2015/04/21

忍者くん 魔城の冒険

【発売】ジャレコ
【開発】トーセ
【発売日】1985年5月10日
【定価】4,500円
【媒体】ファミコン用カートリッジ
【容量】192Kbit
【ジャンル】アクション




UPLとジャレコ(上)


【概要】
 オリジナル版は84年にUPLが開発したアーケード版で、翌85年にジャレコよりファミコンに移植されたアクションゲーム。プレイヤーは「忍者くん」を操り、岩山や天守閣などの足場を上下に移動しながら敵と戦うが、特にストーリーはない。


【ゲームシステム】
 サイドビュー形式のアクションゲーム。基本動作は左右の移動、左右のジャンプor降下、手裏剣を投げるというシンプルな操作方法だが、忍者くんは忍者のくせに真上にはジャンプできず、加えてジャンプの幅も大きい。また、上ボタンとジャンプボタンを同時に押すと下段へ降下する。通常のアクションゲームにおけるジャンプとは正反対の動きに加え、忍者にあるまじきモッサリした動作に初見ではにんともかんともと思うかもしれない。まずはこのクセのあるジャンプを会得しない事には始まらないでござるよ。1ステージに登場する敵キャラクターは8体で、制限時間内に全滅させればクリアとなる。全32ステージ。

 忍者の武器は当然手裏剣だが、飛距離が短く、連射もできない。敵も手裏剣や鎌などの飛び道具で攻撃してくるため、正面から撃ち合っても相手の飛び道具とぶつかって相殺されてしまい、プレイヤーが不利となる。そこで、うまくジャンプを使ってまずは敵に体当たりを喰らわすでござる。飛び道具に当たると一発アウトだが、敵の体に触れてもダメージは受けず、相手がビコビコと2秒ほど気絶する。この隙に手裏剣を当てれば比較的簡単に倒せる…と言いたいところだが、これらの条件はプレイヤー側も同じであるばかりか、敵は複数連なっている場合も多々あるので、ひとたびジェットストリームアタックを喰らえば終わりである。にんともかんとも。

 倒した敵は画面最下部まで落下するのだが、この時に更に手裏剣を当てるとボーナス点が入る。なにせ開始時の残機は3、パワーアップもなければライフもない一発即死のゲーム。長丁場を戦い抜くには残機を増やすしかなく、そのためにはとにかく高得点を狙う以外にない。忍者の世界とは屍にさえ容赦しない非情なのでごわす←キャラ間違い。また、無駄な手裏剣をひとつも投げない=8発でクリアした場合もボーナス点が入る他、敵を倒した直後に一定時間現れる「巻物」を取ったり、残り時間が80秒を切ると落ちてくる「魔法の玉」を集めてボーナスステージへ行くなど、得点を稼ぐ方法はいくつもあるが、その全てにおいてプレイヤーには一定以上の技量が求められるのだ。


【総評】
 本作では敵キャラクターに複数の行動パターンが設定されているらしく、いわゆる「覚えゲー」的な攻略パターンが通用しない。低年齢層向けのパッケージイラストやかわいらしい見た目のゲーム画面とは裏腹に、実際には相当なテクニックが要求されるゲームなのだ。アーケード版と比べて低い評価を目にするこのファミコン版だが、クセのある基本動作をプレイヤーの腕一本で乗り切るテクニック重視のアクションゲームとして、本作はもうちっと評価を見直されてもいいのではなかろーか。

 さて、ここからはひゃくぱー主観となるので、「オレは三度のメシよりジャレコが好きで好きでどうしようもにくらいジャレコ命だぜーっ!」というジャレコファンの御仁には先に謝っておきます。ごめんなさい。85年にハドソン(現コナミデジタルエンタテインメント)、ナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)に続いてファミコンへ参入したジャレコだが、初期サードパーティ6社(ハドソン、ナムコ、ジャレコ、タイトー、カプコン、コナミ)の中ではいささかブランド力に欠けていた。同年2月に『エクセリオン』、翌3月には『フォーメーションZ』を発売するが、共にマニアックでファミコンのユーザー層にはイマイチ引きが弱かった。

 一方、UPLは栃木県のソフトハウスで、本社には70名ほどが在籍していたらしいが、実質的な開発は東京支店の10名弱で行われていたそうだ。個人的には、一般的な知名度は低いものの高い実力を持つソフトハウスという印象がある。ブランド力の向上と新作リリースを急ぐジャレコの目に『忍者くん』がどういう経緯で止まったかは不明だが、比較的早くファミコンへ移植したジャレコにとって相応の費用対効果があったのは確かだろう。正確な販売本数こそ公表されていないが、初期サードパーティの特権で、生産数の制限がなく、シールやメンコといったグッズが駄菓子屋でさえ売っていた。二兎追うジャレコは二兎とも手にしたのだ。

 本作の売り上げが相当よかったのか、これで気をよくしたジャレコは、UPLが産んだ本作のキャラクター「忍者くん」を自社キャラクターとして養子にしたいと言い出した。結果的にはUPL側が一部条件付きで「忍者くん」のキャラクター権利を売却。その条件とは、見た目が同じでも「忍者くんの弟」という設定にする事。こうして本作から半年後にジャレコから発売されたのが『忍者じゃじゃ丸くん』であり、以降ジャンルやプラットフォームを問わず主にライトユーザー向けにシリーズ化され、ジャレコを代表するキャラクターとなった。しかし、これはUPL側にとっては忸怩たる思いにも似た心境であったと言われているが、それは次回の講釈で。



(C)1985 JALECO LTD. (C)1985 Licensed by UPL Co Ltd.

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