2022/11/18

ワールドカップ’98フランス~Road to Win~




【発売】セガ・エンタープライゼス
【開発】セガ・エンタープライゼス(チームアクイラ)
【発売日】1998年6月11日
【定価】5,800円
【媒体】セガサターン用CD-ROM
【ジャンル】スポーツ
【周辺機器】セガマルチコントローラー、マルチターミナル6対応
【レーティング】全年齢




スポーツゲームの宿命には逆らえずの終幕


【概要】
 『Jリーグ ビクトリーゴール'96』の続編。日本が初めてワールドカップに出場した98年フランス大会を戦う代表戦版で、シリーズ最終作。実況はサッカージャーナリストの小谷泰介氏、解説は元日本代表の金田喜稔氏、本シリーズではレギュラーの「ミスター・マリノス」こと木村和司氏、ナビゲーターにこれまで実況を務めていた金子勝彦氏の4人が名を連ねる。本作での日本代表は、97年のアジア最終予選から98年4月1日に行われた対韓国戦に出場またはベンチ入りした全35名の選手で構成されている。


【ゲームシステム】
 これまでのシリーズ同様、トップビュー、サイドビュー、クォータービューへの切り替え式サッカーゲーム。ゲームモードは全32チームが世界の頂点を目指す「ワールドカップ98」、1試合のみの「フレンドリーマッチ」、選手の名前を変更できる「プレイヤーエディット」、難易度やハーフタイムの時間、実況の有無などを選択できる「オプション」。
 また、本作独自のモード「Road to FRANCE」では、後にいわゆる「ジョホールバルの歓喜」と呼ばれるマレーシアのジョホールバルで行われたアジア第3代表決定戦対イラン戦を行う。このモードでは、通常の試合開始「はじめから」の他、前半39分にMF中田英寿が先制点を挙げた「日本先取点後」、後半開始僅か25秒で同点とされ、続く後半14分には逆転を許し、2トップのFW三浦知良とFW中山雅史をFW城彰二とFW呂比須ワグナーに同時交代させる背水の陣で挑んだ「後半18分」、このシステム変更が功を奏し後半31分に城が同点とし、延長戦に突入した「延長前半開始」という、実際にあった状況からプレイができる。

 尚、この試合でイランに敗れると、アジア・オセアニア・プレーオフに回り、オーストラリアとのホーム&アウェイという「幻の試合」を行う事になる。


【総評】
 本作の大きな特徴は、前述した様に、やはりアジア第3代表決定戦だろう。日本は途中で監督更迭など、アジア最終予選では最後まで苦戦を強いられ、毎試合ピリピリとした緊張感が漂っていた。なんとか上位2位に滑り込み、中立国のマレーシアで強豪イランと戦うも、試合はシーソーゲームとなり、延長戦へ突入。日本は最終予選で1度も出場機会が与えられなかったFW岡野雅行を投入するが、ミスを連発。逆にイランも反撃を見せる。両チームとも決定的なチャンスをものにできなかったが、PK戦突入も間近に迫った延長後半13分、呂比須が中盤で奪取したボールを中田がドリブルで持ち上がり、ミドルシュート。相手GKが弾いたボールを岡野が走り込み、右足でスライディングしながらゴールに押し込み、ゴールデンゴール(決勝点)を決めた。いやー、今思い返しても痺れる試合だったなー。54年のスイス大会予選に参加して以来43年。10回目の挑戦でワールドカップへの出場を果たした日本。ちなみに、ワールドカップ予選及び本大会でゴールデンゴール方式が採用されたのはフランス大会と02年の日韓大会のみのため、同方式でワールドカップ出場を決めたのは、この試合に勝った日本だけである。また、イランもオーストラリアとのプレーオフに勝利して本大会出場と相成った。

 

 フランス大会は、98年6月10日から7月12日までの期間行われ、決勝では開催国のフランスが前回大会優勝のブラジルを3-0で下して優勝した。日本は、アルゼンチン、クロアチア、ジャマイカと同じグループに入るも、ワールドカップの壁は厚く、1勝もできなかったが、対ジャマイカ戦では中山が骨折しながらも日本の初ゴールを挙げた。このフランス大会を皮切りに、02年日韓大会、06年ドイツ大会、10年南アフリカ大会、14年ブラジル大会、18年ロシア大会、そして22年カタール大会と、途切れる事なくワールドカップ7大会連続出場を果たしているっていうか、サッカーの話ばっかしてますな。すまんす。

