2026/08/30

マザー2~ギーグの逆襲~


 





【発売】任天堂
【開発】任天堂、エイプ、HAL研究所、パックスソフトニカ
【発売日】1994年8月27日
【定価】9,800円
【媒体】スーパーファミコン用バックアップカートリッジ
【容量】24M
【ジャンル】ロールプレイング




前作の「名作」を超えられなかった「良作」


【ストーリー】
 『MOTHER 2』の舞台は、199X年の地球です。主人公の少年「ネス」が住んでいるのは、イーグルランドの緑豊かな町「オネット」。ありふれた田舎町だったオネットの新聞にも、近頃は大都市の新聞で見かけるものと同じ様な事件や事故の記事が載る様になりました。

 …そんなある日の夜、ネスは今まで聞いた事もない様な轟音とパトカーのサイレンに起こされました。ネスの家の裏庭に、巨大な隕石が落下したのです。好奇心の強いネスは、いても立ってもいられなくなり、隕石の落下現場を見に行く事にしました。

 バリケードを張り巡らせた警察官に追い返されたネスは、しぶしぶ家に戻り、まだ自分の温もりが残るベッドに潜り込みました。「明日は必ずあの場所に行くんだ...」。ウトウトとしていたネスの目を再び覚ましたのは、大きなノックの音。行方不明になった弟の「ピッキー」を探し出してくれと、隣に住む「ポーキー」が頼みに来たのです。警察官の姿も見えなくなった深夜、ネスとポーキーはピッキーを見つける事ができました。しかし、彼らが見つけたのはピッキーだけでなく…それは、地球上の生物ではありませんでした。ネスは彼から大変な事を知らされます。

 「えっ、ぼくが人類の運命を担っている子供なんだって!?」


【概要】
 89年に発売されたコピーライターの糸井重里氏による任天堂初のオリジナルロールプレイングゲーム『マザー』の続編。現代のアメリカが舞台、全ての建物が等身大で地続きになっている、ユーモアあるセリフ回し、ムーンライダースの鈴木慶一氏と任天堂主力ゲームの音楽を手がけた田中宏和氏による美しいサウンド、各所に気遣いが見られる丁寧に作られている点などは前作と同じだが、ストーリー的には前作と直接的な関りはない。キャッチコピー「おとなも、こどもも、おねーさんも。」は糸井氏によるもの。


 当初はスーパーファミコン発表時のラインナップに本作も名を連ねていたが、開発は難航を極め、幾多の発売延期を行った後、テコ入れとしてHAL研究所が加わり、発表から実に5年後に発売された。これほどの延期期間を経ての発売は稀な事である。TVCMは木村拓哉氏を起用し、前作以上の知名度と売り上げ(約52万本)になり、併せて前作も再評価される形となった。尚、続編の『マザー3』は本作より長く、発表から発売までに6年以上かかっている。


【ゲームシステム】
 トップビュー形式のロールプレイングゲーム。8つある「ぼくだけのパワースポット」で「音のかけら」を集め、最終的には「ギーグ」を倒すのが目的。基本的には前作を踏襲した形で全体的に底上げがされているが、大きく変わったのは戦闘システムだ。敵とのエンカウント方式は、前作の「ランダムエンカウント方式」(RPGでよくある突然画面が切り替わるやつですな)から「シンボルエンカウント方式」に変更された。これは、町の住人などと同じく、フィールド上に予め敵の姿が見えていて、プレイヤーが接触する事により戦闘開始となる。通常は敵シンボルが主人公達に向かって来るが、こちらのレベルが大きく上回っている場合、今度は敵が逃げ回るに様になり、力差の大きい場合は、戦闘画面に入る事なく一瞬で勝利が決まる。ザコ敵をいちいちエンカウント方式で倒す煩わしさがないナイスアイデア。また、敵と接触する際、正面から接触すると敵味方関係なく素早い者から攻撃を開始、敵の後ろを取ると先制攻撃、逆に後ろを取られると敵側から先制攻撃される。


