2022/04/16

ゲゲゲの鬼太郎 復活!天魔大王




【発売】バンダイ
【開発】ベック、スタジオオルフェ
【発売日】1993年2月5日(再販版:1996年2月29日)
【定価】8,800円(再販版:3,980円)
【媒体】スーパーファミコン用カートリッジ
【容量】8M
【ジャンル】アクション




ベックならではのこだわりの戸田くんゲーム


【ストーリー】
 西暦1993年のある日、妖怪ポストに1通の手紙が入る。それはなんと、1999年のユメコちゃんからのものであった。1999年に鬼太郎が捕らえられ、妖怪裁判で死刑を宣告されてしまう。その前に、過去の鬼太郎に助けてほしいというのだ。未来へ行くには古代の石臼の力を借りるしかない。鬼太郎は邪魔をするたんたん坊を倒し、未来の世界へと向かう。
 だが、妖怪裁判前に救出に駆け付けられるはずが、到着した未来は、未来の鬼太郎が処刑されるギリギリの日付だったのだ。果たして鬼太郎は、未来の鬼太郎が処刑される前に地獄の処刑場に辿り着けるのであろうか…?


【概要】
 水木しげる氏原作の『ゲゲゲの鬼太郎』は、コミックス、テレビアニメ、実写化などがされている妖怪マンガの金字塔である。テレビアニメは現在までに6度放送されており、本作品はそのうちの3期(85年10月~88年3月)をゲーム化したもの。4期(96年1月~98年3月)放送時には、「復刻版」として、価格を下げた再販版も発売された。3期『鬼太郎』のゲーム化はいずれもファミコン用に86年発売の『ゲゲゲの鬼太郎 妖怪大魔境』、87年発売『ゲゲゲの鬼太郎2 妖怪軍団の挑戦』と過去2作が発売されているが、本作との繋がりはない完全オリジナルストーリー。

 3期『鬼太郎』の特徴は、バブル期に放送された事もあり、この世を謳歌する人間側に対し、妖怪側は古く忘れられた存在に成り下がった様に描かれているが、決して弱っているわけではなく、人間の横暴に対しては「ぬらりひょん」を筆頭に組織的もしくは個々の妖力によって人間側へ実力行使に出る構図が多い。「鬼太郎」は歴代の中でも最も強く、好戦的な描写がされているも、基本的には人間と妖怪の共存を常に模索している。対妖怪戦でもまずは話し合いを提案する場面多し。その話し合いが受け入れられなかった場合に鬼太郎も実力行使に出ると。容赦のない実力行使は人間側に非があった場合はそちらに向けられる事もあり。


【ゲームシステム】
 サイドビュー形式のアクションゲーム。各ステージのボス妖怪を倒すと、囚われていた仲間を助ける事ができる。2人同時プレイが可能。この場合、2プレイヤー側は「シーサー」となるが、後々、囚われた仲間を助けると、「ねずみ男」(…は鬼太郎に捕まる)、「小泣きじじい」、「砂かけばばあ」、「猫娘」、「地獄童子」と、それぞれ特殊攻撃の異なるキャラクターを選択できる。「一反木綿」は空中ステージで登場するが、「ぬりかべ」だけはエンディングでしか登場しない(涙)。
 鬼太郎の攻撃は「髪の毛針」で、「ちゃんちゃんこ」を防御として使用する。敵を倒すと出現する「宝珠」を取ると、「リモコン下駄」、「オカリナ笛ムチ」、「体内電気」の特殊攻撃も使用できる。ステージの合間には豊富な1枚絵が挟まれ、物語を盛り上げる。全18ラウンド6ステージ。


【総評】
 オーソドックスなアクションゲームながら、3期鬼太郎の世界観を非常によく再現した良作と言える。発売は前後するが、『機動警察パトレイバー』(ベック)同様、開発のベック(現B.B.スタジオ)は原作ファン向けに舵を取り、本作でも成功した。アニメに忠実な豊富な1枚絵で再現したストーリー、ヒーロー然とした3期鬼太郎など、見た目だけでなく、原作ファンをニヤリとさせる背景グラフィックの数々。難易度が若干高いが、タイトル画面でIIコントローラのL+Rを同時に押しながらIコントローラのセレクトを押すと、3段階の難易度設定ができる。

 

 で、コアな『鬼太郎』ファンは、歴代鬼太郎に声を充てた声優の名前で呼ぶ事が多いのれす。3期鬼太郎は戸田恵子氏が声を充てていたため、ファンの間では俗に「戸田くん」と呼ばれてます。1期と2期は「野沢さん(野沢雅子)」、4期は「松岡くん(松岡洋子)」で5期は「高山くん(高山みなみ)」、6期は「沢城くん(沢城みゆき)」っつー感じで。ほら、鬼太郎っていっぱいいるし。で、僕は3期が大好きなんですよ。劇場版の名作『ゲゲゲの鬼太郎 激突!!異次元妖怪の大反乱』のDVDやサントラも持ってるし、同人誌も作ったくらいなので、おじさんは戸田くんに関しては少しうるさいぜ。うへへ。

