2015/04/19

パックマン

【発売】ナムコ
【開発】ナムコ
【発売日】1980年7月(ロケテスト日:1980年5月22日)
【媒体】アーケード
【容量】198Kbit(システム基板:Namco Pac-Man)
【ジャンル】アクション
【受賞】2005年:ギネス・ワールド・レコーズ認定
【受賞】2010年:国際ビデオゲームの殿堂入り
【受賞】2012年:All-TIME 100 Video Games
【受賞】2012年:ニューヨーク近代美術館パーマネントコレクション認定
【受賞】2015年:ストロング国立演劇博物館世界ビデオゲーム栄誉の殿堂入り




ビデオゲーム創世記のハナシ


【概要】
 80年にナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)から発売されたアクションゲーム。それまでの無個性な自機にキャラクター性を持たせ、『スペースインベーダー』(タイトー)とその模倣作一色だった当時のゲームシーンを変えたエポックメイキングな作品。同年12月にはアメリカのバリー・ミッドウェイ社から発売されたライセンス版が全米で大ヒットを記録。世界一売れたアーケードゲーム機として29万3,822台を販売した。05年にイギリスのギネス・ワールド・レコーズ社より「最も成功したアーケードゲーム」としてギネス世界記録に認定。12年にはアメリカのタイム社が発表した歴史上最も偉大なビデオゲーム100本「All-TIME 100 Video Games」にも選出された。20世紀を代表するビデオゲームとして現在も世界中で愛されている。

 本項では『ナムコミュージアムVOL.1』収録作品として、収録されたオリジナル版(アーケード版)について記述するが、プログラムの処理上、『ナムコミュージアム』収録版ではモンスター達の動きがアーケード版とはやや異なるため、ラウンド9以降の攻略方法「永久パターン」が使えなくなっている。画面の周囲に描かれたイラストは、当時のアップライト筐体に貼られていた天板フレームを模したもの。


【ゲームシステム】
  固定画面のトップビュー形式アクションゲーム。追いかけて来るモンスターをかわしながら「パックマン」を操作し、画面内に敷かれたドットを全て食べ尽くすのが目的。このシステム自体は79年に発売された『ヘッドオン』(セガ・エンタープライゼス)が元祖だが、本作の大ヒットを受け、以降このシステムのゲームは「ドットイートタイプ」と呼ばれる。モンスターは、しつこく追いかけて来る「アカベエ」、待ち伏せの「ピンキー」、点対称の位置に進む気まぐれの「アオスケ」、自由に進むおとぼけの「グズタ」の4種類。それまでのビデオゲームでは単なる「記号」でしかなかった存在にキャラクター性が吹き込まれた。

 パックマンは追いかけられる立場だが、迷路内にある「パワーエサ」を食べると一定時間立場が逆転し、「イジケ」状態となったモンスターを食べる(正確には「かじる」)事ができる。面が進んでも迷路の変更はないが、モンスターのスピードが上がり、パワーエサの効果時間が短くなる。モンスターのスピードが最高速まで上がり、パワーエサの効果もなくなるラウンド21以降は難易度据え置きのまま、256面でカウンターストップとなる。また、ラウンド2、5、9、13、17をクリアするとちょっとした寸劇デモ(コーヒーブレイク)を見る事ができる。現在では当たり前となったゲームのムービーも、本作のデモアニメが元祖なのだ。


【総評】
 せっかくなので、ここでビデオゲームと『パックマン』の歴史をざっくりおさらいしておこう!←いい声で。

 「世界初のビデオゲーム」っつーと諸説あるが、後に「ビデオゲームの父」と呼ばれるアメリカ人のノーラン・ブッシュネル氏によって世界初のアーケードゲーム『コンピュータースペース』(ナッチング・アソシエーツ社)が誕生したのが71年。一般的には72年発売の『ポン』と言われているが、『ポン』は『コンピュータースペース』の失敗後、同年にアメリカのマグナボックス社から発売された世界初の家庭用ゲーム機「オデッセイ」を見て刺激されたブッシュネル氏がアタリ社を設立して作られたゲームである。『ポン』は全米で大ヒットを記録し、ここからビデオゲーム産業が始まったのだ。