 更に、戦闘画面ではは体力(HP)と超能力(PP)の数値が「ドラムカウンター形式」で表示され、敵から攻撃を受けた場合、すぐに数値が変化するのではなく、時間をかけて数字が増減する様になっている。敵の攻撃を受けてHPが減少中であっても、回復させるか戦闘を終えると減少は止まる。他にも、残りHPを上回るダメージを受けても、「ガッツ」の数値が高いと残りHP「1」で踏み止まる事も。パーティー全員が「全滅」するか「固まる」と、ゲームオーバー。再開後は所持金が半分に減るが、ATMに預けている分はそのままなので、なるだけキャッシュは少な目に持って置くと吉。

 戦闘システムと同じく、もうひとつ大きく変更されたのが「電話」だ。前作はセーブをする際の「パパ」にしかかけられなかったが、本作では「ママ」(かけると「ホームシック」が治るうえ、フツーの会話も楽しい)、「エスカルゴ運送」(手持ちアイテムを預け入れできる)、「マッハピザ」(HP回復アイテム「ピザ」のデリバリー)と増え、冒険をサポートしてくれる。


【総評】
 まず、大前提として、「良作」である事は間違いない。前作同様『ピーナッツ』(チャールズ・シュルツ著)の雰囲気が苦手でなければ、「スーパーファミコンでオススメのRPGは?」と問われれば、僕はとにもかくにも本作を挙げるだろう。糸井氏のユーモア溢れるメッセージや「母性(MOTHER)」を感じる温かく優しい作り。隅々まで気が利いた全てが一級品だ。


 んがっ!ここからは超個人的な感想だがっていうかこのブログ自体がそうなんですけど、言いたい事もまた山ほどあるんだわ、本作では。まずはファミコンからスーパーファミコンに変わり、できる事が増えた。ところが、前作では「それとなく」だったのが本作ではあからさまに「お使いゲーム」になってしまっている。パッケージ裏面には「イベントは大小合わせて100以上」とあるが、半分は理不尽とまでは言わないけど、必要性を感じさせないお使いイベントだ。前作でそれとくなくできていた事がなぜ続編ではできんのかー!ここを感じてしまうと、途端にやる気がマイナス30パーくらい減る。

 ゲームのパーティはデフォルト名で「ネス」、「ポーラ」、「ジェフ」、「プー」の4人の少年少女だ(もちろん名前は好きな様に変えられる)。主人公ネスの主観でプレイしてると、突然にジェフやプーを仲間にするために彼らの主観に切り替わる。また、ゲームの都度都度に天から降って来る「写真屋」。イベント時だけでなく、何もないとこでも(見えないポイントを踏むと)登場し、記念写真を撮って行く。画面もシャッターの切り替わりになる。これが、ゲームに没頭している集中力や緊張感をブツッ!っと切って、現実世界に引き戻させる。写真はなんの事はない、エンディングに「思い出の写真」として使われるだけであり、プラスとマイナスで考えたら、この写真屋の存在はマイナスと言える。他にも「これは今あなたが遊んでいるゲームの事ですよ」的な余計なメッセージが多い。興覚めである。

 そして、問題はポーキーの存在である。どこかで悪事が行われた、次は別の場所で…というイベントの動機も繋ぎも「ポーキーのせい」で済まし、狂言回しの都合のいいキャラクターになっており、開発側からすれば「使い勝手のいい便利な奴」として作られたのではないかと勘繰ってしまう。

 また、糸井氏自らが特性フォントまで作成した「どせいさん」や、魔境に追いやられた「グミ族」など、糸井氏の「個性」がよくも悪くも前作のさりげなくではく、全面に出ており、しまいには糸井氏の掌の上で遊ばされている様な気持ちになった。


 サウンド面でも「捨て曲」がなかった前作に比べ、新曲はほとんど印象に残らない。よかった曲は前作のアレンジまたは前作のアレンジCDからのアレンジと、各町のテーマ曲くらいだ。バンドマン「トンズラブラザーズ」が度々登場して曲を披露するが、個人的にはどうにも好みじゃなかった。敵キャラクターについては本作では複数人で描いてるらしく、個性的な様でそうでもなかったりする。とにかく「やりたい事を全部やって糸井重里色でベッタリ塗りました」という感じになってしまっている。『がんばれゴエモン!からくり道中』(コナミ)の項でも述べた「満開全席メガ盛り定食」になってしまっているのだ。

 こどもとおにーさんの中間くらいの発売当時も少し気になっていたが、おじさんになって今回改めてプレイしてみて、この「糸井色の濃さ」が嫌味にも感じてしまったのが正直なところ。前作が「名作」だったが、本作は「良作」の域を超えなかったなー。


 …などと不満な点ばかり書き連ねたが、そ・れ・で・も!良作です。『マザー』マニアの戯言とでも思ってくれい。ギーグを倒したらそれでおしまいではなく、これまで辿って来た場所が平和に戻った様子をじっくり尋ね歩いたり(これだけでもゆっくり楽しめば2時間は経つ)、良い点はこの何倍もあるからね。家族、特にママとの絆の深さとエンディングでは必ずやグッと来るよー。ぐんまけん!




