【発売】エニックス
【開発】チュンソフト
【発売日】1985年11月29日
【定価】5,500円
【媒体】ファミコン用カートリッジ
【ジャンル】アドベンチャー
アドベンチャーゲームの古典
【ストーリー】
突然、部下のヤスが血相を変えて飛び込んで来た。
「大変です、ボス!ローンヤマキンの社長、山川耕造が自殺しました!」
「な、なに~っ!?」
オレは捜査一課の腕利き刑事である。山川耕造…サラ金会社社長。その悪質な経営ぶりで人を自殺に追い込んだ事はあったが、まさかその耕造が自殺してしまうとは…。オレにはどーしても信じられなかった。
「しかし、ボス。耕造は完全な密室で死んでいたんですよ」
「話してみてくれ」と、オレ。
「ええ、見つけたのは、耕造の秘書の沢木文江って女性なんですが、耕造がいつまでたっても会社に現れないので、耕造の屋敷まで様子を見に行き、そして…」
ヤスの話をまとめてみると、こうだった。屋敷に着いた文江は、門番の小宮という老人に中へ入れてもらう。「たぶん書斉におるんじゃろ」と、小宮老人。しかし、書斉のドアには鍵がかかっていて、いくら呼んでも返事がない。おかしいと思った2人は体当たりしてドアを叩き開け、そこで耕造の死体を発見したという事だった。
「しかも、ボス。小宮が気付いたんですが、書斉のドアには内側から鍵が差し込まれていたそうです」
ヤスの話を聞きながら、オレは煙草を灰にする作業に専念していた。これは、本当に自殺なのだろうか…?
「大変です、ボス!ローンヤマキンの社長、山川耕造が自殺しました!」
「な、なに~っ!?」
オレは捜査一課の腕利き刑事である。山川耕造…サラ金会社社長。その悪質な経営ぶりで人を自殺に追い込んだ事はあったが、まさかその耕造が自殺してしまうとは…。オレにはどーしても信じられなかった。
「しかし、ボス。耕造は完全な密室で死んでいたんですよ」
「話してみてくれ」と、オレ。
「ええ、見つけたのは、耕造の秘書の沢木文江って女性なんですが、耕造がいつまでたっても会社に現れないので、耕造の屋敷まで様子を見に行き、そして…」
ヤスの話をまとめてみると、こうだった。屋敷に着いた文江は、門番の小宮という老人に中へ入れてもらう。「たぶん書斉におるんじゃろ」と、小宮老人。しかし、書斉のドアには鍵がかかっていて、いくら呼んでも返事がない。おかしいと思った2人は体当たりしてドアを叩き開け、そこで耕造の死体を発見したという事だった。
「しかも、ボス。小宮が気付いたんですが、書斉のドアには内側から鍵が差し込まれていたそうです」
ヤスの話を聞きながら、オレは煙草を灰にする作業に専念していた。これは、本当に自殺なのだろうか…?
【概要】
『北海道連鎖殺人オホーツクに消ゆ』(アスキー)、『軽井沢誘拐案内』と共にシナリオライターの堀井雄二氏が手がけた「堀井ミステリー三部作」のひとつで、83年にPC-8801で発売されたオリジナル版では、シナリオ、プログラム、グラフィックとほぼ全てを堀井氏が1人で手がけ、「日本初の本格推理アドベンチャーゲーム」と言われている。85年にファミコン初のアドベンチャーゲームとして移植された際に、キーボードによるコマンド入力方式から予め用意されたコマンド選択方式へとインターフェイス部分が大幅に改良された。どうでもいいけど、ストーリー説明時のボスのキャラクターがちょっと軽い。
81年に開催された神戸ポートアイランド博覧会「ポートピア'81」は、地方博ブームの火付け役となっただけでなく、神戸市の都市価値を一躍高め、博覧会終了後もそのレジャー施設を受け継いだ「神戸ポートピアランド」が80年代後半を代表する都市型テーマパークとなった。オリジナル版開発時は、ちょっと背伸びしたいお年頃の若者達にとってオシャレで旬な街の代表が神戸だったのだ。そんなわけで(かどうかは不明だが)、「ポートピア」の名を冠した本作は、神戸市を舞台にしたタイムリーな作品でもあり、約70万本を売り上げた。
【ゲームシステム】
で、キーボードのないファミコンではコマンド選択式に変更されたわけだが、ともすれば単純作業になってしまうコマンド総当たりを防ぐため、「むしめがね」や「たたけ」コマンドでは、カーソルで画面内を自由に調べる事ができるという以降のアドベンチャーゲームの基本システムを完璧なまでに作り上げている。堀井雄二という人の仕事の全部がすごいとは言わないけど、やっぱり天才だと思うのだ。それも、さしたる根拠もないアーティスト気取りがテキトーにインスピレーションで閃いたー!ってんじゃなく、技術と工夫と根気で商品としての要求クリアを遂行するプロフェッショナルな職人気質の天才だ。すごいぜ堀井さん!
