2015/06/08

キングスナイト

【発売】スクウェア
【開発】スクウェア、ワークス
【発売日】1986年9月17日
【定価】4,900円
【媒体】ファミコン用カートリッジ
【容量】512Kbit
【ジャンル】シューティング




ニュータイプRPG…だと?


【ストーリー】 
 古代マラルリに伝わる有名な伝説がありました。それは「勇者の伝説」とも呼ばれ、マラルリの人達はそれを何度となく聞いては楽しんでいたと言われていました。この伝説は、古代マラルリの隣国、オルセア王国とイザンデ王国に起こった物語です。オルセア王国の王女クレア姫が、ドラゴンの支配するイザンデに捕われてしまったのです。オルセア王国の陛下は姫を救い出すため、重臣達に命じて「4人の勇者」を集めさせました。こうして集められた4人の勇者-レイジャック(ナイト)、カリバ(ウィザード)、バルーサ(モンスター)、トビー(スィーフ)-は、ドラゴンを倒し、クレア姫を救い出す事ができるのか。そして、オルセア王国に再び平和は訪れるのだろうか…。これが「キングス・ナイト伝説」なのです。


【概要】
 『ファイナルファンタジー』発売のおよそ1年前にスクウェア(現スクウェア・エニックス)が「ニュータイプのロールプレイングゲーム」と称し、いかにも王道っぽいキャラクター達と、これまたいかにもよくあるストーリーを添えて発売した縦スクロールシューティングゲームである。音楽は後に『FF』シリーズ全般を手がける植松伸夫氏(現ドッグイヤー・レコーズ代表取締役)が作曲しており、フィールドの曲は当時のファミコン用ソフトとしては珍しく尺の長い聴き応えのある1曲になっている。最終ステージ突入前にかかるジングルもこれまた名曲。


【ゲームシステム】
 1ステージにつき1人、計4人のキャラクターが各々のステージで敵や障害物を撃ちまくり、最終ステージでは4人全員で打倒ドラゴンを目指す。ライフ制で、ライフが尽きるかスクロールで障害物に挟まれるとゲームオーバー…ではなく、何事もなかったかの様に次のステージが始まる。が、本作は1人でもクリアに失敗した時点で最終ステージクリアは不可能だ。初めてのプレイヤーは、4ステージ全てをプレイした後で自分が既に実質的なゲームオーバーになっている事を知るのだ。逆に1人でもステージをクリアすれば、最終ステージ後に任意のキャラクター(ステージ)を選択できる様になり、何度でもやり直す事ができるという仕組み。

 障害物の中には各種アイテムや最終ステージで必要な「勇者の魔法」が隠されているため、やり直しながらアイテムの場所を覚えて取りこぼしをなくし、その効力を上げる部分がRPGっぽいっちゃぽい。4ステージに関しては「頑張ればなんとかなる」という難易度だ。が、頑張ってなんとか全員で最終ステージに進むと、4人が常に十字に並んで歩くため、正面投影面積が4倍となり、敵の弾を避ける事すらままならない罠。また、せっかく苦労して集めた魔法も1人1回しか使えず、どのタイミングで誰の魔法を発動させればいいか分からない罠。最終ステージは「頑張ってもどうにもならないかも」と思わせる理不尽な難易度である。


【総評】
 『ドラゴンクエスト』(エニックス)発売前後はまだファミコンにおける「RPG」というジャンルがメーカーもユーザーもよく分かっていなかった頃で、本作のみならず、同じ縦スクロールシューティングゲームの『頭脳戦艦ガル』(デービーソフト)も「衝撃のスクロールロールプレイング!」などというよく分からないジャンルを掲げていたので、そこは「過去のやんちゃっぷり」として寛大な目で見る事にしましょう。今でもスクウェア・エニックスの公式サイトでは「フォーメーションRPG」という謎のジャンルで紹介されてるけど…。

 実質的にはシューティングゲームながら、なんとかRPGっぽさを肉付けし、所定の位置に隠されたアイテムの場所をトライエンドエラーで探しながら各キャラクターを育てる(強化する)というアイデア自体は悪くない。強化されたキャラクターはシューティングゲームのパワーアップと同じ類ながら、ライフ制が幸いしてその強さが徐々に実感できるのもいい。ただ、いかんせん理不尽なまでの高難易度がネックなのだ。特に最終ステージでは前述した以外にも、先頭のキャラクターを変えながら進まねばならず、それには道に落ちている「矢印」を拾うしかないのだが、陣形は描かれた矢印の方向にしか変えられないため、敵の弾を避けながら任意の陣形にするのは相当難しい。また、陣形変更中は操作を受け付けないため、敵の弾を避ける事もできない。アタイには無理だよこんなの!

 僕がこのゲームを初めて遊んだのは、発売から半年ほど経った頃に、弟が知り合いのおばさんから買ってもらった時だった。特に欲しかったわけでもなく、親からのプレゼントでもなかったため、当時はその難易度の高さもあってそこそこ遊んだに過ぎなかった。それから30年になろうとしている今、弟は真っ当な道を歩んで結婚し、子供2人を育てる立派な父親になった。一方、道を踏み誤った兄はつい先日、同じく道を踏み外した大学時代の友人が泊まりで遊びに来た時に1時間かけてキャラクター4人を育て、更に3時間かけて最終ステージに挑むも、あまりの難易度の高さにクリアを断念した立派なダメゲーマーになったのである。なんだこの終わり方。



(C)1986 SQUARE CO.,LTD. PROGRAMMED BY WORKSS.

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