2015/06/10

がんばれゴエモン!からくり道中

【発売】コナミ
【開発】コナミ
【発売日】1986年7月30日
【定価】5,300円
【媒体】ファミコン用カートリッジ
【容量】2M
【ジャンル】アクション




2メガビットの大容量!


【ストーリー】 
 その昔、大平の世をいい事に、全国各地の大名は庶民の暮らしを顧みず、したい放題私腹を肥やしておりました。そんな御時世、噂の義賊ゴエモンが、盗んだ小判を貧しい人に与えながら諸国大名をこらしめる旅に出たのでございます。しかし、御上の追手は厳しく、城への道中は容易な事ではございません。はてさて、この物語の結末はいかに相成ります事やら―?がんばれゴエモン!


【概要】
 ベースとなったのは86年5月にコナミ(現コナミデジタルエンタテインメント)がアーケードで発売したばかりの『Mr.五右衛門』で、これを大幅にアレンジしたのが本作だが、実質的には別のゲームであるため、多くの続編が発売された現在では本作が『ゴエモン』シリーズの第1作目とされている。ファミコン初の2メガビットROMを搭載し、音声合成や全104ステージのボリューム、派手な広告などで人気を博し、同社の看板タイトルのひとつとなった。


【ゲームシステム】
 サイドビュー形式のアクションゲームで、奥行きのある上下左右を移動できる。道にある壷や玉手箱をジャンプで飛び越えて小判を貯めたりパワーアップしながら、「通行手形」を3枚集めて関所へ辿り着けば1ステージクリアとなる。通行手形は店で売られている物もあれば、地下の隠し通路や3D視点の迷路に落ちている場合もある。また、店の中には賭博屋もあり、このゲームで丁半を覚えた少年少女も多いはず。グラフィックやサウンドは純和風でまとめられており、そのクオリティは高い。

 1つのステージは複数のエリアで構成されており、更にそのステージは、町→村→山→海→町→海→村→山→田→屋敷→町→石垣→城内の13ステージからなる。ゲームの目的は最終ステージにいる大名に頭を下げさせる事だが、これがとんでもなく長いのだ。この13ステージが1つの「国」とされており、西から江戸を目指す「ゴエモン」は、肥後国から始まって、出雲国→備前国→摂津国→近江国→尾張国→信濃国→江戸と8つの諸国を全てクリアしなければない。『魔界村』(カプコン)では真のエンディングを見るのに2周しなければならなかったが、本作は8周する必要があるのだ。


【総評】
 今でこそ「あーし写真が趣味でー」なんつってスマホでテキトーに撮ったくだらねえ昼飯の写真2枚か3枚でいっぱいになってしまう容量だが、当時の小学生がその意味を知るよしもなく、CMや広告で「ファミコン初!脅威の2Mビット大容量!」という煽りコピーを見る度に、言葉の意味はよく分からんがとにかくすごい自信だと思い、パッケージにまで「出たっ!2Mビット新製品」、「2Mビット使用」と2ヶ所も書かれているのを見るにつけ、これはもう今までに見た事のないすげえゲームに違いないと確信した。小学生男子の考える「大きい事はいい事だ」理論である。

 ファミコン発売から3年が経ち、市場が大きくなる中で、従来のカートリッジでは表現できないゲームが増え始めた86年。任天堂は2月に従来製カートリッジの4倍の容量を誇るディスクシステムを発売し、徐々にメディアをディスクカードへシフトチェンジする計画だったが、本作はそのディスクカードの2倍の容量を引っ下げ、ディスクシステムの優位性を早々に崩した作品でもある。「ゲームの容量」という言葉が使われ始めた時期、実際にはメガだのビットだのよく分かっていないのだが、とにかくこの『がんばれゴエモン!』はいつもの2倍のジャンプ力にいつもの3倍の回転を加えたウォーズマンのごとく強烈なインパクトがあったのだ。その証拠に今でも僕のコンピュータ容量の基準は2メガビットだ。

 そんなバッファローマンを上回るゴエモン、確かに「御用だ!」の音声合成が楽しい「御用役人」をはじめとした多くのキャラクター、オープニングやステージクリア時に挟まれるデモ、多種多様なアイテム、3D視点による「秘密の迷路」、そして膨大なエリア数はさすが脅威の2メガビットだぜ!と素直に思った。が、ほどなくしてそのあまりに詰め込まれたボリュームにクリアを断念したのだった。本作最大の欠点、それは皮肉にも2メガビットのなせる大容量にあった。これまでにない容量の中にとにかく詰め込めるだけの要素を詰め込んだ結果、全ての要素がインフレを起こしたのだ。完全に形骸化した隠れキャラ、無意味なスコア、セーブ機能はおろかパスワードさえない中での長大過ぎるステージ…。当時の小学生はどうだろう、大抵がファミコンで遊ぶ時間や曜日が親によって決められていたんじゃないだろうか。我が家では土日のみだったが、食事時や寝る時は当然ファミコン本体の電源を切らなければならなかった。最初の肥後国のステージ4(海)までで1~2時間はかかる僕にとって、8周どころか1周するのさえ非現実な仕様だったのだ。いくら腹が減っていようと、1皿1皿がメガ盛りの満感全席を定食として出されたら完食できないのと同じ感じ。

 本作は友達から借りて遊んでいた時に、母親が「音楽がいいねえ」と珍しくゲームに興味を持った事を言ったので、「じゃあ買って」とダメ元で言うと本当に買ってくれた。こんなパターンは後にも先にもこれだけで、先日もこの話を母にすると、「ゲームは覚えとらんけど、そう言ったのは覚えとうよ」と話していた(笑)。あ、そうそう、さっき知ったけど、04年にゲームボーイアドバンスへ移植された際にどうやらセーブ機能が追加されたらしいので、長大なステージに関しての欠点は解消されているかもしれない。そっちは未プレイなのでよく分かんないけど、今やるならゲームボーイアドバンス版の方がいいと思います。ゴエゴエ。



(C)Konami 1986

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