【発売】任天堂
【開発】任天堂、HAL研究所
【発売日】1984年5月1日
【定価】4,500円(前期版:3,800円)
【媒体】ファミコン用カートリッジ
【容量】192Kbit
【ジャンル】スポーツ
脅威のロングベストセラー
【概要】
ファミコン発売の翌84年に任天堂から発売された初のゴルフゲーム。BGMがなく、数種類の効果音のみではあるが、全18ホールが用意され、風向きや芝目も再現された本格派。2人対戦プレイもできるため、「ゲームは子供のおもちゃ」という風潮の当時において大人の人気を集め、約246万本という脅威の売り上げを記録。06年にWiiで発売された『Wii Sports』登場まで実に22年もの間、家庭用ゲーム機のスポーツゲーム売り上げナンバーワンに君臨していた地味ながらもすごいやつなのだ。
【ゲームシステム】
この『ゴルフ』、売り上げ以外にもすごいのが、現在までのゴルフゲームのシステムをこの時点で既に確立している点である。極端な言い方をすれば、以降に発売された大半のゴルフゲームは、本作のシステムをブラッシュアップしているだけとも言える。方角や距離、芝目、OB判定など、確かにざっくり過ぎる部分も相応にあるが、そこはファミコン初のゴルフゲームっつー事で寛大な心でプレイするのが正しい姿勢と言えましょう。ちなみに、プレイヤーのキャラクターはお馴染み「マリオ」とは別人で、ただのヒゲ生やした中年のおっさんらしい。
2分割された画面構成で、右側はトップビュー固定のコースorグリーン、左側にプレイヤーキャラが表示。14種類のクラブを選択し、「プレイヤー打力メーター」を見ながらつむじ風舞うティーグラウンドでグリーンのターゲットを狙うのだ猿くん。猿くんが1度目にAボタンを押すとバックスイングを始め、次にAを押せばトップの位置が、3度目のAでインパクトの位置が決まる。打力メーターを見ながら3回それぞれAを押す位置でボールの飛距離と方向を決め、ストレート、スライス、フックと打ち分けができるっつー寸法だ。
【総評】
『ベースボール』、『テニス』など、ファミコン初期に発売された任天堂製のスポーツゲームの中には、各競技「初」にして基本システムを確立した名作がいくつもある。とりわけ『ゴルフ』は分かりやすいルールとシンプルな操作、それに、ファミコンを買い与える父親達にとって最も身近なスポーツだったのではないか。今も昔もおっさんのスポーツと言えばゴルフなのである(偏見)。ウチの父親もどこで評判を聞いたのか、このソフトを買ってきた。その頃は誕生日かクリスマスにしかファミコンソフトを買ってもらう機会がなかったので、それからしばらくは毎週日曜日に父と対戦プレイをし、二人でダブルボギーの山を築いた。
今でも年に1~2回、遊びに来た友達と対戦するんだけど、この基本をしっかり押さえたざっくり仕様がなかなか熱くていいのだ。細かいチューニングが必要なゲームだとしちめんどくせえ設定だけでもう疲れてしまうんじゃよ。無音なのも今はかえっていい感じにさえ思う。先日もざっくりな芝目とOB判定の泥沼にはまり込み、150を超えるスコアを叩き出したばかりだ。
86年にディスクカードに移植、01年にはニンテンドウ64で発売された『どうぶつの森』にも収録されている他、Wii U用バーチャルコンソールでのダウンロード販売も行われているが、出荷本数が多いため、現在でも比較的簡単に安く入手できるのも嬉しい。僕は一度手放し、近年になって完品を250円で買った。カセットのみなら100円以下で売ってる事もままあるぞ。
余談だが、任天堂から発売されたファミコン初期17本のソフトには、2種類のバージョンがある。「初期型」はカセットがそのまま入っているため、箱は小さく、箱とカセットの色も同じ。また、ラベルは文字と矢印みたいな模様(分からない人はググろう)のみのシンプル仕様。一方の「再版型」は、透明プラスチックケースが標準装備されたため、箱が一回り大きくなり、色もシルバーに統一された。そのスジの人達からは「銀箱」と呼ばれているらしい。なんだ、そのスジの人って。ラベルも箱絵と同じものに変更。更に余談をすると、上のパッケージ写真には「FFマーク」が記載されている。「えふえふまーく」とは「FAMICON FAMIRY」の略で、88年以降に発売された全てのファミコン用ソフト及び周辺機器に表示されているマーク。つまり、僕が持っているのは「88年以降の銀箱再販型」となるわけで、こうしてまたあなたの人生においては何の役にも立たない知識が増えるのであった。
【2015.7.13.追記】
本作のプログラムを担当された岩田聡氏(現任天堂代表取締役社長)が7月11日、胆管腫瘍のため死去されました。謹んで哀悼の意を表します。
(C)1984 Nintendo
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