【発売】タイトー
【開発】トーセ
【発売日】1986年4月18日
【定価】4,900円
【媒体】ファミコン用カートリッジ
【ジャンル】アクション
タイトーの苦悩が表れた大味な作風
【ストーリー】
江戸時代末期、魔界の国より甦りし魔性の者が軍団を形成し、日本の世を脅かす様になっていた。ある日、城主の姫「霧姫」が軍団にさらわれてしまった。城主の指名を受けた数々の武芸者達が軍団の屋敷を目指したが、誰一人として帰城した者はいなかった。その時、ある若者が姫を救出すべく魔城へと走った!その若者とは…伊賀の里の忍者「影」である。
【概要】
オリジナル版は85年にタイトー(現スクウェア・エニックス)がアーケードで発売した和風アクションゲームで、沖電気の音源チップ「MSM5232」を使用したバージョンと、日本楽器製造(現ヤマハ)の「YM2203」を使用したFM音源バージョンの2種類が存在した。忍者の「影」を操り、さらわれた「霧姫」を助けるのが目的。ヤマキとタイアップした特別パッケージバージョンも作られ、「ヤマキのめんつゆ」を買うと抽選で1万名にプレゼントされた。
【ゲームシステム】
サイドビュー形式のアクションゲーム。「青葉の章」、「紅葉の章」、「雪の章」の全3章からなり、ひとつの章はそれぞれクリア条件が異なる「森」、「ぬけ穴」、「城壁」、「魔城内」、「対決」の5シーンで構成されている。雪の章の対決シーンをクリアするとエンディングとなるが、真のエンディング(というほどのものでもないが…)は2周しないと見る事ができない。影の武器は2連射の手裏剣と、敵の手裏剣を弾く刀の2種類。一発即死系だが、アイテムの水晶玉を取ると敵の攻撃に1度だけ耐える事ができる。他にも空中をヘコヘコ歩く謎の生き物「術丸」や、画面に現れる全ての敵を一定時間倒し続ける巻物などもある。
【総評】大きめに描かれたリアル等身のキャラクターやシブいBGM、そしてベラボーに高いジャンプ力が特徴の本作は、『フロントライン』、『スカイデストロイヤー』、『ジャイロダイン』といったタイトーの一連のラインナップ同様、比較的高学年層をターゲットにしている。同じく忍者を題材にした『忍者くん 魔城の冒険』(ジャレコ)とゲームシステム的に近いが、完成度は『忍者くん』に軍配を上げたい。
ジャンプ力を活かしたスピード感こそあるものの、木や柱に引っかかってしまうと途端にのろのろと登り出し、その隙にやられてしまうケースがままある。また、影と敵の手裏剣のグラフィックが小さくてヒジョーに見難い。水晶玉でパワーアップした時のみ大きくなるが、なんだかよく分からないうちに敵をやっつけ、なんだかよく分からないうちに敵にやられている事がヒジョーに多いのだ。このゲームをプレイして一番発する言葉は「えー」だと思う。スクロールアウトすると消えてしまうアイテムや敵のアルゴリズムなど、若干クセのある操作性も手伝って雑な部分が目立ち、どうしても大味な展開になってしまうのだ。
さらわれる霧姫もオリジナル版では籠で運ばれるのに、ファミコン版では飛んできた「青忍」に鷲掴みにされてかっさらわれる大味な豪快さ。巻物を取ると発動される「雅の術」もこれまた大味だが、効果時間が結構長く、一切のコントロールを受け付けないため、その間にフレームインして来る敵が問答無用でバッタバッタと落下して死んでいく様をただじっと見ているとなかなか無常な気持ちになれるヨ!こういう本筋と関係ない部分の大味さは笑えば済むのだが、ゲーム自体まで大味だと、残念ながら笑えないのだ。
結果的に、初見でのプレイだと場合によってはよく分からないうちに瞬殺されてしまうが、ものの5分もすればよく分からないうちに進めてしまう、難しいんだか簡単なんだかさえ分からないゲームになってしまっている。
グラフィックやBGM(特にオリジナルのFM音源版)、コンセプトなど、ひとつひとつは悪くないのに、それらを合わせるとなぜかイマイチになってしまうという、パッケージイラストの垢抜けなさも含め、悪い意味でタイトーらしさが出てしまった作品と言えよー。まあ、そのわりにネームバリューはそこそこあるのがまたタイトーらしいとも言えるんですけどね。『スペースインベーダー』の項でも述べた様に、本作もまたファミコン市場で実力を発揮できないタイトーの苦悩が見え隠れしている。
本作の正確な販売本数は公表されていないが、前述のヤマキバージョンでさえ1万本も製作されているので、全体では相当数が販売されているはずだ。僕が本作を初めてプレイしたのは、同級生が当てたそのヤマキバージョンだったのだが(パッケージにシールが貼ってあるだけで内容は全く同じ)、やはり当時から「大味なゲームだなぁ」と思っていたのだった。
グラフィックやBGM(特にオリジナルのFM音源版)、コンセプトなど、ひとつひとつは悪くないのに、それらを合わせるとなぜかイマイチになってしまうという、パッケージイラストの垢抜けなさも含め、悪い意味でタイトーらしさが出てしまった作品と言えよー。まあ、そのわりにネームバリューはそこそこあるのがまたタイトーらしいとも言えるんですけどね。『スペースインベーダー』の項でも述べた様に、本作もまたファミコン市場で実力を発揮できないタイトーの苦悩が見え隠れしている。
本作の正確な販売本数は公表されていないが、前述のヤマキバージョンでさえ1万本も製作されているので、全体では相当数が販売されているはずだ。僕が本作を初めてプレイしたのは、同級生が当てたそのヤマキバージョンだったのだが(パッケージにシールが貼ってあるだけで内容は全く同じ)、やはり当時から「大味なゲームだなぁ」と思っていたのだった。
(C)TAITO CORP. 1986
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