【発売】ソニー・コンピュータエンタテインメント
【開発】シュガーアンドロケッツ、プロダクションI.G
【発売日】1998年6月25日(PlayStation the Best版:2001年8月16日)
【定価】4,800円(PlayStation the Best版:2,800円)
【媒体】プレイステーション用CD-ROM
【容量】CD-ROM2枚組
【容量】CD-ROM2枚組
【ジャンル】アドベンチャー
【周辺機器】アナログコントローラ対応(振動のみ)
「やるドラ」とは何だったのか その2
【ストーリー】
主人公と彼女は本当に不思議な出逢い方をした。所属している映画研究部の飲み会で、先輩にしこたま飲まされた主人公は、繁華街のゴミ捨て場でぶっ倒れているところを、彼女に助けられたのだ。彼女の名は、赤坂美月。介抱してくれたお礼にとコーヒーを奢っているその席で、美月は名前以外の事を何一つ思い出せないのだと告白する。心配になってきた主人公は、彼女を自分の所へ来ないかと切り出してみた。すると、意外な事に美月はその話に乗ってくる…。こんな風にして、2人の奇妙な共同生活が始まる事になった。
それからしばらくして、夏休みに入った8月のある日の事。部室に集められた映研部員達の前で、部長の篠原遥は、文化祭展示用に撮影する映画のシナリオを発表する。そのシナリオの名は「かこひめの寝屋」。10年前、主演女優とカメラマンが撮影中に恋に落ち、挙句の果てに校舎の屋上から飛び降りて心中してしまった、学校でも有名ないわくつきのシナリオだった。不吉なシナリオだけに、学内にはヒロインのなり手がいない。遥が主演女優候補を探す様に言った時、主人公の頭に浮かんだのは美月の事だった。遥は美月を一目見て、ヒロインに据える事を決意。お盆も間近な頃、映画の撮影も幕を開けた。カメラマンは主人公。そして、ヒロインは美月…。
【総評】
「やるドラ」シリーズは4作全て「大学生の主人公が記憶喪失のヒロインと出会う」という共通点がある。そのため、そーんな簡単に上手い事いくわけないだろー的な思いは導入部分に感じるが、まあ、これはそーゆーモンだとしよう。全体的に先行開発の『季節を抱きしめて』よりパワーアップしており、特にアニメーション部分は、アドベンチャーゲームに見られるいわゆる「立ち絵」は一切なく、オリジナル・ビデオ・アニメ以上の質の高さを見せる。
【概要】
「みるドラマから、やるドラマへ。」のキャッチコピーで98年にソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)が発売した「やるドラ」シリーズ4作の第1弾。キャラクターデザインは『爆れつハンター』や『機動戦艦ナデシコ』の後藤圭二氏。アニメーション制作会社のプロダクションI.Gによるフルアニメーション&フルボイスのクオリティは非常に高い。本作はシリーズの中では『季節を抱きしめて』に次いで2番目に開発されたものの、プロモーション的な理由からシリーズ第1弾ソフトとして発売された。やるドラシリーズは当初、『フォーシーズンストーリー』という1本のソフトとして企画されていたため、各作品ごとに季節と花が設定されている。本作は当初『アクトレス』というタイトルで、舞台の季節は「夏」、象徴的な花は「ひまわり」。
尚、本作には暴力シーンやグロテスクな表現が含まれているため、そのテのモノが苦手な人は注意。当時はまだCERO(コンピュータエンターテインメントレーティング機構)が存在しなかったため、パッケージ裏面に注意喚起がされてる。05年にプレイステーション・ポータブルで発売された『やるドラポータブル ダブルキャスト』では、CEROのレーティングでは「12歳以上対象ソフト」となった。
【ゲームシステム】
フルアニメーション&フルボイスで進行するアドベンチャーゲーム。プレイヤーは途中で表示される選択肢を選び、その結果によってストーリーが変化する。マルチエンディング方式で、ベストエンディングは4種類、ノーマル及びバッドエンディングは23種類あるが、その中の3種類は他の「やるドラ」シリーズのPVが流れる実質的な水増しである。1周するごとにゲーム中に存在する経路のうち、どれくらいの経路を通過したかが分かる「達成率」が表示され、その数字が高くなるごとに新たな選択肢が登場するため、プレイする度にストーリーのバリエーションが増える。
