2015/05/01

西村京太郎ミステリー スーパーエクスプレス殺人事件

【発売】アイレム
【開発】タムテックス
【発売日】1990年3月2日
【定価】6,500円
【媒体】ファミコン用カートリッジ
【容量】2M
【ジャンル】アドベンチャー




亀井刑事ふたたび


【ストーリー】
 23時49分新大阪駅着の「ひかり323号」ツイン個室内で女性の絞殺死体が発見された。被害者は東京のファッションメーカー「シラノ」の女社長「野上君子」。たまたま大阪府警に居合わせた警視庁捜査一課の亀井刑事は現場へ急行、捜査を進める事になった。
 乗務員、食堂車のウエイトレスなどからの事情聴取の結果、野上君子が殺されたのは、名古屋から新大阪までの間。容疑者を同乗の夫「野上豊」と断定した。ところが翌日、野上豊が大阪府警に出頭、犯行を否定した。アリバイも成立する。そして、野上君子周辺の捜査が進むうち、大手の男性ファッションメーカー「ナイト」が「シラノ」を吸収しようと考えている事が分かってきた。君子を殺す動機のある者は…亀井刑事の脳裡に嫌な予感が走った。
 これより捜査は核心に入る。


【概要】
 原作にミステリー作家の西村京太郎氏を起用したアイレム(現アイレムソフトウェアエンジニアリング)の『十津川警部シリーズ』第2弾。前作の『西村京太郎ミステリー ブルートレイン殺人事件』では「十津川省三」、「亀井定雄」、「西本明」の3刑事をザッピングしながら捜査を進めたが、今作では亀井刑事のみを操作する。


【ゲームシステム】
 前作でのザッピングシステムが廃止され、指紋照合も1度しか登場しないオーソドックスなスタイルになったが、ストーリーは前作以上のボリュームとなり、グラフィックも描き込まれている。「メモをとる」に加えて都度都度で十津川警部に報告する場面もあり、事件を整理してストーリーの把握がよりしやすくなっている。峰竜太みたいな顔した西本刑事は捜査の枝葉の部分でのサポート役として登場。ゲームオーバーもないので、前作同様に安心して遊べるアドベンチャーゲームだ。




【総評】
 コマンド選択式アドベンチャーゲームが廃れた理由のひとつは、ともすればコマンド総当りでただボタンを押してホケーっとしていてもクリアできてしまう受身のシステムが原因だったが(これをよしとして後にひとつのジャンルを築いたのがデジタルコミックですな)、前作の特徴だったザッピングを廃した今作もそのきらいがある。ホケーっとしていても捜査が進むので、この手のゲームは普段からホケーっとしている僕みたいな人間にいかに積極的な姿勢を取らせるかがクリアまで飽きさせないカギとなる。今作では終盤にモンタージュ写真を作る場面があるが、それだけではちと弱い感じ。

 ザッピングを廃した理由はおそらくストーリーだろう。前作では別々の事件が繋がるその経緯をプレイヤーに体験させるために必要だったが、今作の事件は基本的に終始一貫しているため、わざわざザッピングする必要がないからだ。無理に前作のシステムに当て込むより、無難なスタイルになってもストーリーを楽しませる事を優先したのかもしれない。また、前作ではパスワードを表示させるとそのままゲーム終了だったが、今作では表示後も捜査を続行できる。ここ、細かい部分だけど大事。無難にはなったものの、正統進化した今作もやはり2時間ドラマを見る感覚で気楽に遊ぶのがいい。

 どうでもいいけど、パッケージのイラストがテキトー過ぎるぜ。キンキンとはまるでかけ離れた亀さんどうしてこうなった。横向いてる女は最初の被害者「野上君子」だろうけど、奥のおっさんは…誰?あと、前作で怒られたのか、今回は歪んだお色気シーンはありませんっていうか、女性の大きなグラフィックが表示されるのは故人か死体かのどちらかしかないので極端だよアイレム!



(C)1990 IREM CORP.

0 件のコメント:

コメントを投稿