 ゲームの方に話を戻すと、オープニングムービーで金子氏のナレーションと共にこれまでの日本のワールドカップへの挑戦が語られ、アジア第3代表決定戦でも途中途中にムービーを挟みながら金子氏が試合状況を伝える。正直、本作を所持しておく理由はこのためだけかもしんない。ムービーは『’96』のユニフォーム柄を変えただけの流用。また、これまで力を入れていたサウンド面だが、今回は実況のみ。金子氏と木村氏はさすがに安定しているが、ややクセのある小谷氏の実況と棒読みの金田氏の解説は若干辛いものがある。登録されているボキャブラリーも前作までに比べて少ない。そして、ワールドカップで優勝してもスタッフロールもなくいきなりタイトル画面に戻る淡泊さ。更に、画面に選手が密集すると処理落ちで動きが遅くなってしまう「劣化」も見られる。見た限り、フォントもフォントワークスの書体を使用してないと思われ、隙のない作りだった『’96』と比較すると、ワールドカップ初出場が決まった勢いだけで作った感が見え隠れする。まあ、嬉しいのは分かるんだけどさ、もうちょっとシリーズを大切にしてほしかったなー。

 Jリーグやプロ野球のゲームでは、ゲームの基本が完成すれば、後は毎年選手及びチームデータを更新しただけの「新作」が発売され、前年のソフトは途端にワゴンセールへ放り込まれるのは当時も今も変わらない。これはスポーツゲームの悲しい宿命とも言えるが、本作を見る限りではこれ以上のアップデートも無理そうであり、記念すべきワールドカップ初出場を機にシリーズを終わらせたのは、セガの英断だと思おう。僕は中西永輔をFWに登録変更してワールドカップ得点王になるまで遊びましたけどね。


【2023.8.20.追記】
 本作のナビゲーターを担当された金子勝彦氏が8月20日、肺炎のため死去されました。謹んで哀悼の意を表します。


(C)FRANCE 98 FIFA OFFICIAL LICENCED PRODUCT
(C)The France 98 Emblem and the Official Mascot are Copyrights and Trademarks of ISL.
(C)1996 JFA OFFICIAL GOODS All Rights Reserved By JFA
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2022/11/16

ナムコアンソロジー1

 


 

【発売】ナムコ
【開発】トーセ
【発売日】1998年6月4日
【定価】5,800円
【媒体】プレイステーション用CD-ROM
【ジャンル】オムニバス




昔のナムコが好きだ! その7


【ストーリー】
 私達ナムコは、アーケードゲームと共に、早くからコンシューマ(家庭用)ゲームの制作に取り組んできました。コンシューマゲームも登場より十数年の歳月を重ね、最近ではゲーム機の世代交代が進んだため、初期の作品はあまり遊ばれなくなりつつある様です。しかし、その中には、忘れてしまうには惜しいゲームがたくさんあるのではないでしょうか。『ナムコアンソロジー』は、この様な想いから生み出された企画です。今回収録した4本のゲーム、『バベルの塔』、『スターラスター』、『レッスルボール』、『覇王の大陸』が、プレイヤーに懐かしさと、時を経ても変わらぬ面白さを感じさせるものであれば幸いです。


【収録作品】
01.『スターラスター』(ファミコン版:85年12月6日)
02.『スターラスター』(アレンジ版)
03.『バベルの塔』(ファミコン版:86年7月18日)
04.『バベルの塔』(アレンジ版)
05.『レッスルボール』(メガドライブ版:91年2月8日)
06.『レッスルボール』(アレンジ版)
07.『覇王の大陸』(ファミコン版:92年6月10日)
08.『覇王の大陸』(アレンジ版)


【概要】
 ナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)が、過去に家庭用ゲーム機で発売した作品のオリジナル版とアレンジ版を収録したナイスソフトとして、全2本が発売された。本作はその第1弾。アーケードゲームを完全移植した『ナムコミュージアム』シリーズとは異なるコンセプトだが、ナムコファンとしてはこれまた嬉しいソフトである。
 尚、『覇王の大陸』は、元々『三国志II~覇王の大陸~』というタイトル名だったが、本作への移植に際してサブタイトルが本タイトルへと変更されている。ファミコン版発売時には『三国志II~覇王の大陸~』名義で商標登録されていたが、「三国志」の商標はナムコと合併前のバンダイも持っていた事、また、光栄(現コーエーテクモゲームス)も「三国志」の商標を登録していた事が関係していると思われる。それに伴い、本作収録のファミコン版のタイトルロゴも『覇王の大陸』へと作り直されている。


【ゲームシステム】
 98年と言えば、インターネットが一気に家庭に普及した時期でもあり、本作のメニュー画面もそれを意識した作りになっている。ホーム画面では各タイトルと、「ナムコスター」というセーブ&ロードや、各タイトルの説明が表示される。画面右のスクロールバーを移動させる事でゲームの詳細を見る事ができるなど、今見ると逆にこのホーム画面がレトロな感じだ。アレンジ版にはオープニングムービーが加えられており、これもホーム画面で見る事ができる。


【総評】
 本作収録作品の中でも、『スターラスター』と『バベルの塔』は比較的古い作品であり、アレンジ版ではその見た目はかなり変わっている。名作と名高い『バベルの塔』は、アクションパズルの要素はそのままに、グラフィックが大幅に変更されたが、プレイ感覚はオリジナルのファミコン版と同じ良好な操作性だ。また、ムービーがなかなかカッチョいいんだわ。『スターラスター』は、オリジナル版が地味過ぎた事もあって「よく分かんないうちにワープしてしまったにゃー」っつー事が(僕は)度々あったが、アレンジ版ではワープ箇所はもちろん、目の前に現れる敵キャラクター表示も加わり、3Dシューティングとして非常に遊びやすく生まれ変わっている。