 「ビデオゲーム元年」となった72年以降、日本でも新しい産業としてビデオゲーム分野に進出したのが、セガ・エンタープライゼス(現セガ・インタラクティブ)と太東貿易(現タイトー)の2社だ。73年には両社がほぼ同時期に『ポン』を模倣した『ポントロン』と『エレポン』を発売。これが日本初のビデオゲームとなり、この両社が日本初のビデオゲームメーカーとなった。模倣作から始まった日本のビデオゲームだが、タイトーから74年に『スピードレース』、75年には『ウエスタンガン』というオリジナル作品が発売され、日本とアメリカで高い評価を得た。開発者の西角友宏氏(現ドリームス会長)は、後に社会現象となる『スペースインベーダー』の生みの親である。一方、エレメカを主力商品としてしていた中村製作所も74年にアタリジャパンを買収し、ビデオゲーム業界に参入。77年にはブランド名「ナムコ」を社名にして『ジービー』、『ボムビー』、『キューティQ』というオリジナル作品を発売。そして80年7月に本作『パックマン』が誕生した。

 日本での人気以上に、アメリカで爆発的な人気となった『パックマン』は、ナムコだけでは生産が追いつかず、バリー・ミッドウェイ社と北米版のライセンス契約を結ぶ。アーケード版のみならず、家庭用ゲーム機「Atari 2600」(アタリ社)に移植されたバージョンは500万本以上を売り上げたため、人気は更に加速。当時だけで約250社とライセンス契約を結び、450種類以上の関連グッズが発売された。擬人化されたキャラクター達が活躍するテレビアニメ『ザ・パックマン・ショー』がゴールデンタイムに放送されると、最高視聴率56%を記録。ブーム最高潮時には、『パックマン・フィーバー』というディスコサウンドのレコードが全米ヒットチャートのビルボードで9位になるなど、「80年代のミッキーマウス」とさえ呼ばれた。アーケード版だけでも日本の20倍以上の売り上げとなったこの北米版は、莫大なライセンス料を生み出し、 日本ではまだキャラクタービジネスの発想が希薄な時代に、ナムコの収益構造をも変えたのだった。

 『パックマン』の人気は誕生から35年経った現在でも一向に衰えていない。オリジナル版の移植や続編の制作は現在もほとんどのプラットフォームで続けられている。10年には30周年記念として「パックマンウェブ」が開設。アメリカでの人気も健在で、13年からは3DCGアニメが放送。日本でも『パックワールド』というタイトルで14年から現在も放送中だ。見た事ないけど。今秋にはパックマンをはじめとした80年代のゲームキャラクターが登場するハリウッド映画『ピクセル』も公開予定。

 僕はギリギリで『スペースインベーダー』の社会現象は体験していないんだけど、『パックマン』ブームの残り香は物心ついた時にはまだあった。たぶん最初に触れたのはテーブル筐体のアーケード版で、近所のレストラン兼喫茶店にあったのだ。親に連れて行ってもらった時、食前だか食後だかに何度かプレイした記憶がある。そんなこんなで『パックマン』、僕は大好きです。それもマニアックに好きって方向ではなくて、ごくごく自然に、大げさに言うなれば生活の一部として好きな方向っつーかね。80年代の「ナムコ魂」が刷り込まれているゲームファンで『パックマン』が嫌いな人なんていないよね。




