山良子氏が発表したフォークソングのカバー曲だ。第5回日本ゲーム大賞ニューウェイブ賞及び同パッケージ部門賞受賞。第5回文化庁メディア芸術祭展示作品。

  
【ゲームシステム】
 プレイヤーは、夏休みの31日間を叔父の「空野家」で過ごす。空野家は陶芸家の「おじちゃん」、専業主婦の「おばちゃん」、中学3年生の「萌(もえ)ねえちゃん」、小学2年生の「詩(しらべ)」、それに犬の「ケン坊」の4人と1匹家族。ゲーム開始時は空野家の周囲だけだった行動範囲もプレイヤーの行動次第で徐々に広がっていくその過程が、子供の頃に探検する場所が少しずつ広くなっていった感覚に似て楽しい。ゲーム内の虫は全60種で、全て捕まえる事ができ、昆虫図鑑を作ったり、地元の子供達と仲良くなれば虫相撲で戦わせる事もできるのだ。池や川には3種類の魚も泳いでおり、これまた釣る事ができる。

 日にちと時間の概念があり、朝→昼→夕→夜と時間と共に経過するグラフィックが美しい。1日は6時に起床し、22時に就寝。ラジオ体操、朝食、夕食などの時間を除く約12時間を自由に動き回れる。朝顔の世話、昆虫採集、魚釣り、凧上げなど、何をしてもいいし、逆に何もしなくてもいい。行動によってはイベントが発生し、それによって5種類のエンディングがあるが、特にどれが正しいエンディングというわけではなく、本作はとりわけ30代以上の「大人になってしまった」ユーザーがノスタルジックに、そして気ままにのんびりと「あの頃」の夏休みを思い出しながら楽しむのが正しい姿勢と言えましょう。


【総評】
 真夏の強い陽射しに湧き上がる入道雲、辺りを埋め尽くすセミの鳴き声、心を騒がせる様な夕暮れにこぼれ落ちんばかりの星空など、美しい背景美術と音響、プレイステーションならではの3D表現によって、子供の頃に見た夏の風景が見事なまでに再現されている。90年代中盤以降、メディアがCD-ROMになった事でゲームの表現力が大幅に高まり、それまでは実現不可能だった作品が多く輩出されたが、本作もそのひとつだ。陶芸家のおじさん、昔は東京でカメラマンを目指していたおばさん、思春期真っ盛りの長女に生意気盛りの次女、そして虫や魚…大袈裟に言えば、ゲーム内に流れる時間と共にCD-ROMの中に生きていて、それに干渉するかしないかはプレイヤーの自由だ。

 ゲーム中のBGMは、ミンミンゼミやヒグラシ、スズムシなどの虫の声に川のせせらぎなどが主で、まるで環境ソフトみたいな仕様が実に心地よく、時折挿入されるジングル的な扱いの曲も地味ながら切なさを感じさせてくれる。ゲームのBGMと言うのは、テレビや映画など他のメディアとは比較にならないほど長時間耳にするため、この「曲を流さない」という仕様は英断だと思う。空野家の面々の声は、ボク役と詩役に子役を起用している他、おじちゃん役は東宝特撮ファンにはお馴染みの佐々木勝彦氏。この佐々木氏の芝居がこれまた実にいい。一方、ナレーションのダンカン氏はちょっと聞き取り難い感じなのが残念。

 舞台となる月夜野は、「北関東のどこかにある架空の田舎」という設定だが、群馬県利根郡の月夜野町ではないかと言われている(本作発売から5年後の05年に合併し、現在はみなかみ町となっている)。僕はこの昭和50年に生まれたので、ゲームではボクの弟と同い年になるんだけど、ちょうど僕がボクと同じ歳の頃、母が病気で入院して祖父母の家にしばらく預けられた事があった。そこは大分県玖珠郡の山奥で、朝はトラックの荷台に乗ってカブトムシやクワガタを探して砂糖水をクヌギの木に塗り、昼は叔母が採れ立てのトウモロコシやトマトを食べさせてくれ、数日おきの夕方になると日用品を積んだ移動販売車が来てお菓子を買ってもらった。テレビの民放はチャンネルが2つしかなかったけど、夜は花火やバーベキューをしたり、牛も飼っていたので牧場でキャンプをしたりと、あの頃の夏休みの思い出は今でも宝物だ。でも、トイレが外にあったのだけはいくつになっても慣れずに、怖くて嫌だったなぁ。

 ゲーム内では「死」や「戦争」を意識する描写も僅かではあるが存在する。それはごく平均的な、そしてごく家庭的な一家の中での描写であり、決して多くを語られる事はなく、あくまで9歳児の目線からではあるが、これらもまた子供の「なつやすみ」には必要な事であり、ただの箱庭シミュレーターになっていない大事な要素のひとつだと思う。このゲームは僕が社会人になって数年後、少し疲れていた時に友達が誕生日プレゼントとして送ってくれたんだけど、毎晩ゲーム内時間で1日ずつ進めるうちに、子供の頃を思い出して前向きな気持ちになったのだ。今やるとやったで、今度はエンディングのスタッフロールで流れる写真と、編曲も素晴らしい「この広い野原いっぱい」で思わず泣きそうになった。

 偶然とは言え、僕が子供の頃に体験した思い出と本作のシチュエーションはかなり近いけど、02年にはプレイステーション2で『ぼくのなつやすみ2 海の冒険篇』、07年にはプレイステーション3用『ぼくのなつやすみ3北国篇 小さなボクの大草原』、09年にはプレイステーション・ポータブル用『ぼくのなつやすみ4 瀬戸内少年探偵団「ボクと秘密の地図」』と、実際に自分が過ごした夏休みの思い出に合わせて好みのシリーズを選んでプレイするのがいいかも。また、06年にはプレイステーション・ポータブルで本作のリメイク版『ぼくのなつやすみポータブル ムシムシ博士とてっぺん山の秘密!!』も発売されている。ほんと、掛け値なしにとてもいいゲームですよ。




Books
『ぼくのなつやすみ公式ガイドブック~空が高かったあの頃~』










【著】本田やよい、ファミ通編集部責任編集
【発売】エンターブレイン
【発売日】2000年8月4日
【定価】950円


 ファミ通編集部責任編集本の中でも、著者名が明記されている本はその編集者の愛情溢れる作りになっている場合が多く、ハズレが少ないと思っているんだけど、これもそんな1冊だ。目を三角にして真のエンディングを目指すとか虫のフルコンプリートを目指すとかそういう類のゲームではないが、ボクが書いた絵日記やおばちゃんが作ってくれる朝ごはんと晩ごはんのメニュー、上田三根子氏によるふんだんなイラストなど、読み物としても楽しめる内容。月夜野の全体地図や虫獲りのポイントマップ、昆虫図鑑にイベントカレンダーなど、ファミ通編集部責任編集本の得意とするデータ類も充実している。表紙の装丁もナイス。



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