2015/03/03

F-ZERO



【発売】任天堂
【開発】任天堂
【発売日】1990年11月21日
【定価】6,800円
【媒体】スーパーファミコン用バックアップカートリッジ
【容量】4M
【ジャンル】レース




25年間コンマ1秒のタイムアタックに挑み続ける


【ストーリー】
 西暦2560年代。かつて地球上で行われていたF1レースの様に、惑星規模のグランプリレースは人々を熱狂の渦へと巻き込んでいった。サーキットは、コースの両脇にある反重力ガードビームによって地上300フィートに設置され、その上を走るマシンにタイヤは存在しなかった。最先端の超磁力技術を駆使して開発されたマシンは、コースより更に1フィート上の位置でレースを展開する。やがて男達にとっては、このレースで勝ち抜く事が宇宙の中で与えられる最高の名誉となった。そして、いつしか人々はこのグランプリの事を「F-ZERO」と呼ぶ様になった。



【概要】
 スーパーファミコン本体との同時発売ソフト。これまでの家庭用ゲーム機にはなかった「回転」、「拡大」、「縮小」という表示機能を用いたデモンストレーション的な内容に止まらず、繊細なコントロールや逆走可能な自由度の高さ、そして、「タイムアタック」という概念を定着させ、以降のレースゲームに大きな影響を与えた。「秒間60フレーム」というかなり無茶な高速処理をいきなり披露したスーパーファミコンとこの『F-ZERO』。4年後にプレイステーションで発売された『リッジレーサー』(ナムコ)が秒間30フレームだった事を思えば(93年発売のアーケード版は秒間60フレーム)、任天堂の意気込みが分かろうというもの。グラフィックの描写も、コントローラーへの入力も、全てが1/60秒で処理されるため、プレイヤーのテクニックがシビアに反映されるゲームに仕上がった。


【ゲームシステム】
 操作方法はいたってシンプル。Bボタンがアクセル、Aボタンがターボ、ブレーキはXボタンとYボタン共通で、LボタンとRボタンは車体をそれぞれ左右に重心移動させる。初心者でもタイムを気にしなければ十分に楽しめる操作方法だからこそ、プレイヤーのテクニックがダイレクトに反映され、ファミコンでは不可能だった奥深いレースゲームになった。コースごとに完走後の総タイムとベストラップタイムが記録されるため、本筋の「グランプリモード」よりも、走りに集中できる「プラクティスモード」でタイムアタックに狂うプレイヤーが続出した。


 ゲームモードは、全宇宙の知的な哺乳類から醜い宇宙人までが金と名誉と命を賭けて争うグランプリモードと、頭からα波をでろでろ垂れ流しながらひたすらタイムアタックに専念するプラクティスモードの2種類。グランプリモードでは、「ナイト」、「クイーン」、「キング」のそれぞれ異なる難易度から出場リーグを選択し、更に「ビギナー」、「スタンダード」、「エキスパート」とクラスの難易度も選べる。プレイヤーは4種類のマシンから1種を選び、残った3種+ザコマシン達と1コース5周で争い、なんぴとたりともオレの前を走らせなければいいのだ。プラクティスモードでは、グランプリモードの中の7コースが選択でき、敵車とのタイマン勝負or敵車なしでこちらも1コース5周のタイムを競う。


【総評】
 本作と共にスーパーファミコン本体と同時発売された『スーパーマリオワールド』が正統進化の定番大作タイトルとしてラインナップされる一方、『F-ZERO』の前評判はそれほどでもなかった。僕も「あーいつか『マリオ』と一緒に本体欲しいなー」程度にしか思ってなかったんだけど、同級生の家で発売されたばかりの『F-ZERO』の画面を見てガーンと衝撃を受けた。なんだこれ!こんなゲーム今まで見た事ねえ!みたいな。一緒にいた友達のぱそっ娘太郎ちゃん(仮名)も同じだったらしく、その数ヶ月後には本体と『F-ZERO』を先に買いやがったので僕も対抗してすぐに本体を大購入!が、ソフト買うお金がない!ガーン!そしたら太郎ちゃんがその『F-ZERO』を2,000円で売ってくれたので、それから25年間遊び倒して現在に至るわけです。ありがたや。「25年間」というのはレトリックでもなんでもなく、本当に今でも半年に1度の周期でタイムアタックばかりやっているのだ。もちろん、コースは「MUTE CITY 1」、車種は「ファイア・スティングレー」っつー全世界のプレイヤーほぼ共通の選択で。

 発売直後に任天堂から発表された公式最速総タイム「1分58秒97」を抜こうと、各ゲーム誌ではタイムアタックが盛り上がりまくり、出版社の垣根を越えて「今週はあそこがこれだけのタイムを出したらしいぞ」と他紙の記録を載せていた。その中でもプレイヤーを驚愕させたのが、マイコンBASICマガジンが叩き出した「1分58秒41」という記録。ビデオ編集が容易となってしまった現在ではこういう盛り上がり方はもうないのだろうけれど、今でもこの記録を目標に黙々とタイムアタックにトライし続けているプレイヤーは少なくない気がする。

 1レース約2分という時間は、そろそろ初老に差しかかるアタクシの集中力が持続するギリギリの時間。タイムアタック必須なスタート直後の「ロケットスタート」(車体をライバルマシンの前に出してわざとオカマを掘らせ、その衝撃で一気に加速を増すテクニック)が失敗するとやり直し、少しでも操作ミスをすればまたやり直し、といった具合で四半世紀に渡って気が遠くなる様なトライ&エラーを繰り返してきた。「壁は2分01秒台」と言われているが、下手の横好きなので未だにベスト総タイムは「2分01秒53」。ここ数年は自己トップ10さえ更新できない有様だが、ベストラップ「23秒05」はベーマガの「23秒21」を抜いているので、ココに載せておこう(笑)。

 世のほとんどの人間にとっては「昔のレースゲームを早く走れたところで何の意味があるのか」と思うだろう。がしかし!昔も今もゲームにおいてそんなもんは全く以って無粋の極みなのだ。タイムだろうがスコアだろうが、とにかく己との戦い。ゲーム内の数字とプレイヤーのテクニックが直結する事こそビデオゲームの最も愉快で楽しい部分だと思うのだ。

 販売本数が77万本と多いため、今でも箱&説明書付きの完品が500円前後と入手しやすい。ファミコンのバッテリーバックアップ電池は5年から10年が寿命と言われているが、スーパーファミコンの場合、ゲームプレイ中は本体側から電力が供給されるため、プレイ時間の長さが電池の寿命に比例する。だから25年経ってもデータが残ってるんだけど、それはあくまでずっと遊び続けているウチのソフトの場合なので、スーパーファミコンに限らず中古市場の全バッテリーバックアップ搭載ソフトはもはやいつ電池が切れてもおかしくない状態なのは間違いない。06年にはWiiで、13年にはWii Uでダウンロード販売されているので、こちらを利用するのもいいかもしれない。



(C)1990 Nintendo

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