Books
『パックマンのゲーム学入門』










【著】岩谷徹
【発売】エンターブレイン
【発売日】2005年9月29日
【定価】1,500円


 『パックマン』の生みの親である岩谷徹氏(現東京工芸大学教授)の著書。

 「昼食に頼んだ食べかけのピザを見て思いついた」、「ゲームセンターを和やかにする、女性をターゲットにしたゲーム」、「ひとつの動作(本作の場合は「食べる」)から連想されるアイデア」、「パワーエサの由来は『ポパイ』から」といった本作誕生時の有名な話から、モンスターのアルゴリズムや紙一重のバランス調整の話まで、開発者自らが語る貴重な1冊。岩谷氏が携わった『ジービー』から『アルペンレーサー』までのナムコの歩みもまとめられているので、ひとかどのゲーム野郎は読むと幸せになれるヨ!また、ゲームクリエイターのみならず、物作りに携わっている人全般に向けた内容でもある良書だ。他にも、宮本茂氏(現任天堂常務取締役)、小口久雄氏(現セガサミーホールディングス取締役)、そしてナムコの創業者にして代表取締役会長の中村雅哉氏(現バンダイナムコホールディングス最高顧問)らとの対談も相当面白い。全254ページと読み応えがあるので、ゲームやってるヒマがあるならこれを読むべし。


【2015.8.27.追記】
 コンピュータエンターテインメント協会(CESA)が主催する日本最大の開発者向けカンファレンス「コンピュータエンターテインメントデベロッパーズカンファレンス2015(CEDEC 2015)」にて、同分野の開発全般に貢献したとして、岩谷徹氏が「CEDEC AWARDS 特別賞」を受賞されました。
 



Figure
『でっかいナムコ超殿堂貯金箱 パックマン』















発売】ナムコ
【発売日】1999年4月
【備考】プライズマシン専用景品
 

 パックマンのイラストを忠実に再現したソフトビニール製の貯金箱っつーかフィギュア。前世紀のプライズマシン専用景品らしいが、僕は今世紀になって初めてネットオークションをやった時に800円で購入。後頭部に硬貨投入口があり、背中(?)を外すと貯めたお金が取り出せるっぽいが、恐らく破損すると思う。そもそも大きなソフビフィギュアとして入手したので、貯金箱としては使っておらず、ちっともお金が貯まりせん。シンプルだけど破綻なく立体化しており、何気にクオリティが高い。全高約20cmと我が家では2番目に大きいフィギュアで、未だに満足度高し。両腕が可動する。




Figure
『CAPCHARAカプキャラ パックマン』










発売】バンダイ
【発売日】2021年4月
【定価】300円


 パックマン、アカベエ(BLINKY)、ピンキー(PINKY)、アオスケ(INKY)、グズタ(CLYDE)の全5種類のカプセルトイ。カプセル自体がパーツとなっており、大きさもそこそこあるナイスガシャポン。ダブりを避けようと4種類出たところでやめたので、グズタだけいないけど、まあ、いいのだ。



Goods
キーホルダー











【発売】ナムコ


  たぶん00年か01年くらいに地元にできたばかりのナムコ直営店で買った物。キーホルダーってあまり買わないんだけど、こいつは造型もいいし、色もブロンズでシブく、そんでもって手触りもいいといい事尽くしだったので買った気がする。軽く調べてみたけどネット上に情報がないんで、消えかかったアテにならない記憶を遡ってるけど、うーん、800円くらいだったかなー。今でもお出かけ用のカバンに付けてる現役グッズ。



Goods
『パックマンミュージアム ミニチュアコレクション』










発売】バンダイ
【発売日】2022年4月
【定価】300円


 『パックマン』シリーズ当時のアーケード筐体をミニチュア化したカプセルトイ。イラストやコンソールパネル部分は全てシール。全高5cmと小さいが、なかなかの満足感。写真はシンプルな2本のオレンジラインがかわいい『ナムコクラシックコレクションVol.2 パックマン』と、全面と側面にイラストが描かれた『スーパーパックマン』。複数並べたくなるヨ!全7種。


Produced by NAMCO LTD. (C)1980 1995 NAMCO LTD.,ALL RIGHTS RESERVED

0 件のコメント:

コメントを投稿