Music
MOTHER オリジナル・サウンド・トラック デジタル・リマスタリング』






【作曲】鈴木慶一、田中宏和
【編曲】鈴木慶一、田中宏和、David Bedford、
    斉藤毅、Michael Nyman
【歌】Catherina Warwick、Jeremy Holland-Swmith、
   Jeb Million、Louis Philippe、Jermy Budd、
   St.Paul's Catthedinal Choir
【発売】ソニー・ミュージックダイレクト
【発売日】2004年2月18日
【定価】2,500円
【収録時間】約76分

 『マザー』の項でも述べたが、オリジナル版は89年にCBSソニー(現ソニー・ミュージックレコーズ)から発売。この『デジタル・リマスタリング』版では、本作のテーマ曲「SMILE AND TEARS」のアレンジ版が最後に加えられている。また、アルバムオリジナル曲の「FLYING MAN」も本作で「フライングマン」が登場する際に使われている。名盤である。ただし、本作のアルバムはアレンジ版ではなく、オリジナル音源版収録の物しか発売されておらず、曲数も全曲ではない。これは、本作のサウンドが様々な有名ジャンルのオマージュ&パロディ曲になっている都合で未収録になったと思われる。残念。

【収録曲】
01.POLLYANNA (I BELIEVE IN YOU)
02.BEIN' FRIENDS
03.THE PARADISE LINE
04.MAGICANT (INST.)
05.WISDOM OF THE WORLD
06.FLYING MAN
07.SNOW MAN (INST.)
08.ALL THAT I NEEDED (WAS YOU)
09.FALLIN' LOVE,AND (INST.) 
10.EIGHT MELODIES
11.THE WORLD OF MOTHER (EXTENDED VERSION)
12.SMILE AND TEARS (DEMO TRACK)



Books
『任天堂公式ガイドブック マザー2~ギーグの逆襲~』
 





【著】エイプ
【監修】糸井重里
【発売】小学館
【発売日】1994年11月1日
【定価】980円

 公式ガイドブック。立体化されている登場キャラクターは立体で、されていない敵キャラクターはドット絵で掲載。マップや買い物リスト、スチャダラパーの対談、しりあがり寿氏の四コマ漫画、鈴木氏と田中氏のサウンド対談や開発陣の一言コメントなど、そつのない、しかし、読み応えありで美しく作られている。難点はマップが少し小さいってところか。いや、こどもやおねーさんにはいいけど、おじさんにはちょっと見難くて。ちょっとだけね。



Books
『マザー2 ひみつのたからばこ~Young Little boy's winding Journey!~』







【著】ファミコン通信責任編集
【監修】糸井重里
【発売】アスペクト
【発売日】1994年11月1日
【定価】1,280円

 ファミコン通信責任編集でこちらも監修は糸井氏が行っている。まずはマップが「手描き」であるという大胆さ。これは恐らく「ネスが書いた」設定だろう。また、各キャラクターの公式イラストが全て掲載されているのも嬉しい。アイテム類は編集部独自の3DCGで描かれ、ゲームの一場面を実写的にCG作成したイメージ写真も多い。また、14ページに渡る「ほんとうのひみつのふくろとじ」として、クリア後に読むと愉快な読み物も掲載。データ類に関しては安心のファミコン通信責任編集だけの事はある。公式ブック共々、クリア後にも「読み物」として楽しめる。



Goods
『どせいさんシール』

 どっかのゲーセンにいたら、突如どせいさんの等身大(?)着ぐるみが現れ、シールをくれた。いや、ホント。非売品だぞ。しかし、今世紀に入ってどせいさんに会えるとは!結構でかかった!嬉しいです!ぷー。











(C)1994 Nintendo Co.,Ltd. (C)1994 SHIGESATO ITOI / APE inc

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