2026/03/09

ジーザス 恐怖のバイオ・モンスター

【発売】キングレコード
【開発】エニックス
【発売日】1989年3月17日
【定価】5,900円
【媒体】ファミコン用カートリッジ
【容量】2M+64KRAM
【ジャンル】アドベンチャー




ファミコン後期の佳作「魅せるアドベンチャーゲーム」


【ストーリー】
 2061年、人類の科学は、再び地球に接近しつつあるハレー彗星に有人探査機を飛ばすところまで進歩していた。世界8ヶ国から選ばれた乗員達は、2機の探査機「コメット」と「ころな」に分乗し、スカイラブ「ジーザス」から飛び立った。探査課題のひとつは、ハレーの尾のガスを採取する事。それは宇宙、天文の分野だけでなく「地球の生命は、彗星からもたらされたのかも知れない」という生物学の謎を解く事でもあった。しかし、ハレーのガスを採取した直後、1号機「コメット」からの通信が途絶えたのだ。「コメット」に何が起こったのか?


【概要】
 オリジナル版は87年にエニックス(現スクウェア・エニックス)がPC-8801などのパソコンで発売したSFアドベンチャーゲーム『J・E・S・U・S』。映画的手法をいち早く取り入れたアドベンチャーゲームでもあり、「グラフィックを見せる事」に注力されている。音楽はすぎやまこういち氏、グラフィックは眞島真太郎氏(現アルテピアッツァ代表取締役社長)。ゲーム内ではすぎやま氏のサウンドがクリアするための鍵となる。また、80年代のアニメブームの中で、ファミコンの能力を最大限に引き出している。ファミコン版移植に際し、一部のアダルトタッチなグラフィックや言動が変更された他、ミニゲームやパズル要素が全て削除された。また、パソコン版であったゲームオーバーも廃止され、本作では「誰もがクリアできるアドベンチャーゲーム」というコンセプトで移植されている。


【ゲームシステム】
 オーソドックスなコマンド選択式アドベンチャーゲーム。プレイヤーは主人公「武麻速雄(むそう はやお)」となり、探査機1号「コメット」で起きた謎を追う。ゲームオーバーはなく、筋通りに進めば誰もがエンディングを見られる。セーブはパスワード形式だが(セレクトボタンを押すとパスワードが表示)、早ければ2時間程度でクリアできるため、プレイ中1度も中断せずエンディングまで辿り着ける。




【総評】
 前述した様に、「グラフィックを見せる」、「誰もがクリアできるアドベンチャーゲーム」をコンセプトに、美麗で大き目のグラフィック、ハードの能力を最大限に引き出したアニメショーンなど、基本的に良作と言えよう。設定コンセプトとしては79年公開のリドリー・スコット監督の映画『エイリアン』の影響を受けていると思われるが、登場キャラクターは多種多様な国の人物で構成されており、各人の関係は平和かつ友好的だ。ただし、プレイ開始からそう時間が経たない間に「バイオ・モンスター」に襲撃されるため、各人の関係性が希薄であり、せっかくどのキャラクターも魅力的なぶん、少々もったいない気もする。

 無意味なフラグ立てもあり、ここで詰まる場合もあるが、それこそ「コマンド総当たり」すればいずれはフラグも立つ。ゲーム性としては目新しい点はない様に思えるが、「音楽」がキーポイントとなっているのは、89年発売の『マザー』(任天堂)よりも先であり、ここですぎやま氏の曲が冴えるわけだ。ただし、せっかく氏を起用しているにも関わらず、ほとんどの場面は「ブブブブブブ...」というSEの様な音が鳴り続けている。これは音楽部分の要領をグラフィック部分に振り分けた結果かもしれない。


 湾岸戦争のキナ臭さが表面化し始めた時代に、前述した様に、国や肌の色など関係なしに1つのプロジェクトを遂行しようとする各キャラクターの魅力が描き切れていないのは残念だが、そこはいろいろ深読みするのもよかろーて。エンディングは本作単体で終わっても、続編があってもいい様に2通り捉えられる。実際、PC-8801、PC-9801及びX68000では91年に続編『ジーザス2』(エニックス)が発売されている。ただ、スクウェアと異なり、エニックスのレトロパソコンゲームはなぜか復刻がされておらず、プレイ環境は実機のみ、中古価格はカセットのみで2,000円前後だ。


(C)1989 ENIX (C)1989 キングレコード