2015/11/26

R4-リッジレーサータイプ4-



【発売】ナムコ
【開発】ナムコ
【発売日】1998年12月3日(PS one Books版:2002年2月14日)
【定価】5,800円(ジョグコン同梱版:7,980円)(PS one Books版:2,200円)
【媒体】プレイステーション用CD-ROM
【ジャンル】レース
【周辺機器】アナログコントローラ(振動のみ)、ネジコン、ジョグコン、ポケットステーション対応
【受賞】1999年:第3回CESA大賞優秀賞
【受賞】1999年:第3回CESA大賞グラフィック部門賞
【受賞】1999年:PlayStation Awards ゴールドプライズ賞




プレステ史上最高峰のレースゲーム


【概要】
 ナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)の人気レースゲーム『リッジレーサー』シリーズの第4弾。『リッジレーサー』は93年にアーケードで発売後、94年にプレイステーションの目玉として移植され、本体と同時発売された。シリーズは以降アーケードとプレイステーションでそれぞれに枝分かれし、本作はプレイステーション版の第4弾として登場。独自のプログラムでハードの能力を限界まで引き出した美しいグラフィック、黄色を基調にしたクールなインターフェイスデザイン、高品質なサウンド、4つのストーリーなど、全てにおいて高いクオリティを誇るナムコのプレイステーション用ソフト総決算的な作品だ。

 また、本作のために開発されたジョグダイヤル付きのコントローラ「ジョグコン」も発売された。

 パッケージ内には「DISC2」として「ボーナスDISC RIDGE RACERハイスペックVer.&ナムコカタログ'98」が同梱されている。これは94年に発売された『リッジレーサー』の画像解像度を、オリジナルの秒間30フレームから秒間60フレームに倍増した実験作。他にも『リベログランデ』、『風のクロノア』、『テイルズ オブ デスティニー』、『鉄拳3』の体験版、『エースコンバット3 エレクトロスフィア』の紹介ムービー、本作までにナムコがプレイステーションで発売した36本のソフト、周辺機器、公式ガイドブックを納めたカタログが収録されている。



【ゲームシステム】
 3Dビューのレースゲーム。レース中はドライバー視点の「ドライバーズビュー」と車体後方からの「ビハインドビュー」の切り替えが可能。メインのモードは、雇われドライバーとして99年5月から大晦日の間に開催される全8戦のグランプリ「REAL RACING ROOTS '99」を戦い抜く「グランプリモード」。それぞれに課題を抱えた4チームのうちのひとつと契約し、1次予選2戦、2次予選2戦、決勝GP4戦を勝ち抜いていく。3回まではリトライできるが、それ以上失敗するとゲームオーバーとなる。マシンはそれぞれに特徴のある4つのメーカーのうち1社と契約し、成績次第で新車投入または現行車へのチューンナップが施される。

 「タイムアタック」ではプレイヤー単独で最速ラップタイムを目指す。予め用意されたマシンだけでなく、グランプリモードで獲得したマシンも使用できる。車種は全部で320台だが、4チームの色違いも含まれるため、実質的には80台だ。ただし、オマケ要素ではあるが、隠しマシンを入手するためには320台全てを集めなければならない。周辺機器のポケットステーションに対応しており、コピーしたマシンを赤外線通信で他のユーザーと交換できるらしいが、やった事ないので詳細は割愛。つーか、こういうのは発売当時ならではの遊び方なので、レトロゲームとなった今ではそんな遊び方もなかなかできませんなー。

 他にも、2人対戦の「バーサスバトル」やタイムアタックなどの記録を収めた「レコード」、そして獲得したマシンを登録する「ガレージ」などがある。このガレージモードではマシンに貼るオリジナルのステッカーを作ってドレスアップする「ステッカーエディット」という簡易版ペイントソフト的なツールまで用意されているのだ。