何度もクリアする事が前提なので、1回のプレイ時間は1~1時間半と比較的短く、また、1度クリアしただけでは登場しないキャラクターもおり、場合によってはヒロインの「赤坂美月」さえ登場しないエピソードもある。
【総評】
「やるドラ」シリーズは4作全て「大学生の主人公が記憶喪失のヒロインと出会う」という共通点がある。そのため、そーんな簡単に上手い事いくわけないだろー的な思いは導入部分に感じるが、まあ、これはそーゆーモンだとしよう。全体的に先行開発の『季節を抱きしめて』よりパワーアップしており、特にアニメーション部分は、アドベンチャーゲームに見られるいわゆる「立ち絵」は一切なく、オリジナル・ビデオ・アニメ以上の質の高さを見せる。
ノーマルエンディングには無難な選択肢を選んでいけば比較的早く到達できるだろう。惜しくもグッドエンドに辿り着けなかった場合は、2回目以降のプレイで選択肢に「こっちを選べ」的マークが付き、グッドエンディングへのヒントとなる…なるんだけど、これをやっちゃうと完全に「見るドラマ」になってしまい、「見るドラマから、やるドラマへ。」の「やるドラ」の根本が揺らいでしまうため、ここはノーヒントで進めたいところだ。この「どこまでプレイヤーの行動に介入するか」という部分は、開発側からすればシリーズ共通の難関だったのではなかろーか。
さて、一人称が「ボク」っつー「ボクっ娘」の元祖的な座った美月が佇む爽やかなパッケージを見て、美月との甘い共同生活や恋愛シミュレーションと勘違いしたプレイヤーも当時は少なくなかったはずだが、前述の様に、本作では暴力&グロテスクなシーンの注意喚起がなされている。本作の中身はサイコサスペンスであり、間接的に不安を煽ったり不穏な予感がするビジュアルや演出が絶妙な塩梅で挿入されている。美月は現在で言うところの「サイコパスな人」なのであった(別にネタバレじゃないからいいよね、これ書いても)。また、バッドエンドを2回以上見ると、分岐として大量殺戮が行われる「ジェノサイド編」までも登場する。
個人的には『季節を抱きしめて』より本作の方がストーリーに最後まで興味を惹かれ、繰り返しプレイした回数も多い。一方で、クリア後のヒントがあまり役に立たない、BGMや主題歌のサウンド面が弱い、『季節を抱きしめて』同様にフローチャートや達成率のグラフ化がなされていないところが不満点だなー。
本作は、シリーズ累計販売数約70万本のうち、約31万本と「やるドラ」シリーズの中では最も売れた作品である。タイアップとして、テレビ東京系列の深夜枠で『吉本超合金』という番組も放送された。これは、2丁拳銃とFUJIWARAが、一応、毎回「やるドラ」シリーズをお題にした企画で海辺で砂を食べたりしてた(←死ぬほど笑った)。両コンビともまだ東京進出を果たす前で、めちゃくちゃやっててすげー面白かったっす。実は僕が「やるドラ」シリーズを知ったのは、この番組からなのだった←またどうでもいい締めだ。
Books
『オフィシャルやるドラファンブック ダブルキャスト CD-ROMスペシャルデータ集』
【著】murmur's GROUP
【発売】ソニー・コンピュータエンタテインメント
【発売日】1998年6月25日
【定価】2,500円
SCEIのオフィシャルブック。基本的には『オフィシャルやるドラファンブック 季節を抱きしめて CD-ROMスペシャルデータ集』と同じ構成。キャラクターや舞台背景などの設定画、スタッフインタビューなど、特にビジュアル面での内容が充実している。付属のCD-ROMにはグッドエンディング4種類のセーブデータ、拡大可能なハイレゾリューション画面の本編357カット、名場面109シーン、設定資料51点が収録されている。
(C)1998 Sony Computer Entertainment Inc. All rights reserved. Produced by Sugar & Rockets Inc.
※「やるドラ」はソニー・コンピュータエンタテインメントの商標です。
※「やるドラ」はソニー・コンピュータエンタテインメントの商標です。
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