 今回唯一のメガドライブから移植の『レッスルボール』は、メガドライブ特有の「音割れ」が解消されており、『覇王の大陸』と共に正当アレンジの仕上がりで、安心して遊ぶ事できる。ここらへんの塩梅はさすがナムコですな。



 本作の制作コンセプトは、当ブログのコンセプトと偶然にも一致している。そうなんだよー、見た目は古くたって、ゲーム性じゃそんじょそこらの今出ているゲームにも負けないぜーって作品がまだまだ山の様にあるのだ。だからこそダウンロード販売なんつーのが商売になってたりするんですな。良き。


Produced by NAMCO LTD. (C)1998 NAMCO LTD.,ALL RIGHTS RESERVED

2022/10/31

らんま1/2 爆烈乱闘篇

 


【発売】メサイヤ
【開発】メサイヤ、アトリエドゥーブル
【発売日】1992年12月25日
【定価】9,600円
【媒体】スーパーファミコン用カートリッジ
【容量】12M
【ジャンル】アクション




原作への愛情がこもった良作なキャラゲー


【概要】
 高橋留美子氏原作の『らんま1/2』は、87~96年に週刊少年サンデーに連載され、累計発行部数は5500万部を突破。89~92年にはテレビ、劇場アニメ、オリジナルビデオアニメ化された。ゲーム化も各メーカーから多数発売されており、本作は92年3月にメサイヤ(現エクストリーム)から発売された『らんま1/2 町内激闘篇』の続編にあたる。前作の評判がよかったため、本作は年末の発売にも関わらず、初回出荷本数約32万本がほぼ年内に売り切れたため、翌年4月に再出荷されたほどの人気で、多くの『らんま』ゲームの中でも完成度が高く、現在でも格闘ゲームイベントで使用されている。


【ゲームシステム】
 サイドビュー形式の対戦型格闘アクションゲーム。プレイヤーは使用するキャラクターを選択し、各種の技を駆使して順に登場する対戦相手を倒せば、勝利。2本先取制。各キャラクターのストーリーを追った「シナリオモード」、対戦用の「対戦モード」、好みのキャラクター5人を選んで戦う2プレイ専用の対戦用団体戦「団体戦モード」、難易度設定やタイム制限の有無が決められる「オプションモード」がある。
 登場キャラクターは「早乙女乱馬(男)」、「早乙女らんま(女)」、「響良刃」、「シャンプー」、「天童あかね」、「早乙女玄馬(パンダ)」、「五寸釘光」、「久遠寺右京」、「ムース」、「博奕王キング」。これに隠しキャラの「パンスト太郎」、「パンスト太郎(変身後)」、「八宝斎」の以上13人を使用できる。各キャラクターごとに「風林館高校校長」の妙な陰謀に巻き込まれるストーリーが設定されている。




【総評】
 ゲームバランスとはしては、比較的初心者向けではあるが、対戦型格闘ゲームとしての基本はしっかりしており、また、原作では不明だった技名も本作のために名称が付けられた。各キャラクターはアニメ版同様の声優が声をあてており、グラフィックも原作の雰囲気に沿って凝っている(右京のステージだとお好み焼きの上で戦うなど)。コンピュータ側も各キャラクターごとに性格付けがなされており、例えば、五寸釘だと画面の端に逃げまくる様になっているのも、原作ファンとしては愉快だ。



 技1発のダメージが大きく、ボタンの長押しや連打で必殺技が繰り出せる、複雑なコマンド入力を必要としない事が特徴だ。これにより、対戦型格闘ゲーム初心者でも容易に必殺技が出せ、上級者と互角の戦いが楽しめる。一方の上級者からすれば、初心者相手にも緊張感を持って対戦に臨む事になる。通常技でも1発のダメージが大きいため、ガードをしても体力が削られてしまう。また、対空戦では隙も大きいので、基本的な戦い方は地上戦での牽制になるパターンが多い。加えて対戦キャラクターによる相性もある。基本的にはスピードのあるらんまやシャンプーが頭ひとつ分抜けていて強い。

 当初予定では、原作の「道場破り」を登場させる予定だったが、前作の時点であかねの登場を望む声が多かった事から、道場破り案を没にし、本作であかねが起用された。それに伴ってキャラクターデータが小さくなったため、八宝斎が隠しキャラとして埋め込まれた。本格的な対戦型格闘ゲームには及ばないものの、スタッフによる原作への愛情が見え隠れする良作なキャラクターゲームであり、幅広いプレイヤーに満足のいく完成度となっている。


(C)高橋留美子 / 小学館・キティ・フジテレビ (C)1992 ネットワークエキスプレス・小学館プロダクション