【発売】エクシング・エンタテイメント
【開発】ジャックポット、日本クラリービジネス、スタジオ最前線
【発売日】1997年2月28日
【定価】5,800円
【媒体】プレイステーション用CD-ROM
【ジャンル】アクション
ゲーマー心をくすぐる硬派なラバーリングアクション
【海腹川背とは】
「海腹川背」というのは、このゲームに登場する女の子の名前(姓が海腹、名が川背)で、あなたが操作するキャラクターの事です。海腹川背さんは、なぜかサカナ達にジャマされながら、道なき道を進んで行きます。頼りになるのは、先にルアーが付いたゴムの様に伸び縮みする特殊なロープだけです。でも、このロープはとっても便利なアイテムです。サカナ達に投げ付けて捕まえるのはもちろん、壁を登り、裂け目を飛び越したりするのにとても役立ちます。海腹川背さんが険しいフィールドを安全に進む事ができるよう、あなたもこのロープを自由自在に使いこなせる様になって下さい。
「海腹川背」本来の意味は、「海の魚は腹に、川の魚は背に脂が乗っている」という板前用語です。このゲームには、タイトル通りに海や川の脂の乗ったサカナ達が、敵キャラクターとしてたくさん登場します。プレイに余裕が出てきたら、日本の風土に馴染み深い魚介類達の事も観賞してやって下さい。
【概要】
94年にスーパーファミコンで発売された『海腹川背』(TNN)のシリーズ第2弾。8方向に伸縮するルアー付きロープを駆使してフィールドを進むワイヤーアクションゲームで、かわいらしいキャラクターとは裏腹に、テクニック重視の硬派な内容。オープニングムービーはなく、エンディングムービーもあえて低解像度のものを小さく表示するに止められている。一方、特定のフィールドをクリアすると、なぜか玉露園の「こんぶ茶」やフランスの釣具メーカーMITCHELLなどのCMがムービーで紹介される。全体的にシュールな雰囲気だが、内容は古きよき時代のアクションゲームを正統進化させた作品。初回特典には川背さんのピクチャースタンドが付属(スタンド部分だけどっか行っちゃった…)。
【ゲームシステム】
サイドビュー形式のアクションゲーム。障害物や敵を避けつつ、ステージ内にあるドアに入れば1フィールドクリア。全50フィールド。ドアが複数ある場合は、以降のルートが分岐する。川背さんのアクションは移動、ジャンプ、ロープを投げる。そのロープの先端にはルアーが付いており、壁や天井、敵などに引っ掛ける事ができる。そこでロープを手繰り寄せるか引き伸ばすかで、天井や壁に張り付いたり、敵を捕獲する事ができる。更にそのアクションの応用次第では、垂直の壁を登ったり、助走を付けて大きくジャンプしたり、フィールドを数秒で突破したりと、プレイヤーの力量次第で多彩で奥深いアクションが楽しめる。
【総評】
ワイヤーアクションゲームは、その独特の操作方法のため、手慣れたゲーマーも初心者も横一列からのスタートになる事が多い。慣れるまでは難しいが、「振り子」の原理を理解すれば基本的な操作はマスターできる。そこから一歩踏み込んで応用技を編み出せる様になると、プレイするのが更に楽しくなるっつー寸法で、技量が高まればいわゆる「魅せるプレイ」を考え始めるのだ。別に実際に誰かに見せるかどうかではなく、「美しくプレイする」というのは昔からのゲーマーの美学みたいなもんである。一度クリアしたフィールドであれば、プレイデータをセーブして「REPLAY」モードで観賞でき、クリアはせずとも到達したフィールドなら「PRACTICE」モードで練習が可能だ。
このゲームを初めて知ったのは、大学生時分に友達の家で仲間数人が集まっていた時だった。その友達が毎号買っていたTECH PlayStation付録の体験版CD-ROMに本作が3フィールドほど収録されており、初見で全員が夢中になった。当時はポリゴン(3DCGの表現方法の一種)バリバリのRPGや対戦格闘ゲームや美少女ゲームばかりが山ほど発売されていた時期で、そのテのゲームにいささか食傷気味だった。そんな時に登場したどこか懐かしいストイックなアクションゲーム。安易なムービーに頼らない姿勢もまたよし!その場にいた連中のほとんどが発売されるやすぐに購入し、僕もこのゲームがやりたいがためだけにプレイステーション本体を買ったのだった。
発売当時はマイナーな作品だったが、インターネットの普及後は口コミで評判が広がり、発売からだいぶ間が空いて新作がいくつも発売された。個人的にもハードを買わせるだけあって、ゲームバランスやロープの挙動は非常に丁寧に調整されており、ロープの動きに理不尽な部分は一切ない。ミスは全て己の技量不足のせいだ。一方で、そのミスをフォローする術だっていくつもある。見せかけの派手さはないが、シンプルなルールと自然なアクションでプレイヤーが腕を磨いて遊ぶという、アクションゲームの本質が詰まったこの『海腹川背・旬』は、ワイヤーアクションゲームというジャンルの決定版と言ってもいいだろう。
