【発売】バンダイ
【開発】ノバ
【発売日】1991年7月6日
【定価】9,500円
【媒体】スーパーファミコン用バックアップカートリッジ
【容量】8M
【容量】8M
【ジャンル】シミュレーション
『ガンダム』ゲーム初の外伝作品
【ストーリー】
宇宙世紀0122年。「シャアの反乱」から30年余の歳月が流れていた。その間、各地で小さな内乱はあったものの、地球連邦政府の政策に人類全体は比較的平穏な暮らしを営んでいた。しかし、近年、現存の政治体制を善しとせず、スペースノイドの独立を謳うテロ組織が大規模な行動を起こし始めていた。3年ほど前、当時最新鋭の試作実験用モビルスーツ「ガンダムF90」を奪取し、連邦軍に追われ火星で壊滅したと思われたが、この1年ほどの間に以前にも増して強大な装備を持って地球圏を脅かしているのである。旧式のモビルスーツを使用する彼らは「オールズモビル」と呼ばれていた。
地球連邦政府は、反地球連邦討伐部隊を編成し、オールズモビルの一掃と同時に、この短期間に組織を再編成するだけの資金と技術を援助したスポンサーの調査と、その目的を調べるという任務を与えた。
第13反地球連邦討伐隊旗艦「エイブラム」は、F90の移送とオールズモビル討伐というふたつの任務を遂行しつつ航海を続けていたが、幾度もの激しい戦闘で殆どの戦力を消耗していた。エイブラム艦長、ワイブル・ガードナーは、F90を出撃させ、無事に大任を果たしたパイロット、ベルフ・スクレットに引き続きF90のメインパイロットを命じた。実戦でのF90の戦闘データが次期主力モビルスーツ「F91」のスペックに活かされる事は言う間でもなかった。
【総評】
アニメーション化されていないガンダムF90のバックボーンと、映画『機動戦士ガンダムF91』に続くストーリーは、『ガンダム』ファンとしては興味深い。スーパーファミコン初期の作品だが、その時点でファンに伝えられる事をゲームで実現しようとした製作者の意気込みがこちらにも伝わってくる。
【概要】
富野由悠季氏、日本サンライズ(現サンライズ)原作の『機動戦士ガンダム』は、79年放送の初代から現在まで続編や新作が作り続けられているロボットアニメの金字塔である。本作は88年上映の映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』から91年上映の映画『機動戦士ガンダムF91』までの空白期間に起きた出来事を紡ぐ『ガンダム』シリーズ初のビデオゲームとしての外伝作。模型誌を中心とし、主にプラモデルでの展開を行っていた『機動戦士ガンダムF90』をクローズアップしている。メカニックデザインに大河原邦男氏、キャラクターデザインはOVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』や『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』の川元利浩氏が担当している。
【ゲームシステム】
マップ画面はトップビュー形式、戦闘画面は3D視点のシミュレーションゲーム。敵襲に遭った際、プレイヤーは、「ガンダムF90」(ステージが進むにつれ「F91」も使用可能)の装備を選択して出撃する。マップ画面では友軍と敵モビルスーツの状況確認などを行い、敵のモビルスーツ小隊(だいたい3~4機)と会敵すると戦闘になる。敵小隊の中には必ず隊長機がおり、これを先に撃破すれば、その小隊のモチベーションが下がって戦闘を優位に進められる。
戦闘画面では、画面下側にレーダーが表示されており、LorRボタンで旋回、十字ボタンで移動しながら、レーダー内の攻撃可能範囲「Vゾーン」に敵を捉え、攻撃を行う。レーダーの左右に表示されている赤と緑のゲージは、自機の燃料と耐久力を示しており、いずれか一方でも0になるとゲームオーバー。燃料は移動や攻撃などを行う度に少しずつ減少し、耐久力はダメージを受けた際に減る。どちらも母艦に着艦し、装備の換装を行う事で回復できる。敵機のダメージは、レーダーに表示されるグラフィックが白→黄→赤になる事で残りの耐久力を示している。