【総評】
「犯人はヤス」-今やネットスラングとして一人歩きしたこの言葉通り、一連の殺人事件の犯人は、プレイヤーの部下である「ヤス」こと「真野康彦」である。ゲームはプレイした事ないが犯人は知っているという人も少なくない中、今更ネタバレを隠すのも無意味なくらいに犯人はヤスなのだ。改めてパッケージイラストを見ると、大きなヒントが隠されている。この緊張感の中に悲哀を感じさせるオトナなイラストに当時とても惹かれたんだけど、どうやらマンガ家の北条司氏が描いている事を今日知った!いや、確定ソースはないんだけど、確かに似てるし、もし本当なら30年目にして新たな真実を知ってビックリ!
【2018.12.22.追記】
投稿者00様より、本作のパッケージイラストは北条司氏ではなく、当時エニックスの作品を手がけていた眞島真太郎氏(現アルテピアッツァ代表取締役社長)である事が分かりましたので、ここに訂正致します。貴重な情報をお教え下さってありがとうございます。
【2018.12.22.追記】
投稿者00様より、本作のパッケージイラストは北条司氏ではなく、当時エニックスの作品を手がけていた眞島真太郎氏(現アルテピアッツァ代表取締役社長)である事が分かりましたので、ここに訂正致します。貴重な情報をお教え下さってありがとうございます。
いかんせん容量が少なく、タイトル画面もゲーム内の流用なら、BGMもなく、更には効果音もほんの数種類と、今の目で見れば笑っちゃうくらいシンプルで寂しいんだけど、そこがまた想像力をかき立ててくれる。ほら、ファミコンってグラフィックやサウンドがチープなぶん、想像の余地があるっつーか、今のゲームって実写バリバリ&ハイクオリティーCG満載の超美麗グラフィック!ロンドンフィルハーモニーオーケストラによる臨場感溢れる音楽!エンジン音は全て実車から録音!人の動きをそのまま取り込んだリアルな動き!手に汗握るドックファイト!飛び交う銃弾!吹っ飛ぶパトカー!浅草一帯が火の海!ハリウッド全面協力!豪華声優陣起用!日本プロ野球機構監修!ジーコがパッケージ!?っつー具合で表現があまりにも写実的かつ過剰過ぎて、それが画一化されたものになっちゃってるから、マシンとしての表現能力が劣るファミコンの方がかえって想像力をかき立てられるっつーか、まあ、懐古趣味ゲーム野郎の戯言なんですが、こういう「味わい」って馬鹿にしたもんじゃないんすよ。
古いが故に欠点も多いっちゃ多い。登場人物の心情描写が乏しく、舞台にした神戸の街もそーんなには活かされていない。まあ、この部分はある程度プレイヤーの想像力に任せ、ファミコン初のアドベンチャーゲームとしてストレスのないインターフェイスに容量を割いた結果だろう。想像力ではどうしようもない点としては、セーブ機能はもとよりパスワードもないため、ゲーム開始からエンディングまで電源を切る事ができない。また、序盤で3D視点のダンジョンっていうか山川邸の地下室に入るんだけど、この地下が『オホーツクに消ゆ』の夕張炭鉱より広く、ここで投げ出したプレイヤーも多いはずだ。はい、30年前の僕もココで挫折しました。だって、無駄に広くて複雑なんだもん。
他にもノーヒントで画面の何もない所を調べないと手がかりが発見できない箇所もある。とは言え、今は良質な攻略サイトも多くあるし、最短なら30分かからずにクリアできるため、他機種に移植されていないこの「古典」を紐解いてみるのもたまにはよかろうて。そして、なぜ刑事であるヤスが犯行に至ったのか、その動機を自分の目で確かめてみてほしい。
(C)1985 ENIX
パッケージイラストは北条司先生ではないです。イラストレーター、ゲームプロデューサーの眞島真太郎さんです。
返信削除貴重な情報をありがとうございます。早速訂正させて頂きます。
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