2026/04/06

サクラ大戦

 


   


【発売】セガ・エンタープライゼス
【開発】セガ・エンタープライゼス(第7AM研究開発部)、レッドカンパニー、ザックス・エンターテイメント、
    ネクステック、キョクイチ東京ムービー
【発売日】1996年9月27日(サタコレ版:1998年2月11日)
【定価】6,800円(初回限定版:8,800円)(サタコレ版:2,800円)
【媒体】セガサターン用CD-ROM
【容量】CD-ROM2枚組
【ジャンル】アドベンチャー
【周辺機器】シャトルマウス対応
【受賞】1996年:CESA大賞'96大賞
【受賞】1996年:CESA大賞'96監督賞
【受賞】1996年:CESA大賞'96メインキャラクター賞
【受賞】1996年:CESA大賞'96サブキャラクター賞
【受賞】2006年:文化庁メディア芸術祭10周年エンターテインメント部門賞
【レーティング】全年齢




『サクラ大戦』の功罪


【ストーリー】
 文明開化より50余年...。帝都「東京」は、西洋文化と日本文化が入り混じったモダンな街並みが軒を連ね、そこを走り抜ける蒸気鉄道、馬車、人力車、そして、蒸気自動車。空には飛行機が飛び交い、街の地下には地下蒸気地下鉄の路線が張り巡らされているなど、高度な文明都市が築き上げられていた。しかし、その反面、怪物や呪術が実在する幻想都市でもあった。

 陸軍ではとても手に負えない特殊任務や人命救助、そして、異形の化け物から帝都を守るべく結成されたのが、陸軍所属から独立した政府直属の対魔組織、帝国華撃団「花組」、通称「帝撃」である。集められたメンバーは、昼は大帝国劇場のスターの顔を持つ若き少女達。独自の装備と特権を持つ「帝撃」は、銀座に「花組」の本部があり、大帝国劇場の地下に司令部が設置されている。その他にも、浅草の花やしきにも支部があるという。

 そんな「帝撃」に、1人の青年将校が転属してきたところから、この物語が始まる。


【概要】
 プロデューサーに広井王子氏、脚本にあかほりさとる氏、キャラクター原案に藤島康介氏、キャラクターデザインに松原秀典氏、音楽に田中公平氏と、セガ・エンタープライゼス(現セガ)が満を持してセガサターンで発売したキラーコンテンツ的ソフト。主にアドベンチャーパートと、シミュレーション風の戦闘で構成されており、1ステージ(1話)はテレビアニメ風にアイキャッチや次回予告が入る。有名声優を多数起用し、ムービーも多用。「ドラマチックアドベンチャーゲーム」と銘打たれ、テレビアニメや舞台ショウにまで発展。派生作品や関連書籍は膨大に発売されていて、シリーズ累計では400万本以上を売り上げた。本作は後にWindows、ドリームキャスト、プレイステーション2、iモードにまで移植されている。CASA大賞’96大賞作品。


【ゲームシステム】
 簡易的なアドベンチャーモード+ヘックス型風シミュレーションゲーム。主人公「大神一郎」は、昼は「歌劇団」のスタッフとして仕事をし、戦闘時には「帝国華撃団」の隊長。メンバーは、ヒロインの「真宮寺さくら」、口八丁手八丁の高飛車お嬢様「神崎すみれ」、副隊長的存在のロシア女「マリア・タチバナ」、恋愛対象外の10歳ながら戦闘時には重宝するフランスっ娘「アイリス」、関西弁で中国出身のメカの天才「李紅蘭(り・こうらん」、声優の田中真弓が隠しきれていない大食いで力持ちの「桐島カンナ」の6人を従え、霊力みたいなので動くスチームパンクなロボット「光武」を操る。

 アドベンチャーパートでは、昼間は「歌撃団」の演者としてあれやこれやしているメンバーと話し、軽い3択を選んで「信頼度」と「恋愛度」を上げたりする。戦闘では、この2つのパラメーターが高いほどそのキャラクターの光武がパワーアップするが、戦闘が終わると信頼度は元に戻る。ここが「簡易的な」という部分。また、「経験値」の概念がないため、いくら戦っても個々がその戦闘で強くなる事はない。ここが「風」である。