 

 でで、3期は、作画監督ごとの個性的な作画やケレン味溢れる演出も好きだけど、竜童組の川崎真弘氏による和楽器とシンセサイザーによる劇伴があってこそだと思ってます。「子供向けアニメ」の劇伴は今より格下に見られた時代(特撮なんかもそうですな)、安易な和楽器中心の使用ではなく、宇崎竜堂氏率いる竜堂組ならではのハードな曲が多く、この川崎氏の劇伴がなければ3期をここまで愛してなかったかもしれない。ドラムとベースを効かせ、ギターのソロが光る珠玉の名曲だらけで、特に戦闘シーンではこれまでにない『鬼太郎』の描写に大いに貢献しているのでした。ゲーム内ではゲーム用のオリジナル曲が使われているが、ドラムやベースなどは川崎氏の旋律が使用されており、開発陣のこだわりを感じる。オープニングテーマ「ゲゲゲの鬼太郎」は、吉幾三氏が歌うアップテンポなポップス調にアレンジされた曲(編曲は野村豊氏)、エンディングテーマは3期では使われなかった「カランコロンのうた」が流れる。

 登場する妖怪達もボスからザコキャラクターまで原作のアニメを徹底的に再現している。最初のステージ0では、アニメ第1話「謎の妖怪城出現!」同様、「かまいたち」と「二口女」の後に「たんたん坊」がボスに控える。続く1-1では韓国妖怪「ぬっぺら坊」に「折り畳み入道」(←こいつを見て「このゲームはできるな」と思った)でボスはわりと好きな「白山坊」。ぬっぺら坊とは違う「のっぺら坊」、「あまめはぎ」(←こいつを見て「このゲームはできるな」と思ったその2)、ボスの「がしゃどくろ」。アニメでは戸田くんを最初に流血させた「ふくろさげ」、(アニメでは後に味方になる)「あかなめ」、ボスの「山天狗」。1-4では「毛羽毛現(けうけげん)」が「ふらり火」を落とし、「見上げ入道、見越したりー!」でお馴染みの(←何が)「見上げ入道」が巨大化してくる。攻撃の効かない「泥田坊」の後には、ボス扱いでもいいんじゃないかという九尾の狐こと「チー」が登場後にボスとして「水虎」。2-2には、これまたわりと好きな「かまなり」と「姑獲鳥(うぶめ)」、ボスはそんなに好きじゃない「かみなり」。2-3の「雪ん子」とボスにしては少々貫禄が足りない「だるま」を倒すと、ここからは西洋妖怪編。「フランケンシュタイン」、「オオカミ男」、「ドラキュラ」、「魔女」、西洋妖怪の首領「バックベアード」との連戦。ここまででわりとお腹いっぱいだが、まだ続くぜ。4-1では案外手こずる「たくろう火」、ボスは「やまたのおろち」。アニメ第79話「妖怪やまたのおろち」ではかなりの強敵だったが、本作では8本の首を1本ずつ相手にして倒していけばいいため、そんなに強敵ではなかった。逆に4-2での「のびあがり」は小型と大型の2通りが登場し(背景には「吸血木」が描かれているのもいい!)、小型はトリッキーな動きに、大型は画面半分を占める大きさに苦戦し、ボスは僕の大好きな「天狐」。狐一族の長にしてプライドが高いが、ある程度のダメージを負わせると、メッセージを残して退いてくれるあたりはアニメ同様にさすがの貫禄。地獄へ入った戸田くんは、「餓鬼」を倒しながら、ゲームオリジナルの「宇宙妖怪」とされる「ミミーン」と戦う。こいつだけは、髪の毛針で後退させながら1度溶岩の中に落とし、第2形態になってからが本番だ。で、こういう事件にはやっぱり裏で糸を引いていたぬらりひょん。その後に宇宙妖怪2匹を倒して現代へっつーなんで登場妖怪を全部書いたかってーとひゃくぱー自分用メモです。なげーよ!ごめんなさい。てへ。

 ゲームをクリアして、「カランコロンのうた」を聴き、そのまま1分30秒ほど待つと、なんとも後味の悪い「真のエンディング」を見る事ができる。嗚呼!と、戸田くんファンなら最後の最後まで楽しめるゲームになっている。


(C)水木プロ・東映動画 (C)BANDAI 1993 MADE IN JAPAN JASRAC V-921808号

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