【総評】
 技術的なハナシを書くと専門用語だらけになるし何より面倒臭いので割愛するが、まず目に付くのがグラフィックの美しさだ。グランプリのコースは横浜、福岡、ニューヨーク、ロサンゼルスの4都市の湾岸や山間部、空港などが舞台となっていて、時間帯も早朝、昼下がり、夕暮れ、夜間など様々だが、どのコースも光と影が織り成す独特のコントラストが非常に美しく、印象的だ。3DCGはその性質上、写実的な描写を追及する傾向にある。本シリーズと人気を二分する『グランツーリスモ』(ソニー・コンピュータエンタテインメント)などはそれが最も顕著に表れたレースゲームだろう。だが、本作はあえて絵画的な描写をする事で「ゲーム屋」としてのナムコのひとつの答えを見た気がするのだ。

 また、レースゲームの主流が細かいセッティングや操作方法を良しとするシミュレーター寄りになっていた時代、本シリーズはあくまで「ゲーム」という部分に比重を置き、レースゲーム特有の高揚感と爽快感を体現しているが、本作ではその傾向がより強くなっている。レースの難易度は所属するチームで、マシン操作の難易度は契約メーカーでそれぞれ異なるため、その組み合わせで初心者からひとかどのゲーム野郎まで楽しめる。多少ぶつかろうがはみ出ようが大勢には影響しない、それでいて大味にはならない絶妙なバランス。さすがナムコと唸るしかない。レースゲームには珍しいストーリーもドライ過ぎずウェット過ぎないちょうどいい塩梅がプレイヤーを盛り上げる。

 サウンドについても触れておきたい。ソウル、ファンク、テクノなどのジャンルを網羅しつつ全体的には落ち着いた雰囲気の、それでいて色気を醸し出すハウスやドラムンベースで締めている数少ないナイトドライブのデートで流せるゲームミュージックだ。大久保博氏、中西哲一氏、中川浩二氏、高橋弘太氏、境亜寿香氏のナムコサウンドチームの精鋭5名が作曲した本作のイカしたサウンドを納めたサントラは、ゲームミュージックとしてだけではなく、テクノミュージックのアルバムとしても高い評価を受け、その異常なまでの完成度の高さから一時期はプレミアが付いており、06年には異例の再販がかかったほどだ。もちろん、本作もシリーズ恒例の「ミュージックプレーヤー」でこれらのサウンドを聴く事ができる。各コースごとにその雰囲気に合わせたプリセットBGMが設定されているが、これまたシリーズ恒例の選曲も可能なので、僕はどのコースもお気に入りの「MOVE ME」をかけている。

 このナムコ渾身の一作は、99年の第3回CESA大賞(現日本ゲーム大賞)にて優秀賞とグラフィック部門賞を受賞。また、同年には販売本数50万本を突破し、PlayStation Awards ゴールドプライズ賞も受賞。「作品」としても「商品」としても評価された。販売本数の多さから現在では中古市場で100円前後で簡単に入手できるため、ゲーマーはもちろん、レースゲームが苦手な人や女性にも一度プレイしてほしい1本だ。



Books
『ナムコ公式ガイドブック R4』

【発売】ナムコ
【発売日】1998年12月3日
【定価】1,000円


 書店ではなくゲームショップで販売されたナムコ発行の公式ガイドブック。「RRR'99」を実際に開催されるグランプリレースに見立て、東京ゲームショウ'98のナムコブースで行われた本作発表会の模様から各チームの詳細な紹介、メーカーごとのマシンカタログ、全コースの解説、メーカー広告など、攻略本の体裁を取りつつ、中身はレースガイドブックのパロディとなっている。開発者インタビューもムービー、サウンド、企画、車グラフィック、背景グラフィック、プログラマー各チームごとに収録。A4判の充実した内容だ。



Books
『R4-リッジレーサータイプ4- オフィシャルガイドブック』










【著】ファミ通編集部責任編集
【発売】アスペクト
【発売日】1999年1月7日
【定価】1,100円


 こちらは書店で発売されたオフィシャルガイドブック。マシンスペックなどのデータ量としては前述の『公式ガイドブック』(どっちも意味は同じですな)と大差ないが、こちらはA5判と小さいため、誌面に余裕がない印象。レイアウトによる努力の後は見られるが、『公式ガイドブック』を持っていれば必要ないかもしれない。ただし、ジョグコンの開発録に6ページを割いており、開発者インタビューやラフスケッチ、試作品のモックアップなどが掲載されているので、この部分の資料性は高い。



(C)Produced by NAMCO LTD. (C)1998 NAMCO LTD.,ALL RIGHTS RESERVED

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