【発売】データイースト(普及版1,500円シリーズ:メディアリング)
【開発】データイースト
【発売日】1998年4月23日(普及版1,500円シリーズ:2001年10月19日)
【定価】5,800円(普及版1,500円シリーズ:1,500円)
【媒体】プレイステーション用CD-ROM
【ジャンル】アドベンチャー
コマンド選択式アドベンチャーゲームが頂点に昇華した珠玉の名作
【ストーリー】
「またあの夢か…」
吐き捨てる様にそう言いながら、最後の記憶を辿る。机上で乱雑に積み上げられたファイルの山が目にとまる。昨晩の成果だった。立て込んでいた仕事もこれで一段落する。しばしの安堵感...。ソファーで眠り込んでしまった事を少し後悔しながら、愛用の煙草に手を伸ばす。寝起きの一服…遠くの喧騒に耳を傾けながら、一度だけさっきの夢を回想してみる。だが、その疑問は、隣室から聞こえた電話のコール音によってすぐかき消されていた。
「なぜ、今頃また…」
【概要】
【総評】
【概要】
データイーストのハードボイルドアドベンチャーゲーム『探偵神宮寺三郎』シリーズの第6作目。前作『探偵神宮寺三郎 未完のルポ』を踏襲しながら、メインキャラクターデザインやムービーシーンの作画を第1作目からパッケージデザインを担当している寺田克也氏、サブキャラクターを寺田氏の作風に近いデータイーストの高橋光氏が担当。オープニングムービーは映画監督の佐藤嗣麻子氏が手掛けた。グラフィック全体の色調もシックなものに統一されている。また、サウンドは打ち込みではなく、全て同社のバンド「ゲーマデリック」によるジャズの生演奏と、細部までこだわりが溢れている。
本作は当初、セガサターン版との同時発売を予定していたが、ゲーム中の麻薬描写がセガ・エンタープライゼス(現セガ)の倫理規定に抵触したため、セガサターン版は「18歳以上推奨」区分にされ、特に注意喚起の表示義務もないプレイステーション版との同時発売はユーザーの混乱を招きかねないとして、内容は全く同じだが発売日が異なる(セガサターン版は同年7月9日発売)。国内のゲームソフトで「暴力」や「性表現」以外、麻薬問題では初の「18歳以上推奨」ソフトとなった。
データイーストの本作への力の入れ具合は強く、ブランクはあるが「シリーズ10周年記念」として、1作目から本作までのゲーマデリックによるアレンジメドレー、「神宮寺三郎」、「御苑洋子」、「熊野参造」各3人のラジオドラマが収録された『探偵神宮寺三郎シリーズ10周年記念CD』の8cmCDも付属している。
【ゲームシステム】
新宿で探偵を営む神宮寺三郎を主人公にしたオーソドックスなコマンド選択式アドベンチャーゲーム。捜査に行き詰った際はシリーズ恒例「タバコ吸う」コマンドでヒントを得られる。ゲームオーバーはなく、セーブ画面終了後にザッピングのプレイヤーを選択できる。ストーリーを深く知るためにもまずは神宮寺でクリアし、後から他の3人の視点からもプレイする事をオススメする。本作もまた、難解な謎に挑むというよりも、じっくりとストーリーを楽しむスタンスが正しいと言えよう。
【総評】
前作のユーザーからの不満点や反省点を徹底的に分析してフィードバックさせ、キャラクター造形から独特の雰囲気なども一から見直し、結果的にシリーズ随一の非常に高い完成度の作品となった。次作『探偵神宮寺三郎 灯火が消えぬ間に』発売後、03年にデータイーストが倒産し、ワークジャム(こちらも12年に倒産)、現在の発売元となっているアークシステムワークスが引き継いだ現在も、本作を踏襲しており、シリーズの大きな転換点ともなった。
主人公の神宮寺三郎だけでなく、助手の御苑洋子、ベテラン刑事の熊野参造、本作のゲストキャラクターである洋子の友人の妹「永田三貴」の4人をザッピングして多角的にストーリーを追えるのは前作同様だが、そのフローチャートもかなり分かりやすくなっている。基本的には1度神宮寺に絞ってクリアした後、他の3人の「その日」をプレイすると全体像がディテールまで把握できる。そして、アニメーションムービーや3Dシーンなどもかなりブラッシュアップされ、全てが高品質な、コマンド選択式アドベンチャーゲームの1種の頂点にまで昇華させた。

神宮寺だけのモードだが、コマンド選択だけではなく、今までの調査結果をまとめてみたり分析して頭を整理する「推理モード(D-MODE)」や、特定の場所(主に部屋)ではポリゴンで描かれた360度の場所をくまなく調べていく「探索モード(S-MODE)」も、調査にメリハリと緊張感、臨場感を出すのに一役買っている。ゲームに詰まったら(あまり詰まるところはないが)、いつも通りタバコを吸えば何かしら閃くが、98年当時から徐々にタバコへの印象が悪くなって喫煙場所が少なくなってきているのが分かる。うんうん、喫煙者にとっては肩身狭いよなー。
本作のメインシナリオは、前作『未完のルポ』で企画サポート担当だった稲葉洋敬氏が執筆。架空の麻薬「PCD」を通して、「何かに凝りなければ自分を変えられない現代人の甘さ」を痛烈に描いている。エンディングは今回の事件の各人の「心象」を語っており、神宮寺でクリアすれば、4人のエンディングを選択して見る事ができる。
とにかく、現在の目で見ても本作の出来は極めて高いクオリティで、細部の細部に至るまで隙なく製作陣のこだわりが見える、アドベンチャーゲーム好きにもぜひプレイしてほしい傑作だ。
Books
『『探偵神宮寺三郎 夢の終わりに』全記録 Jinguji Saburo Chironicle '87-'98』
【発売】メディアファクトリー
【発売日】1998年5月15日
【定価】1,200円
本作のクリアフローチャートを章立てして丁寧に描いている他、メインキャラクターのラフ画、寺田氏を始め開発陣へのインタビューはもちろん、数多にあるハードボイルド小説の中から、主人公が神宮寺と同じ特徴を持つ個性的な私立探偵が登場する書籍の紹介。そして、1作目『探偵神宮寺三郎 新宿中央公園殺人事件』から前作『未完のルポ』までの攻略、イラストなどまで、まさに「全記録」の名に恥じない名著である。現在は残念ながら10倍以上のプレミアムが付いており、簡単に手に取る事が出来ないのが残念だ。滅べ、プレミア価格!

Goods
「『探偵神宮寺三郎 夢の終わりに』マグカップ」
【発売】データイースト
【発売日】1998年
前に神宮寺グッズのほとんどを手放した事は書きましたが、マグカップだけは手元に残していたのでした。いえい。たぶん1,000円前後だった気がする。グッズ日常使い派なので、画材のマーカー立てに今でも我が家の第一線で活躍(?)しとります。
(C)1998 DATA EAST CORP.













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