全12ステージ。ゲームオーバーの条件は、敵の攻撃による自機の撃墜、燃料切れによる自機の行動不能、母艦の撃沈、友軍小隊の全滅、コロニー内が舞台となるステージ3のみコロニーに空いた穴に吸い込まれて行方不明扱いとなる5パターン。
アニメーション化されていないガンダムF90のバックボーンと、映画『機動戦士ガンダムF91』に続くストーリーは、『ガンダム』ファンとしては興味深い。スーパーファミコン初期の作品だが、その時点でファンに伝えられる事をゲームで実現しようとした製作者の意気込みがこちらにも伝わってくる。
ガンダムF90は武装を換装する事で様々な状況に対応できるモビルスーツ。本作でも、火力は低いが航続距離の長いA(アサルト)タイプ、逆に航続距離は遅いが高火力のD(デストロイド)タイプ、強力な遠距離攻撃を備えた万能型のV(ヴェスバー)タイプなどを選択できる。ハードの制約上、ややあっさりしているが戦闘の前後にあるキャラクター同士のやり取りも『ガンダム』らしい。
大まかなストーリーの流れは、初代『ガンダム』から続く「地球連邦軍」対「ジオン公国軍」の図式から始まり、中盤からは『F91』の敵役として登場した「クロスボーン・バンガード軍」が戦闘に介入する。このジオン残党軍からクロスボーン・バンガードへの移行が映画では描かれていなかったが、本作をプレイする事で、その「空白期間」が埋まるのだ。エピローグは映画『F91』の冒頭に繋がっている。
何度となく見る事になる戦闘画面は、多くのビジュアルをテンポよく使用しており、さほどストレスはない。ただ、こちらの燃料と耐久力はゲージで示されているとは言え、数値が可視化されていないため、なんとなくVゾーンに入って来た敵機を逃すまいと単なるAボタンの連打になったり、白表示の敵機が一撃で沈む事もあれば、赤表示の敵機がいつまでもしぶとく粘るといった場面も少なくない。同様に、F90の各武装の攻撃力や命中率、回避率なども数値化されておらず、当たらなけばどうという事もないが、体感的には運の要素が強い。
また、友軍が弱過ぎるのも問題だ。母艦には地球連邦軍の量産型主力機「ジェガン」も搭載されており、敵襲の際には2~3機ごとの小隊で出撃し、勇ましくどんどん敵へと向かって交戦するのはいいが、敵機にダメージを与える事はできても止めは刺せない仕様となっている。ゲームはリアルタイムで進行するため、こちらが戦っている間もジェガン小隊は消耗していく。ゲームオーバーの条件のひとつが「友軍の全滅」のため、プレイヤーはなるべく早く敵小隊を撃破し、友軍が全滅する前に加勢に行かなければならない。
キャラクターのやり取りでも気になった点がひとつ。主人公「ベルフ・スクレット」には、ジェガンに搭乗する恋人がいるのだが、大気圏突入のステージ4でどうやら敵機にやられてしまったらしく、その事を他のキャラクターに聞いてもはぐらかされるばかり。自分の預かり知らぬところで恋人が死亡し、その事実確認さえできないのはモヤモヤする。
前述した通り、製作側の意図は分かる。グラフィック面でも頑張っているが、戦闘に関してはまだシステムの練り込み不足といった感が否めない。それでもファミコンでは不可能だった部分をスーパーファミコンで表現した外伝作としては一定の評価ができる←えらそーに。しっかしなー、ジェガン好きの僕としては、いくら強化されていようと「ザク」や「ドム」、「ゲルググ」なんかの旧式にやられるのは納得できんぞ。
尚、19年にガンダムエース誌(KADOKAWA)にて、モニター画面やストーリーなど、本作のコミカライズも兼ねた『機動戦士ガンダムF90FF(ファステストフォーミュラー)』が連載されている。
(C)創通エージェンシー・サンライズ (C)BANDAI 1991
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