【総評】
 まず、ゲームとしては好き嫌いは置くとして、全体的に現在でも通用する高水準のクオリティが保たれいる事を述べておきたい。


 セガは当時、長年に渡り「目の上のたんこぶ」だった任天堂がニンテンドウ64で出荷台数的に3番手に落ち、ソニー・コンピュータエンタテインメントのプレイステーションと激しいシェア争いを繰り広げていた。それと前後して、スクウェア(現スクウェア・エニックス)が自社の看板タイトル『ファイナルファンタジーIIV』をプレイステーション陣営で発売する事を発表し、それまで五分五分の展開だったシェア争いに異変が起こる。特にスーパーファミコン時代からの『ファイナルファンタジー』の熱烈なファンやゲームライト層がプレイステーションへ流れ、セガサターンへの買い控えが起こった。そこで、セガは本作へのキャンペーンを大々的に行い、結果的に60万本を売り上げた。



 2D描画機能は当時のアーケードゲームと比較しても高水準である。一方で、3D表現能力では専用ハードウェアを搭載するプレイステーションやニンテンドウ64に比べて劣るが、本作でのムービーシーンに登場する光武などの描写はそれを感じさせない。

 ゲームシステムとしては、「ドラマチックアドベンチャー」と銘打たれているが、空いた時間に各キャラクターと他愛のない話をし、時折、他愛のない時間制限付きの選択肢を選ぶ事で、その後の戦闘に影響する信頼度と恋愛度が上がる。また、1キャラクターにつき1つ、他愛のないミニゲームが発生し、ゲームをクリアすると他愛なくいつでも遊べる様になる。

 戦闘については、前述した様に経験値の要素がなく、また、ヘックス型を採用している様に見せつつ、「地形効果」などは全くなく、力押しで進める。「ため」コマンドを選択するor敵からダメージを受けると「気合値」が上昇し、最大になれば「必殺攻撃」が使える。信頼度はステージクリアと共に元に戻るが、塵が積もれば恋愛度も少しずつ上がり、最も恋愛度が高いキャラクターとプレイヤーの気合値が最大の状態でユニットを並べると、「合体技」が発動できる。これは中ボスクラスでも瀕死にできるほど強力である。



 アドベンチャーゲーム、恋愛シミュレーションゲーム、ウォーシミュレーションゲームのよいところの上澄みを混ぜ合わせ、テレビアニメ風に仕立てたわけだが、戦闘前後に入るアイキャッチ、1話終わるごとの次回予告が、広井氏とあかほり氏の掌の上で「遊ばされている」感が個人的には強い。このテのゲームはいかにストーリーが面白いかにかかってくる。本作は当初「『はいからさんが通る』(大和和紀著)と『機動警察パトレイバー』(ヘッドギア原案)を足して2で割った」というコンセプトだったが、いやいやいやいや、ベッタベタもベッタベタ、呆れるほど先の展開が分かる超ベタベタ話で苦笑いさえしてしまう。「恋愛」という要素にしても「ちょっと憧れの人」くらいの程度で、選択肢もほとんどの場合、どれを選んでも半強制的に都合よく解釈されて本筋に取り込まれてしまう。



 それでも、本作がセガサターンに与えた影響は大きかった。それまで『バーチャファイター』など、アーケードの対戦型格闘アクションゲームがほぼそのまま家庭でできる事がウリだったが、本作発売後はムービー中心のいわゆる「美少女ゲーム」が幅を利かせ、ライトなプレイステーションに対し、マニアックな機体というレッテルを貼られてしまう。元々、セガサターンは発売当初に性描写などを理由に「X指定」の年齢制限を設け、性表現を前提としたアダルトゲームの販売を許可していた(尚、96年から「X指定」区分ソフトの発売は禁止となった)。その過去もまたレッテルを貼られた一因であろう。

 ハードメーカーが「美少女ゲーム」を大々的に推した事により、サードパーティからは続々と「ムービーシーンがゲーム本編より力の入った」ソフトが粗製乱造され、セガはプレイステーションとの競争に敗れる。セガ・マスターシステムやメガドライブと比較すると、全世界累計販売台数1,000万台を下回ったハードではあるが、それでも、日本市場では長年の競合相手だった任天堂を初めて国内販売台数で上回り、セガとして日本市場で最も売れた家庭用ハードでもある。それだけに、舵取りを誤り、新参のプレイステーションに敗れ、またしてもトップシェアを勝ち取る事は出来ず、セガサターン本来の機能を最大限に活かす前にドリームキャストへとハードを移行させた焦りが悔やまれる。


(C)SEGA ENTERPRISES,LTD.1996 (C)RED 1996

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