00年には3フィールドを追加&企業CMを排除したマイナーチェンジ廉価版『海腹川背・旬~セカンドエディション~』が発売。内容はほぼ同じなので僕はすぐ手放したけど、今考えるとちょっともったいなかったかも。また、09年にはスーパーファミコン版の初代と『セカンドエディション』の両作を収録した『海腹川背・旬~セカンドエディション~完全版』がジェンタープライズよりニンテンドーDSに移植されている。初代は中古市場でも5,000円前後とあまり値が下がらないだけに、入手しやすいハードでの発売は嬉しい反面、ニンテンドーDS本体を握り締めて垂直登りなどの細かなアクションはちと厳しい部分もある。何より、画面の小ささが初老の身には堪えるんじゃよー。よぼよぼ。現在では更にゲームアーカイブスでダウンロード販売もされているので、シニア層はテレビ画面で、若人達は携帯機で遊ぶと吉。とにもかくにもアクションゲーム好きはプレイ必須と言えよー。
Books
【著】ゲーメスト編集部
【発売】新声社
【発売日】1997年3月27日
【定価】1,280円
テクニック集を「基本テクニック」、「応用編」、「スーパーテクニック編」、「ちょいテク集」に分け、いずれも詳細な写真と文章で解説。1フィールドにつき2ページを割き、1ページが全体マップ、もう1ページが初級者向けと中上級者向けに分けて全50フィールドの攻略法を徹底解説しているゲーメスト編集部らしい実用的なガイドブックだ。フィールドの分岐マップや未使用の敵キャラクターイラスト、川背さんのラフイラストも掲載。テクニック集以外は全てモノクロページなのは痛いが、それを差し引いても内容は濃く、整理された誌面も使い勝手がよい1冊。
Books
『海腹川背・旬 攻略ガイドブック』
【発売】ティーツー出版
【発売日】1997年3月27日
【定価】1,280円
テクニック集を「基本テクニック」、「応用編」、「スーパーテクニック編」、「ちょいテク集」に分け、いずれも詳細な写真と文章で解説。1フィールドにつき2ページを割き、1ページが全体マップ、もう1ページが初級者向けと中上級者向けに分けて全50フィールドの攻略法を徹底解説しているゲーメスト編集部らしい実用的なガイドブックだ。フィールドの分岐マップや未使用の敵キャラクターイラスト、川背さんのラフイラストも掲載。テクニック集以外は全てモノクロページなのは痛いが、それを差し引いても内容は濃く、整理された誌面も使い勝手がよい1冊。
Books
【発売】ティーツー出版
【発売日】1997年3月31日
【定価】950円
レイアウトや書体など、新声社版に比べると低学年向けなデザインで、ページによってはマップの写真がページをまたがっているために見辛い部分もあるにはあるが、全ページカラーなのは大きな利点だ。また、未使用キャラクターの点数自体は新声社版より少ないが、キャラクターデザイナーの近藤敏信氏よる描き下ろしイラストもファンには嬉しいポイント。本作の開発者である酒井潔氏も協力クレジットに名を連ねており、ゲームの取扱説明書にも本書の広告が入っているので、「公式ガイドブック」と言ってもいいだろう。
新声社版とティーツー出版版、どちらも一長一短だが、全体マップのレイアウトやフィールド分岐の把握は新声社版、実際にプレイしながら見るのはティーツー出版版と使い分けられる。また、当時のエクシング・エンタテイメントの年賀状イラストが新声社版ではラフ、ティーツー版では彩色されたものが載っていたりと、相互に補完し合える内容なので、ファンは2冊どちらも買おう。
本シリーズは詳細な設定などが公にはされていないが、発売後しばらくして酒井氏による裏設定がインターネット上で公開された事がある(現在は削除済み)。川背さんはわりかし幸薄い身の上だとか、その心象風景がゲームの背景グラフィックだとか、結構驚きの内容だったので、ここらへんをまとめたファンブックなんかが今からでも発売されないもんかなー。
【定価】950円
レイアウトや書体など、新声社版に比べると低学年向けなデザインで、ページによってはマップの写真がページをまたがっているために見辛い部分もあるにはあるが、全ページカラーなのは大きな利点だ。また、未使用キャラクターの点数自体は新声社版より少ないが、キャラクターデザイナーの近藤敏信氏よる描き下ろしイラストもファンには嬉しいポイント。本作の開発者である酒井潔氏も協力クレジットに名を連ねており、ゲームの取扱説明書にも本書の広告が入っているので、「公式ガイドブック」と言ってもいいだろう。
新声社版とティーツー出版版、どちらも一長一短だが、全体マップのレイアウトやフィールド分岐の把握は新声社版、実際にプレイしながら見るのはティーツー出版版と使い分けられる。また、当時のエクシング・エンタテイメントの年賀状イラストが新声社版ではラフ、ティーツー版では彩色されたものが載っていたりと、相互に補完し合える内容なので、ファンは2冊どちらも買おう。
本シリーズは詳細な設定などが公にはされていないが、発売後しばらくして酒井氏による裏設定がインターネット上で公開された事がある(現在は削除済み)。川背さんはわりかし幸薄い身の上だとか、その心象風景がゲームの背景グラフィックだとか、結構驚きの内容だったので、ここらへんをまとめたファンブックなんかが今からでも発売されないもんかなー。
(C)XING 1997 / JAPAN CLARY BUSINESS / JACKPOT
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